2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第14節
午後6時40分、屋内練習エリアでじっくりとウォーミングアップを行った選手達は、汗をタップリと浮かべながら、ピッチに登場。名古屋のサポーターからの暖かい声援に迎えられる。
青く晴れ渡った青空も、西に傾いた夕日に染められて茜色に刻々と表情を変えて行く。ピッチ上はさわやかな涼風が吹き抜け、サッカー観戦にはもってこいのコンディションになった。
各選手達は、いつものように思い思いにボールを操り、芝の感触を確かめている。前節試合に出られなかったウェズレイは、赤いスパイクで気合いの入った表情で強烈なシュートを打っている。兄に代わって前節初先発となった、弟・ジョルジーニョが良いプレーを見せただけに、兄として、そしてチームの顔として、今日は絶対に決めてやるぞと言う雰囲気が、外から見ていてもひしひしと伝わってくる。彼には、チームの記念すべき200勝を飾る、華麗なプレーとゴールを見せて欲しいと思う。
6時50分、約10分程の練習を終えた選手達は、1人、また1人とピッチを後にしていった。どの選手も気合いの入った表情を浮かべて。
前 半
今日はFC東京がホーム最終戦と言うことも合ってか、試合前から相当力が入っている。br左にエンドを取った東京に対し、右から左へと攻め上がる名古屋のボールで前半がキックオフ。
ネルシーニョ監督は、GK川島、DFは右から海本(幸)・秋田・海本(慶)・中谷、MFは右から中村・角田・山口・岡山、FWはウェズレイ・マルケスという、予想された通り、4バックで臨んできた。
1分、左からの東京のCK。東京・馬場のゴール正面へのボールには誰も合わせてはこなかった。
2分、DFの間に岡山が抜けだして、右足でシュートに行ったが、これは枠には行かず。
3分、自陣からの海本(慶)の長いボールを中村が落としたところに、取りに行ったウェズレイがDFに倒されたが、これはファウルをもらえず。
5分、左サイドで中村が縦に出したボールを山口がヒールで落としたボールを拾ったマルケスが右のスペースにウェズレイを走らせたが、これはボールが長すぎてしまう。
6分、左のスペースのボールをマルケスが拾うと、これを寄せてきた岡山に戻して行く。このボールをダイレクト中へと入れていったが、相手DFに当たって弾かれてしまった。
7分、相手ペナルティ中央で岡山がボールを持つと、左に開いたマルケスにパスを繋ぐ。これを中央へと流し込んでいったが、岡山はDFに前を阻まれもらいに行けず。
8分、左サイドに上がってきた東京・戸田のラインギリギリからの中への折り返しは、東京・ルーカスが中で詰めていたが、秋田がこれをきっちりとカットして行く。
11分、自陣右入ったところでの東京のFK。東京・馬場がゴール前へ入れてくるが、中谷が頭でクリアして行く。
13分、右サイドに長いボールを入れて、東京・ルーカスを走らせるが、マークについた秋田が、頭でボールを跳ね返して行く。
14分、中央でドリブルしてきた東京・馬場の縦にシュート気味のボールに、東京・戸田が抜けてきて合わせようとしたが、ボールには触れられず、川島が正面でキャッチ。
16分、左からのCKのチャンス。ウェズレイの短く出したボールをマルケスが戻すと、これを中へと入れて行こうとしたが、寄せてきたDFに当たって弾かれてしまう。しかし、こぼれ球に岡山が詰めて左足でシュートに行こうとしたが、上手くボールが当たらず、相手ボールになってしまう。
17分、右の前線のスペースへの出たボールを、ルーカスが拾って中へと入ってこようとしたが、ここは角田がしっかりとついて行って、中谷とのサンドウィッチでボールを奪う。
18分、右サイドで海本(幸)からの縦パスを拾ったウェズレイが上がって行くと、中へとパスを入れていったが、これには誰も応えられなかった。
19分、右からドリブルで中へと流れてきた東京・徳永が左足で外からシュートを打ってくるが、威力はあったものの、枠には届かず、ポストの右に外れる。
21分、左サイドで下がってきてボールを中谷から受けたマルケスが、右のスペースへ大きく出して行くと、中村が相手DFと競り合いながら抜け出そうとしたが、ボールを拾いには行けなかった。
23分、相手陣内右入った位置でのFK。ウェズレイが早いボールをマルケスの足下へ出すと、これをダイレクトでDFの裏へ抜けようとしていた中村へと出そうとしたが、オフサイドを取られてしまう。
