愛・地球博開催記念国際試合
 午前中で収まるかと思われた雨は、キックオフ直前になると細かく降り始め、再び瑞穂陸上のピッチを濡らし始める。
  新加入の、安・増川・本田等が大きな声援をサポーターの詰めかけたスタンドから受けながら、ピッチ上で試合前のウォーミングアップを行っている。久し振りのホーム・瑞穂での実戦が繰り広げられると言うこともあってか、雨の中で声援を送ってくれるサポーターの声にも力が入っている。
  サポーターの前に元気な姿を見せてくれたグランパスイレブン。ウェズレイもマルケスも楢崎も勢揃いし、シーズン開幕前に豪華なメンバーを披露してくれた。あとは今日の試合で、監督が築き上げてきた4バックのシステムが見事に機能し、攻撃に枚数をかけられると語った、中村・本田がブラジル人FW2人と共にどこまで華麗な攻撃を見せてくれるか、じっくりと見てゆきたい。
  また、控えながら久し振りにサポーターを湧かせてくれそうな杉本も何時登場してくるか、楽しみな選手の1人だ。彼のスピードは間違いなく、今年の名古屋の武器となるはずだろう。雨の中をアップを終えてロッカールームに戻る選手達の背中からは、熱い思いが伝わってきていた。
〜前半15分
 
両チームの選手が握手を交わすと、濡れたピッチに散らばってゆく。シーズン開幕を控えた、最初の試合と言うこともあってか、サポーターも落ち着きを隠せないようで、スタンドからはざわめきがこぼれて、キックオフを待ち焦がれている様子が伺える。
右にエンドを取った大連に対し、名古屋はいつものように左から右へと攻め上がる。
GKは楢崎、DFは右から角田・古賀・増川・渡邊の4バック。MFは右に中村・安・クライトン、そして左は本田。FWはお馴染みというか、久し振りの戻ってきた“ピチブー(猛犬)”ウェズレイとマルケスの2人という布陣だ。
前半は名古屋のキックオフでスタート。
1分、左サイドでマルケスが本田に当てて上がろうとしたが、相手DFの寄せにボールをカットされてしまう。
2分、右サイドをフェン(2)が持ち上がるとゴール前へと入れてくるが、ここは角田が頭で弾き返してゆく。
4分、右サイドを使おうと大連:フー(14)がボールを受けて抜け出そうとしたが、ここは渡邊がしっかり押さえ、これを阻止。ここまでは大連がボールを持つ場面が多いが、名古屋の寄せの早さもあってか、ボールを持った大連の選手がもたつく場面が目立っている。名古屋としては相手の出方を伺うと言ったところ。
 
 
6分、大連:チァン(13)が安をかわしてシュートにこようとするが、しっかりとついていってミスを誘う。
8分、右から角田が持ち上がってゆくが、ここは体の大きな相手DFに阻まれ、止められてしまう。
9分、右サイド縦に出たボールを大連:フーが抜けてこようとするが、これはオフサイド。
10分、戻ってボールを貰ったウェズレイが大きく縦に出すと、これを中村が抜け出して拾いに行くが、スリッピーな芝にボールの球足が速く、そのままゴールラインを割ってしまう。
12分、右に抜けてゆこうとした大連:ワン(12)を本田がしっかりとマーク、ボールを奪う。
13分、中央をドリブルで上がってきた大連:ジャイ(3)を倒してしまい、自陣中程ゴール正面位置でFKを与えてしまう。
15分、このFKを大連:ゾランが蹴ってくるが詰めていった選手が体に当てて阻止、ピンチを逃れる。
 
〜前半30分
16分、渡邊からの縦のボールを持ち上がった本田が、ライン際からマイナスに折り返したボールにマルケスが詰めてゆくが、これは戻った相手DFがカットしてしまい、決めることが出来ず。  
 
