Jリーグ ディビジョン1・第5節
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 スタジアム周辺は、先週末に咲き誇った桜の花びらが残り惜しそうに舞っている。お花見のシーズンを終え、これから初夏へと向かってドンドンと暖かさを増すはずと思われたが、昨日の雨のせいもあり、今日は朝から風の強い、あいにくの天気となってしまった。それでも明るいうちはスタンドに日が当たり、暖かさを感じさせてくれたが、午後6時を過ぎ、キックオフ間近になってからは、気温も下がり、一気に冷え込んできた。
 今日は、マルケスを1トップにおき、中村をトップ下、両サイドに本田・山口を配すという布陣で臨む我らが名古屋グランパスエイト。両サイドに豊富な運動量と決定力を持つ石川・戸田を擁し、強力で、畳みかけるような攻撃を仕掛けてくる、今日の相手・FC東京。厳しい試合が予想されるが、ともかく今日は絶対勝ちたい、と言う以上に勝たなければいけない試合。先週のアウェイのセレッソとの敗戦の悪いイメージを早くぬぐい去るために、そして、チームに勝利という結果をもたらすためにも、サポーターとともに、最後までしっかりと戦い抜いて欲しい。
 すっかりと日が落ちたピッチの上でウォーミングアップを行っている選手達の表情は固く、心なしか声に勢いが感じられない。前節、直前の怪我のため、出場できなかった楢崎は鬼気迫る雰囲気と言っても良いほどだ。その一方で、現在首位を走るFC東京の選手達は誰も彼もが明るく、やる気が溢れてくる。ホームでの開催でありながらのこの嫌な雰囲気を早く払拭させるためにも、試合開始から激しいプレイを見せてくれる事を期待したい。
 6時45分、険しい表所を見せながら選手達はロッカーへと向かってゆく。絶対に勝ってくれると信じて声援を送るサポーターの声を背にしながら。
〜前半15分
夕方頃を思えば、風は弱まったものの、相変わらず冷たい横風がピッチ上を抜けてゆくという、厳しいコンディションで始まった今日の東京戦。
右にエンドを取る東京に対し、ホームの名古屋は左にエンドを取って右に攻め上がる。前半は東京のキックオフで試合開始。
 
 
今日は、GK楢崎、DF角田・古賀・増川・中谷。MFは安とクライトン、前目に山口・本田、FWは中村とマルケスの2人という布陣で臨む。
1分、中央にこぼれたボールを東京・戸田が拾うと、右のスペースへと出してくるが、これは増川が先にボールの下へ入る。
2分、今度は中央でパスを繋ぐと、右に流れた東京・ルーカスにパスが通る。これをゴール前へとシュート気味に入れてくるが、ボールはポスト左に流れてゆく。
 
 
3分、左サイドでルーカスが落としたボールを金沢が縦に出そうとしたが、これは山口がしっかりと詰め、押さえる。
4分、自陣左入った位置での東京のFK。宮沢が長いボールを入れてくるが、これは反対に流れてゆく。
5分、右からのCKのチャンス。中村のニアのボールをマルケスが落とすと、振り向いて中へと入れてゆく。一旦は弾かれるが、中村が拾って再度放り込んでゆくと、増川がこれをヘディングシュート。しかし、惜しくもボールは相手GKの正面。予想通り、東京はセカンドボールを狙って寄せてくると、拾ってすぐに縦に展開してくる。しかし、ここまでは全員落ち着いており、崩されることもない。
10分、自陣入った中寄りの位置での東京のFK。宮沢が入れたボールを増川がクリアミスしたところを今野に拾われ、これを止めようとして倒してしまい、PKを与えてしまう。
11分、この場面で蹴るのは東京・ルーカス。右を狙ってきたシュートを楢崎がしっかりと読んで止め、チームのピンチを救う好セーブでスタンドを沸かせる。
13分、中谷からの縦のスペースのボールを拾った本田が、ドリブルで持ち上がると、中へとクロスボールを入れてゆこうとしたが、これは流れてしまい、そのままゴールラインを割ってしまう。
14分、東京1人目メンバー交代:藤山→増嶋
 
  【交代:14分・F東】
藤山増嶋
〜前半30分
16分、自陣左入った位置での東京のFK。大きく蹴ってきた宮沢の左足のボールは、大きくゴールラインを越えて行く。
17分、左サイドで本田が上げたボールを中村がダイレクト出たてに出すと、裏へ抜け出したマルケスが遠目からシュートに。しかし、ボールは風に乗り、クロスバーの上へ抜けてしまう。
18分、自陣でボールを持った増川が大きく縦に出すと、右で中村が追うが、風に乗ったボールはそのままタッチを割ってしまう。
19分、自陣中程左での東京のFK。栗澤の早いボールは増川が落ち着いてカットして行く。
20分、相手陣内右の深い位置でこぼれたボールを拾った中谷が寄せてきたクライトンに渡すと、縦に抜けながらクロスを入れて行こうとしたが、その前のゴールラインを割ってしまう。
 
