ファミリーマート ドリームマッチ
午後6時30分、ウォーミングアップに選手がピッチに登場すると、スタンドのサポータから大きな声援が沸き起こる。海を渡った中国で、激戦を戦い抜いている日本代表の先日の試合で感動したサポータも多いはず。そんな彼らが、久し振りに目の前でサッカー観戦ができると言うことが、まもなく始まる試合に向け、大きな期待を寄せているようで、皆、表情が明るい。天候も湿度こそまだ高いが、気温は落ち着きを見せ、蝉の賑やかな声に囲まれ、正に、夏の夕暮れの中での、絶好のサッカー観戦と言える雰囲気だ。
ピッチでは、選手達が黙々とボールを蹴りあったり、ストレッチングを行っている。連日の猛暑の中での練習を繰り返してきているだけあって、タップリと日に焼け、一回り逞しくなった様に感じる程だ。ケガの古賀に代わって、DFの一角に入る秋田。ここ数試合、控えに甘んじていることが多かっただけに、気合いの入った表情で練習をおこなっいる。これまでの数々の代表経験を生かして、彼の闘将振りを、今日は遺憾なく発揮してもらい、チームの守備の要としてのプレイを期待したい。いつもは飄々としている大野も、海外チームとの試合での先発と言うこともあってか、表情が硬い。彼も2ndに向け、まだまだレギュラーが約束されている訳ではない。そのためにも、このチャンスを生かし、良いプレイを見せて欲しい。
6時45分、気合いをタップリと込め、高揚気味の表情の選手達は、1人、また1人とサポーターの拍手を一身に浴びながら、ピッチを後にして行った。
前 半
上空にはいくつかの厚い雲がちぎれて飛んで行き、夕焼けに映えた青空が垣間見えるようになり始めた、名古屋瑞穂陸上競技場のピッチに両チームの選手が入場すると、大きな拍手が沸き起こる。
右にエンドを取ったレジーナにないし、左から右に攻め上がる名古屋のキックオフで試合が始まる。
名古屋は、GK川島、DFは右から海本(幸)・秋田・井川・渡邊、MFは右にクライトン・ボランチに吉村・左に大野、トップ下に中村というダイヤモンド。FWはウェズレイ・マルケス、と言う布陣だ。
2分、左を上がっていった渡邊が深い位置でマイナスに折り返したボールをウェズレイがヘディングシュート。しかし、これは惜しくも僅かに高く、クロスバーの上へ。
4分、右からゴール前へと入れてきたボールを、ボナッツォーリがヘディングであわせてくるが、これは秋田がしっかりと寄せ、前には飛ばさせなかった。
5分、自陣深く右の位置でのレジーナのFK。テデスコが早いボールで直接狙ってきたが、川島がパンチングで弾き出す。
6分、右からのレジーナのCK。ボナッツォーリがニアに蹴ったボールをベロンが戻して中へと入れてこようとしたが、これは井川がヘディングでカットして行く。
8分、マルケスが左でキープすると上がって行く渡邊にと出して行こうとするが、これは寄せた選手に弾かれてしまう。
9分、右のスペースに長いボールをクライトンが出すと、これをウェズレイが拾って中へと入れて行こうとしたが、寄せてきた選手にカットされてしまう。
10分、右からのCKのチャンス。ウェズレイが短く出すとマルケスが戻しこれをファーサイドに上げて行く。井川が詰めていたものの前には飛ばすことが出来ず。
【得点】
11分、左サイドをドリブルで入ってきた大野が左足で強烈なシュートを相手ゴールにたたき込み、先制点を決める。
12分、前線への長いボールを受けたマルケスが相手に当たってこぼれたところを拾って中へと入れると、中村がこれを受けて前にコースを探してシュートに行こうとしたところで、ボールを奪われてしまう。
14分、左を上がってきた渡邊がマルケスからのパスを受けると、遠目からシュートに行くが、これはクロスバーの上へ。
16分、左深い位置でボナッツォーリがキープして上がってくるテデスコに出して行くと、これを左足でアウトにかけた早いシュートに来るが、僅かにポスト左に外れるが、このプレイにサポーターからは大きなざわめきが。
17分、右からのレジーナのCK。ボナッツォーリのボールを川島がパンチングで弾くと、こぼれ球を大野が拾って、中央を走って上がって行く。左に上がってきたフリーのマルケスにパスが通ると、これをシュートに行くが、相手GKが弾いてしまい、決めることは出来なかった。
18分、右からのCKのチャンス。ニアに蹴ったウェズレイのボールは詰めていた海本に当たってゴールラインの外へ。
20分、自陣中央ゴールほぼ正面でのレジーナのFK。モーツァルトが左足で左に狙ったボールは川島が横っ飛びで弾き出す。
【失点】
