2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第8節
チームが連勝して波に乗っていることもあって、今日は試合前からサポーターの気合いはかなりのものだ。GWの最終日、彼らの応援を後押しするかのように、瑞穂の上空は時折青空も顔を出すようになる。
午後3時を回って、蒸し暑さも落ち着き、涼しげな風の吹き抜ける、ホーム・瑞穂のピッチでは、選手達が気合いの入った表情で、ウォ−ミングアップを行っている。好プレー見せて監督にきっちりとアピールが出来た、吉村・山口は気負いはなさそうだ。しかし、今年はポジション争いが熾烈を極めているだけに、ちょっと甘いプレーを見せれば後が控えているだけに、彼らも内心は必死のはず。試合が始まったら、今日もその熱い思いの伝わるプレーを見せて欲しい。
DF秋田は落ち着いた表情で練習をこなしているのが印象的だ。これまで、どちらかと言えばチーム内ではムードメーカー、気合いを入れる方の役だったが、今日はどちらかと言えば、楢崎や大森と同じくおとなし目だ。前節での自らのパフォーマンスに納得がいったのか、余裕すら伺える。おそらく彼も他の選手と同様、審判の試合開始の笛が鳴ってからが本番だ、という事なのだろう。その冷静さとは裏腹に、この後どんな熱いプレーを見せてくれるか楽しみだ。
3時15分過ぎ、ウォーミングアップを終えた選手達が1人1人とピッチを後にする。しかし、残された控えの選手達はチャンスが何時来ても良いようにと、先発の選手以上に、力の入ったボールを蹴っている。彼らの交代後プレーもまた楽しみのひとつだ。さあ、今日も快勝だ!きっちりと勝って、快進撃を続けたい。
前 半
午後3時30分、お馴染みの壮大なBGMに乗って、キッズフラッグ隊に迎えられた両チームイレブンが入場してくると、名古屋サポーターの大声援で出迎えられる。遠く新潟から訪れた、熱いサポーターも負けじと声援を送るが、今の名古屋サポーターの勢いの付いた、気合い充分の応援の声には、申し訳ないが勝てることはできない。
右にエンドを取った新潟に対し、左から右へと攻め上がる名古屋のボールで前半が始まる。

開始早々、左でボールを持ったウェズレイにDFが振られると、右にフリーでいた海本がゴール前へと蹴って行く。このボールをファーに詰めていたマルケスが挨拶代わりのヘディングシュート。しかし、これは惜しくもポストの左に。
1分、自陣中程やや右での新潟のFK。新潟・寺川が味方の触ったボールを一旦止めて、これを縦に短く流す。詰めていた山口がDFの裏へ軽く出すと、これに選手を右から詰めさせるが、ここはGK楢崎が体で行って、シュートを弾く。
3分、右からの新潟のCK。ゴール前へのボールは詰めていた選手が触れるものの、そのままゴールラインの外へ。
4分、大森からのパスを受けると、中村がそのままドリブルで上がって行き、ペナルティー内へとパスを入れて行くが、これは流れてしまい相手GKのボールに。
6分、右に流れたボールを海本が受けると、中に来た山口にパスを繋ぐ。これを中村へと繋いで行くと、最後ファーサイドへと蹴って行く。しかし、これには誰も間に合わず相手DFがボールをカットしてしまう。
8分、秋田からの右のロングボールに海本が走って行くが、これは詰めてきたDFにカットされてしまう。
9分、左にドリブルで上がったマルケスが切り返して右足で中へ早いボールを蹴ると、吉村がニアで飛び込むが、これは惜しくも届かず、相手GKがキャッチしてしまう。
10分、左サイドで中谷がマルケスの縦に流したボールをもらって上がろうとしたが、これはオフサイドに。ここまでは名古屋の選手の動きも良く、優位に試合を進めている状況だ。
11分、右に走る海本に中村から絶妙のボールが出ると、これを走りながらダイレクトでライン際から上げていったが、惜しくもボールはラインの外へ。
