Jリーグディビジョン1第2節
 午後3時、名古屋の選手達がウォーミングアップのためにピッチへと登場すると、名古屋から詰めかけた500人近くのサポーターで埋め尽くされたアウェイ側のスタンドからは割れんばかりの歓声が沸き起こる。選手以上に彼らの今日の試合に向けた、相当の意気込みを感じさせてくれる瞬間だ。
 先発メンバーは2人1組になると、ボールを使ったメニューを開始する。どの選手も笑顔は無く、やや緊張気味な表情だ。しかし、徐々にメニューをこなしながら、サポーターの連呼する名前を体にしみこませてゆき、次第に気迫溢れる表情へと写り変わってゆく。その一方で、磐田サポーターがこれまた割れんばかりの声援、紹介される選手に声援を送っており、試合開始前から騒然となり、すごい状態だ。若い杉本や本田、渡邊にはこの雰囲気に飲み込まれるのではなく、このスタジアムの雰囲気をがらりと変えてしまうような、プレイを見せて欲しい。
 冷たい風は相変わらずピッチを吹き抜けてゆくが、上空には青空が拡がり、サッカー観戦には問題のない天候だ。ともかく、今日は厳しい試合になるとは思うが、サポーターが寒さを忘れて熱中できるような激しく熱い試合で完全勝利を決め、グランパスサポーター達を歓喜の渦に巻き込んで欲しい。
〜前半15分
磐田サポーターのマスゲームが迎える中、両チームイレブンが入場、スタジアムは興奮に包まれる。前半は左にエンドを取った磐田に対し、右から攻め上がる名古屋。前半は磐田のキックオフで試合開始。名古屋としては、早い時間帯に失点だけはしないよう、集中して試合に入りたい。
GK楢崎、DFは右から角田・古賀・増川・渡邊の4バック。MFは中村・安・クライトン・本田の4人。FWは若い杉本とマルケスの2人という今日の布陣。
1分、右からのCKのチャンス。中村のニアへのボールは簡単にカットされてしまう。
3分、左でボールを持った渡邊が縦へと出してゆこうとするが、DFにカットされ、前に走る本田・マルケスには届かない。
5分、右サイドで縦パスを受けた中村だったが磐田の早い寄せにボールを奪われてしまう。
 
 
7分、自陣からの裏への長いロングボールに杉本が一気に抜け出そうとしてゆくが、ここは磐田・茶野がしっかりとついてきて、ボールをカットしてしまう。
8分、右サイドで磐田・前田がボールを中へと入れてこようとしたが、渡邊がしっかりとマークにつき、ゴールキックにする。
9分、中央のマルケスから右に上がってゆく杉本の前へパスが出ると、これを中へと折り返してゆくが、中央で詰めてきたマルケスが触れる前にGKがキャッチしてしまう。
11分、右サイドを磐田・西がドリブルで抜けてこようとしたが、ここでも渡邊がしっかりとついて行き、タッチの外へ出してゆく。
 
 
12分、磐田の右からのCK。名波のゴール前へのボールは楢崎がパンチングで弾き返してゆく。
13分、右からの磐田のCK。名波からのファーサイドへのボールを金があわせてくるが、枠には飛ばずゴールキックに。
 
〜前半30分
ここまでは両チームとも相手の出方を見るという感じで、どちらが主導権を握るのでもなく、試合の流れは行ったり来たりという展開だ。
16分、左サイドから磐田・カレンがドリブルで上がってきて中へと切れ込んでこようとしたが、ゴールラインを自ら割ってしまう。
18分、自陣右中程での磐田のFK。名波のゴール前へのボールは、楢崎がグラウにファウルを受けながらも、パンチングで弾き返してゆく。
 
 
20分、右サイドからペナルティエリア内へとドリブルで持ち込んだ杉本だったが、茶野へのファウルでシュートまで持って行くことが出来なかった。
21分、右サイドで中村がフリーで受けて前を向くと、ゴール前へと早いボールを入れて行くと、中央でマルケス、ファーサイドで杉本と詰めていったが、あわせることは出来なかった。
23分、右から攻め上がってきた磐田・西がエリア内へと放り込んでくると、これにカレンが飛び込んでくるが、ここは楢崎が落ち着いて押さえる。
24分、左に流れてボールを持った、マルケスが中央でフリーで待っていたアンへとパスを通すと、左足でアンがミドルシュート。強烈なシュートは右のポストの外に惜しくも外れてしまう。
 
