2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第7節
 午前中から細かな雨が降ったりやんだりを繰り返していたが、ようやく試合開始前になる頃には落ち着きを見せた。しかし、ここビッグアイは熊本の時のように雨を心配することはなく、スタジアムの“瞳”は閉じられており、コンディションの方は問題なしだ。
 午後6時40分、この時間になってようやく名古屋のメンバーが直前のウォーミングアップの仕上げのためにピッチへと駆け込んでくる。屋内練習場でタップリと体をほぐして、すっかりコンディションが出来上がった選手たちは、思い思いに相手を見つけてボールを蹴り合ったり、エリアの外からボールを転がり具合を確かめながらシュートを放つ。目下、リーグ3位の15得点と、チーム内での得点王:マルケスは細かなステップでボールを前に横にと操りながら、ゴール枠目指してシュートを蹴っている。その横ではウェズレイが楢崎相手に、右足から強烈なシュートをお見舞いしている。この2人には今日も心置きなく、活躍してもらいたい。
 6時50分過ぎ、約10分弱と短い時間ではあったが、芝生の感触をしっかりと掴んだ選手たちは、昼間の10月中旬並みの陽気が、雨が止んで徐々に下がり始めたため、ウォーミングアップで暖まった体を冷やさぬように、足早にロッカーへと消えていった。
前 半
左にエンドを取る大分に対し、名古屋は右にエンドを取り、左へと攻め上がる。大分はしばらく勝利から遠ざかっていたものの、システムを4−3−3−と変更してから調子が上向きとなり、ここ2試合では1勝1分けと調子を良くしている。ともかく、相手に勢いを付けさせないように、落ち着いて試合に入ってゆきたい。
GKは楢崎、DFは大森・秋田・古賀、MFは右から、角田・吉村・クライトン・中谷、そして、トップ下に中村、FWがウェズレイ・マルケスというおなじみの布陣。前半は大分のキックオフで試合が始まる。
1分、大分の右からのCK。右足で吉田がファーサイド入れてくるが、ここは相手選手が触る前に頭で弾き出してゆく。
3分、自陣から楢崎のボールを中村が頭で競り合って縦に出すと、これをマルケスが拾いに行くが、その前に相手DFが追いつき、チャンスには結びつかず。
5分、左で戻りながらボールをもらったマルケスが一気に縦に蹴ってゆくと、DFの裏へと抜け出そうとしたウェズレイを狙うが、ボールは相手DFの頭に弾かれてしまう。
7分、自陣中程右での大分のFK。大分・有村がゴール前へと放り込んできたがこれは簡単にクリア。
8分、右から大分・西山が中へと入れて今日としたが、秋田が判断良く前に出て、ボールを貰おうとした選手の前に体を入れ、ボールを弾き出してゆく。
11分、右でウェズレイが相手選手を引き連れながらもボールを持って前を向くと、中にいたマルケスへと当てて前に。ワンタッチでマルケスからのボールを戻すと、今度は右サイドに抜け出した中村へとマルケスが大きく出していったが、これは惜しくもオフサイドに。
【得点】
13分、相手陣内深く右でのFKのチャンス。中村からのボールにゴール前で詰めていたウェズレイがヘディングシュートを決め、2試合連続となるゴールを決める。先制して楽になった名古屋としては、ここで気を緩ませないよう、更に追加点を狙って欲しいところだ。
16分、左サイドで中谷が相手選手をかわして縦に大きく出して、自ら上がってゆくが、惜しくもDFが先に追いついてしまう。しかし、中谷は厳しく寄せていって、相手ボールを弾きだし、チャンスを作らせず、良いプレイを見せてくれる。
18分、左サイドを中谷がマルケスに当てて上がってゆくと、相手DFに当てながらもパスをマルケスに繋ぐ。これをDFをかわしてマイナスに入れてゆくが、中央で待っていたウェズレイまでは届かなかった。
20分、相手陣内中央でパスを繋いで最後左に抜け出すウェズレイに通るかと思ったボールをカットされると、右サイド縦にボールが出て、大分がカウンターに。マグノ・アウベスがドリブルで上がってきて古賀をかわしてファーサイドへと入れてくるが、詰めてくる選手が追いつかず危ない場面を逃れる。
24分、左で中谷が相手パスをカットすると、これを駆け上がるマルケスへと通してゆく。最後、左からゴール前へ入ってくるウェズレイにナイスボールが入ると、ウェズレイがどんぴしゃりで合わせてシュートに行くが、相手GKに弾かれ、追加点を決めることが出来なかった。
