2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第10節
午後3時40分、名古屋の選手がピッチへと登場すると、大きな声援が送られる。なかなか快勝を見せてくれない、選手達へのいらだたしさからか、いつも以上に選手を呼ぶ声も大きい。
屋内でアップを先に行ってきたこともあって、選手達の表情はすでに高揚感で満ちており、気合いが入っていることが伺える。しかし、どの選手も気負いではなく、ここ数試合での雰囲気の良さをそのままに、今日の試合に臨んできたという雰囲気だ。
最近の試合でずっと攻撃の起点になるプレーを見せている海本。今日も、練習中から気合い充分なのが伺える。中村と共に、FWの2人を活かすのは彼に掛かっていると言っても間違いない。今日も快足を飛ばして、チャンスを演出して欲しい。
今日のヴェルディには何かと話題に事欠かない。FWエムボマは相変わらず驚異であり、MF三浦、山田と言った選手も油断の油断出来ない選手に数えられる。しかし、そんなことより、なんと言っても、今日の話題は、FW森本がすべてだろう。J最年少のゴールを決め、最年少のプロ選手として契約した、目下、あらゆる意味で話題沸騰の選手である。後半どこかのタイミングで投入されると思われるが、プロの意地で、秋田・古賀、そして楢崎には、彼に厳しさを見せてやって欲しい。
キックオフ直前、リーグ通算100試合を達成したウェズレイ選手への表彰が行われました。
前 半
右にエンドを取った東京に対し、左から右に攻め上がる名古屋ボールで前半開始。
名古屋は、GK楢崎、DFは右から大森・秋田・古賀、MFは右から海本・山口・大野、トップ下に中村、FWはウェズレイ・マルケスの、お馴染みの布陣だ。
1分、右に上がってきた東京・山田の戻したボールを林が中に入れると、これに小林(大)がもらいに来るが、ここは戻った中谷がボールを奪う。
2分、左の東京・米山のボールを受けた小林(大)が縦に出してくるが、ここは大森しっかりとこれをケア、ボールを奪う。予想通り東京は開始から細かくボールを回して、どんどん攻め込んでくる。
4分、相手ゴール正面でウェズレイのトラップが流れ相手に当たって左にこぼれると、マルケスがこれを拾ってそのままシュートに。しかし、これは相手GKが前に出てこれを弾き、ゴールにボールを収めることは出来ず。
5分、自陣入ってすぐゴール正面での東京のFK。三浦が直接狙って打ってくると、これを楢崎が弾く。こぼれ球に詰めてこようとしたが、先に味方DFがこれをクリアして行く。
8分、右の海本の戻したボールを大森がゴール前へと放り込んで行くと、これをウェズレイがトラップで落として、シュートに行こうとしたが、相手DFボールを押さえ込まれて倒されてしまい、打ちきれず。
10分、ボールをもらいに右サイドに下がってきたウェズレイが前を向くと、マルケスが即座に走り出すが、ボールは前に体を入れた相手DFがカットしてしまう。
11分、右からの東京のCK。小林(慶)のニアへのボールを押し込んでこようとしたが、ここはDFがボールを大きく蹴り出して行く。
13分、左サイドをドリブルでマルケスが入って行こうとしたが、マークに付いてきた東京・李に押さえ込まれ、ボールを奪われてしまう。
14分、右サイドの海本が中に流れてきていたマルケスにあわせて、DFの裏へとパスを放り込んだが、これは長すぎてしまい、相手のGKに。両チームとも攻撃の形を作ろうと、色々と仕掛けて行くが、DF陣が集中しており、良い形に出来ない。
17分、相手陣内入ってすぐ右でのFK。これを相手ゴール正面に詰めていた大野にウェズレイが蹴って行く。これをDFをかわしてシュートに行くが、ボールは左に外れる。
【得点】
18分、左サイドで抜け出したマルケスが、自ら持ち込むと、そのまま相手GKの脇を狙ってシュートを放って行く。これが見事右のポストに当たって、ゴールマウスを捕らえ、良い時間帯で先制点が決まる。
20分、右サイド深い位置で、古賀をかわして行こうとした、東京・桜井にファウルをしてしまい、危険な位置でFKを与えてしまう。
21分、東京・三浦が早いボールをニアサイドへと入れてくるが、楢崎が判断良く飛び出して、パンチングで弾き出して行く。こぼれ球を拾った、東京・小林(大)がシュートを打ってくるが、コースに立ちはだかった秋田がこれをはじき返す。
23分、東京の右からのCK。東京・小林(慶)のゴール前のボールは楢崎がジャンプしてキャッチする。
【失点】
25分、自陣中程左の位置での東京のFK。このボールを三浦がゴール前へと入れてくると、東京・ウベダがワンタッチであわせてようと飛び込んでくる。これが楢崎の指先を抜け、そのままダイレクトで決まってしまい、同点とされてしまう。この時、副審はオフサイドの旗を揚げていたものの、主審はこれを認めず、ゴールの判定を下してしまう。ここは選手達は気持ちを切り替えて、ゲームを続けて欲しい。
