2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第7節
日陰では涼しさを感じるものの、日向では強い日差しが辺り、スタンドに詰めかけている両チームサポータには、初夏の暑さを感じさせるほどだ。
午後1時半過ぎ、ピッチに登場した名古屋の選手は、サポーターの声援に応えると、すぐさまウォーミングアップを開始する。選手の中では、やはり秋田が久しぶりに気合いの入った表情でボールを扱っているのが印象的だ。後輩となる岡山相手に、早くも迫力溢れる雰囲気だ。
GK楢崎にとっては、代表のチョコ戦から帰国後、すぐに合流してすぐの試合となる今日のガンバ大阪戦。疲れも残っているだろうが、今日の試合がチームにとって大きなポイントになる一戦だと言うことを承知しているようで、控えの川島以上に大きな声でコーチの蹴るボールを捌いていた。
ブラジル人コンビは、相変わらず、特に表情を表すことなく黙々と練習を行っているが、先日のナビスコ杯:磐田戦では2得点だけでなく、アシストもこなし、目下絶好調のウェズレイ。チームの勢いはこの人の出来に掛かっていると行っても過言ではない。今日の試合でも鮮やかなゴールでガンバサポーターを黙らせて欲しい。
1時45分、練習を終えた選手は、上気した表情でピッチを後にして、ロッカールームへと消えていった。
前 半
左にエンドを取ったホームの大阪に対し、右から左へと攻め上がる名古屋。前半は大阪のボールで試合開始。
名古屋は、GK楢崎、DFは、右から大森・秋田・古賀。MFは、海本・山口・吉村・中谷。そしてトップ下には中村。FWはお馴染みウェズレイマルケス、と言う布陣で臨む。
1分、大阪の右からのCK。大阪・フェルナンジーニョのボールはゴール正面に落ちたところを落ち着いてクリアして行く。
2分、DFの裏へのボールに左から詰めてきた大阪・大黒が左足でダイレクトで打ってきたが、このシュートはポストの右に外れる。彼のスピードには要注意だ。
3分、秋田の縦パスを大阪・二川にカットされるとドリブルからシュートを狙ってくるが、ここはDFがカットCKに。右からの大阪のCK。ファーサイドのボールをシジクレイが落としたところを詰めてくるが、これは楢崎が体を張って押さえる。
4分、左に上がったマルケスがDFの脇を抜いて、寄せてきた中谷にパス。これを前を阻まれると、マイナスに出すと吉村が後ろからミドルシュート。しかし、これはポストの左に外れる。
5分、ペナルティエリアすぐ外への大阪・橋本のボールを詰めた選手がシュートに来るが、ここは秋田が至近距離だったが体の正面で止め、ピンチを救う。
7分、大阪・橋本のDFの裏への縦パスにマグロンが抜け出そうとしたが、これはオフサイドに。
8分、ウェズレイがドリブルで左から入って行こうとすると、大阪・宮本が体ごと押さえ込みに来るが、これをはじき飛ばしてエリアに入っていったところで、ファウルを取られてしまった。
9分、自陣中程ほぼ中央での大阪のFK。シジクレイが強烈なミドルを打ってきたが、ここは楢崎が倒れ込みながらもガッチリとキャッチ。
10分、右でウェズレイからの縦パスにドリブルで抜け出した中村がそのまま持ち込んで右足でシュートに。しかし、角度のないところからのため、右のサイドネットに当たってしまう。
11分、自陣からのFKのボールを秋田が右のスペースに大きく蹴っていったが、これは海本が追いつく前にタッチの外へ。
13分、左サイド中程の位置でウェズレイが倒され、良い位置でのFKを得る。これをウェズレイが縦に出すと、マルケスが走ってゆくが、ボールが長く追いつけず。
14分、山口からのパスをもらったウェズレイが左のスペースに出して行くと、マルケスがこれを追いかけるが、ボールは相手GKが先にキャッチしてしまう。
16分、右に海本からの早い縦パスに中村が抜け出そうとしたが、これは相手ボールに。
17分、自陣左やや入った位置での大阪のFK。フェルナンジーニョのファーへのボールはDFがカット、右からのCKに。二川が右足でゴール前にCKのボールを入れてきたが、秋田があっさりとクリアして行く。
18分、大森が左に開いたボールを出すと、中谷・マルケスともらいに行くが、大阪・橋本と競り合ったマルケスがファウルを取られてしまう。
19分、山口からの短い縦パスを受けたウェズレイがスライディングしてきた相手DFをはじき飛ばしてシュートに行こうとしたが、その前のプレーでファウルに。
20分、エリア内で大阪・フェルナンジーニョがドリブルで仕掛けてくるが、山口がしっかりとこれをマーク、これを阻止する。
