2004 Jリーグ ヤマザキナビスコカップ予選
開場直前の突然のにわか雨のため、瑞穂陸上のピッチは雨に濡れ、立ち上る湿気のため、かなり蒸し暑い。
午後6時45分、そんなサウナのようなピッチ上で選手達は、滴るように流れ落ちる汗を気にもせず、黙々とボールを蹴りながら、濡れたピッチの感触を確かめている。久し振りに先発に入り、海本(慶)と共に、ネルシーニョ監督が期待する、新システム・4バックのDFに入る古賀。監督からは“スピードのある選手が欲しかったので、あえて秋田ではなくと彼ら2人を使う”と言わしめた程、期待されている。G大阪の攻撃陣をどこまで押さえ込めるか、チームの攻撃への展開作りにどこまで貢献してくれるか、彼に期待したい。
そして、今週の練習中で、何度も切れのあるパス披露したり、時に自らエリアの外からでもシュートを決めて行く、と相変わらずの絶好調を見せている中村。ボールを蹴っている姿からはオーラさえ感じる程の風格を見せている。彼は攻撃陣の重要な役作りにもはや不可欠の選手。今日もウェズレイ・マルケスと共に、得点場面にどんどんと絡む活躍を見せて欲しいと思う。
午後6時50分、賑やかな蝉の声をBGMに練習を終えた選手達は、サポーターの大きな声援を背にロッカーへと消えて行くが、その後ろ姿は、気合い充分だ。
キックオフ前、6月の月間ランクル賞・表彰が行われ、高い決定力を見せたマルケス選手が選ばれました。
前 半
すっかり雨も上がり、心なしか涼しげな風も吹き抜けるようになり始めた瑞穂陸上のピッチだが、両チームのサポーターの熱気は増すばかりだ。
右にエンドを取った大阪に対し、左から右へと攻め上がる名古屋。前半はその名古屋のキックオフで試合が始まる。
GKは川島、DFは右から海本(幸)・海本(慶)・古賀・中谷、MFは右から中村・吉村・クライトン・岡山の順。そしてFWは不動のウェズレイ・マルケスと言った今日の布陣だ。
1分、中谷が岡山に当てて上がって行こうとしたが、ボールを相手DFに押さえ込まれ前には出てこない。
【得点】
2分、中村の縦パスを持ち上がったウェズレイが中へと流し込むと、マルケスが相手DFに押さえ込まれながらもボールを上手く流すと、これをGKをよく見て蹴りこみ、早速先制点を決め、幸先の良いスタートを切る。
4分、大阪の左からのCK。フェルナンジーニョのファーサイドへのボールはクライトンがクリア、右からのCKに変わる。ゴール前へと上がっていた大阪・山口が合わせるがボールはポストの右へ。
6分、大阪・二川がDFの間を狙ってパスを出してくるが、これは海本(慶)がしっかりこれを読んでボールをカットする。
7分、右サイドで吉村からの縦のスペースへのボールにマルケスが抜け出して行くが、これはオフサイドに。
8分、大阪・家長が左から入れてこようとするが、ここは中谷が体をいれクリアCKに。左からのフェルナンジーニョのゴール前へのボールはDFが頭でクリアして行く。
9分、右の海本(幸)が縦に長いボールを出して、中村を走らそうとしたが、これは読まれてしまう。
11分、右に上がった海本(幸)が切り返して左足でゴール前に早いクロスを入れて行くが、これは相手DFが頭でカットしてしまう。
13分、右の海本(幸)からサイドチェンジのボールを受けたマルケスが縦に上がっていって中へと入れて行こうとしたクロスのボールは相手DFに当たってしまい、GKがキャッチしてしまう。
14分、自陣中程ゴールほぼ正面での大阪のFK。シジクレイがこれを直接狙って蹴ってきたが、ポストの左に外れる。
16分、自陣中程左寄りの位置での大阪のFK。フェルナンジーニョのゴールに向かって曲がってくるボールは飛び出した川島がパンチングで弾き出して行く。
18分、左サイドをボールをもってフェルナンジーニョが入ってくるが、ついて行った吉村が上手くボールを奪い、チャンスを作らせなかった。
19分、中央で中谷からのパスを受けたクライトンが右にフリーで待ちかまえていたウェズレイへとパスを出して行くが、これはオフサイドに。
20分、右からDFがかわされてしまい、エリア内へと持ち込まれると、これをマイナスに折り返したボールをフェルナンジーニョがシュートに来るが、コースに海本(幸)が入ってこれをはじき返し、このピンチを救うプレイを見せてスタンドを沸かせる。
22分、吉村が海本(幸)から受けたボールを縦に大きくはたくと、これを中村が追うが、このパスには追いつけず。
24分、自陣ゴール前での浮き球を大阪・フェルナンジーニョが縦に流すと、これを大阪・大黒がシュートに来ようとするが、海本(幸)が体を上手く入れて、これを阻止する。
