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2004 Jリーグディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第２節
すっかり上空は薄暗さを増し、スタジアムのピッチに照明灯の光が試合前のウォーミングアップを行っている選手達の影の濃さを増し始める。午後6時30分、磐田サポーターの強烈なブーイングを背に受けながら、名古屋の選手達がピッチへと登場。すかさず名古屋のサポータが負けじと、大きな声援を送り、選手の気合いの後押しを行う。スタンドは早くも試合開始と言ったところだろう。

直前までは厚い雲が上空を覆って、今にも雨が降り出しそうな怪しげな天候だったが、ここへ来て両チームのサポーターの熱気に押し出されるようにして雲は掻き消え、蒸し暑さもなく、涼しい秋の虫のBGMに囲まれ、絶好のサッカーコンディションとなった。しかし、選手達は早くも屋内でのアップでかいた汗の浮かんだ気合いたっぷりの表情で、芝の感触を味わいながらボール回しを始める。ゴールマウスの前では楢崎が鬼気迫る、他の選手以上の気合いでボールを捌いている。控えの選手として今日同行している、岩本・山口・角田等も先発メンバー以上に気合いが入っているようだ。そんな中、マルケスだけが相変わらず飄々とした雰囲気でボールを扱っているところが印象的だ。彼には盟友・ウェズレイがいない分を弟分のジョルジーニョとともに、今日はしっかりと活躍してくれることを願いたい。一方の磐田も、前節・アウェイの大分戦では、守備の混乱から先に失点を許し、何とか追いついて引き分け試合を演じ、決してコンディションは良くない。苦手の西も今日はベンチスタート。ナビスコ杯の対戦でも、主力を代表で欠いていたこともあってか、1勝1敗と、名古屋は負けることはなかった。ともかく、ここで何とか磐田に勝ってチームの勢いを取り戻し、2ndステージの快進撃を早く始めてほしい。


前　半
左にエンドをとった磐田に対し、右から左へと攻めあがる名古屋。前半は磐田のボールで試合開始。今日の布陣は、GK楢崎、DFは右のストッパーに井川、リベロに秋田、左が古賀という3バック。MFは右から海本・クライトン・吉村・中谷、トップ下に中村、FWは、ジョルジーニョ・マルケスというメンバーだ。 1分、早速、中村からのパスにジョルジーニョが抜け出してゆくが、飛び出したGKにボールを先に押さえ込まれてしまう。 2分、左に中谷があがってゆくと、縦にパスを出し、これをマルケスがもらって相手DFが寄せてくる間を狙ってゴール前へと入れてゆくが、ここは誰も詰めきれず、反対に抜けてしまう。しかし、ここまでは名古屋の選手のボールへの寄せがしっかりとし、相手にチャンスを作らせる間を与えることなく攻撃を仕掛けている。ここで早く相手が落ち着く前に先制して、試合を楽にしたいところだ。 5分、中谷が、磐田・成岡の不用意なパスをカットそのまま持ち込んでゆくと、エリアの直ぐ外で倒され、絶好の位置でFKを得る。これを中村が狙って蹴っていったが、これ壁に当たってしまい、CKに。

6分、右からのCKのチャンス。ジョルジーニョのニアのボールは相手DFがカットしてしまう。 8分、磐田・福西からの右に出たボールを鈴木が放り込んできたが、ここは古賀が頭でこのボールをきっちりと弾きだしてゆく。 9分、自陣中央やや右寄りの位置での磐田のFK。服部の左足のボールは大きくゴールの上に抜けてゆく。 10分、左からのCKのチャンス。ここでもジョルジーニョが左足で早いボールを入れてゆくと、中央で秋田が頭から飛び込んでゆくが、ヘディングシュートはわずかに枠の上にはずれてしまう。 11分、右サイドで相手DFのクリアミスのボールを中村が持ち上がると、ゴール前へと早く、低いボールを入れてゆく。マルケスが飛び込んで左足であわせたが、惜しくもポストの左に外れてしまう。 13分、自陣中程右よりで磐田のFK。磐田・藤田のボールに福西が飛び込んで頭であわせてきたが、ボールは左に外れる。ここまでは、名古屋が緊張感のある、良い流れで試合を進めているといっても良いだろう。 16分、中谷が左で中村に当てて縦に抜け出してゆくが、ボールは相手DFがカットしてしまい、出てこなかった。

