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2004 Jリーグディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第4節
午後6時20分、GK楢崎・広野が“ビッグ・スワン”のピッチに登場すると、名古屋のサポーターが声援を送るが、新潟サポーターの声にかき消されそうだ。そして、5分程遅れて残りのメンバーがウォーミングアップに出てくるが、時を同じくして新潟の選手がピッチに現れたこともあり、唸るようなサポータの声で何も聞こえない状態となる。しかし、屋内スペースでしっかりとストレッチングを行ってきた選手達は上気した表情でピッチに広がると、ボール回しを開始する。普段であればそろそろ秋の到来の時期と言うことで、肌寒さを感じるはずの新潟も、今日はこれからの一戦を楽しみに待つサポーターの出す熱気のせいなのか、この時間でもピッチの上は、昼間に照りつけた太陽の熱を孕んでか、かなり蒸し暑い。

新潟サポータの大声を背に、名古屋の選手達はじっくりとピッチコンディションを確かめながらボールを蹴りあう。両サイドを受け持つ中谷・海本（幸）がそれぞれの持ち場で、何度もダッシュを繰り返しながらクロスボールを蹴り入れて行くと、中央で待ち受けていたマルケス・ウェズレイが、入ってくるボールにあわせてボレーシュートを楢崎相手にポンポンと放り込んで行く。様子を見る限りでは、今日もどの選手もコンディションは良さそうだ。これからの時間は、ピッチ上の気温も少しずつ下がって行き、選手達にとっては暑さを気にすることなく、最高のパフォーマンスを見せるのにうってつけの状態へと更に変貌してくれるはずだ。今日もしっかりと勝って、地元サポーターの待つ、名古屋へと帰りたい。 6時50分、ウォーミングアップを終えた選手達は慌てることなく、落ち着いた表情を見せながらピッチを後にした。


前　半
すっかり日が落ちて真っ暗になった空の下、両チームのイレブンがフェアプレイフラッグに導かれて入場してくると、両チームサポーターが声を限りに声援を送り始める。前半は左にエンドを取った新潟に対し、右から左へと攻め上がる名古屋。前半は名古屋のキックオフで試合開始。名古屋は、GK楢崎、DFは右から井川・秋田・古賀、MFは右から海本（幸）・吉村・山口・中谷、トップ下に中村、そして、FWはウェズレイ・マルケスという布陣だ。 1分、新潟・丸山が右でDFに裏へと入れてこようとしたが、ここは古賀が反応、タッチの外へと出して行く。 2分、右から新潟・エジミウソンが古賀をかわして入ってこようとしたが、後ろから寄せていった中谷がボールをカットする。 3分、左サイドをマルケスの縦に出したボールを拾いに中谷が上がって行くと、流れてきた中村へと繋いで行くが、ここは新潟DFに早い寄せにボールを中へと持ち込んで行くことは出来ず。 4分、右で下がり気味な位置で井川からボールを受けたウェズレイがボールをドリブルで持ち上がって行くと、中央で上がっていたマルケスへとパスを出すが、これはトラップが流れたところをカットされてしまう。 5分、ペナルティエリア内へとボールを持ち込んだマルケスだったが、2人3人と寄せてくるDFに前を阻まれてしまいシュートにまで持ってゆくことが出来なかった。 7分、右のスペースに新潟・山口がボールを出すと、これをエジミウソンが拾ってゴール前へと入れてくるが、このボールは精度を欠き、反対に流れて行く。

8分、相手陣内でのこぼれ球を拾ったウェズレイがそのまま前を向いて入って行こうとするが、新潟・寺川の激しいタックルに倒されてしまう。 10分、相手陣内中程右よりの位置で海本が倒され、好位置でFKを得る。ウェズレイが短く縦に出したボールを中村が相手DFをかわして左足でゴール前へと上げて行く。このボールを秋田が頭であわせたものの、相手GKにワンバウンドしたボールをキャッチされてしまう。 11分、自陣深く左の位置で新潟にFKを与えてしまうが、これはエリア内の相手のファウルで事なきを得る。 12分、右サイドで縦パスを受けたウェズレイが中へと流れながら、右足でDFの裏へとスルーパスを出すが、これはマルケスが動き出そうとしたが、球足の早さに反応できず。 14分、右サイドを古賀をかわして上がっていったエジミウソンがゴール前にと入れてくると、ファーサイドに詰めた選手がヘディングでゴールを狙ってくるが、楢崎が正面でしっかりとこれをキャッチ。 15分、左からのCKのチャンス。ウェズレイのゴール前へのボールはGKがパンチングで弾き出してしまう。