21分、左からのレジーナCKのボールがゴール前でこぼれたところを、フランチェスキーニに押し込まれ、同点とされてしまう。
23分、左サイドをDFの裏を狙って長いボールを入れてこようとしたが、ここは秋田がしっかりとコースに入り、頭で弾き出して行く。
24分、左からのCKのチャンス。ウェズレイの早いボールは相手DFが頭でクリア。
25分、右から早いドリブルで海本が中へと入って行くが、相手の厳しい寄せにボールをカットされてしまう。
26分、左の深い位置でガンチが秋田をかわして中へと切れ込んで行こうとしたが、最後までついていた秋田がファウルを誘い、マイボールとする。
28分、左サイドでフリーで上がっていた渡邊にクライトンから大きくサイドを変えたボールが出るが、これは惜しくもトラップにとまどう内にカットされてしまう。
29分、左のマルケスからの中に待っていたウェズレイへのボールは相手のファウルでウェズレイが倒されてしまい、チャンスにすることが出来ず。、30分、相手陣内中程やや右でのFKのチャンス。距離はあったがウェズレイが直接狙って蹴って行く。しかし、ボールは僅かに右に外れる。
31分、ガンチが裏へと抜け出すと、川島と1対1に。右隅を狙ったシュートを打ってくるが、慎重すぎたのかポストに当たって中へと弾いてしまう。こぼれ球に再度詰めてきたが、渡邊が先に拾って大きくクリアし、このピンチを逃れる。
33分、クライトンが右のスペースへ長いボールを蹴って行くと、これを走っていって拾ったウェズレイがゴール前へと上げて行く。しかし、僅かに長くなってしまい、詰めてきたマルケスの頭の上を抜けてしまう。
36分、レジーナメンバー交代:ベロン→ピッコロ37分、自陣左中程の位置でのレジーナのFK。ボナッツォーリのボールに上がっていた、ピッコロが頭であわせるが、これは右に流れる。
39分、右の海本からのボールを、相手ゴールに背を向けたウェズレイがヒールで中へと流し込もうとしたが、これはDFに弾かれてしまう。
40分、右の海本からのパスをウェズレイがおとりになって動いて出来たスペースのボールをマルケスが前へとはたいて行くが、ウェズレイの足下に届く前に相手DFに当たってしまう。
42分、左のバレストリがDFの裏へ早いボールを出してくると、これにボナッツォーリがフリーで抜け出してくるが、球足が速くボールを受けられず、救われる。
44分、マルケスが海本に当てて前に上がって行くスペースへとボールを要求すると、海本がボールを出して行くが、長すぎてしまい相手ボールになってしまう。
ロスタイム1、1分程のロスタイムを経て前半が終了に。始まってしばらくは様子見の展開が続いたが、良い時間帯に先制点を奪ってからは試合の主導権を握ったものの、同点に追いつかれてからは、相手が引き気味になったこともあり、攻撃に苦慮することになり、前半は1−1の同点まま折り返すことに。後半はもう少し、早いパス交換で相手の守備を崩して、チャンスを作って行きたいところだ。後半に期待しよう。
後 半
エンド代わって、左から攻め上がるレジーナのボールで試合が再開。
名古屋1人目メンバー交代:海本→角田
1分、相手陣内中央で、フリーでボールを持った大野だったが、パスの出しどころを探しているところに後ろからのファウルで倒されてしまう。
2分、相手陣内ほぼ中央でのFKのチャンス。これをウェズレイが相手GKの動きとは逆に右に蹴り、決まったかと思われたが右のポストに当たって、惜しくも外に弾かれてしまう。
3分、左サイドで中村が細かなステップでドリブルをして相手のペナルティエリア内に入って行こうとして、ついてきた選手に倒されてしまうが、これはファウルを認めては貰えず。
5分、中央でボールを持ったモーツァルトが縦に出してDFの間を狙ってくるが、ここは井川が体勢を崩しながらも足を伸ばしてこのボールをカットして行く。
7分、左からクライトンがドリブルで上がって行こうとしたが、マークについてきた選手に引っ張られて、ファウルで止められてしまう。
9分、相手陣内中央でボールを持った中村がロングシュートに。これを反応が遅れた相手GKは溜まらず、外へ弾いてしまい、左からのCKに。ウェズレイの短く出したボールを中村が右足で枠を狙って蹴っていったが、大きく右に流れてしまう。
12分、右に上がってきたマルケスが相手DFをかわして中へと入れて行くが、これは誰もあわせられず。
13分、左からのCKのチャンス。ウェズレイが短く出したボールを寄せてきた渡邊が入れて行くと、中央でマルケスが競り合うが、頭には当たらず。
14分、レジーナメンバー交代:ガンチ→ディオニージ
