2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第8節
午後2時45分、屋内でウォーミングアップを行った選手たちは、気合い漲る表情でピッチへと登場してくる。
試合前の最後の調整として、ピッチの上でボール回しを行ったり、互いのロングボールを蹴り合いながら、この日のピッチの芝生のコンディションを確かめ始める。先日の30日(木)、ここでの直前練習中で、柔らかい芝に足を取られて倒れ、紅白戦の途中でピッチを去ったマルケス選手。足首の怪我が心配されたが、今は何事もなかったようにいつもの軽快なステップで、ペナルティエリア周辺でシュートや切り返しを黙々と行っている。今のチームにとって、マルケスは楢崎や古賀以上になくてはならない存在の選手といってもいいだけに、彼が無事に今日の試合に出場できることは実に頼もしい。今日も相手DFをきりきり舞いさせるような華麗なプレイを期待したい。
マルケス同様今のチームにおいて必要不可欠な選手の1人が中村だ。今シーズン途中からめきめきと調子を上げ、FW陣とともに攻撃の要の選手として、その存在は日に日に大きくなってきている。中盤のクライトンからの押し上げに応えるべく、マルケス・ジョルジーニョとともに、その果敢な突破とエリアの外からも積極的にゴールを狙うプレイでFC東京を負かしほしい。
約5分程と、短い時間でのピッチの上での練習となった選手たち。入ってきたときと同じように、気合いを心の内に溜めた表情でピッチを後にしていった。
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キックオフ直前、当日行われました「第3回東海女子小学生8人制サッカー大会」に出場した選手たちによる
フェアプレイフラッグ隊・セレモニー隊・選手エスコート隊が登場し、試合に彩りを与えて頂きました。
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前 半
キックオフ直前になって、両チームのサポーターの声がスタジアムの屋根にこだまして、割れんばかりの歓声に包まれる。
右にエンドをとった東京に対し、名古屋は左から右にと攻めあがる。試合は東京のキックオフで始まる。
GK楢崎、DFは右から井川・海本(慶)・古賀、MFは海本(幸)・吉村・クライトン・中谷の順で、トップ下には中村、FWはジョルジーニョ・マルケスという布陣だ。
1分、右サイドでジョルジーニョが粘って出したところを、海本(幸)がこれを拾って上がってゆこうとしたが、相手DFに足下のボールをカットされる。
2分、東京・戸田が右サイドをドリブルで突破しようとしたところをクライトンが倒し、東京のFKに。早いリスタートで出足良く戸田が抜けてくるが、ボールは楢崎が落ち着いてキャッチにゆく。
4分、相手陣内右深いところでのこぼれ球を海本が拾いにゆくが、カットにきたDFと交錯してファウルをとられてしまう。
6分、右サイドでジョルジーニョがキープしているところに中村がもらいに行くが、トラップが大きく、ボールをラインと外へ出してしまう。
7分、東京・金沢が左から長いクロスをゴール前に入れてこようとしたが、これは古賀が先に入って頭で弾いてゆく。
【得点】
8分、相手陣内中程右でのFKのチャンス。ジョルジーニョがゴールに向かってゆくボールを蹴ってゆくと、相手GKがこれを前に弾いたところに古賀が詰め、そのまま体で押し込み、いい時間帯で先制点が決まる。
10分、相手陣内左深い位置でFKを得る。中村が短く出したボールをジョルジーニョが左足で押し込もうとしたが、これはDFの蹴り出されてしまい、枠に向けって蹴ってゆくことができなかった。
11分、ハーフウェイラインで前を向いてボールを持ったマルケスがDFの裏へとボールを出してゆくと、これにジョルジーニョが抜け出してゆくが、飛び出した相手GKが先にボールをカットしてしまう。
13分、DFの裏への縦パスに、東京・戸田が飛び出してくるが、ここは楢崎がしっかりとこのボールをキャッチしてゆく。
14分、左サイドを東京・近藤が抜けてこようとするが、守備に戻っていたジョルジーニョ・中村がしっかりとこれを押さえ込み、チャンスを作らせなかった。
16分、中央のマルケスから右のスペースへでたボールを海本(幸)が拾って、左足で相手DFを交わして中へと入れてゆくと、中谷がこれに頭で合わせに行ったが、相手選手が体を寄せていたため、前へと飛ばすことができなかった。
17分、中央の中村が左に流れるジョルジーニョにあわせて裏へと出すと、これをトラップしてDFを交わそうとしたが、ここはDFにボールを先にカットされてしまう。