17分、中村からの左サイドのスペースに出たボールを拾った中谷がダイレクトで放り込もうとしたが、これは相手DFの足に当たりCKに。 18分、左からのCK。ウェズレイのニアへのボールはDFが頭で弾き出してしまい、再び左からのCKに。今度は短くウェズレイが出して、再び受けると反転して相手ゴールファーサイドへと放り込んでいったが、このボールも相手GKが飛び出して片手でエリアの外へ弾き出してしまった。 21分、相手陣内でボールをフリーで持ったウェズレイがドリブルで仕掛けて行こうとしたところを倒され、相手陣内中程ゴールほぼ正面の位置でFKを得る。 22分、このFKを自ら蹴りにいったウェズレイの右足から繰り出されたボールだったが、壁に立った相手選手に当たって弾き返されてしまった。ここまでは、予想された新潟の前3人へのボールに対する守備もしっかりと集中して出来ており、問題はない。 25分、新潟・オゼアスがボールを持って前を向こうとしたところを自陣で倒してしまい、入って直ぐの位置でFKを与えることに。このFKをDFの裏へと入れてくると、これを飛び出してシュートを狙ってくるが、オフサイドに。

27分、中央から右のスペースへと中村が出したボールをウェズレイが追いついてゴールラインギリギリで折り返すが、惜しくも相手GKの正面に。 28分、自陣深く左サイドで新潟・鈴木（慎）がロングスローを入れてくるが、ここはDFがしっかりとボールの下に入り弾き返して行く。 30分、自陣深く左ペナルティエリアの直ぐ外で新潟にFKを与えると、鈴木が左足で直接狙って蹴ってきたが、ボールはゴールポストの左に外れる。 31分、左サイドをファビーニョがドリブルで持ち込んでこようとするが、ここは付いていったマークを嫌ってか、ファウルを取られ自らチャンスを潰してくれる。 32分、左サイドをドリブルで上がっていったマルケスが相手DFをかわして右足でクロスを放り込んで行くが、このボールは詰めていたウェズレイの頭上を越えてしまう。 34分、相手ペナルティ内でのこぼれ球を速い出足で奪った中村が、右に流れながらゴール前に上げて行くと、待っていたマルケスがヘディングシュートにゆくが、体勢が崩れ惜しくもクロスバーの上へ。

35分、左から上がっていったウェズレイがそのまま左足でシュートに行ったが、角度のないところだったこともあり、左のサイドネットに。 38分、ウェズレイが相手陣内でボールを持つと、マルケスへと当てて更に深く入って行き、右足でシュートに行ったが、これは惜しく相手GKの正面。 39分、左サイドをファビーニョがドリブルで上がってくるが、寄せていった井川がきっちりとクリアして行く。 40分、新潟の左からのCK。鈴木がゴール前に待っているオゼアスにあわせて蹴って来るが、これはDFがしっかりと体を寄せ、ボールには触れさせなかった。 41分、中央を山口、オゼアスと繋がれると、最後右にスペースに出たボールをエジミウソンが拾いに行くが、ボールがそのままゴールラインを割る。 43分、右サイドで粘りを見せたマルケスが相手DFに厳しく寄せられながらもゴール前へと右足で入れて行くと、ウェズレイがGKと競り合いにゆくが、これはファウルを取られてしまい相手ボールに。

ロスタイム1、自陣でボールを持って右から中へと流れてきたエジミウソンを倒してしまい、中程ゴール正面の位置でFKを与えてしまが、相手のFKは壁の選手がしっかりと集中して弾くと、ここで前半が終了。相手3トップを、しっかりと押さえ込んで零点に抑えてはいるものの、名古屋も相手の堅い守りにゴールをこじ開けることが出来ずに終わってしまった。後半はもう少し相手DFを揺さぶってスペースを作って、チャンスに結びつけて行きたいところだ。
後　半
エンド入れ替わり、左から右へと攻め上がる名古屋。後半は新潟のボールで試合が始まる。 1分、左からマルケスの持ち込んだボールを受けたウェズレイが、上がってくる中村へと流すと、ダイレクトでこれをシュートに行ったが、ボールはクロスバーを越えてしまう。 2分、右でボールを持った海本が縦ではなく、中へと入って行こうとしたが、前を2人のDFに阻まれ倒されてしまう3分、右からのCKのチャンス。ウェズレイが右足で入れたボールをファーサイドに詰めた古賀が頭で中へと折り返すと、正面で詰めていた選手がこれをダイレクトで押し込もうとしたが、ファウルのため相手ボールに。 5分、エジミウソンの持ち込んできたボールをDFが足に当てるものの、そのまま楢崎の正面へ。これをキャッチするのではなく前へと弾いて行くと、詰めてきた新潟・山口がミドルシュートに来る。しかし、グラウンダーのボールは楢崎が今度はしっかりと正面で押さえ込む。 7分、左サイドで中谷が縦に出したボールを受けたマルケスがシュートにゆくが、これはDFに弾かれる。しかし、こぼれ球を再び拾って今度はGKの前のスペースへと入れていったが、反対にいたウェズレイとはタイミングがあわず、ボールは相手GKが先にキャッチ。 9分、自陣で相手の長いボールをカットした秋田の落としたボールを中村が大きく右のスペースへと出していったが、ボールが長すぎてしまい、海本は追いつけず。