17分、本田の縦パスをウェズレイが当て左に流すと、マルケスがこれをスルー、左から渡邊が走り込んで、このボールを相手ゴールに叩き込み、先制点を決める。
19分、安からの縦のボールを相手DFがこれを先に拾い、中村が執拗に奪いに行ったが、これはタッチの外へと出されてしまう。
21分、中盤での浮き球をマルケスが処理しようとしたところを、後ろから詰めた選手にカットされるが、安がこれに素早く反応、頭ではじき返し、身体能力の高さを見せてくれる。
23分、自陣左中程での大連のFK。大連:ゾランのゴール前のボールにファーサイドから飛び込んでくるが、楢崎が恐れることなく飛び出し、これをはじき出す。
24分、大連の右からのCK。カーブのかかったゴールに向かってくるボールを入れてくるが、これも楢崎が相手選手と接触しながらも、パンチングで弾き出してゆく。大連は平均身長180cm以上と大きな選手が多いだけに、セットプレーは要注意だ。
26分、古賀がピッチの外へ出て、守備が手薄なのところを狙われ、左から中央へ11→10と繋がれると、最後、縦に鋭いボールを入れてくるが、新加入・増川が反応の良さを見せ、しっかりとこれを阻止する。
28分、自陣からの古賀のボールを拾った中村がすかさずゴール正面に上がるウェズレイに狙って入れていったが、これは相手DFの高さに弾かれてしまう。
【得点】
17分 渡邊(名古屋)
〜前半終了
31分、自陣で相手ボールを奪った安が中村に出すと、DFの裏への走り出しを見せたウェズレイにあわせて出してゆくが、ここは戻ったDFがボールをカットしてしまう。
32分、ウェズレイとのワンツーで抜け出してゆこうとしたマルケスだったが、体の大きい相手選手に阻まれ、倒されるがファウルはもらえず。
 
 
35分、中央をパスを回して繋いでこようとするが、ここは安・クライトンがしっかりと押さえにいき、ボールを中へと入れさせることはなかった。大連は簡単に繋いでこようとしたが、名古屋の選手の出足がよいこともあり、ボールが縦に運べず横に繋ぐばかり。  
37分、しかし、右サイドでフリーでボールを持った選手がアーリークロスを入れてくると、大連:ゾランがこれに走り込んであわせ、ゴールを割られてしまい、同点とされてしまう。
39分、相手陣内中程やや右寄りの位置でのFK。ウェズレイがこれを直接狙うと、ボールは枠を捕らえるが、GKがはじき出しCKに。
40分、右からCKのチャンス。中村の入れていったボールは相手DFに阻まれ、誰も押し込むことは出来ず。
42分、自陣左でフリーでボールを持った大連:ゾランが右のスペースへと入れてこようとするが、ここは渡邊が戻りながら頭で弾き返す。
【得点】
37分 Jankovic Zoran
     (大連)
 
43分、中央で浮き球が上がったところに詰めた増川が高い打点で競り勝って、大きくDFの裏へ出していったが、中村が押し上げた相手DFラインに残ってしまい、オフサイドに。そして、前半は1−1という結果で終了。相手選手が体が大きいこともあり、ゴール前にと入れてゆくよりも、細かく繋いで崩してゆこうとしてはいたが、滑るピッチのせいもあってか、ボールが上手く収まらず、なかなか崩しきれない展開が続いた。結局、渡邊のゴール以外は相手ゴールを破ることが出来ず、終えてしまう、ちょっと納得がいかない内容だ。後半は、もう少しスペースを活かして、スピードのある攻撃展開が必要だろう。後半に期待だ。  
 
〜後半15分
前半は、慣れない対戦相手と雨のピッチのためなかなか思うようにゲームを進めることが出来なかった、名古屋グランパスエイト。しかし、そろそろ攻撃陣に奮起を見せてもらって、開幕に向け勢い付けをして欲しいところ。ハーフタイムでどんな修正をしてきたか、楽しみだ。
後半はエンド代わって、右に攻め上がる大連のボールでキックオフ。ここへ来て収まりを見せようとしていた雨が強く降り始め、この後の試合のコンディションをより一層悪くさせようとしてくる。
 
1分、大連は雨脚が強くなってきたこともあってか、簡単にボールをDFの裏へと入れてくるようになるが、ここは増川・古賀が落ち着いて対処する。
2分、左から攻め入ってこようとするが、安が当たり負けないプレーでこれを押さえ、ボールを奪う。
3分、自陣中程左の位置での大連のFK。しかし、これは簡単に入れさせず。
4分、相手DFラインをあざ笑うかのように、DF2人をかわして裏へのスルーパスを出し、渡邊を走らせるが、僅かにタイミング早く、惜しくもオフサイド。
【交代:後半1分・大】
ゾラン(10)ジュー(29)
 
5分、大連:ジューが古賀をかわして右から入ってこようとするが、しっかりスピードに負けずこれをマーク。最後増川とのコンビネーションを見せて、ゴールを割らせなかった。
7分、足下が滑りやすくなっていることもあるが、屈強で大柄な相手選手の激しい当たりに、倒れ込む名古屋の選手が目立つようになる。ここは怪我を気を付けて、無理なプレーは避けたいところだ。
9分:大連の右からのCKのボールをエリアの外からフーがシュートを打ってくる。枠に行ったこのボールを楢崎が片手ではじき出す好セーブを見せ、チームを救う。
11分、自陣からの長いボールにマルケスが追いかけるが、これは戻ってきた相手DFが先にボールを拾い、攻撃に繋げなかった。
13分、右サイドでボールを拾った中村が大きく縦に出すと、これを追いかけたウェズレイが拾って中へと入れてゆこうとしたところで、芝に足を滑らせ倒れてしまい、攻撃のチャンスを作ることが出来ず。
14分、大連の右からのCK。ニアへのボールはウェズレイが大きく弾き返してゆく。この時間帯は大連に勢いがあり、いやな時間帯が続いているだけに、早く流れを変えたいところ。
 
