2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第15節
午後2時30分過ぎ、屋内のウォーミングアップスペースで体をほぐした選手達が、サポーターの熱い拍手に迎えられながら、ピッチへと現れる。どの選手も、今日のこの蒸し暑さに既に汗だくだ。
軽くピッチの隅でダッシュを行うと、2人1組に分かれて、ストレッチングを行いはじめる。今日は出場停止の海本(幸)に代わって、先発に出場となった岡山元気にボールを蹴っている。FC戦でも先制点を決めるなど、ここへ来て調子を上げだしはじめた。チームに勢いを付ける役としてはもってこいの人物と言える。今日も所狭しと走りまくって、相手DFを翻弄してもらい、前節のイヤな負けを払拭するようなプレイを攻守に見せて欲しい。
ネルシーニョ監督は予想通り、4バックを今日も使ってきた。FC戦では後半途中までは、ほぼ完璧に機能していたと言えるだけに、その手応えを感じて今日も挑んできたと言って良いだろう。神戸は、出場停止が空けて戻ってきた、レアンドロン・播戸と、イヤなタイプのFW2人だが、秋田・海本(慶)の2人とも、自信たっぷりに、落ち着いてボールを蹴っている。今日もきっちりと押さえ込んでもらおう。
そして、先日長い現役生活に7月でピリオドを打つと発表し、今日の控えに入った森山も相変わらずの溌剌とした様子でピッチ内で体を動かしている。残りの試合の中で交代のチャンスはどこで巡ってくるか分からないが、もし機会が巡ってピッチに立ったら、もう一度、あの痺れるようなダイビングヘッドを見せて、ホーム・瑞穂のサポーターを沸かせて欲しい。ともかく今日は、“勝つ!”、その言葉だけを心に刻んで、戦って欲しい。
3時50分、じっくりと芝の感触を確かめながらボールを蹴った選手達は、足早にロッカーへと姿を消していった。
キックオフ前、通算100試合出場となった中谷選手へ、花束が贈呈されました。
前 半
右にエンドを取った神戸に対し、左から右へと攻め上がる名古屋のボールで前半がキックオフ。
名古屋は、GK川島、DFは右から角田・秋田・海本(慶)・中谷、MFは、右から中村・山口・吉村・岡山、そして、FWはウェズレイ・マルケス、という布陣だ。
1分、早速左サイドで神戸・藤本がレアンドロンに当てて上がって行くと、ゴール前へ上げて行く。ファーサイドから播戸がヘディングに来たが、これは中谷が上手く体を入れてゆく。
【得点】
2分、右のスペースに出たボールを貰ったウェズレイが外からシュートを狙うが、これはポストの左に外れてしまう。そして、右で山口が縦のスペースに出したボールを中村が中へとハイボールを折り返して行くと、ファーサイドから飛び込んだマルケスでダイレクトで合わせて押し込み、見事1点先制。幸先のスタートを切る。
4分、自陣で中村が不用意に出したパスを神戸・レアンドロンに奪われると、これをそのままロングシュートに来るが、ボールは力無く川島の元に届く。
6分、右サイドで神戸・播戸が、森からのパスを受けて中へと入ってくるが、ここは海本(慶)が上手く体を入れて、ボールを奪う。
7分、左に上がって行く神戸・レアンドロンがゴール前へマイナスに入れてくると、これを播戸があわせに入ってくるが、吉村がヘディングでボールをカットして行く。
8分、右からドリブルで、神戸・ホージェルをかわして中へ入ってきた中村の縦へのスルーパスにウェズレイが飛び出すが、僅かのタイミングで旗が上がりオフサイドに。
11分、神戸・川本が右からDFの裏へ入れてこようとしたが、これは角田がしっかりとボールを押さえる12分、右からのCKのチャンス。ウェズレイが短く出して、寄せてきたマルケスに繋ごうとしたが、これは神戸・北本にボールを奪われてしまう。
13分、神戸の右からのCK。藤本のボール前へのボールに外から入っていた北本が合わせるが、ボールは右に外れる。
14分、自陣で中村がボールを持つと、左サイドを上がって行く岡山に繋ぐ。これを持ち上がって行くと、相手DFが寄せてきて中へ入れられないと見て、一旦切り返して、右足で鋭いボールをファーサイドへ蹴っていったが、詰めていったウェズレイには届かず。
16分、岡山が相手DFの間に出したボールを受けたウェズレイがそのまま右に流れながらシュートに行ったが、惜しくもポストに左に外れてしまう。
18分、ここで岡山が相手選手のファウルで倒れ、ピッチの外へと連れ出され、1人少ない状況となる。
19分、吉村がマルケスに当てて左サイドを上がって行くが、これはついてきたマルケスにパスを通そうとしたところを狙われ、パスを奪われてしまう。