 
22分、相手の横パスをカットした本田が、エリア内でDFが寄せたところをかわして、出すと、これをシュートに行ったが、相手DFに弾かれCKに。
23分、左からのCKのチャンス。中村の早いボールをニアでマルケスが頭であわせてゴールに飛ばすが、惜しくも相手GKの正面に。続く左からのCKを今度は本田が頭であわせるが、これも右に流れてしまい、決める事は出来なかった。
24分、自陣ゴール前に入ってきたボールに相手選手が詰めてきてシュートに来るが、楢崎が体を張って飛び込み、これを止め、またしてもピンチを救うセーブでチームをもり立てる。
27分、左で本田がマルケスに短く繋ぐと、これを寄せてきたDFをかわしてマルケスがシュートにゆくが、相手DFがコースに入り止められてしまう。
29分、相手陣内深く左の位置でのFKのチャンス。中村の早く低いボールは味方に届く前に、相手DFが足で弾いてしまう。
 
〜前半終了
31分、左サイドでスローインのボールを受けた中村がそのままドリブルで縦に上がって行くと、中へと折り返して行こうとするが、ここは厳しい東京のDFに囲まれてしまい、仕事をさせてもらえなかった。
33分、左から金沢が縦に抜けてくると、寄せていった山口をかわして中へと入れてこようとしたが、このボールをクライトンがしっかりと読んで体を入れると、カットして行く。
34分、自陣で相手ボールを奪うと、早い展開でマルケスがダイレクトで左のスペースにはたき、これを拾って中谷が縦に上がってゆく。最後、中央に上がったクライトンに渡すと、これを裏へと出して行く。マルケスが左でタイミング良く抜け出したように見えたが、惜しくもオフサイドの判定。
37分、右サイドでルーカスが石川とのパス交換で抜け出してこようとしたが、ここはクライトンがしかりと詰めて行き、チャンスを作らせなかった。
38分、中央でボールを持った本田がそのままドリブルで縦に抜けだして、相手ペナルティエリア内へと入って行こうとするが、ここは体を入れたDFがボールを奪ってしまった。
 
 
40分、相手陣内右の深い位置でのボールの奪い合いに競り勝った山口が中へと持ち出したところで倒され、絶好の位置でFKを得る。この場面で中村が安とのサインプレイを見せるが、タイミングが合わず、ボールを相手DFが先に奪ってしまった。
42分、左の金沢の裏へのボールに抜け出したが、ルーカスは完全なオフサイド。
43分、右サイドで裏のスペースへ狙って出たボールに石川が抜けてこようとしたが、ここは中谷がきっちりと詰めて行き、マイボールにする。
ロスタイム1,自陣でのこぼれ球に詰めた今野がシュートに来ようとしたが、安が体を入れてこれを阻止する。
ロスタイム2,自陣からの縦に出たボールを拾った本田がドリブルで左から相手エリアへと入っていったところで寄せてきたDFに倒されるが、これはファウルを貰うことは出来ず。そして、ここで前半が終了。東京はセカンドボールへの早い寄せでドンドンボールを中へ、裏へと入れてくるが、全員がしっかりと集中、落ち着いてこれを対処し、ここまでは東京の攻撃を押さえきっているという展開だ。楢崎の好プレーもチームの勢いに貢献していると言っても良いだろう。あとは、早い時点で先制点を奪って勢いを加速させ、東京の勢いを止め、勝利へと向かいたいところだ。後半も目が離せそうにない。
 
〜後半15分
前半は相手の早い展開に苦労させられたものの、落ち着いた対処でこれに向かい、0−0で終える。しかし、攻撃の方では、相手の厳しい守備に合い、なかなか良い形を作らせて貰えなかった。後半はここを打開させて行きたいところだろう。
エンド入れ替わり、右からサポーターの待つスタンドに向けて、攻め上がる名古屋のボールで後半戦がキックオフ。
早速、マルケスが中村から受けたボールを右の縦のスペースへと出すと、山口がこれにつめてゆく。相手DFが拾ったボールをカットして山口が中へと入って行こうとしたが、こぼれたボールは飛び出したGKが押さえてしまう。
1分、右からのCKのチャンス。中村の入れたボールは反対サイドに抜けるが、これを拾って中谷がゴール前へと入れて行く。ファーサイド古賀が頭で落としたボールにマルケスが詰めたが、惜しくもオフサイドフラッグが上がってしまう。
3分、相手陣内でボールを持った中村がそのまま中央をドリブルでDFをかわして入って行く。最後、エリア内へと入ったところで相手DFに前を阻まれ、倒されてしまうが、ファウルにはならず。
5分、右で山口が角田からのパスを中へと入れて行くと、これを貰った本田がヒールでDFの裏へと出そうとするが、DFにカットされてしまう。
6分、相手陣内への早い展開で左に上がるクライトンにパスが通ると、これを持ち上がりきり返して本田へパス。DFをかわして縦に抜けるとループシュートを狙っていったが、惜しくもGKが押さえてしまった。後半は開始から名古屋が攻勢に出、東京を相手エンドにと押し込んでいる展開が続く。
 