 
26分、右の西がアーリークロスを外からゴール前へと放り込んでくるが、これは楢崎の前をそのまま通過して、ゴールラインのを割る。
28分、右に抜け出した角田が、寄せてきたDFをかわして中へとボールを入れて行くと、杉本がこれに詰めてシュートにいったが、ボールは惜しくもクロスバーの上へ。この時間帯は完全に名古屋が試合の主導権を握っている状態だ。できればここで先制点を奪って試合を楽にしたいところだ。
30分、相手陣内左深くの位置でFKのチャンス。中村がこれを蹴って行くと、中央でアンが飛び込むが僅かにタイミングが合わず。
 
〜前半終了
32分、相手パスをカットした中村がそのまま中へと流れ込みながら持ち上がると、本田とのパス交換を挟み、マルケスへ。このボールを横に流れながらシュートにいったマルケスだったが、惜しくもGKの正面に。
33分、自陣左中程の位置での磐田のFK。磐田・金の直接狙った強烈なボールはクロスバーを大きく超え、サポーター席の上まで飛んで行く。
34分、左からのCKのチャンス。ここは本田が左足で短く出すと、中村がエリア内へと持ち込もうとしたが、相手DFに阻まれてしまう。
37分、左から名波がゴール前へと長いボールを入れてくるが、詰めていたグラウを気にすることなく、飛び出してしっかりと押さえる。
 
 
39分、左に流れたグラウからの戻したボールを受けた金が外からシュートを打ってきたが、これは楢崎が落ち着いて押さえる。
40分、ハーフウェイラインからのマルケスの長いパスを本田が西と競り合いながら拾いに行くが、これはファウルを取られてしまう。
41分、DFの裏へのボールを拾った磐田・カレンがシュートにこようとしたが、DFがしっかりと寄せて打たせなかった。
43分、相手エリア内での浮き球を拾ったマルケスが左に叩くと、これを杉本が貰ってエリア内へとドリブルで入り込んで行くが、磐田の固いDFに阻まれてしまう。
44分、ゴール前で福西・グラウに崩されると、グラウがシュートにくるが、中央で楢崎が福西に体当たりを喰らいながらもボールをしっかりと押さえ、離さなかった。
 
 
ロスタイム1、相手陣内でクライトンからの横パスを拾った渡邊がロングシュートを狙っていったが、これは相手GKの正面に行ってしまう。そして、前半は両チーム無得点のまま終了に。前半開始当初はお互いに様子見の状況だったが、途中からは名古屋が流れを握りかけたが、なかなか磐田の固い守備にシュートまで持って行かせてもらえなかった。途中から磐田のボールの回りが良くなると、徐々に押し込んでくるようになるが、名古屋も守備陣が落ち着いてこれを凌ぎきって負けてはいない。ここまでは正に互角の内容といえよう。  
〜後半15分
エンド入れ替わって、左から攻め上がる名古屋のキックオフで後半が始まる。磐田1人目メンバー交代:カレン→服部。
1分、中央でボールを持ったアンが右のスペースへ大きく蹴り出すと杉本が追いかけるが、このボールには間に合わず、タッチを割ってしまう。
2分、左からの磐田のCK。名波のゴール正面へのボールは中村が頭でカットする。
【交代:45分・磐】
カレン服部
 
3分、渡邊が左サイドでトラップが流れたボールをグラウに持ち去られるが、ここは追いかけて厳しく行ってこれを阻止する。
5分、中村が右からドリブルで中へと切れ込むと、DFの裏へのボールを出して行く。これを飛び出した杉本が反転してシュートに行ったが、惜しくもポスト右に。
 
 
6分、左サイドでフリー出たてに抜け出した杉本がGKと1対1になるが、戻ったDF陣を気にしたのか、枠にシュートを飛ばすことができなかった。
8分、相手エリア内でパスを回すと、最後ボールを貰った角田が遠目からシュートに行ったが、これはクロスバーを大きく超えてしまった。
 