17分、磐田GKが縦に長いボールを出してくると、磐田・グラウが井川と競り合いながらもこれを受けて抜け出そうとしたが、ここはしっかりと押さえ込み、前を向かせることはなかった。 19分、クライトンが左のスペースへとはたいたボールを中谷が拾って持ち上がって行き、ゴール前へと入れてゆこうとしたが、ここは足を伸ばした相手DFがボールをカットしてしまい、チャンスには繋がらなかった。 21分、自陣からのマルケスの素早いリスタートのボールをもらった中村が相手DFの足下を抜くスルーパスを出すと、これをジョルジーニョがもらってそのまま持ち込みシュートにゆくが、相手GKの正面だった。 23分、グラウが右から持ち込もうとするがこれはDFが踏ん張って押さえるが、最後左にこぼれたボールを磐田・前田が中へと入り込みながらシュートにくる。しかし、ボールはポスト左に。 24分、右サイドを海本がドリブルしながら猛烈なスピードであがってゆくと、そのまま早いボールをゴール前へと入れてゆくが、中央をあがってきたマルケスには届かず。

26分、ジョルジーニョがマルケスとのワンツーで右に抜けてゆくと、エリア内で鋭い切り返しで左足に持ち替えて、シュートに行ったが惜しくもボールは相手GKの正面。 27分、縦にドリブルで抜けてゆこうとした磐田・藤田を秋田が体ごと止めると、これがファウルとなり、ゴール正面でのFKになる。 28分、自陣中程やや左よりの磐田のFK。名波が蹴ると見せかけグラウが早いボールを蹴ってきたが、これは一旦はファンブルしたものの楢崎がしっかりと抱きかかえるようにしてボールをキャッチし、サポーターを安心させる。相変わらずボールへの出だしでは名古屋の選手が勝っており、良い流れで試合が進んでいる。 31分、左のスペースへと出たボールを磐田・成岡が拾おうと詰めてくるが、秋田がしっかりと体を入れて、これを阻止する。 33分、藤田からのゴール前へのボールに詰めていたグラウが反転してシュートに。しかし、これは楢崎が弾きだして右からのCKに変わる。名波が入れてきたボールはあっさりとクリアしてゆく。

35分、中央に流れてきた中谷に当てて右から海本がDFの裏へ抜けてシュートにゆく。相手GKも慌てて反応するも横に弾いてCKに。 36分、左からのCKのチャンス。ゴール前では秋田・井川といった面々が磐田の選手と小競り合いを始め、次第にスタンドのサポーターだけでなくピッチ内もボルテージが上がる。ジョルジーニョのファーサイドへのボールは詰めていた選手が頭で折り返すが、これを先に磐田のDFに縦にはじき出されてしまう。 38分、自陣深く左での磐田のFK。名波のゴール前へのボールは秋田が頭で大きく弾きだしてゆく。 39分、左で中谷がDFの裏へと出したボールにマルケスがすかさず飛び出していったが、これは惜しくもオフサイド。 40分、中盤でボールを回しながら徐々に押しあがってくる磐田。右サイドで成岡が隙を狙って縦のスペースに出してゆこうとしたが、ここは中谷が左足のアウトサイドでこれに反応タッチの外へときっちりと弾きだしてゆく。 42分、相手陣内へドリブルであがってゆこうとしたマルケスが後ろから倒されるとFKに。これを素早くリスタート、中村へと出してゆくと、右へあがってきた海本へはたき、このボールをゴール正面に入れてゆこうとする。しかし、ここは磐田・服部がしっかりと反応し、弾かれてしまう。 44分、ゴール前で細かくつないできたボールをシュートにくると、DFに当たってコースが変わり枠にボールが向かうが、楢崎が体を捻りながらもこれを押さえ込み、見事失点を防ぐ好プレーを見せ、アウェイスタンドに詰めていたサポーターの大声援を浴びる。そして、ここで前半が終了。開始直後から、中盤ではボールをきっちりと奪い、マルケスを中心に、スピードのあるジョルジーニョや中村、海本等がいい形を作って相手陣内へと押し込む場面も多く、ここまでは良い流れで試合が進んでいた。ともかくこの雰囲気を長く続けて、後半は早い時間帯で先制点を奪って、この試合の流れを完全に手中に収めて、勝利へと突き進みたいところだ。後半が楽しみとなってきた。
後　半
前半の流れそのままに後半も試合に入りたい名古屋。ここ数年、リーグ戦では磐田との対戦は全くといっても良いほど勝たしてもらっていない。今日こそは絶対勝ってほしい。エンド変わって、左から右へと攻めあがる名古屋のボールで試合が再開。 1分、左で中谷がボールを奪われると、グラウが持ち上がりマイナスに中へと折り返してくる。フリーでこれを受けた磐田・成岡のシュートはクロスバーの上へ。 2分、左からドリブルで持ち上がって中へと流れていったクライトンがそのまま強烈な右足シュートを放つ。場内が一瞬静まりかえるが、ボールはわずかにポストに右に外れてしまう。