29分、右からのCKのチャンス。ウェズレイの早いボールは相手DFが頭では軸物の、こぼれ球を遠目から大野がシュートに。しかし、これはクロスバーの上へと外れてしまう。
【失点】
31分、先ほどと殆ど同じような位置での東京のFK 。今度は三浦がクロスバーを狙って蹴ってくると、ボールは枠の中へと弾かれ、追加点が決まってしまう。
32分、自陣深くの位置での東京のスローイン。山田がロングスローでゴール前へと放り込んでくるが、ここは山口がボールに詰め、その後秋田が大きくクリアして行く。
33分、左からのCKのチャンス。短く出したウェズレイのボールを再度戻すと、ドリブルから中へ流れながらウェズレイがミドルシュート。しかし、これは力んだのか、クロスバーの上へ大きく外してしまう。
35分、相手陣内中程ほぼ中央でウェズレイが倒され、FKのチャンスを得る。ウェズレイの蹴ったボールは壁に立った味方に当たってしまい、相手のGKになってしまう。
36分、中央をフリーでドリブルで仕掛けてきた東京・桜井だったが、大野が果敢にスライディングでボールを奪い、ピンチを逃れる。
38分、相手陣内深くでマルケスがDFをかわしてドリブルで上がって行くと、っと目からシュートに行くが、これは相手GKの正面に。
39分、左からのCKのチャンス。ウェズレイが大きく蹴っていったが、このボールは反対に抜けていってしまい、チャンスを活かすことは出来なかった。
41分、タッチライン際へのボールを拾いに行った山口に対し、東京・平本が足をすくって倒してしまい、このプレーで1発退場に。東京は前半で1人少ない形となる。
42分、右にドリブルで上がってきた海本が左足でゴール前へ放り込んで行くと、これにファーサイドから中谷が飛び込んで行くが、惜しくも飛び出した相手GKが先にボールをキャッチしてしまう。
43分、相手陣内深く右でのFK。ウェズレイが早いボールを蹴って行くと、飛び込んだ中村があわせるが、このボールは浮いてしまい、決めることは出来なかった。名古屋としては何とか前半のうちに追いついておきたいところだ。
ロスタイム1、山口のDFの間へのスルーパスに海本が抜け出し、ゴール前へと入れていったが、これは相手DFに弾かれてしまう。
ロスタイム2、東京のGKが大きくゴールキックのボールを出したところで、前半が終了。前半から派手な内容のゲームとなってきた。後半、どんな展開になって行くのか、全く予想が付かない。しかし、名古屋は早い時間帯に追いついて、試合の主導権を引き戻して、試合をものにして行きたい。後半も波乱が見られそうだ。
後 半
前半はマルケスの先制点でスタートし、今日は余裕の展開かと思われたが、まさかのセットプレーからの2失点を喫し、東京を追いかける展開に。しかし、相手選手の退場があって、名古屋は、後半相手より1人多い状況で戦うことが出来る。早く同点に追いついて、試合の主導権を握りたい。
後半はエンド入れ替わり、左から攻め上がる東京のボールで試合が始まる。
名古屋1人目メンバー交代:山口→岩本
ネルシーニョ監督は守備的な選手を1枚減らして、攻撃的な選手を入れ、兆候劇的な布陣で後半を臨んできた。
1分、左のスローインのボールをうけたマルケスが寄せていた岩本に出すと、これをダイレクトでゴール前へ放り込んで行く。しかし、これは惜しくも相手DFが先にカットしてしまう。
2分、左サイドでマルケスが粘ってスローインを奪う。中谷が入れたボールを岩本がダイレクトで今度はゴール右上に狙って蹴っていったが、これは惜しくもクロスバーの上へ外れてしまう。
3分、左サイドで仕掛けようとした岩本が倒され、深い位置でFKを得る。ウェズレイの蹴った早いボールは相手選手に弾かれてしまう。
5分、左で岩本の縦のボールに抜け出したマルケスがゴール前へ入れていったが、これは弾かれてしまう。
6分、東京1人目メンバー交代:桜井→エムボマ
相手陣内中程やや左の位置でFKを得る。サポーターの大声援に応えて岩本が蹴っていったが、このボールは惜しくも、ゴール前の相手選手に弾かれてしまった。
8分、右サイド深い位置に出たボールを東京・エムボマが古賀をかわそうとして仕掛けてくるが、ここは落ち付いてこのボールを奪う。
9分、左からのCKのチャンス。
名古屋2人目メンバー交代:大野→岡山
ウェズレイがファーサイドに詰めていた古賀に当てようと、蹴っていたが詰めていた相手DFに阻まれてしまう。攻撃的な選手をさらにもう1人入れたネルシーニョ監督。何とかして同点に早く追いついて行きたいところだ。
13分、海本が右に抜け出して中へと入れて行こうとしたが、このボールは寄せてきた選手に弾かれてしまう。