 
 
9分、右から角田が持ち込んで行くと、ゴール正面へ。これをマルケスがシュートに行ったが、GKが正面で弾いてしまう。しかし、こぼれ球に左から走り込んだ杉本が見事にこれを押し込み、監督の期待に応える得点を決める。
11分、左サイド深くでボールを持った磐田・前田がシュートに来るが、DFがしっかりとこれを体を張って阻止する。
12分、自陣でのこぼれ球をエリアの外で拾った磐田・福西がミドルシュートに来るが、ここではクライトンが体にボールを当てて、コースを阻む働きを見せる。
【得点】
54分 杉本(名古屋)
〜後半30分
16分、右サイドからのゴール前へのボールを受けた前田に寄せたところでDFがかわされ、シュートチャンスを与えてしまうが、楢崎がしっかりと寄せて、シュートを正面で阻み、失点を許さなかった。
17分、相手ペナルティエリアすぐ外左の位置で杉本が倒され、FKを得るところを中村が蹴って行くが、DFに当たって右からのCKに変わってしまう。
 
 
 
18分、この場面で中村からのCKのボールを古賀がフリーでヘディングシュートを相手ゴールに叩き込み、2試合連続となる得点を決め磐田を突き放す。
21分、自陣右中程での磐田のFK。名波のゴール前へのボールに入っていったグラウがエリア内で倒れるが、これは認められず。
【得点】
63分 古賀(名古屋)
22分、左に代わって入った磐田・川口がボールを受けて上がってこようとするが、角田がしっかりと体を入れ、中へ入れさせなかった。 【交代:67分・磐】
名波川口
 
25分、右に上がった西からのゴール前へのボールに詰めていた福西が頭であわせてこようとするが、ここは増川・古賀がしっかりと寄せて打たせなかった。
26分、左でフリーで受けた本田が一旦溜めて中へと入れると、クライトン・アンが入っていってシュートに行ったが、これは決めることが出来ず。
 
 
 
28分、自陣で相手ボールを奪った古賀からのパスを受けた角田が持ち上がって行くと、ゴール前へと入れて行く。中村が折り返すと、ファーサイドで待っていた選手が頭で折り返したボールを相手GKがこぼしたところにクライトンが詰めて押し込み、ついに3点目が決まる。 【得点】
73分 クライトン(名古屋)
  【交代:74分・名】
杉本山口
〜試合終了
31分、右からの磐田のCK。藤田のニアのボールは簡単に山口がはじき返してゆく。
33分、右に上がっていった角田がニアに流れてくるマルケスにあわせて入れて行くが、ここは磐田のDFの足下へのタックルで枠には飛ばせず。
34分、自陣右深い位置での磐田のFK。グラウのゴール前へのボールはDFが競り勝ち、反対サイドへと流し出す。
 
35分、磐田は3人目のメンバーを入れかえ、何とか一矢報いようと仕掛けてくるが、名古屋も全員がしっかりと走って相手を追い回し、この時間帯になっても全く衰えることがない。
38分、自陣ゴール前でのこぼれ球にグラウが詰めてくるが、古賀がしっかりと体を寄せ、シュートを弾き返してゆく。
40分、自陣左中程での磐田のFK。西がゴール前へ曲がるボールを入れてくるが、上背で勝る増川がしっかりと頭でこれをカットしてゆく。
41分、磐田の右からのCK。藤田の入れてきたボールも増川がしっかりと弾き出してゆく。
43分、磐田はDFの裏へ長いボールを入れてこようとするが、渡邊がしっかりとこれに反応、大きくクリアしてゆく。
ロスタイム1、左に上がった服部からのクロスに中央で詰めてくるが、ここでも増川がしっかりと体を張って阻止し、失点を許さなかった。
ロスタイム2、前線で中村が磐田・金をしつこく追い回しファウルを取られてしまう。しかし、今日の試合の象徴でもある守備を前からするという約束事を最後までやり通す事が出来たと言うる。今日は、まさに会心の試合運びで最後まで集中力を絶やさずに磐田を負かした試合だった。そして、デビュー初ゴールを決めた杉本は間違いなく今日のMVPだ。最後まで応援ありがとうございました。
【交代:80分・磐】
福西菊池