21分、右にドリブルで一気に中村が上がると、ライン際から中へと折り返す。中央で待っていたマルケスがヘディングでこれをあわせるも、叩きつけたボールは弾んで。惜しくもクロスバーの上へ。
23分、自陣ほぼ中央ゴール正面での大阪のFK。このピンチは集中して凌ぎたい。ここでもシジクレイが長い助走からと思わせて、フェルナンジーニョが素早くこのFKを右足で蹴るが、壁に当たって救われる。
25分、右からの大阪のCK。フェルナンジーニョのゴール前へのマグロンを狙ったボールはDFが阻止、こぼれ球を再度入れてこようとするが、今度はラインを割りGKに。
26分、左サイドでボールをもらった中谷が縦に長いボールを蹴ってマルケスを走らせるが、これはオフサイドに。
28分、楢崎の自陣からの長いフィードにマルケスが走ろうとしたが、シジクレイに阻止される。
31分、中央からの中村のパスを左で受けたマルケスが、トラップから相手DFをかわして抜けて行こうとしたが、ボールをタッチの外に出してしまう。
32分、古賀のが相手パスをインターセプトすると、マルケスに繋ぐ、これをウェズレイとのコンビネーションでエリアに入って行こうとしたが、DFにパスを読まれ、カットされてしまう。
33分、自陣中央やや左での大阪のFK。今度はシジクレイが足下を狙ったボールを蹴ってきたが、これも壁に当たり、こぼれたところは落ち着いてクリアして行く。ここまでは両チームとも守備陣が安定しており、攻撃をしっかりと押さえ込み、ほぼ互角の内容だ。
36分、マルケスが中谷にもらったボールを前を向いて、相手DFの間にパスを出してウェズレイを走らせて行こうとしたが、ボールを弾かれてしまう。
38分、ハーフウェイライン当たりでフリーでボールをもらったウェズレイが、相手GKが前にポジションを取っていたことと、追い風だったことをロングシュートを狙ったが、これは惜しくも左に流れてしまう。
40分、相手陣内中央ゴール正面の位置でウェズレイが倒されFKを得ると、早いリスタートでDFの裏へ飛び出した中村に蹴って行くが、これは相手GKにボールを奪われてしまう。
42分、相手のDFの裏への長いボールに抜け出したウェズレイが、寄せてきたDFの脇にヒールでパスを流すが、ここは誰もこれに反応できず、相手のボールとなってしまう。
43分、左でボールを持ったマルケスが中へと放り込むと、ファーサイドからウェズレイが詰めていったが、風に流されたボールは相手GKの下へ。
ロスタイム1、右の海本からのゴール前へのボールに中谷が左足で中へと折り返そうとしたが、相手DFに当たり、左からのCKに。中村のファーサイドへのボールはDFに弾かれてしまう。
ロスタイム2、左からのCKのチャンス。今度は中村が短くマルケスに出すと、これをDFをかわして入っていってマイナスに出したボールに海本が右足であわせるが、ボールは相手DFに弾かれてしまい、押し込むことが出来なかった。こぼれ球を拾った吉村が左足で中へと入れようとしたボールは、ゴールラインを割ってしまい、結局、このチャンスを決めることが出来なかった。そして、ここで前半が終了。大阪の攻撃に対しては最後まで集中していた守備陣に対し、同じように大阪に押さえ込まれてしまっている攻撃陣。終了間際の攻勢で、得点を奪うことが出来なかったのが、少々残念だ。後半は早い時間帯に得点を奪い、試合を優位に進めて行きたいところだ。後半に期待しよう。
後 半
エンド入れ替わって、左から右に攻め上がる名古屋のボールで試合が再開。
1分、マルケスの抜群のDFの裏へのボールにタイミング良く抜け出したウェズレイが角度のないところからシュートに。しかし、これは相手GKが弾いてしまい、これをDFにクリアされる。右からのCKにのボールは中村が短く出したところを放り込んでいったが、秋田・古賀には届かず。
2分、左サイド深く上がってきた大阪・児玉がゴール前へと折り返してきたが、ここは秋田が頭でボールを弾き出して行く。
4分、右から中へと流れた海本のパスを受けたウェズレイが、右サイドを抜けて中村に縦パスを出したが、これはオフサイドに。
5分、中谷からのDFの裏へのボールを中央から追いかけたマルケスだったが、僅かにボールが早く、相手GKに奪われる。
6分、右に上がってきた大阪・渡辺のゴール前へのボールにマグロンがあわせに来るが、大森がしっかりと体を寄せて、これを触らせなかった。
8分、相手陣に深く左でのFKのチャンス。ウェズレイのニアへのボールはDFがカットしてしまう。
