2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第12節
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午後3時5分過ぎ、名古屋のサポーターの大声援と、浦和のサポーターの大ブーイングの中、名古屋の選手がピッチにウォーミングアップに現れる。既に屋内でいくつかのメニューをこなしたようで、どの選手も汗びっしょりの、しかし、引き締まった表情での登場だ。
ピッチに散らばった選手達は思い思いにボールを蹴りながら芝の感触を感じている。ウェズレイ・マルケスも、今日は表情が硬い。彼らにかかる責任はこれまでの以上に高いはず。DF陣がどれだけがんばっても彼らの活躍無くして、チームの勝利はあり得ない。サポーターからの声援の声がかかる時でも、アウェイのスタンドからは一際大きなブーイングが沸き起こる。
しかし、そんな音もすれば思い雰囲気の中だが、中谷は・海本(幸)の2人はいつもながらの落ち着いた表情だ。この2人のプレイもFW2人を生かすために最も重要となる。好調を維持し、颯爽とした表情でボールをさばいている中村とともに、チームの攻撃のアクセントとしての、切れの良いプレーで浦和DF陣を驚かせて欲しい。
そして、ともかく今日は絶対に勝つ、これしかない!
前 半
選手達が入場してくる頃になると、突如、豊田スタジアムの上空には黒い雲が立ちこめはじめる。これから波乱が起こることを予想させように。
右にエンドを取った浦和に対し、左から右に攻め上がる名古屋。前半は名古屋のキックオフで試合開始。GKは川島、DFは右から大森・秋田・海本(慶)、MFは、右から海本(幸)・角田・吉村・中谷、トップ下に中村、FWはウェズレイ、そしてマルケスの布陣で臨む名古屋。
1分、早速海本が縦の上がりを見せCKを得る。右からのCKはウェズレイがニアに蹴って行くが、DFが弾くと、これを拾ったウェズレイがゴール前へと放り込んで行く。しかし、これは相手GKが直接キャッチ。
2分、ハーフライン近くで浦和・闘莉王が縦に田中(達)を走らせようと大きく蹴るが、これはオフサイド。
4分、右に上がってきた大森が前線にボールを出して行くと、これにマルケスがもらいに行ったが、このボールはゴールラインを割ってしまう。
5分、右から浦和・山瀬がドリブルで入ってくると、エリア内で右足でシュートにこようとしたが、DFがこれは足で阻む。
7分、自陣右すぐのところからの浦和のFK。浦和・山田のゴール前への長いボールにファーサイドから闘莉王が凄い勢いで飛び込んできたが、このボールは頭には届かず。
8分、浦和・長谷部が右から中へと放り込んでくるが、これは大森が田中に届く前にこれをカット。
10分、吉村がドリブルで上がって行くが、深い位置まで追いかけてきた浦和・三都主にボールを奪われてしまう。
11分、右サイドでボールを持った浦和・田中が中へと入ってこようとしたが、ここはマークに突いていた中谷がこれを押さえきる。
12分、相手陣内中程ほぼ中央でのFKを得る。これをウェズレイが長い距離を助走をつけて蹴っていったが、壁に弾かれてしまった。こぼれ球は流れを切るために角田がミドルシュートに行ったが、大きく枠を越えてしまう。
14分、先ほどと同じような自陣右すぐのところでの浦和のFK。今度も山田が上がってきた闘莉王を狙って蹴ってきたが、これも届かず。
ここまでは、どちらかといえば浦和が押し気味で、名古屋はその裏を狙ったカウンター攻撃を仕掛けるという状況だが、どちらも決定的な場面はほとんど作れてはいない。
17分、右に流れていた浦和・三都主が中へと入れてこようとしたが、これに海本(幸)がしつこく行ってボールをこぼさせると、これは大森が奪い去る。