14分、右サイドを新潟・喜多が持ち込んでこようとしたが、古賀がしっかりと来れに反応、ボールを奪う。
15分、フリーで抜け出した中村が1対1でシュートに行くが、相手GKがこれに好反応を見せ止められてしまい、惜しい先制点のチャンスを逃がしてしまう。
16分、右ゴールラインギリギリのところでマルケスが拾って中へと入れたボールを中央で受けたウェズレイがワンタッチで押し込もうとしたが、これは相手DFに当たってしまい、決めることが出来なかった。
18分、左からのCKのチャンス。マルケスのボールにファーサイドの秋田が頭で合わせようとしたが、これはボールが流れてしまい、押し込むことは出来ず。
20分、相手陣内でマルケスが左から中へと流れながらドリブルで切り返そうとするが、ウェズレイとかぶってしまい、中へと入れて行くことが出来なかった。
21分、中央からドリブルで入っていった海本が左に待つ中谷に渡すと、自ら縦に上がると、中谷がDFの裏へでしたボールを追いかけるものの、僅かにパスが長く、相手GKにキャッチされてしまう。
23分、相手陣内中程で海本の縦パスに抜けようとした中村がファウルを受け絶好の位置でFKのチャンスを得る。この場面でウェズレイがゴール左を狙って蹴っていったが、これは相手GKが直接キャッチ。
24分、左からのCKのチャンス。ウェズレイがニアに早いボールを蹴るとこれをマルケスが頭で中へとそらしていったが、これは相手に弾かれてしまう。しかし、こぼれたところを再度拾ったマルケスが、中央に詰めていた中村に流すが、シュートに行こうとする前に、ボールをカットされてしまう。
26分、先ほどと同じような中程右寄りの位置でFKを得る。今度はDFとGKの間にウェズレイが狙って蹴っていったが、飛び出した相手GKがパンチングで弾き出してしまう。
27分、新潟のカウンター。鈴木がDFの裏へ願いパスを出すと、これにエジミウソンが追いかけてくるが、これは楢崎が落ち着いて処理する。
29分、相手ゴールを古賀が止めてこぼれたところに、ゴール正面エリアの外から新潟・山口がミドルシュート。しかし、これはクロスバーの上へ外れる。
31分、左サイドで中谷の縦のボールにマルケスが追いかけて行くが、これはボールが流れて追いつけず、ゴールラインを割ってしまう。
32分、今度は自陣から中谷が縦に長いボールを蹴ってマルケスを走らそうとしたが、これも長過ぎてしまい、相手ボールとなってしまう。ここまでは名古屋ペースで試合が進んでいるものの、新潟の守備陣が集中していることもあり、名古屋の攻撃陣がしっかりと押さえ込まれているため、なかなか得点が決まらない状況だ。この辺でそろそろ先制点を奪って、ムードを良くして、試合を楽に進めたいところだ。
34分、相手陣内中程左に位置でのFK。ウェズレイが早いボールをゴール前に蹴って行くが、これは相手DFが頭でカットする。
35分、山口のエリアの外からのミドルシュートは相手DFに当たってしまい、ポストの左に外れてしまう。
37分、ウェズレイのボールを奪った山口の左へのスペースのボールを新潟・寺川が受けると、ゴール前へと放り込んでくるが、これは新潟・森田が旅込んでくるものの楢崎が先にボールに行き、しっかりとこれをキャッチ。
39分、相手の厳しいDFに戻ってボールを受けたウェズレイがDFの裏へと抜けだそうと走る山口を狙ってパスを出すが、これは相手DFに山口が倒されてしまい、パスは通じず。
41分、吉村のスルーパスにマルケスが抜け出すと、これを倒れ込みながらも中へと折り返す。しかし、ここは誰も付いてきておらず、ゴール前のボールは相手GKがキャッチしてしまう。
43分、右に居た中村にパスが通ると、これを寄せてきたDFをかわして左足でシュートに行くが、惜しくも相手DFに当たってしまい、右のCKに。ウェズレイがマルケスに短く出したボールを再度受けると、ゴール前へ早いボールを蹴っていったが、これは誰も触れることなく反対に抜けてしまう。