11分、右からの中村の裏へのボールにウェズレイが走ると、相手DFがたまらずタッチの外へ。スローインのボールを受けた山口が切り返してゴール前へと入れていったが、これはウェズレイが受けるものの前を向かせてもらえず。
12分、自陣入ってすぐ左での大阪のFK。フェルナンジーニョのボールを詰め停戦種が頭で合わせてゴールを狙うが、楢崎が好セーブでこれを止める。相変わらず大阪のDF陣は固く、なかなか攻撃の糸口が見いだせない。
16分、中谷の縦のボールに走り出したマルケスが、相手DFをかわして、ゴールラインギリギリのところから折り返して行くが、中央で待っていたウェズレイには届かず。
17分、自陣左中程での大阪のFK。フェルナンジーニョのゴールへ向かってくるボールは、詰めていた吉村が頭でクリアしていく。
18分、相手ペナルティ内でボールを持って粘る山口が倒され、なんとPKに。この場面でボールをセットしたのはウェズレイ。これを細かな助走で相手GKをじらしながら、強烈に蹴って行く。
【得点】
19分、相手GKも反応するものの、ウェズレイのボールの威力には勝てず、見事このPKを決め、ついに先制する。
21分、相手パスをカットした中村が持ち上がると、海本、マルケスと渡って、これを右に抜け出したうぇずりれいに繋ごうとしたが、惜しくもボールはDFにカットさっる。
23分、大阪1・2人目メンバー交代:フェルナンジーニョ→吉原、橋本→遠藤
25分、中央からドリブルで揚がってきた大阪・遠藤がそのままミドルシュートを蹴ってくるが、ボールは辛うじてクロスバーの上に。
26分、自陣からの長いボールを競り合ったウェズレイがこぼれ球を拾って、反応良く中央に入って行くマルケスに出していったが、これは相手DFに足でカットされてしまった。
28分、大阪・児玉のエリア内のボールに吉原が飛び込んで、ファーサイドへと上げてくるが、ここは相手選手がこれに反応できず、マイボールとなる。ここへ来てピッチ上には強い風が吹き抜け始め、上がったボールが流されるようになる。
30分、自陣左深い位置で大阪のFKになる。大阪・遠藤がカーブの掛かったボールをDFとGKの間へ落としてくると、これに何人も飛び込んでくるが、ボールは誰にも触れることなく、ゴールラインの外へ。
32分、大阪・遠藤が今度は中央から浮き球をDFの裏へ狙って蹴ってくるが、ここは秋田がしっかりと集中し、これを頭でカットして行く。
34分、左からのボールにエリア内右で待っていた大阪・大黒のダイレクトのゴール前へのバウンドしたボールに相手選手が飛び込んできたが、これに楢崎が交錯しながらもパンチングでボールを弾き出して行く。
36分、大阪3人目メンバー交代:渡辺→中山
大阪はDFの選手を一人外し、足の速いFWの選手を増やして攻撃的にしてきた。DF陣にとっては厳しい状況となってくると思うが、頑張って凌いで行きたい。
39分、中村の右にはたいたボールを持ち上がった海本がゴール前へクロスを入れると、これにマルケスが詰めていったが、相手DFが頭でこれを先にカットする。
41分、相手DFのボールを奪った中村がドリブルで上がって行くと、左から寄せてきたマルケスへと渡す。このボールをシュートに行ったマルケスだったがGKにキャッチされてしまう。残り時間僅かになってきたが、ここを何とか凌いで欲しい。
42分、名古屋1人目メンバー交代:中村→岡山
44分、大阪・二川の右からのゴール前へのクロスに、大阪・マグロンがドンピシャリでヘディングシュート。枠を見事捕らえていたものの、楢崎が絶妙の反応でこのボールを弾き出して行き、チームの大ピンチを救うプレーを見せる。
ロスタイム1、左からの大阪のCK。ニアへのボールがゴール前へとこぼれると、相手選手が押し込みに入ってくるが、ここでも楢崎が体を張ってこれを阻止する。
【得点】
ロスタイム2、右サイドで山口がドリブルで粘って相手DFを2人かわすと、最後倒れ込みながらも、ゴール前へ折り返す。これを受けたマルケスが落ち着いて、体を入れ替え、左足で追加点となるシュートを決め、大阪サポーターを黙らせる。
ロスタイム3、大阪・大黒が右に上がってくると、ゴール前に放り込んでくるが、これは精度が無く、ボールはそのままファーサイドへ。そして、試合は見事、名古屋が厳しい大阪の攻撃を、楢崎を筆頭に最後まで凌ぎきり、2−0の完封で終了。最後まで高い集中力で大阪の攻撃を押さえきった名古屋の守備陣の働きが、今日の試合の結果を生んだと言える。最後まで応援ありがとうございました。