2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第6節
協力:
 太陽は西に傾きかけ、スタンドの影がピッチを覆い始めるものの、蒸し暑さがスタジアム全体を包み、厳しいコンディションの試合となりそうな予感を感じさせる。
 じっくりとウォーミングアップを行う選手達。そんな中で、若いジョルジーニョが溌剌とした動きをボール回しで見せている。試合開始直後から彼には、相手守備陣を混乱させるべく前線で激しく動き回って攻撃のチャンスを幾度と無く演出して欲しい。また、井川・古賀の両ストッパー陣も目立たないものの、今日は気合いの入った表情で、良い雰囲気を漂わせてくれている。彼らを含め、GK楢崎、海本(慶)と共に、“攻撃的”と称されるセレッソのFWの2人、大久保・西澤、そして、相変わらず豊富な運動量を見せて、相手守備陣を嫌がらせている森島らをきっちりと押さえ込んで欲しい。
 セレッソは名古屋にとっては、過去を振り返っても相性の良い相手に1つだ。昨年もホームではきっちりと勝利し、1stステージ・アウェイでも試合をものにしている。チームだけでなくサポータの中にも芽生えようとしている嫌な雰囲気を払拭させるには最高の相手と言えるだろう。
 汗をタップリとかいて、ピッチコンディションを確かめ、思い思いにシュートを打って、納得顔の選手達は、午後2時50分過ぎ、多くのサポーターの声援に応えながら、ピッチを後にロッカールームへと去っていった。
キックオフに先立ち、8月の月間ランクル賞・表彰が行われ、
2度にわたる貴重な決勝ゴールを決めたクライトン選手が初受賞となりました。
前 半
午後3時、ユースアカデミーのちびっ子達を従え、グランパスイレブンが入場。
サポーターの謳う、応援歌をうけて、気合い充分臨戦態勢の表情だ。右にエンドを取った大阪に対し、左エンドとなる名古屋。前半はその名古屋のキックオフで試合開始。
GK楢崎、DFは右から井川・海本(慶)・古賀、MFは右に海本(幸)、左に中谷、ボランチは吉村・クライトン、トップ下に中村、FWは若いジョルジーニョとマルケスという布陣だ。
1分、早速大阪・大久保がDFの裏へ抜け出すと楢崎をかわしてシュートを打ってくるが、これはクロスバーに当たって弾かれ救われることに。
2分、自陣中程ゴールほぼ正面位置での大阪のFK。古橋が右足で蹴ったボールは壁に当たって前に弾かれる。
【失点】
3分、井川の不用意な横パスを古橋にカットされると、そのまま持ち込まれて右足でのシュートを遠目から決められ、失点を許してしまう。
4分、右からのCKのチャンス。ジョルジーニョのニアへのボールは簡単にカットされてしまう。
5分、吉村からの右サイドのスペースへのボールを拾った海本(幸)がこれをゴール前へと入れて行くが、このボールは相手GKがキャッチ。
6分、相手陣内で大久保がフリーでボールを持って前に上がってこようとしたが、ここはジョルジーニョが戻ってファウルしながらもこれを止める。
7分、またしてもゴール前に持ち込まれると、中央の大久保が左に出したボールをダイレクトで古橋がシュートに来るが、これは楢崎が横っ飛びでこれを押さえる。
9分、中央で海本(幸)のパスをジョルジーニョがワンタッチではたくと、クライトンがこれを右に上がる中村に狙って出していったが、惜しくもオフサイド。
10分、右からのCKのチャンス。中村の精度の高いボールはゴール前で待っていたジョルジーニョがあわせに行ったが、高い大阪DFに阻まれてしまう。
12分、右に流れてきたジョルジーニョにあわせて縦パスが出てくるが、競り合いに来たDFとの交錯でファウルになってしまう。
13分、右に上がってきた大阪・下村がゴール前へ狙って入れてくるが、これは楢崎がきっちりと押さえる。
14分、右のスペースへ出たボールを持ち上がっていった海本(幸)がDFからのファウルで倒され、深い位置でFKを得る。これをジョルジーニョがグラウンダーで横に流すと、マルケスがフリーであわせに行ったが、慌てたのかクロスバーの上へ外してしまう。開始早々、油断で失点を許したものの、ようやく落ち着きを取り戻し、ボールを持つ時間も増え、次第にゲームを自分たちのものにし始める。
16分、左で相手ボールを奪ってジョルジーニョが持ち込んで行こうとするが、相手DFの厳しい守備にボールを奪い返されてしまう。
17分、相手陣内左中程でのFKのチャンス。ここ最近セットプレーでの得点がないだけにこういったチャンスを大事にしたいところだが、中村のファーサイドに詰めた井川へのボールは、DFに弾かれてしまい、決めることは出来なかった。
19分、左サイドで縦パスをうけた大阪・古橋が中央に流れて走る大久保にあわせてボールを入れてくるが、ここは経験豊かな海本(慶)しっかりとついて行き、ボールに触れさせなかった。