19分、右に上がってきた東京・戸田がギリギリから中に入れてきたボールをニアにいた東京・ルーカスがワンタッチで押し込もうとしたが、ついていた古賀がこれにきっちりと反応、ボールを弾き出してゆく。
21分、自陣から海本(慶)の出した縦パスを中村が競り合いながら落として、ジョルジーニョに繋ごうとしたが、これは相手選手にカットされてしまった。
22分、クライトンの反転しながらの縦のスペースへのボールをジョルジーニョが追いかけてゆくと、ついてきたDFとの奪い合いになるが、中へ戻す前にラインを割ってしまい、相手GKに。
23分、右サイドに上がっていた吉村が海本(幸)が上がるのをみてタッチ沿いに縦に出してゆくと、これを中へ切れ込んで持ち込もうとしたが、ゴールラインを割ってしまう。ここまで両チームのサポーターの声援でにぎやかだったスタジアムも選手たちが落ち着きを見せたのにあわせるように、ペースが穏やかになる。
27分、中村が右からマルケスに当ててDFの裏へと抜け出そうとしたが、これはDFにボールを読まれカットされる。
28分、東京の右からのCK。馬場の入れてきたボールは古賀が頭で大きく縦に跳ね返してゆく。
29分、右に上がってきた東京・戸田が長いクロスを入れてくると、左から近藤が飛び込んでくるが、このクロスは楢崎がうまく反対にはじき出して、相手に触れさせなかった。
31分、左サイドで東京・馬場が縦のボールに井川をかわして抜けてこようとするが、ここは海本が(慶)ボールをきっちりと奪い、クリアしてゆく。
33分、中盤でジョルジーニョがクライトンに預けようとしたボールをさらわれるが、チャンスになる前に前線へのボールを海本(慶)がカットしてゆく。
35分、相手陣内深く左でマルケスが倒され、好位置でFKを得る。中村が右足でファーサイドへと蹴っていったが、詰めていた海本(幸)の頭上をボールが抜けてしまう。
37分、右サイドでジョルジーニョとパス交換して海本(幸)が抜けてゆこうとしたが、東京・今野のスライディングでボールを奪われてしまう。
38分、左でボールを持った中谷がそのまま中へと入ってゆき縦に出すと、ジョルジーニョが縦に飛び出して、そのまま左足でシュートにいったが、これは惜しくも相手GKが外へはじき出してしまう。
39分、左からのCKのチャンス。中村が短く出したボールを受けたマルケスが反転して中へと切れ込んでいって、短いクロスを入れるが、これは相手DFが先に弾いてしまった。
40分、自陣左深くでの東京のFK。馬場のボールに東京・近藤が中央であわせようと足を出すが、ボールはクロスバーを大きく超えてゆく。
42分、右サイドでクライトンがトラップしたボールを東京・三浦に奪われると、そのまま持ち込んでシュートにこようとしたが、吉村が体をコースに入れ、このボールを止める。
43分、自陣からのボールをジョルジーニョが頭で落として縦に上がってゆくと、これに承知したようにマルケスがスペースへ大きく蹴り出してゆくが、追いついたジョルジーニョが止めたボールを追いついたDFが持ち去ってしまった。
ロスタイム1、東京は短くパスを繋いで上がってこようとしたが、吉村・ジョルジーニョがしっかりとチェックにゆき、相手に前線にボールを入れさせることはなかった。そして、ここで前半が終了。先制したことで名古屋が試合の主導権をきっちりと握って、東京の攻撃にも全選手がしっかりと守備に徹し、全く危なげない展開で折り返すことができた前半と内容といえよう。
後 半
エンド入れ替わり、右から左に攻め上がる名古屋のボールで後半開始。
東京1人目メンバー交代:近藤→阿部
名古屋1人メンバー交代:井川→角田
1分、左に上がっていったクライトンに上手くボールがわたると、これをさらに左から追い抜いて上がってゆく中谷に繋いでゆこうとしたが、DFにボールをカットされてしまう。
3分、中央を持ち上がったクライトンが出したパスを受けたマルケスがワンタッチでDFの間に出すと、抜け出したクライトンが左足でシュートを打ってゆくが、わずかにボールが高く、クロスバーの上に抜けてしまう。
5分、自陣エリアの外でパスを繋がれDFを崩そうとしてくると、最後戸田が裏へと入れてこようとしたが、これは古賀がしっかりと体を入れて大きく蹴り出してゆく。この時間帯は両チームボールが落ち着かず、エンドを行ったり来たりが続く。名古屋としては早く試合の主導権を握りたいところだ。
9分、左サイドで相手選手のボールを奪ったマルケスが中村に預けて左を上がってゆくと、スペースにでたボールを追いかけてゆくが、ボールが長すぎてしまい、追いつくことができなかった。