25分、左からのCKのチャンス。中村の入れたファーサイドへのボールは中へと折り返すが、こぼれたところを大きく弾き出されてしまう。
26分、相手GKのフィードが小さくなったところを狙って中村がボールを奪うと、縦に出してゆこうとコースを探したが、ここは相手選手の寄せが早くチャンスにする前に奪い返されてしまう。
【得点】
28分、右サイドで角田のボールに右サイドで抜け出したウェズレイがゴール前へとグラウンダーのボールを入れてゆくと、これをマルケスが右足のヒールで芸術的なシュートを相手ゴールに決め、2点目が決まる。
29分、右からの大分のCK。吉田の蹴ったボールはファーサイドへと抜けてゆく。
30分、中央からクライトンがボールを持ち上がると、中へ入ってきた中谷とのワンツーで抜け出し、左に上がってきたウェズレイにパス>これをDFをかわして右足でGKの頭越しに浮かしたシュートを狙うが、これはGKが反応、指先に当ててはじき出してしまい、惜しくも追加点にはならず。
31分、右からのCKのチャンス。中村の入れたボールを秋田が頭で合わせるが、相手選手に弾かれてしまう。こぼれたところを再度中村が拾って、今度は左足でゴール前を狙うものの、これも弾かれてしまった。
34分、右サイドに出たボールを拾った大分・マグノ・アウベスが中へと入れてこようとしたが、ここは寄せていった吉村が足に当てて弾き返す。
36分、左でマルケスが相手DFを翻弄して中へと入れてゆくが、これは相手DFがカット、CKに。
37分、左からの中村のCKのボールは大きくファーサイドへ流れてしまい、チャンスを生かせなかった。
40分、相手陣内右深くエリアのすぐ外でFKのチャンスを得る。ウェズレイが構えて直接狙うと見せかけ短く縦に中村へと出していったが、これは相手DFが足を伸ばして外へと出してしまう。
42分、大分・有村が右サイドを上がってくると、中へとクロスを入れようとするが、ボールに精度が無く、そのままゴールラインの外へ。
43分、右サイド深い位置で相手選手を倒してしまい、ペナルティのすぐ外の危険な位置でFKを与えてしまう。これを大分・西山が蹴ってくるが、壁に付いたクライトンが頭で弾いてゆき、チームのピンチを救う。
44分、左のスペースへと出たボールをウェズレイが拾うと、ついてきた相手をかわしてゴール前へ入れようとしたが、ボールは大きく反対に抜けてしまう。
ロスタイム1、相手陣内右中程でのFK。中村の中へのボールが1人経由して吉村の下へとこぼれると、ダイレクトで打っていったが、これは大きく右に外してしまった。そして、ここで前半が終了。名古屋は危なげない展開で前半を2−0で終えることが出来た。相手もゴールへと迫ってくるものの、秋田を中心とした強固な守備の前には何も出来ず、という感じでここまで来ている。後半相手も選手を入れかえ得点を狙いに来るはず。課題でもある、後半からのペースダウンからの無駄な失点を相手に与えないよう、早い時間帯に何とか追加点を奪い、試合の主導権を握りたいところだ。
後 半
名古屋は前半でウェズレイ・マルケスの2試合連続のアベックゴールで折り返すという、理想的な試合運びを見せることが出来た。後半もこの勢いで、積極的に相手陣内へと攻め上がりを見せ、ゴールを奪いに行きたい。
後半はエンド入れ替わり名古屋のキックオフで試合再開。
大分1人目メンバー交代:小森田→高松
1分、大分・梅田がドリブルで上がってくると、そのままエリアの外からシュートを狙ってくるが、これは楢崎の正面。
2分、マグノ・アウベスが中央でボールを持つと、左のスペースへと出してくるが、ここは詰めて来た吉田に届く前にカットしてゆく。
4分、左から大分・高松がゴール前に早いクロスを入れてくるが、古賀がしっかりとこれに入っていって右足で弾き出す。
5分、左サイドで中谷が持ち上がると、相手が寄せてきたところを粘って、詰めてきたマルケスに繋いてゆくが、相手選手の厳しいチェックに倒されてしまう。
6分、相手のパスミスをウェズレイがカットすると右のスペースへ。これを中村が拾って持ち上がりそのままシュートに行こうとしたが、相手選手が体を寄せてきたこともあり、ポストの右に外してしまう。
8分、縦に出たボールをウェズレイがワンタッチで前に流すと、これを拾った角田がそのまま持ち上がってゴール前へとクロスを入れていったが、惜しくも詰めていったマルケスには届かず、体を入れてきたDFに弾かれてしまう。