24分、相手陣内深く右よりの好位置でFKを得る。このセットプレーのチャンスは狙って行きたい。ウェズレイが早いボールを相手ゴール前へと入れていったが、DFに頭ではじき返されてしまい、このチャンスを生かせなかった。
26分、左サイドでボールを持った中谷が中へと早いボールを入れて行くと、ニアにいたウェズレイがワントラップしてDFをかわして縦に抜けようとしたが、このボールは相手に当たって流れてしまった。
28分、右の中村が戻したボールを角田が縦に出して行くと、これを海本(幸)が追いかけるが、ボールには追いつけず。
29分、右から東京・鈴木がゴール前へ低いボールを入れてこようとしたが、ここも秋田が頭ではじき返し、チャンスにさせなかった。ここまでは両チームとも一歩も譲らず、東京は前へ前へと攻め上がりを見せ、名古屋はこれを固い守備でしっかり押さえると言う、持ち味を出した正にがっぷり四つに組んだ展開だ。
33分、右からドリブル出たてに抜け出そうとした東京・鈴木を倒して、中程の位置でFKを与えてしまう。東京・徳永のボールを上がってきた今野がヘディングで流し込んでくるが、これは川島が正面で落ち着いてキャッチ。
35分、右で縦のボールを前に弾いた海本(慶)のボールが東京・三浦の前に落ちると、これを中へと入れてくる。東京・ルーカスがこれを受けて左足でシュートを狙いに来るが、コースに入った海本(幸)がこれをクリアして行く。
37分、自陣右中程での東京のFK。馬場のゴール前へのボールは角田が頭でクリアして行く。
38分、左からの東京のCK。馬場のゴール前のボールは川島がパンチングで縦に弾いて行く。
39分、自陣でのこぼれ球を拾った中村が、縦にカウンター狙いの早く長いボールを出して行くが、走っていったマルケスには届かず。
40分、左に流れた東京・ルーカスがゴール前へとあげてきたが、これはDFがはじき返すと、このボールを拾ってカウンターに。左に持ち上がった山口からの縦のボールを、ドリブルで更に持ち上がるとマイナスに入れて行く。ファーサイドのウェズレイが強引に合わせたが相手GKの正面に。
【得点】
43分、マルケスがキープしたボールを中村が受けると、左に上がってくる岡山の前のスペースに絶妙のパスを出す。これに走り込んだ岡山が落ち着いてこれを相手ゴールに流し込み、見事、先制点を挙げ、監督の期待に応える働きを見せる。
44分、左サイドをドリブルで持ち上がってきた東京・今野のゴール前へのクロスは精度を欠き、GKに。
ロスタイム1、約1分のロスタイムだったが、名古屋のメンバーは良い時間帯で先制できたことで、落ち着きを見せ、慌てることなくボールを回して時間を過ごす。後半は、東京は何とか追いついてこようとして、より一層攻撃を厚くしてくるはず、名古屋としては、これを逆手にとって相手の背後にできたスペースを狙って、さらなる追加点を奪って行きたい。
後 半
前半は、東京がFWルーカスをトップにおいて、両サイドからボールを入れてくるが、DF陣が落ち着いてこれを凌ぎ、ほとんど危ない場面を作らせることはなかった。後半もこの高い集中力で東京の攻撃を押さえ込んで、何とか無失点で試合を終えたい。
エンド入れ替わり、右から攻め上がる東京のボールで後半が始まる。
1分、左に出たボールを東京・戸田が中へと入れようとしたが、ここはついていた海本(幸)がこれをはじき返す。
2分、左で東京・馬場の縦パスに抜け出した戸田が中へと入れてこようとしたが、このボールはそのままゴールラインを割る。
3分、右の中程の位置での中村からのスローインのボールを縦に落として抜け出そうとしたウェズレイだったが、マークについていたDFへのファウルを取られてしまう。
5分、中央からドリブルで上がっていった岡山からの右のスペースへのボールを拾った中村が中へとクロスを上げて行くが、これはボールが大きく、ファーサイドに詰めたウェズレイの頭を越えてしまう。
【得点】
6分、角田が持ち上がったボールが相手DFに当たり、更にこれが角田に当たってこぼれたところを、フリーで拾ったマルケスが落ち着いて相手ゴール右隅にシュートを放り込み、2点目が決まる。
10分、東京1人目メンバー交代:戸田→梶山
11分、自陣左中程での東京のFK。馬場がゴール前へ入れてこようとしたが、精度を欠いたボールは大きくゴールを越えて行く。