44分、左サイドで粘ったボールを中へと上げていったマルケスのボールに中村がGKと競り合いに行くが、これは高さでは勝てず、ボールを触れず。
ロスタイム1、右のスペースへの長い縦のボールにウェズレイが追いかけて行くが、ここは体を寄せてきた競り合った相手DFへのファウルを取られてしまう。前半はこのまま新潟が名古屋の攻勢を凌ぎきったという雰囲気の内容で終了する。相手の攻撃については、吉村・山口がしっかりと相手へのプレッシャーが効いており、パスをカットする場面も多く、殆どやらせていない。問題は相手の固い守備をどう崩して、得点を挙げてゆくかだ。後半はサイドからの展開をもう少し活かして、相手の守備を揺さぶって、チャンスを作ってゆくことが必要だろう。
後 半
後半はエンド入れ替わり、右から左へと攻め上がる名古屋。新潟のボールで後半が開始。
前半は押し込みながらも、最後のところで新潟の固い守備に阻まれていただけに、欲求不満の残る内容にサポーターも納得いかないはず。後半はこの鬱憤を吹き飛ばすような攻撃で先制点を狙って欲しい。
新潟1人目メンバー交代:寺川→ファビーニョ
1分、右サイド縦のボールに新潟・ファビーニョが走るが、ここは中谷がしっかりとついて行き、中へ入れさせなかった。
2分、右に中村が展開すると、これを海本が持ち上がる。しかし、寄せてきた新潟・安にボールとの間に体を入れられ、中へと繋ぐことが出来ず。
4分、縦パスに抜け出した中村が胸でトラップして上がってゆくと、エリア内で中に上がった来たマルケスにマイナスに折り返すが、これは相手DFに弾かれ、シュートに持ってゆくことはできず。
6分、大森の縦のボールにマルケスが体を入れ替えて抜け出すと、中へと折り返していったが、これは相手DFに先に反応され、弾かれてしまう。
7分、左に抜け出したマルケスの中への折り返しはウェズレイがあわせに行くが、詰めていた中谷と重なってしまい、ボールを弾いてしまう。こぼれ球を再度ウェズレイが拾って、左に抜けるマルケスに出したところで、これはオフサイドに。
9分、新潟の左からのCK。宮沢の蹴ってきたボールは簡単にクリアしてゆく。
10分、右にフリーで抜け出した新潟・エジミウソンが右足で外からシュートに来るが、これは左に外れる。
12分、左のマルケスとからの折り返しにファーサイドから海本が詰めてくるが、これは短すぎてあわせられず、こぼれ球を拾った山口が、吉村へと繋ぐと、再度左にマルケスに。今度は長いボールを入れてゆくが、海本が中に詰めていたためあわせられず。
13分、新潟2人目メンバー交代:森田→上野
14分、相手陣内右中程でのFK。ウェズレイのゴール前へのボールに、秋田が頭で合わせようと飛び込むが、僅かに高く、あわせることは出来ず。
16分、右からスピードに乗ったドリブルでウェズレイがエリア内へ入ってゆくと、相手DFに挟まれて倒されたかと見えたが、これはファウルを認められず。
17分、名古屋1人目メンバー交代:山口→岡山
18分、新潟・喜多のスローインのボールを上野がワンタッチで戻すと、これを再度喜多が持ち上がろうとしたが、ここはオフサイドに。
20分、縦にDFをかわして抜け出したマルケスの中へのボールは詰めてゆく選手がおらず、相手DFがカットしてしまう。
21分、左で中谷が早いボールをゴール前に蹴ってゆくと、海本があわせようとしたが、これは相手DFがカット、CKに。ウェズレイの左からのCKのボールは相手DFがカットしてしまう。
22分、自陣で中村からのボールをもらった岡山が左足で長いボールをDFの裏へ狙って蹴っていったが、ボールが流れてしまい相手GKの正面へ。
23分、海本がドリブルで上がってゆくと、これを中へと入れてゆくが、相手DFの足に当たり、ボールはGKの正面に行ってしまう。
24分、押し込んでいたところをボールを奪われると、新潟がカウンター。最後ファビーニョのボールをもらったエジミウソンのゴールは楢崎の正面。