21分、左サイドで古橋が大久保に当てて縦に上がってくるが、海本(幸)がしっかりとついて行って、相手ファウルを誘う。
22分、相手ペナルティエリア内で右にこぼれたボールを拾った海本(幸)がこれをやさしいタッチのボールで入れると、ジョルジーニョがヘディングシュートにゆくが、惜しくも僅かにクロスバーの上に。流れは名古屋に傾いている時間帯だけに、ここで早く同点に追いつきたいところだ。
25分、自陣からの古賀の大きく縦に出したボールをジョルジーニョが頭でスペースに落とすと、これをマルケスが詰めていったが、僅かに相手DFが早く、頭でクリアされてしまう。
26分、中央で中村が右のスペースへと出したボールを上がっていった海本(幸)がダイレクトで中へと折り返したボールをマルケスがドンピシャリであわせたものの、ボールはまたしてもクロスバーの上に抜けてしまう。
27分、中谷が左から中へ流れながら持ち込んで、クライトンに預けるとこれをDFの間へ抜けようとしたジョルジーニョに出して行くが、これは相手DFの厳しい守備に阻まれ、倒されてしまう。
28分、今度もジョルジーニョが相手ペナルティ内で味方からのパスを溜めて落とそうとしてとされると、主審がPKを取る。
【得点】
29分、このPKの場面、マルケスが落ち着いて相手GKが飛んだ方向とは逆の、右隅にしっかりと決め、とうとう同点に追いつく。
30分、相手陣内でのDFの弾いたボールを中村が拾うと、右にいたジョルジーニョにパスを繋ぐ。前を向いてコースを狙って打ったシュートは、僅かに左のポストの外に外れてしまう。
31分、相手DFをかわしてゴール正面エリアの直ぐ外からの中村の強烈なミドルシュートは相手GKが好セーブを見せ弾いてしまう。
【得点】
33分、相手ペナルティ内でこぼれ球を拾った中谷がコースがないのを見て、近くにいたマルケスに渡すと、これを左足でループでシュートに。相手GKがこれに反応できず、見事な技ありの、2得点目が決まる。
【失点】
34分、ゴール前に入ってきた早いクロスバールを大阪・西澤がダイレクトであわせる、強烈なボレーシュートをゴールに叩き込み、あっという間に追いつかれてしまう。今日は、前半から激しい点の取り合いとなってきた。
35分、自陣からの海本(慶)の早い縦のボールにジョルジーニョがDFと競り合いながら抜け出そうとしたが、ファウルを与えてしまう。
37分、中央で西澤が左のスペースに出したボールを、大久保が中へと流れながらシュートを狙ってきたが、、これは海本(幸)がコースに入って、シュートコースを塞ぐ。
38分、左で相手DFの裏へと出たボールにマルケスが飛び出して行くが、このボールは飛び出した相手GKが体を張って押さえ込んでしまう。
39分、自陣からクライトンのDFの裏へのボールをタイミング良く抜け出した中村が拾うと、相手DFをかわして中へと流したボールをジョルジーニョがシュートにゆくが、僅かに右のポストの外。
41分、自陣で大阪にボールを回されると、最後下がってパスをうけた大久保の縦パスを西澤がDFの間へダイレクトで入れてくるが、これは誰も反応せず救われる。
43分、大阪・西澤が負傷で一旦ピッチの外へと運び出されるが、その後、異常なしとして直ぐに戻ってくる。
ロスタイム1、古賀が自陣でのこぼれ球を縦に出そうとしたところを相手選手にカットされそうになるものの、辛うじてこれを味方に戻し、ピンチにはならず。その後は、ボールが落ち着くことなく流れ、前半は2−2の同点で終了。先制されたものの、ジョルジーニョの頑張りで追いつき、その後逆転まで持ち込んだが、DFの油断で同点に。攻撃陣は頑張っているだけに、後半は守備陣の更なる集中を期待したいところ。

後 半
激しい奪い合いとなった前半戦。名古屋としては、勝ちきるためにもこれ以上の失点は防ぎたいところだ。
エンド入れ替わり、左にエンドを取る大阪ボールで試合が再開。
1分、ほぼ中央での大阪のFK。古橋の直接狙ったボールはクロスバーのずっと上を通過して行く。
【得点】
2分、右に抜け出した中村のDFの裏からのマイナスの折り返し。中央で詰めたジョルジーニョには届かなかったものの、更に後ろから詰めてきたクライトンがダイレクトでこれをシュートに。豪快なボールは相手GKの脇を抜けて、正にネットに突き刺さり、大阪をまたしても突き放す得点が決まる。
4分、左サイドでクライトンのDFの裏へのボールをマルケスが拾って中へと折り返すと、ニアに詰めていったジョルジーニョが頭で流し込もうとしたが、このボールはポストに当たって弾かれ、初ゴールは決まらず。
6分、自陣深く左の位置で大阪にFKを与えてしまう。古橋の早いボールは井川が頭でクリアして行く。
7分、大阪の左からのCK。古橋のニアへのボールはDFが縦にあっさりと弾き出してゆく。