〜後半30分
いよいよ登場した名古屋のスピードスター・杉本。彼にはこのイヤな雰囲気を断ち切るプレイでスタンドを盛り上げて欲しい。
18分、安からのパスを受けた本田がスピードに乗って上がってゆこうとしたが、相手の激しいスライディングに倒されてしまう。
19分、DFの裏へのボールに飛び出した相手GKがこれを処理ミス。すかさず杉本が拾って左足で無人のゴールへとシュートを打つが、戻ってきたDFに弾かれ、初ゴールは残念ながら拝むことは出来ず。
20分、左からのCKのチャンス。中村のボールに増川が合わせるが、ボールは惜しくもポスト右へ。

【交代:後半17分・名】
マルケス杉本
 
23分、ウェズレイがDFの裏へと抜けだし、エリアの外からシュートを狙うが、これは惜しくも僅かにポストの左。
24分、左からのCK。本田のボールはミスキックになり、相手選手がカット。
【交代:後半22分・大】
ヤン(11)リー(21)
25分、中央でパスを受けた中村がドリブルで上がってゆきながら、右からついてきたウェズレイへと出すと、これをエリアに入ったところでシュートに。しかし、今度は相手GKに正面で押さえられてしまう。
26分、左サイドをドリブルで相手DFをかわして渡邊が入れてゆくと、これを杉本がニアで詰めてゆくが、相手DFに体を押さえ込まれ、前には飛ばせず。
【交代:後半24分・大】
ゾウ(17)ゾウ(30)
 
28分、大連がカウンターからジューを走らせ、DFの裏へと狙ってくるが、ここは増川が落ち着いてこれを処理。
30分、相手陣内でパスをカットしたクライトンが持ち上がると、エリアに入ったところで左に上がってきた杉本に出すが、僅かにタイミングあわずオフサイドを取られる。
 
〜試合終了
32分、右にポジションを代わっていた本田がボールを自陣で受けると、長い距離を上がっていって、最後、ゴール前へと入れてゆくが、詰めてきたウェズレイには届かず。
33分、左から持ち上がったウェズレイがDFをかわして中へと切れ込むと、右足でシュートに。これが左のポストに弾かれるが、正面で詰めていた杉本がダイレクトで押し込み、ついに逆転か、と思われたがこれはオフサイドの判定に、残念。
36分、スローインのボールを拾った平林が中央のクライトンに当てて、右サイドを抜け出そうとするが、これは相手DFに、正に前を阻まれ、通させてもらえず。
37分、中央で右からの杉本のボールを受けたウェズレイ。体を入れかえシュートに行こうとしたが、相手選手に倒されてしまう。
【交代:後半31分・名】
中村平林
 
39分、中央でウェズレイが本田に縦に入れて、自らもう一度受けてDFの裏へ抜け出そうとしたが、これはオフサイド。
40分、右からのCKのチャンス。本田のカーブのかかったゴールに向かうボールに増川が飛び込むが、決めきれず。再度右からのCKに。今度はゴール前でボールが浮いたところを、杉本が倒れ込みながらシュートに行くが、これはポスト左に。
 
ウェズレイが相手陣内深くでパスを受けると縦に抜け出そうとしたが、寄せてきた相手にボールを阻まれてしまう。
44分、右からドリブルでフリーで持ち込んできた大連:リュウがエリア内でシュートに来るが、ここでも楢崎が判断良く飛び出し、このボールを止め、チームの危機を救う。
ロスタイム1、左からのCK。本田の早い、ゴールから逃げてゆくようなボールにウェズレイがニアへ流れながら入ってくるが、僅かにタイミングあわず抜けてしまう。
【交代:後半43分・大】
ジュー(29)リュウ(28)
 
ロスタイム2、自陣左中程での大連のFK。ファーサイドから入ってくるジャオが長いボールをヘディングシュート。しかし、ボールはポストの右に。そして試合は、拮抗した内容のまま、両チームとも1歩も譲らずといった形で終了。
1−1の結果に。後半はそれぞれの持ち味を出したゲーム内容を見せ、テンポもあり、面白い展開だった。最終的な部分でのフィニッシュの精度をしっかりと修正することで、得点シーンはもっと生まれるはず。開幕に向け、期待できそうだ。最後まで応援ありがとうございました。