25分、相手ペネルティエリアの外から中村がねらい澄ましてミドルシュートに。しかし、これはポストに弾かれ決めることが出来ず。
26分、海本の右からのDFの裏へのボールはマルケスが待っていたが、新潟・アンデルソンの長い足に弾かれ、触れることが出来なかった。
27分、左からのCK。競り合いながら秋田が頭で合わせるが、これは相手GKに弾かれてしまう。
名古屋2人目メンバー交代:中谷→渡邊
28分、新潟3人目交代:喜多→三田
29分、右の海本からのボールが左にこぼれると、これをフリーで拾った渡邊だったが左足に持ち替えようとしたところで、相手DFに阻まれたため味方に戻すと、これを岡山が詰めていったがシュートはクロスバーの上へ。
30分、左からのCK。ウェズレイが上げていったボールは誰も触れることが出来ず、反対に抜け、相手のGKに。
31分、左に抜けたボールをもらった岡山が、これを拾って中へと折り返すと、ウェズレイが詰めてきて、ミドルシュート。しかし、これは相手GKの正面に。
32分、自陣右やや入ったところでの新潟のFK。ここは集中してこれを凌ぎたい。宮沢が出したところを山口が戻すと、再度中へと宮沢が放り込んできたがこれはDFがカットしてゆく。
33分、海本が右から中のウェズレイに流すと、これを縦にスルーパスを出す。中央に走り込むマルケスが当て当てたボールは左のポストの外へ。
【失点】
35分、新潟・ファビーニョの中への折り返しに飛び込んだ上野に押し込まれてしまい、新潟に先制されてしまう。
名古屋3人目メンバー交代:中村→大野
37分、中央にいた海本が岡山のパスを縦にDFの裏へと出して行くが、これは誰も抜け出せず。
38分、左サイドライン際で渡邊が粘って倒されると、好位置でFKを得る。ウェズレイの早いボールはニアの選手がカットしてしまう。
39分、左サイドに上がっていった大森からの縦パスにウェズレイがエジミウソンと競り合いながらも粘り、CKに。しかし、ウェズレイの入れていったCKのボールもGKに弾かれる。だが、こぼれ球を拾って左から入ってゆこうとしたところで倒されてエリアのすぐ外でウェズレイが倒され、好位置でFKを得る。
【得点】
41分、今度もウェズレイがこれを蹴ってゆくと、ゴール前へのボールを海本が頭で押し込み、ついにというかようやくの得点で試合を振り出しに戻す、起死回生のゴールを決める。
42分、左にこぼれ球を拾ったマルケスが抜け出すとこれを中へと入れてゆく。相手GKがパンチングで弾いたボールに詰めた大野がミドルシュートを打ってゆくが、これは相手GKに弾かれてしまう。
43分、右からのCK。ウェズレイの入れていったボールは相手に弾かれてしまう。
ロスタイム1、海本の縦パスに右から大野が上がってゆくと中へと折り返しを入れようとするが、これはDFに弾かれてしまう。
ロスタイム2、相手陣内中程やや入った位置でマルケスが倒され、好位置でFKを得る。この最高の場面でウェズレイがゴール右隅を狙って蹴ってゆくが、これも相手GKの好セーブに弾き出される。
ロスタイム3、ウェズレイがこぼれ球を右で拾うと、これをドリブルで粘って中に持ち込みゴール前へ繋いでゆく。これを秋田右足で中へ入れると、相手GKがこれを捕らえきれずこぼれたところを、ウェズレイが倒れ込みながら頭でボールを中へ流したところを詰めた選手が押し込み、ついに逆転か思われたが、ウェズレイがオフサイドだったとの判定。そして、相手GKが大きくゴールキックのボールを蹴り出したところで、無情にも主審の試合終了の笛がスタジアムに鳴り響き、結果は1−1のまま引き分けとなってしまう。しかし、今日の引き分けは、残り時間の少ないところで先制され苦しい展開となったが、最後まで試合を諦めることなく攻め続け、その勢いが同点に追いつく結果となった事を考えれば、価値ある勝ち点1といえるだろう。最後まで応援ありがとうございました。