3分、磐田の左からのCK。名波の左足のゴール正面へのボールは井川が倒れ込みながらもこれを押さえ込む。前半押し込まれ気味だった分、磐田は後半開始から躍起になってボールを追いかけ、名古屋守備陣を押し込もうと攻めあがってくるが、ここまでは守備陣は落ち着き、しっかりとマークも逃さず、危なげなく試合を進めている。 5分、右で海本が、中村の縦のスペースへと出したボールをそのまま持ちあがるとゴール前へと早いクロスボールを入れてゆく。ニアでジョルジーニョがあわせに行ったが、わずかに間に合わず、頭上を抜けてしまう。 7分、左で中谷のボールをトラップで相手DFをかわしたマルケスからの中央へのボールを中村が拾ってシュートにゆくが、磐田のDFの早い詰めに寄せてきた海本へのパスへと変えてゆく。これを縦に抜けて折り返したものの、ボールは相手GKがキャッチしてしまう。

【得点】 10分、相手DFへの激しいチェックでマルケスがボールを奪って左サイドを駆け上がると、最後中央に上がってきた中村へとパスを出してゆく。これを相手DFをかわして右足でしっかりと蹴ったシュートが相手GKの指を弾いて見事にゴールネットを揺らし、ついに先制点を磐田から奪うゴールを決める。 12分、右でボールを持った海本がDFの裏へと出したボールに、ジョルジーニョ、マルケスと抜け出していったが、惜しくもこれはオフサイド。しかし、先制したことで名古屋の選手達の動きがまたしても目に見えて良くなり始める。 14分、右からドリブルで上がってきた磐田・鈴木のシュートは楢崎が片手で弾きだしてゆく。磐田1人目メンバー交代：成岡→西 15分、左からの磐田のCK。名波のゴール正面へのボールに福西がヘディングシュートにくるが、ここでも楢崎が好セーブでボールを止め、チームのピンチを防ぐ神懸かり的なプレイでサポーターを沸かしてくれる。 19分、自陣中程右寄りでの磐田のFK。名波の上げたボールは海本がクリア。これを拾ったジョルジーニョが右に上がる海本へと繋いでいったが、惜しくもDFにカットされてしまう。 20分、右に詰めてきた磐田・西がエリアの中でシュートにくるが、コースに入った吉村がきっちりとこれを前に弾き出す。 21分、自陣左でボールを持った福西が右のスペースへと早いボールを出してくると、これをグラウが足を伸ばすが、ボールはその前を通過して行き、マイボールに。