10分、左でボールを持ったマルケスが中央へと入れてゆくと、中村・ジョルジーニョがあわせにゆくが、相手DFがカットしてしまう。
11分、右サイド深くで海本(幸)がボールを拾って中へと入れてゆこうとしたが、相手選手に当ててしまい、チャンスにすることができず。
12分、自陣右深い位置で東京・三浦を倒してしまい、FKを与えてしまう。この場面で馬場の早いボールに中央でルーカスが頭であわせた強烈なシュートはクロスバーの上へ外れる。
14分、左でボールを拾ったマルケスが中へ切れ込んでゆく中谷に出すと、これをエリア近くでファーサイドに詰めたジョルジーニョへとさらに出してゆく。前にシュートコースがないため寄せてきたため、中村にジョルジーニョが出したパスを右足でシュートを狙ったが、ポストの右に外れてしまう。
18分、DFの前でパスを繋がれると、最後フリーでシュートを正面から狙われるが、相手がこれをミスし、ポストの左にはずしてくれる。
20分、
名古屋2人目メンバー交代:中村→岡山
東京2人目メンバー交代:三浦→宮沢
ここへ来て東京の運動量が上がり始める。ここは失点しないよう、中盤でのボールをしっかりとキープしてゆきたい。
23分、右でボールを持った海本(幸)が縦に抜けると見せかけて中へと切れ込んでゆくが、相手DFの足下のボールへの厳しいタックルに倒され、ボールを奪われてしまう。
25分、東京3人目メンバー交代:馬場→石川
26分、中央をドリブルで岡山が上がってゆくと、そのまま左足でシュートを狙うが、味方に当たって前に弾かれてしまう。
27分、左からのCKのチャンス。ジョルジーニョのファーサイドへのボールは相手DFにカットされてしまう。
28分、相手陣内右中へ入った好位置でFKを得る。今度も前半の時と同様にジョルジーニョがゴール前へと蹴っていったが、これは精度を欠き、相手ボールになってしまう。
【失点】
29分、東京の左からのCK。宮沢の左足のボールをルーカスに押し込まれ、とうとう同点とされてしまう。ここまでがんばってきただけにこの失点は痛いところだが、早くここは切り替えてゆきたい。
31分、自陣でパスをカットされると、東京にカウンターを狙われになるが、ここは何とか守備に戻って、相手のチャンスをつぶす。
33分、クライトンの左のスペースへ出したボールを拾った中谷が持ち上がってゆくが、トラップが流れたところを寄せてきたDFカットされてしまい、チャンスに繋げることができなかった。
35分、自陣入ってすぐ左での東京のFK。宮沢が左足で狙ってくるが、正面でカット。
36分、中央で右に上がる海本(幸)にパスが通ると、これを左足でゴール前へと早いクロスを入れてゆく。中央でジョルジーニョがDFと競り合いながら頭であわせようとしたが、飛び出したGKと交錯、ボールに触れることができなかった。
38分、名古屋3人目メンバー交代:マルケス→豊田
39分、相手陣内でパスをカットした海本(幸)が中へと入りながら右のスペースにいた豊田に繋ぐと、これをDFをかわして中へと入れてゆこうとしたが、DFに阻まれてしまう。
41分、角田の縦へのボールをジョルジーニョが胸で前に落として、そのままシュートにゆこうとしたが、ボールが流れ、GKの下へわたってしまう。
42分、自陣深く左の位置での東京のFK。このセットプレーは注意したい。ジャーンが蹴ってきたボールは弾いてゆくものの、最後こぼれたところを茂庭がシュートに来たが、辛うじてクロスバーの上へ外れる。
43分、右から海本(幸)が入っていって中のジョルジーニョに当ててゆくが、パスが短く相手にカットされてしまう。
44分、右に駆け上がって中へと入れた海本(幸)のクロスにファーサイドで豊田が待っていたがその前にGKがキャッチししてしまう。
ロスタイム1、左に流れながら岡山がクロスを入れてゆくと、ファーサイドでジョルジーニョがあわせにいったが、ボールは枠をとらえられず、ポストの右に。
ロスタイム2、自陣からクライトンの裏へのボールを抜け出したジョルジーニョが持ち上がると、最後シュートにゆこうとしたところをDFに詰められカットされると、CKに。
ロスタイム3、ほとんどの選手がこのCKに前線へと上がってゆくと、ジョルジーニョが左足でゴール前に入れてゆく。一旦は外へと弾かれるものの、こぼれ球を拾った角田が入れたボールを海本(慶)がへディングシュート。しかし、わずかにボールは浮いてしまい、枠を捕らえることができず、クロスバーの上へと抜けてしまった。そして、試合は1−1のドローで終了となり、勝ち点1を分け合う形となってしまう。前半で先制してからは、名古屋主導で試合を進めていただけに、追加点を奪いきれなかったことが最後まで響いた結果といえる。最後まで、応援ありがとうございました。