20分、岡山が無事ピッチへと戻る。大事には至らなかったようだ。
21分、左サイドのスペースに縦に出たボールを貰ったマルケスがそのまま持ち上がってギリギリ角度のないところでシュートに行ったが、このボールは相手GKがキャッチしてしまう。ピッチ上は、上空のたれ込めた雨雲の影響か、風はほとんど無く、蒸し暑さが充満している状況だ。
23分、相手陣内中程でパスを受け前を向いたウェズレイが右に抜け出した岡山に狙ってスルーパスを出そうとするが、これを読んだ相手DFの足にカットされてしまう。
25分、中央を相手パスをカットして上がって行こうと角田が縦に出したボールが主審の足に当たり、これが神戸・小島へのパスとなってしまう。このボールをエリアの外からシュートを打ってきたが、ポスト左に外れ、危ない場面を救われる。
27分、右サイド深い位置でボールをキープして中へと入って行こうとした中村だったが、ボールを奪いに来た相手DFへのファウルを取られてしまった。
29分、右にポジションを代わってた神戸・レアンドロンが縦に播戸へと出して行くと、これをDFをかわして入ってこようとしたが、ドリブルのボールを秋田がしっかりとクリアしてゆき、シュートに持って行かせなかった。
31分、左サイドをドリブルで、神戸・森と競争しながら上がって行くと、中へとクロスを入れて行こうとしたが、このボールは精度が悪く、相手GKの正面に行ってしまう。ここへ来て雲の間から晴れ間が見え始め、ピッチに選手達の影を落とすようになる。
33分、右で角田からのパスをもらいに下がってきたウェズレイがワンタッチで縦に流して行くが、これは中村が追いつけず、相手ボールに。
34分、自陣深い位置で神戸・ホージェルのスローインのボールをダイレクトでレアンドロンがDFの裏へと入れてくると、このボールに播戸が抜け出してきたが、頭の上を通り越して行く。
35分、中央をドリブルで持ち上がってきた神戸・藤本の裏へのボールを飛び出したレアンドロンがシュートにくるが、ポストの左に外してしまう。
37分、自陣左中程での神戸のFK。これを藤本が低いボールを入れてくると、コースにいた吉村が空振りするが、その後ろにいた海本(慶)に当たり、救われる。
39分、左のスペースへ上がってきた神戸・丹羽のパスを受けたホージェルがゴール前へと入れてくると、これをシュートに来るがDFが上手く体に当てCKに。左からのCKは藤本の出したボールを小島がミドルシュートに来るが、クロスバーの上へ外れる。
41分、右にサイドチェンジしたボールを受けた角田がこれをも自ら持ち上がって行くが、体を寄せてきたホージェルへのファウルを取られ、チャンスに繋げる事が出来無かった。
43分、右からの神戸のCK。藤本のファーサイドへのボールは中村がクリア、左からのCKに変わる。
44分、左からの藤本のファーサイドへのCKのボールは守備に戻っていたウェズレイが頭で弾き出して行く。
ロスタイム1、相手陣内深くやや左ペナルティエリアのすぐ外でFKを得る。この場面でウェズレイの直接狙ったボールは惜しくも壁に当たって弾かれてしまい、追加点を奪うことは出来なかった。そして、ここで前半が終了。開始早々のマルケスの得点で好スタートを切ったが、神戸の浅いDFに次第に押し込まれ、全体に下がってしまい、名古屋がカウンターを狙って行くという展開となってしまう。後半は、暑さから運動量が両チームとも落ちてくるとは思うので、早い時間で追加点を挙げ、流れを上手く引き寄せて、試合の主導権を握りたい。
後 半
エンド入れ替わって、左から攻め上がる神戸のボールで後半開始。br1分、中央で藤本が縦に入れてくるが、ここは抜け出そうとしたレアンドロンの前に秋田が上手く体を入れて、阻止する。
2分、左に上がってきた神戸・ホージェルがDFの裏へと出すと、これに播戸が抜け出してくるが、球足が速く追いつく前にゴールラインを割る。
4分、名古屋1人目メンバー交代:吉村→ヨンデ
先ほど相手DFとの接触で負傷した吉村がここでピッチを去ることに。監督としては早すぎる交代と思われるが、彼にはその分がんばって貰おう。
6分、左のスペースに出たボールを拾って寄せてきたマルケスに繋ごうとしたが、ボールが流れてしまい、相手に奪われてしまう。
9分、左出たてパスに神戸・ホージェルが抜け出してこようとしたが、角田・中村がこれはしっかりと押さえに行く。
11分、左深い位置でのスローインのボールを受けた神戸・レアンドロンのパスをゴール正面で受けた播戸がヘディングシュート。しかし、これはポスト左に外す。
12分、左から中へ入っていた中谷がウェズレイに当てて縦に抜け出して行くが、相手DFにボールをカットされてしまう。
