JリーグヤマザキナビスコカップD組第5節
 午後2時25分、屋内でストレッチングを行って体をほぐし終えた両チームの選手達がピッチへと登場すると、スタンドから大きな声援が沸き起こる。
 夏を前にして、そろそろ嫌な梅雨のシーズンの到来が近いのか、今日の関西地方はかなり蒸し暑い。日差しも強く、ピッチの上は風もほとんど無く、植物園を思わせるほどのムッとした暑さだ。
 今日のこの暑さの中での午後3時という時間のキックオフは、ゲーム内容に以上に、相当に体力の消耗を強いられる内容の一戦となりそうだ。しかし、先週末のホーム・瑞穂での鹿島戦を、マルケスの日本最後の試合だったこともあってか、マルケス自らのシュートで挙げた1点を、最後まで集中を切らすことなく全員で守りきり、チームは久し振りの勝利の美酒に酔うことができた。その甲斐あってか、チーム状態は徐々に上向き始め、須藤や平林達も試合に出ることで徐々に自信を深め、試合前の練習中も落ち着きを見せ、リラックスしていることが伺える。
 今日の試合が、移籍後初の先発デビュー戦となった中山選手。G大阪時代の仲間である、井川と入念にアップをこなしているその表情は相当気合いが入っていることが分かる。ブラジル人2人がチームを去った今、サポーターの彼への期待は相当なもののはず。今日の彼には、名古屋の一員としてのデビュー戦を、得点力を期待された選手としてふさわしいゴールでチームを勝利に導いて貰いほしい。
〜前半15分
左エンドのホーム・セレッソ大阪に対し、右にエンドを取った名古屋。相変わらずピッチの上には強い日が差し、入場を終えた選手達は眩しそうだ。前半は、ホーム・セレッソのキックオフで試合開始。
名古屋は、GK川島、DFは、右から井川・古賀・増川・中谷、MFは右に山口、左に中村、ボランチは須藤とクライトン。FWは平林と新加入の中山の2TOPと言う布陣だ。相当な暑さがピッチを支配しそうなだけに、ペース配分が難しいところだ。
1分、右の高い位置で大阪・森島が西澤に当てて縦に抜け出そうとしたが、マークに付いていた増川が足を出して、きっちりとボールをカットしてゆく。
2分、早速左からのCKのチャンスがやってくる。中村のニアへのボールを流れながら中山が頭で合わせると、ボールは右のポストに向かうが、僅かに大きくポストの外へ抜けてしまう。挨拶代わりのシュートと言ったところか。
4分、右サイドで相手選手と交錯しながらもボールを前に運んだクライトンがそのまま中へと放り込んでいったが、これは誰も詰め切れず。
5分、相手陣内中程やや左でのFK。これを増川が蹴ってゆくが、力が入ったのかグラウンダー気味のボールは左に流れてしまう。
 
 
7分、右で大阪・久藤が森島の戻したボールを裏へ入れてくるが、これは川島が飛び出して押さえてゆく。
9分、右サイドを井川がボールを持って上がってゆこうとしたが、ゼ・カルロスの厳しいチェックに倒され、相手ボールとなってしまう。
10分、右から大阪・久藤が中へと流れながら落とすと、シュートを狙ってくるが、コースに入った古賀が先にボールに行き、蹴り出して行く。
11分、左で中谷が出したパスを受けた中村が戻りながらゴール前へと入れて行くが、詰めていた平林は頭に当てるのが精一杯だった。
13分、自陣深く右の位置での大阪のFK。ここまで良いリズム出来ているだけにここでの失点は避けたい。ゼ・カルロスが左足でマイナスに出したボールはブルーノが枠に蹴ろうとしたところを大きく蹴り出して行く。
14分、自陣からの早いカウンター。中央をクライトンが持ち上がると、最後、右に上がる中村へパスを通す。エリアに入ったところでゴール前へと出して行くが、左から寄せていった平林には僅かに届かず。
【交代:15分・C大】
西澤黒部
〜前半30分
16分、右からの大阪のCK。ゼ・カルロスの左足のボールは代わって入ったばかりの黒部がゴール正面で頭に当てるが、ボールは大きく左へと流れて行く。
18分、左サイドでクライトンが大きく縦に出したボールを中村が追いかけるが、これは追いつけず、タッチの外へと出てしまう。
 