18分、中谷からの縦パスを貰ったウェズレイが、逆を突いて縦に抜けるマルケスに出して行こうとしたが、このボールは読まれてしまい、カットされる。
20分、相手エリアすぐ近くで中村からのパスを受けたウェズレイが反転しようとして倒されるが、この場面はファウルは取ってもらえず。
22分、右に上がっていた角田に繋ごうと中からパスが出てくるが、これは間にDFに体を入れられ、ボールに触ることが出来なかった。
23分、左からドリブルで上がってきた浦和・平川の折り返しは大森がクリア。
24分、左からの浦和のCK。三都主が長谷部に合わせて入れてくるがこれはDFがしっかりと見てカットして行く。
25分、相手のCKのこぼれ球を海本が持ち上がりカウンターに。中村がパスを貰って更に上がろうとしたが、相手選手のファウルを受け倒されてしまい、このチャンスをつぶされてしまう。
26分、右からのパスをゴール正面で受けた三都主がDFの逆をついて右にはたくとこれを田中がシュートに来るがこのボールは川島の正面。
27分、左からのCKのチャンス。ウェズレイが短く出したボールを受けたマルケスが戻すと見せかけて反転して入って行くと、ゴール前に上げて行く。ファーサイドに詰めてきた角田がこれに飛び込むが、僅かに届かず。
28分、相手陣内中央でボールを持って前を向いたウェズレイ。ドリブルで上がってゆくと、そのままエリアの外から果敢にシュートを狙うが、ボールが上手く当たらず、簡単に相手GKの正面へ。
相変わらず一進一退の攻防が続き、ボールが落ち着く時間は全くと言っていい程ない。名古屋のサポーターは、早く自分たちのチームが1点を決めて欲しいと、声を枯らさんばかりの勢いで声援を送り続けている。
32分、自陣右すぐの一での浦和のFK。山田が長いボールを入れてくるが、これは誰も詰めてこず。
33分、相手エリアすぐ外でボールを持ったウェズレイが右にとはたくと、中村がこれをダイレクトで中へ入れて行く。相手DFと競り合いになるがこれを弾かれそうに。しかし、こぼれ球を拾ったマルケスがDFの裏へ入れると、これに上がっていた海本(慶)が飛び込むものの、飛び出した相手GKに先にボールを押さえ込まれ、押し込むことが出来なかった。
35分、右に出たボールを中村が折り返して行くと、ニアにいたマルケスが押し込もうとしたが、これは相手DFの伸ばした足に当たってしまい、惜しくも弾かれて、枠には届かなかった。
37分、海本からのスローインのボールを中村が縦に出して行くが、このボールは前線にいたウェズレイには届かず。
38分、自陣中央入ったところでの浦和のFK。山瀬が流したボールを三都主が入れてくるが、これは秋田が頭ではじき返す。
40分、右サイドを独特のステップで三都主が中谷・海本とかわして入ってくると、最後シュートを川島の頭越しに入れてきたが、これはしっかりと反応した川島が指先に当て弾き出す。
41分、自陣からのカウンターでマルケスがドリブルでエリア内へ入って行こうとしたところを引っかけて倒し、浦和・坪井が退場になる。
43分、相手陣内深く右よりの好位置でのFKのチャンス。ウェズレイがこれを狙って蹴っていったが、相手の壁に当たって弾かれてしまう。
44分、浦和・平川が三都主の出したボールを左に持ち上がると、ゴール前へと入れてくる。これを田中がヘディングで合わせると、ボールは枠へと飛んでくるが、ここでも川島が横っ飛びで好セーブを見せこのボールをキャッチ、チームのピンチを救う。
ロスタイム1、今度は左からスピードに乗ったドリブルでエリアに入って行こうとして倒されたマルケス。この場面でFKのボールを横に流すと、これに反応したマルケスの左足でのシュートは相手DFに弾かれてしまい、押し込むことは出来なかった。