9分、中谷がクリアミスをしたボールを石川が拾うと、左から上がってきたルーカスにパスが通る。これをフリーでシュートを打ってきたが、ここでも楢崎が良いプレーを見せてシュートを弾き出して行く。
12分、右からの東京のCK。石川のボールが左にこぼれると、これを中へ入れてくる。詰めていた金沢のダイレクトボレーはクロスバーの上へ外れ、救われる。
14分、中央でクライトンがボールを持って上がって行くと、右にフリーで走る中村へとパスを出して行く。これをライン際で中へと入れて行くと、中央で本田が詰めていったが相手DFが体を入れ、触らせてもらえなかった。
【交代:53分・F東】
宮沢梶山
〜後半30分
 
 
16分、中央に出たボールを中村がドリブルで持ち上がって行くと、左にフリーで上がってきたマルケスへラストパス。そして、これを相手GKのポジションを見極め、右足でカーブをかけてゴール右にきっちりとシュートを決め、ついに待望の先制点が決まる。 【得点】
61分 マルケス(名古屋)
 
18分、中央から右に抜けてくる石川へとパスが出ると、これを中谷が止め損なうが、飛び出した楢崎がエリアに入ったところでしっかりとボールを止めに入り、ピンチを逃れる。
20分、自陣右入ったところでの東京のFK。栗澤が長いボールを入れてくるが、楢崎が飛び出し、パンチングではじき返して行く。
21分、左で中谷の出した縦パスを本田が拾って中へと持ち込もうとするが、寄せてきたDFを倒してしまい、相手ボールになってしまう。
22分、左サイドでルーカスが角田を振り切って縦に突破してくるが、安がこれにしっかりとついて行き、寄せてきた角田にボールを奪い返させる。
23分、中央でクライトンの落としたボールを受けたマルケスが右に上がって行く中村に狙って、大きくサイドを変えてゆくが、惜しくもオフサイドに。
24分、左にドリブルで上がっていったマルケスが、そのままドリブルでペナルティエリア内へと入って行き、寄せてきたDFの足下を抜くシュートを放つ。相手GKもこれには反応が遅れるが、惜しくもボールは僅かに左に流れ、サイドネットに。
27分、自陣で相手ボールを奪ってカウンターを仕掛けると、最後、中央の中村から出たボールを左で拾った本田がクロスボールを入れ、これにマルケスが飛び込む。しかし僅かにボールは高く、頭上を抜けてしまう。
 
29分、左に抜け出したマルケスのボールを右に上がってきた山口が裏へ飛び出し、そのままシュートを相手ゴールに叩き込むが、これは惜しくもオフサイドになり、ノーゴールとなってしまう。 【交代:73分・F東】
石川近藤
〜試合終了
31分、タッチ際で相手パスをクライトンがカット、中へと入れると、安→角田と繋がる。これを縦に走る山口へと出してゆくが、トラップしたところを奪われ、チャンスには出来なかった。
32分、相手陣内へと攻め上がると、最後ゴール前へのボールは弾かれるが、中央でこぼれたボールに詰めた安がミドルシュート。僅かに右に外れ決めることは出来なかったが、良い流れを見せている名古屋には良い終わり方だった。
 
33分、監督は、そろそろ疲れの出てくるこの時間に、闘将・秋田を入れて、疲れてきた選手達を奮い立たせようと言う、粋な交代を見せサポーターを沸かせる。
37分、相手ボールをクリアした中村のボールが小さくなったところを拾った増嶋が長いボールを入れてこようとしたが、ここはしっかりと集中して、DFがボールをはじき返してゆく。
39分、自陣右中程でのファウルで東京の危険な位置でFKを与えてしまう。残り時間僅か、個々はしっかりと守って、これを凌ぎたい。
【交代:78分・F東】
増川秋田
 
40分、栗澤の蹴った低いボールは壁に出た選手が弾いてゆく。そして、これを拾ってカウンターに出ると、中央を上がっていった本田が右についてきた中村にラストパスを出す。これをDFをかわしてシュートに行ったが、GKの正面に行ってしまい、惜しくも決める事は出来なかった。
42分、相手陣内中程ほぼ中央で山口がファウルを受け、FKを得る。短く出たボールが左の本田に繋がると、縦に抜けて左足でゴール前へと入れていったが、惜しくも味方が詰める前にゴールラインの外へ。ここで東京は茂庭が負傷、ピッチを後にし、10人となる。
 
 
ロスタイム1、名古屋2人目メンバー交代:中村→吉村ロスタイム2、右サイドをスローインのボールを拾った山口が縦に突破してゆこうとするが、ここは相手DFに寄せられ、チャンスには出来なかった。
ロスタイム3,本田が左で拾ったボールを右に展開すると、上がってきた山口がこれを拾いにゆくが、戻ってきたDFがこれはカットしてしまう。そして、ここで主審の試合終了を告げる長い笛が、瑞穂の夜空に鳴り響き、見事に名古屋は首位東京を下し、1−0という結果でホーム初勝利を勝ち取る。
今日の試合は絶対に勝ちたいという信念で奪い取った価値ある、最高の内容の試合だったといえるだろう。最後まで本当に応援ありがとうございました。
【交代:89分・F東】
中村吉村