14分、相手陣内でボールを持って前を向いた岡山がそのままミドルシュートに行くが、これはクロスバー上へ。
17分、善戦に残っていた東京・エムボマにパスが出ると、これを秋田をかわして抜け出して行こうとしたが、この勝負は秋田が競り勝ち、ボールを楢崎に繋ぐ。
18分、左に開いた岩本に中谷からボールが出ると、これを中へと放り込んでいこうとしたが、寄せてきた選手に阻まれ、ゴール前に入れられなかった。
19分、左に出たボールをマルケスがゴール前へと入れて行くと、ウェズレイがこれをオーバーヘッドシュートを狙ったが、これは空振り。
20分、名古屋3人目メンバー交代:中谷→滝澤
ついに監督は3枚目の札を切って勝負に出た。
21分、左に出たボールをもらった滝澤がそのまま上がって行くと、寄せてきた相手DFに当ててCKを得る。岩本の早いボールにニアにいたマルケスが頭で合わせて押し込もうとしたが、惜しくも右に流れてしまう。
23分、相手ペナルティ周辺でボールを回すと、最後岡山から左の滝澤に。これを中へと入れていったが、相手GKが直接ボールをキャッチしてしまう。
25分、中へと流れてきた岩本からのパスを中央で受けたウェズレイが反転して右足でシュートに行くが、これは上手く当たらず、ポストの左に外れてしまう。
26分、中へと流れてきた岩本のパスを受けた海本がドリブルで縦に上がり、相手DFをかわして入って行こうとしたところで、相手にボールが当たってCKと思われたが、これは相手のGKにされてしまう。
1人少ないが、1点勝ち越していることもあって、東京は殆どの選手が下がって、がちがちの守りになっている。
28分、左からのCK。岩本の出したショートコーナーのボールを滝澤が戻すと、これを岩本がゴール前へと入れて行く。しかし惜しくも相手DFに弾かれてしまい、誰もあわせることが出来なかった。
30分、固い相手の守備に業を煮やしたのか、大森がドリブルからミドルシュートを打って行く。しかし、僅かにボールは高くクロスバーの上に抜けてしまう。
32分、ハーフウェイラインで中村がボールを持つと、相手のDFの裏への長いボールを出して行く。しかし、これは長すぎてしまい、追いつくのが精一杯でチャンスへと結びつけることが出来なかった。
33分、東京・小林(大)がドリブルで左に上がると、ゴール前へと放り込んでくる。これにエムボマが飛び込んでくるが、古賀が体を張ってこれについて行き、これを阻止する。
35分、右から岡山が粘って持ち込むと、ゴール前でこぼれたところにファーサイドから詰めた岩本がダイレクトでシュートに。しかし、これは惜しくも相手DFの正面。
37分、左サイドから右に大きく岩本がサイドチチェンジ。これを受けた中村が中へと入って行きながら、縦へと出して行くが、反応したウェズレイにはボールは届かず。
39分、岡山が左サイドで岩本とワンツーで抜け出して行こうとしたが、相手DFに間に入られてしまい、ボールをカットされてしまった。
40分、左からのCKのチャンス。岩本の入れてきたボールに詰めていた秋田があわせるが、ボールはポスト左に。
42分、相手陣内での浮き球を拾った滝澤がエリアのすぐ外から左足でシュートに。しかし、これはポストの左に外れてしまった。
43分、相手ゴール正面エリアのすぐ外で岡山が反転しようとして倒され、好位置でのFKのチャンスを得る。ウェズレイがカーブの掛かったボールをゴール左に蹴っていったが、これはGKの読まれキャッチされてしまう。
44分、DFの裏へ左から抜けたボールを受けたマルケスのシュートは相手GKに弾かれてしまう。
ロスタイム1、左からのCK。岩本の入れたゴール前へのボールは混戦になるものの弾かれてしまうが、右に流れたボールを再度ウェズレイが持ち込んでゴール前の海本にパス。これをシュートに行くかと思われたが、戻して詰めてくる中村に渡そうとしたが、相手DFに反応され、中村はシュートを打てず。
ロスタイム2、相手ペナルティすぐ外でまたも倒されると、再びFKのチャンスを得る。この場面でもウェズレイが構えると、鋭く曲がるボールを左に蹴って行くが、好反応を見せたGKに弾かれてしまい、これを決めることが出来なかった。そして、ここで主審の試合終了の笛が鳴り、1人少ない東京相手に、1−2で敗れてしまう。しかし、今日の試合の判定に納得のいかない名古屋のサポーターの激しいブーイングがスタジアム中に響き渡り、騒然とした雰囲気に包まれる。納得のいかない判定に振り回される結果で終わってしまった試合。攻撃的に来るはずの東京が1人少なくなったことで引いてしまい、結局、最後までそれを崩すことが出来ず、試合を終えてしまった。しかし、名古屋サポーターにも、選手達にも、全く後味の悪いものとなってしまった今日の試合だ。最後まで応援ありがとうございました。