25分、マルケスからのパスを背を向けていたウェズレイがそのままヒールでゴール前へと落としていったが、これは誰も貰えず、相手ボールに。
27分、マルケスからのパスを相手ゴール正面で受けたウェズレイがキープして、右に流れたマルケスへ再び出して行く。このボールをシュートに行ったが、惜しくも相手GKの正面に。
【得点】
29分、相手陣内でのFKのボールをウェズレイが左に流すと、これを受けたマルケスが寄せてきたDFをあざ笑うかのように頭越しにボールを蹴って行くと、これがそのままゴール上右隅に決まり、鮮やかな技ありシュートで追加点を挙げる。
31分、中央をドリブルで上がってきた大阪・シジクレイが右にはたいてマグロンに流すと、このボールをゴール前へとほう入り込んでくる。しかし、DF陣が体をしっかりと入れてこれを押さえ込むと、最後はこぼれたところを海本(慶)が大きくけり出し、このピンチを逃れる。
32分、自陣左中程での大阪のFK。フェルナンジーニョのゴールに向かって来るボールは詰めていた海本(幸)が頭で弾き出して行く。
34分、川島のGKの長いボールに中村がDFの裏へと飛び出していったが、残っていたマルケスがオフサイドを取られてしまう。試合開始直前で上がった雨のせいでか、ここへ来て蒸し暑さが増してくる。そのせいか選手達も時折集中力がとぎれる場面が見える。ここはしっかりと集中力をとぎれさせないよう、前半を終えたいところだ。
35分、ゴール前での混戦でこぼれたボールを大阪・大黒が押し込もうとしてくるが、コースに海本(慶)が入りこれを弾き、ピンチを救う。
【失点】
37分、左からの大阪のCK。フェルナンジーニョの入れてきたボールはクリアして行くものの、スローインからのボールをフェルナンジーニョに左から押し込まれてしまい、1点を奪われてしまう。
40分、右からゴール前へのボールをDFが足が止まって反応が遅れたところを大阪・マグロンに右足でシュートを打たれてしまうが、ボールはポストの右に外れ、相手のミスに救われることに。
42分、左からドリブルで入ってきたフェルナンジーニョのマイナスの折り返しをゴール正面でフリーでいた大阪・大黒にシュートを打たれると、これが右ギリギリで枠内へと向かってくるが、川島が指1本でこれを弾き出すスーパーセーブを見せる。
44分、右サイドをスピードに乗ったドリブルで中村が上がって行くと、中央に上がって行くマルケスへと折り返して行くが、ニアの選手にボールを先に反応されカットされてしまった。
ロスタイム1、自陣右すぐのところでの大阪のFK。ゴール遠いサイドにいたマグロンが頭で落としたボールを大黒が詰め、シュートに来たが、これはクロスバーの上へ外れる。そして、ここで前半が終了。試合開始早々の得点で名古屋が試合の主導権を握るが、暑さからか次第に動きが重くなり始める。しかし、マルケスの技ありのシュートで追加点を奪い、流れを引き戻そうとしたが、集中力が途切れだし、動きが悪くなったところを得点を決められてしまった。しかし、その後は守備陣が踏ん張り、何とか2−1で折り返すことができた。後半も名古屋独特の、この蒸し暑さは変わらないと思うが、試合の主導権を早く掴んで、試合を優位に進めて、勝利を手に入れたい。
後 半
前半は止んでいた雨が、ここへ来て再び降り始める。この後に波乱が訪れることを思わせるようなイヤな雰囲気だ。
名古屋1人目メンバー交代:岡山→秋田
エンド入れ替わり、大阪のボールで試合が再開。ネルシーニョ監督は秋田を入れて、4バックから3バックへとシステムを変更してきた。
1分、ドリブルで中央を上がってきたクライトンがDFの裏へとボールを出すと、これにウェズレイが飛び出すが、ボールに追いつく前に相手GKが先にキャッチしてしまう。
2分、相手陣内でパスを回すと、クライトンからのボールを受けた吉村が遠目からシュートに行ったが、これは相手GKの正面だった。
4分、右に出たボールを大阪・渡辺が中へと入れてこようとしたが、これは中谷がクリア。右からの大阪のCK。フェルナンジーニョのファーサイドへのボールはクライトンが頭でクリアして行く。
6分、左に開いたマルケスへ中谷からパスが通ると、これをDFをかわして入れて行こうとしたが相手DFに弾かれてしまう。
7分、相手ペナルティすぐ外でのこぼれ球に詰めた吉村がそのままシュートを打って行く。枠へと向かったボールは相手GKが弾いてしまう。