ロスタイム2、左からのCK。ゴール前と入れたボールはDFに弾かれるが、こぼれ球を中谷が持ち込むと、DFをかわしてエリア内へ侵入。マイナスに折り返すが、ここは浦和DFの集中力に押される形で、誰も詰め切れず、浦和の選手にボールを大きくクリアされてしまった。そして、ここで前半が終了。息つく間もなく、あっという間に過ぎた45分だったと言える。浦和が1人少なくなってからは、何度か押し込んでいったが、相手DF陣が踏ん張り、なかなか決めきれず無得点のまま、前半を折り返すことに。しかし、後半はこのアドバンテージをうまく生かして、早い時間帯に得点を決め、試合の主導権を握りたい。後半も目が離せない。
後 半
前半から、両チームの特長を生かした攻撃でスタジアムのサポーターを沸かす展開が続いた。しかし、1人少なくなって、人数で優位に立った名古屋。後半は、前半とは逆に、攻撃的にいって、相手陣内へ押し込み続け、早く先制点を奪いたい。
エンド入れ替わり、右から左に攻め上がる名古屋。後半は左から攻め上がる浦和のキックオフで再開。
1分、右に上がってきた浦和・山瀬の横へのボールを反転して田中がダイレクトで枠へと飛ばしてくるが、このボールは川島が正面でキャッチ。
2分、左でマルケスが中村からのパスを前を見ずにダイレクトでDFの裏へと出すと、これに中谷が抜け出していったが、相手DFの早い寄せにボールを奪われてしまい、チャンスを生かせなかった。
3分、中央で前を向いた田中が右から入ってきた山瀬に、縦にパスを入れてくるが、ここはDFがしっかりと体を入れてこれを押さえ込み、シュートまで持って行かせなかった。
4分、右からのCKのチャンス。ウェズレイのボールに角田が合わせるが、これは相手DFに当たって弾かれてしまう。
5分、右で早い縦のボールに田中が拾いに走ってくるが、ここは秋田が伸ばした足でクリアして行く。
6分、自陣中央中寄りの位置での浦和のFK。三都主が直接狙って蹴ってきたが、これは抑えが効かず、大きくゴールを越えて行く。
7分、マルケスが相手DFの裏右のスペースにパスを出すと、これに反応したウェズレイが、GKと1対1になり、右足でシュートに行く。しかし、なんとこれをポストの左に外してしまい、決めることが出来なかった。
9分、右からドリブルで入ってきた山瀬が切り返してシュートを打ってくるが、このボールは川島がしっかりと反応し、はじき飛ばしてゆく。
10分、右からのCKのチャンス。ウェズレイのニアのボールにマルケスが頭で押し込もうとしたが、僅かに右に流れてしまい、決めることが出来なかった。
12分、右から山瀬が個人技で入ってこようとしたが、ここは角田が上手く体を入れて、ボールを奪う。
13分、右に上がった大森からの速い中へのボールをウェズレイがワンタッチで裏へ入れたが、これは誰も反応できず、相手GKがキャッチ。
14分、またしても右でフリーで前を向いたウェズレイドリブルからシュートに行くが、ポストの左に外してしまう。
15分、名古屋1人目メンバー交代:中谷→岡山
16分、右サイドをドリブルで上がってきた山田がマイナスに折り返したボールを受けた三都主が丁寧に狙って行こうとループシュートを打ってきたが、これはクロスバーの上へ。そのまま打たれていたら前が空いていただけに危なかったが、相手に救われることに。
17分、左に開いたマルケスからの折り返しに、吉村が後ろから詰めてミドルシュート。枠に行ったものの、これは相手GKに弾かれてしまった。
19分、自陣深くから海本(慶)が大きく出したボールをマルケスが貰って、吉村に繋いで行こうとしたところでオフサイドに。
【得点】