13分、相手陣内で1人かわして縦に抜けたマルケスがエリアのすぐ外で倒され、絶好の位置でFKを得る。
14分、東京2人目メンバー交代:馬場→阿部
このFKをウェズレイが直接狙って蹴っていったが、ボールの押さえが効かず、クロスバーの上を抜けてしまう。ネルシーニョ監督は、相手がFWの枚数を増やして2トップにしてきたことで、早速3バックにシステムを変更する。
【失点】
18分、東京・ルーカスがハーフウェイライン近く左でパスを受けると、ドリブルでそのまま持ち込み、最後中央へ切れ込んでDF陣をかわすと、そのままシュートを決めてしまい、個人技からの得点を決められてしまう。
20分、中央でマルケスがボールを持つと、右に上がる海本(幸)を待ってパスを出して行く。これを中へと入れていったボールをダイレクトで合わせたマルケスのボレーシュートは僅かに右に外れてしまう。
21分、自陣左深い位置で相手選手を倒してしまい、エリアのすぐ外という危険な位置でFKを与えてしまう。東京・梶山の横へのボールに中央で詰めてくるが、シュートを打てず、このピンチを逃れる。ここで、相手が攻撃の選手を更に増やしてきたことで、4バックにシステムを戻す。何とかして同点に追いつこうという東京の気迫にここは押されないよう、落ち着いて守って行きたい。
24分、右のスペースに出たボールに追いついたウェズレイだったが、右足での強引なシュートは枠には行かず。
25分、相手陣内左深い位置で岡山が倒され、今度は絶好の位置でのFKを得る。
26分、ウェズレイがこれを直接狙って蹴っていったが、相手GKの正面だった。
東京3人目メンバー交代:三浦→宮沢
28分、左サイドで競り合いからのこぼれ球を代わって入った宮沢が中へと入れてこようとするが、このボールは右に流れる。
29分、東京の左からのCK。宮沢のファーサイドへのボールは上がっていたジャーンが頭で中へ折り返したボールを川島がキャッチ。
【失点】
30分、左からの東京のCK。短く出したボールを繋がれると、最後ゴール前のこぼれ球に詰めた茂庭に押し込まれ、2点目を奪い返されてしまう。壮絶な奪い合いとなってきたこの試合。地元サポーターの後押しも合ってか、東京がこぼれ球を拾ってどんどんと押し込んでくるようになる。
31分、左からの東京のCK。ゴール前への宮沢のボールを詰めていた阿部がオーバーヘッドを狙ってくるが、これは危険なプレート見なされ、ファウルに。
33分、東京・鈴木の右からのゴール前へのボールがポストに当たって中へと弾かれると、押し込まれそうになるが、川島が正面にはじき返し、このピンチを救う。
34分、名古屋1・2人目メンバー交代:岡山→渡邊、山口→ヨンデ
35分、中央をドリブルで上がって行く中谷の右へのボールをもらった中村のシュートは相手GKが先に弾いてしまい、詰めてきた選手には届かず。
36分、右からのウェズレイのCKは相手GKにはじき返されてしまった。
【失点】
37分、東京・金沢のスローインのボールを受けた東京・ルーカスが中へと持ち込んみシュートを決めると、ついに逆転を許してしまう。こうなったら早く気持ちを切り替えてゆきたい。
38分、海本(幸)からのパスを中央で受けた渡邊が縦に行こうとしたところを相手DFの早い出足にボールを見失い、奪われてしまった。
40分、名古屋3人目メンバー交代:中谷→ジョルジーニョ
41分、相手DFの裏へのボールにジョルジーニョが追いかけてゆくと、伸ばした足でゴール前へと上げて行く。これをマルケスが合わせようと飛び込んでいったが、相手GKと衝突、はじき飛ばされてしまう。
43分、右サイドで海本(幸)のスローインを深い位置で受けた中村が縦に抜け出して行こうとしたが、ハンドを取られてしまう。
44分、自陣からのヨンデのDFの裏への長いボールに前のブラジル人3人が追いかけるが、ボールが流れてしまい追いつけず。そしてここでロスタイムは3分の表示。何とかして最低でも同点に追いつきたいところだ。
ロスタイム1、川島からの長いボールが相手陣内でこぼれるが、これは相手DFに弾かれてしまう。
ロスタイム2、自陣左深い位置でのFKを与えてしまう。しかし、東京の選手は残り時間を考えて攻め急がず、短く出して、時間を稼ぎに来る。そして、主審の長い笛がスタジアムに鳴り響くと、名古屋は後半の東京の猛攻に屈する形で3失点を献上しての、逆転負けを喫してしまう事に。最後まで応援ありがとうございました。