10分、自陣右深い位置での大阪のFK。家長が直接狙って左足で蹴ってきたが、僅かに左に流れポストの外へ外れる。
11分、相手DFの上がっていた裏へ出たボールにウェズレイが走って行くが、僅かに濡れて滑りやすい芝のためボールのスピードが速く、追いつく前に相手GKがキャッチしてしまう。ここへ来て雨と共に雷が鳴り始め、サポーターの興奮が増し始め、凄い雰囲気になる。
13分、右に上がってきた中村の中へのボールをエリアのすぐ外で受けたウェズレイが、そのままシュートを打っていったが、惜しくも相手GKの正面に。
15分、左からのCKのチャンス。ウェズレイがこれを短く出すと、中村が戻したところをゴール前へと上げていったが、待っていた秋田・古賀へは相手に押さえ込まれていて届かず、ゴールラインをボールは割ってしまう。
17分、相手ゴール正面エリアすぐ外でウェズレイが吉村からのパスを縦にダイレクトで流してゆくが、これは詰めていった中谷とタイミングがあわず。
【失点】
18分、大阪・渡辺に右からシュートを決められてしまい、ついに同点とされてしまう。
19分、大阪1・2人目メンバー交代:マグロン→吉原、渡辺→森岡
20分、自陣ゴール正面エリアのすぐ外で大阪・大黒が2回3回と切り返してシュートを打ってきたが、ボールは川島が正面でがっちりとキャッチ。
22分、自陣から海本(幸)がDFの裏へとウェズレイを使おうと早いボールを蹴っていったが、これは大阪・シジクレイに読まれ、カットされてしまう。
24分、名古屋2人目メンバー交代:中谷→角田
25分、相手陣内左中程でのFKのチャンス。ウェズレイの縦に流したボールを中村が受けるが、濡れて早いボールに反応が遅れ、後ろに流してしまう。
26分、相手陣内中程ほぼ中央でクライトンが粘ってファウルを貰いFKを得る。距離はあったものの、ウェズレイがドライブの効いたボールを直接狙って蹴ってゆくと、相手GKがこれをファンブル。マルケスが飛び込んで行くが、あわせたボールは惜しくもポストの右に外れてしまい、追加点を奪うことは出来なかった。
28分、先ほどよりやや相手ゴールよりの位置で再びFKのチャンス。これを今度はグラウンダーの、低いボールをウェズレイが蹴っていったが、ボールは左に外れてしまった。
31分、右サイドでボールを拾った大阪・橋本が左のスペースへと長いボールを入れてくると、大黒がもらいに来たが、これは追いつけず、GKに変わる。
32分、右に抜け出してきたマルケスが個人技で相手DFをかわして中へと上げていったが、中央に待っていたウェズレイの頭には僅かに届かず。
33分、左から大阪・家長がドリブルで入ってこようとしたが、海本(幸)とサイドを変えて右にいた角田がボールをインターセプトする。
35分、自陣左はいったところでの大阪のFK。フェルナンジーニョの長いボールは古賀が頭でクリアする。
36分、右からの大阪のCK。フェルナンジーニョのファーサイドのボールは秋田が頭でクリアする。
37分、自陣で相手ボールを奪って海本(幸)が一気にカウンターで上がって行くが、相手エリアのすぐ外で追いついた選手にボールを奪われてしまう。
38分、相手DFの裏へのボールをウェズレイが追いかけるとこれをGKが交錯してこぼしたところをマルケスが拾うと、シュートに行くがゴール内に詰めていた選手に弾かれてしまい、決めることは出来なかった。
名古屋3人目メンバー交代:中村→山口
40分、クライトンからのボールを右で受けてマルケスが上がっていって中へと折り返して行くが、このボールはファーサイドを上がった山口には届かず。
42分、左サイド深くのボールを拾って中へと折り返した大阪・大黒のボールがゴールライン沿いをそのまま転がり、飛び出していた川島の脇を抜けると、無人のゴールを通り越して反対に流れて行き、あわやの場面となる。
44分、左からのCKのチャンス。ウェズレイが近くにいたマルケスに出して戻してきたところを中へ入れようとしたが、コースを阻んだ大阪の選手に当たってタッチラインを割ってしまう。
ロスタイム1、大阪の左からのCK。フェルナンジーニョの入れたボールはゴール正面で秋田が弾き出して行く。
ロスタイム2、左に出たボールを海本(幸)が中へと入れて行くが、これは流れてしまい、海本(慶)が慌てて頭で縦へと弾き出して行く。そして、ここで主審の長い笛が鳴り響き、試合が終了。後半は、暑さから体の動きが両チームの選手共に重くなるが、何とか名古屋は失点することなく試合を終え、勝ち点1を積み上げることが出来た。最後まで応援ありがとうございました。