8分、自陣左先程と同じような深い位置でFK。古橋の早いボールはDFがクリア、CKに。左からのCKのボールは楢崎が飛び出してパンチングで弾き出して行く。
10分、左からのCKのチャンス。ジョルジーニョのグラウンダー気味のボールは相手DFがクリアしてしまう。
11分、クライトンからの左のスペースへと出たボールをマルケスが持ち込もうとするが、寄せてきた相手DFへのファウルを取られ、チャンスを生かすことが出来なかった。
13分、自陣から左の縦のスペースに長いボールが出てくると、中谷が追いかけるものの、長すぎてしまい追いつくことが出来ず。
16分、大阪1人目メンバー交代:布部→濱田
17分、自陣から今度は右の縦のスペースにジョルジーニョを走らせようと長いボールが出てくるが、これは相手DFが体を入れてしまい、触らせて貰えなかった。

【得点】

19分、左サイドを中谷が持ち上がって行くと、これを中へと流し、中村が更に右のスペースへと出して行く。これを海本(幸)がギリギリに持ち込んで中へと折り返し、最後は中央で詰めたマルケスが落ち着いて、この日3点目、ハットトリックを決めるボールを相手ゴールに流し込み、4点目が決まる。
20分、大阪2人目メンバー交代:森島→徳重
【得点】
21分、右でDFと競り合いながらも踏ん張りを見せたジョルジーニョが、最後、倒されながらも左足で放ったシュートが見事決まり、ついにJ初ゴールが生まれる。
23分、相手陣内へと出たボールを中村が拾うと、中へと流れながらコースを探すがDFに阻まれ、近くにいたマルケスに預けると、これをループシュートに。しかし、このシュートには相手GKが反応してしまい、正面でキャッチされてしまった。
25分、中央を大久保が持ち込んできてシュートに来ようとしたが、海本(慶)がしっかりとこれを読んでカットして行く。更にこぼれ球を左で拾った濱田が放ったシュートはクロスバーに当たり救われる。
26分、名古屋1人目メンバー交代:中村→岡山
28分、左に西澤が出したボールを拾った古橋がそのまま持ち込んできてシュートに来るが、楢崎が正面で落ち着いて止める。左に上がったマルケスからのDF間を狙った中央への折り返しを中央で詰めてきた岡山が右足のアウトサイドで流し込もうとしたが、僅かにポストの左に。
29分、大阪3人目メンバー交代:大森→ミキ
30分、左サイドでDFの裏へのボールをマルケスが抜け出してもち上がって行こうとしたが、オフサイドに。
32分、中央をドリブルでスピードに乗って上がって行こうとしたマルケスがファウルをうけ、相手陣内中程の位置でFKを得る。
34分、このFKのボールを、クライトンが一旦、縦に出してジョルジーニョに預けると、彼が落としたボールを上がっていって右足でシュートに行ったが、惜しくもポストの左に外してしまう。
36分、右に大きくクライトンの展開したボールを海本(幸)が持ち上がって中へと入れていったが、これは相手DFがカットしてしまった。
37分、名古屋2人目メンバー交代:海本(幸)→角田
38分、右サイド深い位置で大阪にFKを与えてしまう。
名古屋3人目メンバー交代:ジョルジーニョ→氏原
39分、自陣右深くの大阪FK。徳重のニアへの早いボールは落ち着いてクリアして行く。
40分、右からの大阪のCK。徳重のボールは吉村がカットして行く。
41分、岡山が氏原に当ててDFの裏へと抜け出すが、ボールはその前にカットされてしまった。
42分、左からのマルケスのCKはDFに惜しくもカットされてしまった。
43分、左から中谷が持ち上がって縦に出すと、これをマルケスがうけて縦に上がり中へと折り返して行く。中谷・岡山とこれに飛び込んでいったが、惜しくも飛び出した相手GKが先にキャッチしてしまった。
44分、右に出たボールを角田が中へと入れると、中央で氏原が頭であわせるが、惜しくもボールはクロスバーを越えてしまう。
ロスタイム1、自陣ほぼ中央での大阪のFK。直接狙った徳重のボールは、精度が無くクロスバーの上へ。
ロスタイム2、右から徳重が放り込んできたボールをDFが弾いてこぼれたところに大久保が詰めてきてシュートに来たが、これはDFが体に当ててCKに。右からの徳重のCKのボールはゴール正面にこぼれたところを濱田が蹴ってくるが、右に大きく外れる。そして、試合はこのまま危なげなくロスタイムを消化し、名古屋としては久し振りの快勝と言っても良い試合内容で、セレッソ大阪を下す。課題だった攻撃も、ジョルジーニョが入ったことでスペースが生まれ、再三に渡って良い形が出来るようになり、その結果がPKを生んだと言っても良いだろう。そして、それでついた勢いが、マルケスのハットトリックに繋がり、最後には5得点と言う結果で試合を終えることに。最後まで応援ありがとうございました。