 
19分、右のスペースへ出たボールをフリーで受けた森島が切り換えして中へと入れてくると、このパスを黒部がダイレクトでシュートに来るが、体を入れてた古賀が顔でこれを弾き、ピンチを救う。
21分、左サイドで中谷の入れたボールをクライトンがダイレクトで裏へと出すと、タイミング良く中村が飛び出すが、僅かに早すぎオフサイドを取られてしまう。この時間帯は名古屋がボールを支配、ゲームのリズムをしっかりと掴んでいる。この良い流れの時に早く先制点を奪って試合を楽にしたいところだ。
 
 
25分、右でボールをキープした森島がDFの間を抜いて中に入れてくると、古橋が寄せてきて右足で外からシュートに来るが、これは川島が難なく正面でキャッチ。
27分、左で山口のボールを奪ったゼ・カルロスがそのまま上がってくると、中へと早いボールを入れてくるが、これは増川が長い足を伸ばしてカットして行く。ここで山口が負傷、一旦ピッチを離れてしまう。外で治療を行うが、ドクターから大きく“×”が出るという、緊急事態に。
 
〜前半終了
  【交代:33分・名】
山口杉本
33分、大阪の左からのCK。これをブルーノからのボールを古橋に決められてしまい、先制点を奪われてしまう。ここまで良い形で来ていただけに、山口の負傷交代でバランスが崩れたところをやられてしまった。
35分、クライトンの右の裏へのボールに抜け出した杉本がボールを拾うと、DFをかわして中へと入って行こうとするが、これは前を阻まれてしまう。
36分、右からのスローインからのボールを中山がゴール前で頭で流し込もうとしたが、これはGKが体を当ててきて、ボールのコントロールが出来ず、反対に抜けてしまう。
38分、中央でボールを持ったクライトンが右のフリーのスペースへ出して行くと、これを上がって受けた井川がゴール前へと放り込んで行く。しかし、ボールは相手GKの正面に。
【得点】
33分 古橋(C大阪)
 
39分、中央から左に出たスルーパスにに反応した中山が、エリアの左でGKと1対1に。左足で迷わずシュートを打って行くが、前に出たGKの体に当たってしまい、枠の中に収めることが出来なかった。
40分、右からのCKのチャンス。中村のボールにゴール正面で古賀がヘディングシュートにゆくが、わずかにボールが高く、クロスバーの上へ抜けてしまう。
43分、右にポジションを変えていたクライトンの縦のボールに杉本が抜け出すが、これはオフサイドフラッグが上がる。
 
 
ロスタイム1、クライトンが前線に張っていた中山に当てて行こうとするが、これは相手DFが体を入れ、先に弾いてしまう。そして、前半はこのまま終了。セレッソに1−0でリードされた形で折り返すことに。途中から、ボールを持って良い流れで相手陣内へと攻め込んでいたが、山口の負傷交代によりリズムが崩れると、そこからはセレッソペースに。途中で何とか流れこそ押し戻しボールを持つようになったものの、攻め手がなく、ボールを持たされている、と言う状態のまま前半を終えてしまう。後半はもう少し、動き出しを早くしながら、試合のリズムをしっかりと掴んで、先手先手で相手を押し込んで攻め込みたい。  
〜後半15分
もう負ければ後が無い名古屋にとって、なんとしても追いついて、そして逆転を決めて来週の清水戦に望みを繋ぎたい。後半は左にエンドを変えた名古屋のキックオフで試合開始。
1分、いきなり相手DFの裏へのボールに中山が飛び出し、相手GKと1対1になりかけるが、ボールにはGKが先に寄せ、押さえ込まれてしまった。
2分、右からの大阪のCK。ゼ・カルロスのボールに大阪・前田が合わせてくるが、ボールはクロスバーの上へ抜けて行く。
 
 
4分、相手陣内左やや深い位置でボールを持って前を向いたところで中谷が倒され、好位置でFKを得る。中村のゴール前へのボールは前に出たGKがパンチングで跳ね返してしまう。
7分、左でボールを持ったぜ・カルロスが深い位置から中へと強引にクロスボールを入れてこようとするが、これは正面の位置の川島が難なくキャッチして行く。
 
 
 