22分、名古屋1人目メンバー交代：ジョルジーニョ→豊田 23分、中村の縦のボールをワンタッチでマルケスが縦にトラップして抜けてゆこうとしたが、ここはマークに付いていたDFにボールをカットされてしまう。 24分、自陣エリア内でグラウがくさびになって落としたボールに福西が詰めてきて左足でシュートにくるが、これは左に外れる。 25分、左からドリブルで持ち上がって中村が自らシュートを打っていったが、惜しくもポストの右に外してしまう 26分、名古屋2人目メンバー交代：井川→角田自陣で名波からボールを奪い取ったクライトンが右へとはたくと、これを大きく海本が縦にと出すと、中村が左に上がるマルケスへと繋いでゆく。このボールをそのまま持ち上がってシュートにゆこうとしたが、相手DFに弾かれてしまった。 28分、左で名波が角田をかわして入れてきたボールを右で受けた西が短く入れてくるが、相手選手が反応する前に楢崎が横っ飛びでこれを押さえ込む。 29分、名古屋3人目メンバー交代：中谷→山口 30分、磐田2人目メンバー交代：藤田→カレンハーフウェイラインでボールを持った吉村が大きく縦へとはたいてゆくと、これをマルケスが追うがボールは長すぎて追いつけず。 32分、左でDFの裏へと抜け出たボールを豊田がGKと1対1になる。強烈なシュートを放っていったが前に出てきた相手GKに弾かれてしまい、惜しくもデビュー戦初ゴールはまだ見ることができなかった。

【得点】 34分、自陣からの楢崎のGKのボールを豊田が縦にはたくと相手DFがカットしたボールを中村が奪い、これが豊田に渡り、最後、左に上がったクライトンへと繋がる。このボールをエリアの外からクライトンが技ありのシュートをゴール右隅に決め、磐田を突き放す2点目を決める。 35分、磐田3人目メンバー交代：前田→中山 37分、左にポジションを変わっていた磐田・西のゴール前へのボールに詰めていた中山が体を反転しながらヘディングシュートを打ってきたが、これは正面で楢崎ががっちりとキャッチする。 38分、右から磐田・鈴木がゴール前へと入れてくると、これに中山が合わせくるが、秋田が体ごと弾き飛ばすディフェンスで、このボールをクリアしてゆく。 39分、ゴール正面でボールを持った磐田・グラウがDFの間へとパスを通そうとしてくると、これに反応が遅れた中山がエリア内で倒れるが、主審にはお見通しだったようだ。 41分、左からペナルティ内へと放り込んできたボールを福西が縦に頭で流し込もうとしたが、これは楢崎がしっかりとジャンプしてキャッチする。残り時間僅か、念願だった磐田からの久しぶりの勝利が現実味を帯び始めてきた。 43分、右サイド縦のスペースへと出た長いボールを拾ったグラウを倒してしまい、危ない位置でFKを与えてしまう。【失点】 44分、右から放り込まれたボールをファーサイドに詰めたグラウにヘディングで押し込まれてしまい、失点を許してしまう。ここでロスタイム3分の表示。そして、最後まで走りきろうとがんばっていた海本が足がつってピッチにうずくまり、即座に外へと運び出され、1人少ない状況となる。ロスタイム1、海本は無事治療を終えてピッチへ戻ってくる。ロスタイム2、左からの磐田のCK。名波のゴール前へのボールは楢崎が気迫迫る飛び出しでボールをキャッチ。そして、大きく縦に蹴り出したボールが相手陣内でタッチの外へとこぼれた瞬間に、主審の試合終了を告げる長い笛がスタジアム内に響くと、この笛が聞こえないほどに轟き渡る名古屋サポーターの大声援がわき起こる。最後、1失点はしたものの、全選手が集中したプレイを90分間しっかりと続け、完全に磐田を押し切ったといえる、堂々の試合で見事勝利を勝ち取った今日の試合といえる。これで前節のいやな雰囲気は払拭できたはず。次節・横浜戦も今日のような内容であれば間違いなく勝てるはずだ。最後まで応援ありがとうございました。