15分、相手ゴール前でウェズレイがDFと体を寄せながらもドリブルで右に流れながらシュートコースを探すが、厳しい寄せに体勢を崩してしまい、ボールを奪われることに。
16分、左に上がって行くマルケスが戻りながらもDFを上手くかわしてシュートに行くと、これがGKの指先に当たり右からのCKに。
17分、レジーナメンバー交代:カンナルサ→ザンボーニ
右からのCKはファーサイドの秋田と角田が合わせに行くが、どちらもこれに触れることは出来なかった。
18分、名古屋2人目メンバー交代:渡邊→中谷
19分、右で吉村からボールを奪ったディオジーニが強烈なミドルを打ってくるが、ここは川島がしっかりと反応、これを弾いて行く。左からのレジーナのCK。テデスコが入れたボールは反対に流れて行く。
21分、左でボールを持ったウェズレイが寄せてきたマルケスに出して行くと、これをDFの裏へとはたいてゆくものの、これは誰も反応できず。
23分、左を上がって行くマルケスが中へと入って行く中谷へと相手DFの頭越しに入れて行くが、これは相手DFが先にこれに反応カットされてしまった。
24分、名古屋3人目メンバー交代:中村→岡山
26分、自陣左中程でのレジーナのFK。モーツァルトの左足のボールは川島が弾くものの、こぼれ球に反応したピッコロが倒れながらもオーバーヘッドでシュートに来るが、クロスバーの上へ。ここへ来て、疲れからなのか、蒸し暑さからなのか、ラフなプレーが目立ち始め、ピッチに倒れ込む選手が増え始める。
28分、名古屋4人目メンバー交代:吉村→山口
29分、左で中谷が相手DFの裏を狙って出して行くが、これは近くにいたマルケスが反応できず。
30分、中央を岡山がマルケスに当てて上がって行くが、パスが相手選手に読まれてしまい出てこなかった。
31分、名古屋5人目メンバー交代:大野→岩本
32分、相手ゴール前でウェズレイが個人技でかわして前を向こうとしたが、ここは厳しいDFにボールを左に展開することに。これを受けた岩本がゴール前へと左足で切れの良いボールを入れて行くが、相手DFに弾かれてしまう。
34分、右サイドを角田がマルケスに当てて上がって行くが、ボールが流れたところをカットされそうになったところでファウルを受けFKとなる。この場面で岩本が強烈なボールを左足で蹴っていったが、惜しくも相手DFの正面になり弾き返されてしまう。
36分、右に上がってきたデ・ローザのゴール前へのボールに詰めていった選手をエリア内で角田が倒してしまい1発退場となり、PKとなってしまう。
37分、名古屋6人目メンバー交代:岡山→ジョルジーニョ
38分、PKを蹴ったテデスコの右隅を狙ったボールに川島がきっちりと反応、見事このボールを止め、会場を沸かせる好セーブを見せてくれる。
39分、相手陣内左入った位置でのFKのチャンス。ウェズレイが大きく落ちるボールを蹴ると、相手GKはこれを弾くのが精一杯、しかしこぼれ球は相手に当たってCKに。
41分、左からのCKのチャンス。ウェズレイの蹴ったボールはゴール前の選手に当たって、最後ファーサイドの井川の下に行くが、体勢が悪く、前に飛ばすことが出来なかった。
44分、自陣の川島からの長いボールを追いかけたマルケスがタッチ沿いギリギリのところで拾って中へと入れて行くが、これはラインを割ったとして相手ボールになってしまう。
ロスタイムは3分の表示だ。
ロスタイム1、ゴール前に右から入ってきたボールをボナッツォーリがヘディングであわせようとするが、ここは井川が体を張って倒されながらも、これを押さえ込む。
ロスタイム2、相手陣内右入った位置でのFKのチャンス。ウェズレイの蹴ったボールにファーサイドに詰めていたジョルジーニョがあわせようとするが、左に流れてしまい、中へと折り返すことが出来なかった。
ロスタイム3、自陣ほぼ中央でのレジーナのFK。モーツァルトの左足のボールはファーサイドに上がっていた選手を狙ったが、精度が悪く、頭で触れたボールは大きく外へと流れて行く。そして、ここで主審の試合終了を告げる長い笛がスタジアムに鳴り響き、試合は1−1の同点まま、終了となる。後半は何人かメンバーを変えて臨んだが、最後まで追加点は奪えず終わってしまった。しかし、終了間際のPKの場面を見事に押さえた川島は、このほかにも好セーブを再三見せ、チームのピンチを救ってくれた。またDF陣も最後まで相手の攻撃を前半の1点で凌ぎきり、安定したプレイを見せてくれた。確かに勝ちきれない試合ではあったが、2nd開幕に向け、新しいシステムである4バックが徐々に完成に近づきつつあると言えるだろう。最後まで応援ありがとうございました。