10分、右でボールを持って仕掛けていった杉本がシュートにゆこうとしたところを相手DFがカットしたボールがゴール正面にいた中山の前へ。これを落ち着いて相手ゴールに正面から叩き込み、公約通り?移籍初ゴールを決め、皆の期待に見事に応える。
13分、右でボールを受けた井川がすぐさまゴール前へグラウンダーのボールを入れて行くと、右から平林が走り込んで行くが、僅かに間に合わず、相手GKの下へボールが行ってしまう。
【得点】
55分 中山(名古屋)
〜後半30分
16分、大阪・山崎が左からゴール前へと早いクロスを入れてくるが、これは古賀がダイレクトに弾き返して行く。  
18分、自陣右やや入った位置での大阪のFK。直接狙ったボールはポスト右に外れる。
19分、右の縦のスペースへ杉本を走らせようと、クライトンが出して行くが、これは足下へのDFのスライディングに阻止されてしまう。
【交代:62分・C大】
森島ファビーニョ
 
20分、自陣中程ほぼ中央での大阪のFK。古橋が流したボールをゼ・カルロスが左足で狙って蹴ってくるが、ボールはDFに当たってコースが変わる。
23分、自陣からのクリアボールを相手DFに競り勝って抜け出していった中山がそのまま持ち込んで行くと、左足でシュートに。しかし、これは惜しくも相手GKが体に当て弾かれてしまい、2点目を奪うことは出来なかった。
 
 
25分、右からの大阪のCK。ゴール遠いサイドのボールに下村が頭で合わせるが、ボールはバーの上を抜けて行く。
27分、左からゼ・カルロスの入れたボールを遠いサイドに上がってきたファビーニョがゴール前へ落としてくるが、増川が体勢を崩しながらもクリアして行く。
【交代:70分・C大】
布部柳本
 
28分、相手陣内中程で早いリスタートのボールを右でフリーで受けた平林がシュートにゆくが、ボールは惜しくもクロスバーの上。
30分、右からの大阪・ゼ・カルロスのCKのボールは遠いサイドにいた選手があわせに来るが、増川がしっかりと体を寄せ、枠に飛ばさせなかった。
【交代:76分・名】
井川吉村
〜試合終了
32分、ゴール前に入っていた吉村の落としたボールを平林がクリアしきれず、ゼ・カルロスに拾われると、シュートを狙われるが、ボールは川島の正面に跳び、救われる。
34分、右からのCKのチャンス。中村のゴール正面へのボールをドンピシャリで頭で合わせた古賀のヘディングシュートは、惜しくも相手GKの体に当たって弾かれ、決めることは出来なかった。
36分、自陣から出たボールを左から杉本が持ち上がり、寄せてきたDFを引き連れながらも勝負にゆくと、最後、ゴール前へ流し込んだボールに走り込んだ中村が右足でシュートを狙うが、ボールの抑えが効かなかったのか、ポスト右に外してしまう。
 
 
39分、右でボールを持った中村が右のスペースへと走って行く吉村に向けて出して行こうとしたが、ボールが僅かに短く、コースに入ったDFにカットされてしまう。
41分、自陣から大きく出たボールを杉本が落とすと、これを中村がさらに縦に繋ごうとしたが、相手DFに阻まれボールを奪われてしまう。
43分、右でボールを持った吉村が大きくサイドチェンジしたボールをゴールラインギリギリで拾った中山が中へと何とか折り返そうとしたが、寄せてきたDFに当たったボールが体に当たってしまい、相手GKとなってしまう。
ロスタイム1、右からの大阪のCK。ゼ・カルロスの入れたボールはDFが簡単に弾き返して行く。
 
 
ロスタイム3、疲れからか両チームの選手とも足が止まり、自陣からのロングボールが目立ち始める。
ロスタイム4、右サイドでボールを持った大阪・黒部がそのままエリア内へと入ってきてそのまま右足でシュートに来るが、川島が踏ん張り好セーブでボールを弾き出し、決定的な場面でチームのピンチを救う。
ロスタイム5、右からの大阪のCK。ゼ・カルロスのゴール前へのボールは競り合いでこぼれるが、このボールを大きくクリアしていってところで主審の笛がスタジアムに鳴り渡る。名古屋は先制されながらも、中山の移籍後初ゴールで辛くも追いつき、1−1の同点による引き分けで試合を終えることが出来た。後半は両チームそれぞれに何度か大きなチャンスがあったが、どちらも決めきれず、正に引き分けの試合内容といえよう。最後まで熱い声援ありがとうございました。
【交代:89分・名】
中村エドアルド