13分、右からの中へのパスを貰った神戸・藤本がそのまま振り向きざまにシュートに来るが、これは大きく左に外れる。
14分、自陣左中程での神戸のFK。藤本のゴール前へのボールに神戸・河本が飛び込んできた川島がパンチングで弾き出す。
15分、名古屋2人目メンバー交代:岡山→森山
ここでスタジアムの雰囲気がガラリと変わる。この勢いで早く追加点を奪って欲しい!頼むぞ、森山!!16分、早速左に上がってきたマルケスからのボールに反対で待っていた森山が頭で合わせに行くが、このボールは届かず。
18分、神戸・土屋からのDFの裏へのボールはレアンドロンがオフサイド。
19分、左でマルケスが鮮やかに相手DFをかわして上がって行くと、中へと入れて行く。このボールに飛び込んで行くが、これは相手GKが押さえてしまう。
20分、神戸1・2人目メンバー交代:川本→藪田、森→朴
21分、相手DFの上がっていたDFの裏へドンピシャリで飛び出して行った森山が、GKと1対1になるが、最後シュートを慌てたのか、GKに弾かれてしまい、決めることが出来なかった。
22分、神戸の右からのCK。藪田のボールをレアンドロンが頭で合わせてくるが、これも川島が上に弾き出し、右からのCKが続く。ニアへの藪田のボールはヨンデがカットする。
24分、右サイド縦に出たボールを神戸・レアンドロンが拾って中へと入れてこようとしたが、マークについた海本がこれを押さえ込み、GKにする。
26分、中央をドリブルで上がった中村からの左へ出たボールをマルケスが上げて行くと、ウェズレイがこれを頭で合わせに行くが、惜しくもクロスバーの上へ。ファーサイドからは森山も上がってきていただけに、もったいなかった。
【失点】
27分、左からの神戸のCK。藤本のカーブのかかったボールにタイミングをずらされると、中央でフリーのホージェルに頭で押し込まれてしまい、なんと同点とされてしまった。
【得点】
29分、しかし、左のスペースに出たボールを中村が角度のないところからゴール右に狙ってシュートを奪い返し、すぐに神戸を突き放す。
【失点】
31分、神戸・小島からの縦パスに抜け出した播戸が左足で豪快に放ったシュートがゴールに突き刺さり、またしても神戸に追いつかれてしまう。
32分、左でボールを持ったマルケスが下がりながらDFの裏へと出すと、これにタイミング良く飛び出した森山のダイレクトで合わせた左足のシュートは相手GKのキャッチされてしまう。
33分、神戸の左からのCK。ゴール前の藤本のボールはDFに当たり、右からのCKに変わる。今度は藪田が、上がっていた土屋にあわせて蹴ってきたが、これは海本が押さえ込み、前には打たせなかった。
34分、名古屋3人目メンバー交代:角田→藤田
36分、自陣左入ったところでの神戸のFK。藤本がゴール正面に入れてきたが、あわせたホージェルのヨンデへのファウルでマイボールに。
37分、自陣中程中央での神戸のFK。これをレアンドロンがゴール右に狙って直接打ってきたが、右に流れポストの外へ。
38分、右で粘りながらもウェズレイが中へと入れて行くが、左から入っていったマルケスが合わせる前に、飛び出したGKにこのボールを弾かれてしまう。この時間帯になると、両チームの選手の動きが悪くなり、中盤にスペースが出来、神戸は長いボールを前線に出すようになる。
42分、相手ゴール正面中程で山口からのパスを受けて前を向いたところでウェズレイが倒され、FKを得る。これを直接狙って蹴っていったが、ボールの抑えが効かず、クロスバーを越えていってしまう。
43分、左からドリブルで持ち込んできた神戸・レアンドロンのシュートは秋田がはじき返す。
44分、自陣でボールを奪った藤田の左のスペースへのボールをマルケスが拾いに行こうとしたが、これは相手DFとの競り合いで倒してしまう。
神戸3人目メンバー交代:播戸→三浦
ロスタイム1、自陣中程エリアのすぐ外左寄りの位置で神戸にFKを与えてしまう。これを神戸・小島がゴール右上に狙って蹴ってきたが、川島が好セーブでこれを弾き出す。
ロスタイム2、神戸の右からのCK。藤本が入れたボールを大きく縦にクリアしたところで、主審の長い笛が鳴り、ゲームは終了を迎えてしまう。後半は追いつかれながらも、中村の逆転ゴールで突き放し、森山投入効果で上手く切り替えられたかに思われたが、結局、再度追いつかれてしまい、2−2の同点で試合終了。残念ながらホーム最終戦は勝利で飾ることは出来なかった。最後まで応援ありがとうございました。

試合終了後、先日引退を発表した森山選手が、ゴール裏席へ挨拶に。
次回、ナビスコ杯・G大阪戦(7/17)が最後のホームゲームとなります。