11分、左からの大分のCK。原田の左足で蹴ったボールはそのまま反対に抜けてゆく。
12分、相手DFのボールをカットしたクライトンが、中央から左に抜け出そうとしたウェズレイを狙って裏へとボールを出すが、これは惜しくもオフサイドに。
13分、相手DFのクリアミスを拾ったウェズレイがそのまま持ち上がると、最後、ゴール前へ上がってきたマルケスへ入れようとするが、体勢が崩れボールが流れてしまい、相手GKの下へ行ってしまう。
15分、自陣右深くでの大分のFK。エリア内へと放り込んできたボールは秋田等と競り合った大分・高松のファウルでマイボールに。
17分、大分・梅田がボールを持って上がってくると、中へと流れながら縦に裏へのスペースへと出そうとするが、ボールが長くそのままゴールラインの外へ。
19分、右のスペースに出たボールをそのまま持ち上がると、梅田が左足でゴール前に詰めていた高松に当てようと入れてくるが、ボールはそのまま反対に抜けてゆく。
21分、大分・高松めがけて長いボールが入ってくるが、体を寄せていた大森がしっかりとこれに競り勝ち、ボールを弾き出してゆく。
【得点】
22分、ウェズレイが中央から相手DFを抜き去ると、最後寄せてきたGKの横を抜く、右足アウトサイドのシュートを相手ゴールに叩き込み、ようやくという感じの3点目が決まる。
24分、自陣右中程での大分のFK。西山の蹴ったボールは難なくクリアしてゆく。
26分、自陣からの縦のボールに中村が飛び出そうとするが、その前に旗が上がってしまい、またもやオフサイドに。
27分、左からのCKのチャンス。中村が出したボールをクライトンが戻すと、再び中村がファーサイドの古賀を狙って蹴ってゆくが、ボールは長すぎてしまい、僅かに頭上に抜けてしまった。
29分、自陣エリアすぐ外でのこぼれ球をフリーで拾った大分・原田が得意の左足ではなく右足でシュートを放っていたが、これは楢崎が好セーブを見せ、弾き返してゆく。
31分、左サイドを大分・吉田が抜け出してきて中へとクロスを入れてこようとしたが、ここはDFが落ち着いてボールを頭で弾き返してゆく。
34分、名古屋1人目メンバー交代:中村→平林
35分、大分の左からのCK。原田のボールはニアにいたウェズレイが弾き出してゆく。
名古屋2人目メンバー交代:中谷→藤田
36分、左に抜け出した吉田のゴール前へのボールを秋田が空振りをして反対にこぼれ、一瞬ヒヤリとするが、誰もこれには詰めてこず救われる。
39分、自陣からの、吉村からの裏への長いボールに平林が追いかけてゆくが、僅かに追いつけず。
40分、大分2人目メンバー交代:有村→松橋
41分、相手の縦パスをインターセプトした吉村がそのままウェズレイに当てて上がってゆくと、これをウェズレイが左に一緒に上がってきたマルケスへ。相手DFをかわし、右足で持ち変えてシュートに行ったマルケスだったが、惜しくもボールが左に流れ、ポストの左に外れてしまう。
43分、ウェズレイが右サイド相手陣内深くに持ち上がっていったところで後ろから倒され、絶好の位置でFKを得る。ここでウェズレイが中へと流し込むと、マルケスが詰めていってシュートに行ったが、これはポストの右に。
【得点】
44分、右サイドに上がるウェズレイからのゴール前へのクロスを相手DFが体に当てて枠内へと入れてしまい、オウンゴールとなり、名古屋には思わぬ得点が転がり込んでくる。
ロスタイム1、左サイドでボールを持った藤田が中へ入ってきながら縦に早いボールを出してゆくが、待っていたクライトンに届く前にDFにカットされてしまう。そして、試合はそのまま危なげなく流れ、名古屋は堂々の3連勝を完封で飾ることが出来た。大分の攻撃陣に対しては全く良い仕事をさせることなく、完璧な守備だったといえるだろう。そして、攻撃の方は相手のお株を奪うような鮮やかなカウンターあり、セットプレーからの得点ありと、これまた文句なしの内容だったといえる。惜しむらくは、ウェズレイにはもう1点を決めてもらい、ハットトリックで完全復活!という姿が見せて欲しかったというのは贅沢な注文だろうか。これでチームは3連勝で単独3位に順位を上げることが出来た。いよいよ次節・浦和戦に向け、最高のコンディションで向かうことが出来たといえよう。最後まで応援ありがとうございました。