20分、右に上がってきた大森のボールを受けた中村が前を向くと、相手GKのポジションを見て外からミドルシュートを放つ。これには相手GKは全く反応できず、見事に決まり、ついに先制点を奪う。
21分、浦和の左からのCK。三都主のニアへのボールを上がってきた内舘が押し込もうとしたが、これはコントロールできず、ゴールラインを割る。
22分、中央でボールを持ったマルケスが右に大きく展開。これを中村がダイレクトで中へと入れてゆくと、ファーサイドからウェズレイがフリーで頭から飛び込んだが、ボールはクロスバーの上へ飛んでしまった。
24分、速いドリブルで浦和・田中がエリアの中へと入ってきたが、ここは秋田がしっかりとついてボールを奪う。
25分、浦和1・2人メンバー交代:三都主→永井、山瀬→岡野
浦和は足の速い選手を2人同時に入れ、正にカウンター狙いの布陣に。
27分、海本(慶)の裏へのボールに岡野が早速走ってくるが、これはトラップをミスり、ラインの外へ自ら出してしまう。
【得点】
28分、右サイドを抜け出した岡山が、そのまま自分から打って行くと、右足のシュートが見事決まり、浦和を突き放す2点目が決まる。
31分、右サイド深くに浦和・永井が入ってこようとしたが、ここは角田がしっかりとついて行き、吉村とのコンビで侵入を阻止する。
32分、左から永井が大森を振りきって左足でシュートに来るが、ここは川島がまたしても好セーブを見せ、相手ボールを弾き出す。
33分、右からの浦和のCK。酒井の入れたボールを長谷部が合わせようとしたが、これは頭には届かず。
34分、DFの裏へ走る田中に合わせて縦パスを蹴ってくるが、ここは角田がこれをクリアして行く。
浦和3人目メンバー交代:長谷部→鈴木
35分、名古屋2人目メンバー交代:海本(慶)→藤田
浦和の右からのCK。酒井の入れたボールに闘莉王があわせてくるが、ボールは前には飛ばず。
37分、右からドリブルで強引に中へと入ってきたウェズレイが相手DFと接触して倒れるが、これは逆にシミュレーションを取られてしまう。
39分、浦和・田中が早いボールをDFの裏へと入れてくるが、これは誰も反応できず。マイボールに。
40分、左で岡山からの縦パスを受けたマルケスが、エリアのすぐ外で倒され、絶好の位置でFKを得る。この場面でウェズレイが直接狙って蹴っていったが、これはクロスバーの上へ。
41分、名古屋3人目メンバー交代:マルケス→ジョルジーニョ
43分、右からのCKのチャンス。これをジョルジーニョ短くウェズレイに当てて中へと入れようとしたが、前に出たDFに弾かれてしまった。
44分、中央でボールを受けた岡山が縦にジョルジーニョを走らせるが、ここはDFの体を寄せられシュートには行けなかった。
ロスタイム1、残り時間僅か、名古屋の選手は少しでも時間を稼ごうとゆっくりとしたプレーでボールを繋いで行く。
【得点】
ロスタイム2、右で海本からの縦パスに抜け出した中村がそのまま中へと切れ込んで行くと、そのままシュートを打ち、これが見事決まり、浦和サポーターを打ちのめす、この日自身2得点目を相手ゴールに叩き込む。
ロスタイム3、右サイドの永井からの折り返しを、ファーサイドでフリーで受けた闘莉王がシュートを打ってくるが、これに前に入った大森がボールを枠の外へ弾き出し、チームの失点を防ぐプレイでスタンドを沸かせる。そして、ここで主審の試合終了を告げる笛が響くと、浦和相手に3−0という好ゲームを見せ、見事、快勝する事に。前半は行き詰まる攻防が続いたが、後半からは数的優位をものにした結果が今日の勝利に結びついたと言える。また、何度か浦和にゴールを脅かされるシーンもあったが、GK川島のファインセーブとDF陣の踏ん張りによって、浦和の攻撃を零点に抑えることが出来たのは、今後に繋がる良い勝利と確信できる。最後まで応援ありがとうございました。