11分、右サイドで流れていた中村が中に流れた海本に出そうとしたが、寄せてきたDFの伸ばした足に弾かれてしまう。 14分、右からのCKのチャンス。ウェズレイの早いボールはニアの選手が弾いてしまう。こぼれ球を拾った中村が縦に入れて行くと、抜け出した古賀が頭でスペースに出して行くがこのボールは誰も反応できず。 16分、相手陣内中程右寄りでFKを得ると、ウェズレイが意表をついて壁の右に短く出して、抜けてきたマルケスに繋ごうとしたが、惜しくも相手選手がこれに反応して弾いてしまう。 18分、自陣中程やや左の位置での新潟のFK。本間と見せかけて鈴木が直接左足で狙って蹴ってきたが、ボールはポストに右に流れて行く。 19分、相手陣内中央をマルケスとウェズレイが早いパス交換で入って行くが、コースを読まれて、エリアに入った直ぐの位置でボールを奪われてしまう。名古屋1人目メンバー交代：山口→岡山。 20分、左のスペースを使って新潟・ファビーニョが上がってくるが、ここは井川がしっかりとついて行って相手のミスを誘う。 21分、左のスペースへ出たボールを長い距離を上がってきた新潟・松尾がゴール前へと入れてくるが、正面に詰めていた古賀が落ち着いて頭でクリアして行く。

23分、自陣左深い位置での新潟のFK。鈴木が楢崎の前に落ちるボールを蹴ってきたが、相手選手が飛び出してくる前にしっかりとキャッチする。 24分、楢崎からのゴールキックのボールを中村が海本から受けると、これを右のスペースへと出して行きウェズレイに追わせるが、これは相手DFが体を入れてしまい、触れることが出来ず。 25分、井川へのファウルのため、新潟・オゼアスが退場となり、1人多い状況で残り時間を戦うことが出来る。 26分、エジミウソンがDFをかわして正面からミドルシュートを放ってくると、強烈なあまり横に弾いてしまうが、相手選手が詰めてくる前に何とか押さえ込む。 27分、新潟1人目メンバー交代：寺川→梅山28分、相手陣内へ攻め込んでいたボールを奪われ新潟のカウンターに。左から最後ファビーニョが吉村をかわして中へと入れてくるが、楢崎がこれを反応良く、キャッチに行く。新潟が1人少ないことで、守ってカウンターに徹してくるようになり、この時間帯は新潟がシュートする場面が目立っている。

30分、左からのCKのチャンス。ウェズレイのゴール前へのカーブのかかったボールはGKが直接キャッチしてしまう。 32分、左サイドでマルケスがDFをかわして中へと入れていったが、中央で待っていたウェズレイには届かず。 33分、右に持ち上がっていった井川の相手ペナルティ直ぐ外での中への折り返しを、詰めていった吉村が左足でシュートに行ったが、惜しくもポストの左に。 34分、左サイドでファビーニョが持ち込もうとしてくるが、吉村が最後までこれを押さえ込みファウルを受け、マイボールに。 35分、左サイド深くでウェズレイが落としたボールを中谷が拾って走り込んで行こうとしたが、これはDFに阻まれてしまった。 36分、新潟2人目メンバー交代：山口→安37分、左からのCKのチャンス。短く出したボールを再度貰ったウェズレイが中へと流れて行きながらゴール前へ放り込んでいったが、詰めていたDFの頭に弾き返されてしまう。

38分、右サイド深くに持ち込んでいった中村からの折り返しは、ボールがゴールラインを割ってしまう。 39分、名古屋2人目メンバー交代：中村→ジョルジーニョ。ゴール正面で背を向ける形でボールを持ったファビーニョがオーバーヘッドを狙ってきたが、ここはDFが落ち着いて対処する。 40分、右に流れていたマルケスがドリブルで上がって行くと、外からシュートに行ったが、これは相手GKの正面に。 42分、左からのCKのチャンス。うぇずりえの入れたボールは相手GKがパンチングで弾き出してしまう。 43分、左サイドで中谷からのボールを受けたマルケスがゴール前へ入れて行くが、詰めていたジョルジーニョには届かず。 44分、新潟3人目メンバー交代：ファビーニョ→上野ロスタイム1、自陣深くエリア内で海本が鈴木にボールを奪われると、中へ入ってきてシュートに来るが、これはDFが体を入れて何とか弾いて行く。ロスタイム2、新潟・上野がフリーで右から入ってこようとしたが、ここは古賀が上手く体を寄せて相手を倒し、ボールを奪って行く。

ロスタイム3、新潟の左からのCK。鈴木の入れてきたボールはきっちりとクリア。そして、最後は相手ボールをカットして、縦に出したところで主審の試合終了を告げる笛がスタジアムに大きく響き渡る。名古屋は新潟相手に勝ち点3を手に入れることが出来ず、0－0のスコアレスドローで、勝ち点1ずつを分け合うこととなってしまった。新潟の強烈なサポーターの後押しを受けた新潟を無得点に抑え込んだことは価値ある内容だが、相手が1人選手が少なくなって、守備を固めてしまった後、最後まで相手の堅い守りを崩せなかったことは、これからの課題と言えるかもしれない。最後まで応援ありがとうございました。