2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第6節
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相変わらずの快晴で、今日も昼間は20度近く気温が上がり、夏を思わせる程の陽気だったが、その熱気の名残も午後6時をまわり、太陽が西に沈むとすっかり和らぎ、涼しさを含んだ空気が瑞穂のピッチを包み始めている。
6時25分、GK楢崎と川島がサポーターの大声援に出迎えられて、今年初の瑞穂のピッチに登場。今日は絶対に落とせない試合だと言うことを知ってか、2人とも、その表情はキリリと引き締まり、笑顔は全くなしだ。
15分程遅れてフィールドプレーヤの面々がウォーミングアップのためにピッチに現れると、再び大きな声援が沸き起こる。最後の1人、秋田がピッチに入ったところで、スタンドに詰めた名古屋のサポーターの太鼓とエールが沸き起こり出す。彼らこそがこの聖地・瑞穂のグランドで、チームが勝利を挙げてくれると信じて声援を送ってくれるはず。彼らに応えるためにも今日は内容よりも勝利が最高のプレゼントといえよう。名古屋の選手として、初の瑞穂となった秋田。彼にはいつも以上に激しく、熱いプレーで清水の攻撃を押さえ込んで、チームの勝利に貢献して欲しい。
6時50分、ウォーミングアップを終えた選手達は、足早にピッチを去って行く。決意を秘めた厳しい表情で。スタンドのサポーターも彼らの様子に勝利を確信したかのように、熱い拍手で見送っていた。今日は彼らの笑顔で試合を終えたい。
前 半
午後7時、ちびっ子にサポートされたイレブンが入場すると、スタジアムの雰囲気は最高潮に。開始から激しい試合を見せてくれることを期待したい。
右にエンドを取った清水に対し、左から右に攻め上がる名古屋のボールで前半が始まる。名古屋の布陣は、GK楢崎、DFは右から角田・秋田・古賀。MFは、右から海本(幸)・大森・小野・滝澤、トップ下には中村。FWはお馴染みウェズレイ・マルケス。
1分、名古屋が押し上げて行くと、右に出たボールを海本がミドルシュート、しかしこれは僅かに左に流れ、ポストの外へ。
2分、右サイド、清水・平岡のロングスローは秋田が頭で弾き出して行く。
3分、自陣左中程での清水のFK。平岡のボールは簡単にはじき返して行く。
4分、右に上がったウェズレイのパスが通ると、これをDFをかわして中に入れて行くが、ここは清水のDFに阻まれる。
5分、左サイドを長い距離を上がっていった滝澤からの折り返しにニアに詰めたマルケスがヘディングシュートを打つがこれは右に外れてしまう。
6分、右からのCKのチャンス。短く出したところをゴール前を狙って蹴ったボールはファーサイドに抜けてしまう。
7分、ゴール前でのこぼれ球を清水・北嶋が押し込もうとするがここは楢崎の好セーブでクリア。右からの平松のCKのボールは大森がクリアし、このピンチを逃れる。
【失点】
8分、自陣中程、平岡のDFの裏へのボールを詰めていた北嶋が頭でそのまま合わせると、これがポジションを前に取っていた楢崎が逆を取られてしまい、このボールを掴みきれず失点を許してしまう。
11分、左サイド深くでマルケスが大野の戻したボールをダイレクトで中へと入れようとしたが、これは相手DFに阻まれてしまう。
12分、海本が右にオーバーラップして行く角田にパスを繋ぐと、これを中へと放り込んで行く。ファーサイドの大野がダイレクトで合わせたが、寄せてきた清水のDFに当たって止められてしまう。
13分、相手陣内でのこぼれ球に反応した中村が左足で、距離があったがミドルシュートに。しかし、これはクロスバーの上へ外れてしまう。
14分、右からのCKのチャンス。ニアに詰めた秋田狙ってウェズレイが蹴っていったが、これは読まれてしまいカットされる。
15分、相手陣内深く左の位置でFKを得ると、ウェズレイがこれを低く速いボールを蹴って行くが、清水のDFにカットされてしまう。
17分、自陣右深い位置での清水のFK。相手のセットプレー、ここは要注意の場面だ。しかし、清水・平松のファーサイドへのボールは精度を欠き、そのままラインの外へ。
20分、中盤でボールを奪われると、最後DFの足元を抜くスルーパスを中央に通してくるが、ここは楢崎と秋田とでしっかりとこれを止める。
21分、右からの清水のCK。平松のボールをDFが簡単にクリア。
22分、右でボールを持ったウェズレイが縦に走る中村へとパスを通すと、これをドリブルから放り込んで行こうとしたが、ボールはクロスバーの上へいってしまう。
24分、中盤で相手のパスをカットしたウェズレイがヒールで流したパスを受けた大森の左のスペースへのボールにマルケスが追いかけるが、これは長すぎてしまう。
26分、右のスペースでボールをもらった海本が縦に上がる中村へと出して行くが、これは相手DFにボールをカットされてしまった。
27分、中央で相手との競り合いになると、大野が体を張ってボールを取りに行くが、これはファウルを受け倒されてしまった。
28分、ハーフウェイラインでボールを持った古賀が押し上がりながら、DFの裏へと長いボールを蹴ると、マルケスが追いかけるがボールは長すぎてしまい、ゴールラインを割ってしまった。何度か良い形でボールを繋ぐものの、最後のところで清水のDF陣に阻まれてしまっている。ここはもう少し工夫が要るのかもしれない。
32分、左サイドを清水・久保山が仕掛けてくるが、ここは大森がしっかりと付いていって、これを止める。
34分、名古屋1人目メンバー交代:角田→吉村
ここで角田が負傷のため、急遽吉村に代わる。DF陣は中央に大森が、右に秋田がポジションチェンジ。
36分、自陣からの海本の縦パスにウェズレイが詰めて行くが、寄せてきた相手DFを吹っ飛ばしたとして、ファウルに。
38分、相手ペナルティすぐ外やや左寄りのところで、マルケスとのワンツーで抜け出したウェズレイが倒され、絶好の位置でFKを得る。
【得点】
40分、壁から約1.5mのこのFKをウェズレイが難なくゴール右に沈め、ようやく追いつき、試合を振り出しに戻す得点を決めてくれる。角田の負傷で嫌な雰囲気を吹き飛ばしてくれる、最高のゴールだ!こうなったらこの勢いで一気に押し込みたい。
42分、右サイドに出た長いボールに追いついたウェズレイが中へと放り込んでいったが、小ボールには誰も間に合わず。
43分、またしても相手陣内深く左寄りの位置でFKを得る。ここでもウェズレイがこれを直接狙って蹴っていったが、今度は抑えが効かなかったのか、ボールはクロスバーの上に抜けてしまう。
ロスタイム1、自陣右入った位置での清水のFK。平松のボールは中央で詰めたDFが頭で弾き出して行く。
ロスタイム2、右サイドで縦に抜け出そうとした清水・久保山へのボールは、古賀がしっかりと寄せていって大きくクリア。そして、ここで前半が終了。開始早々から勢いに乗って攻勢に出ていた名古屋だったが、よもやの清水の先制で動きが悪くなり、角田の負傷による交代で雰囲気が良くなかったときに、ウェズレイが最高のFKによる得点を決め、試合の流れを引き戻してくれた。後半は明らかに名古屋の方がモチベーションが高いはず。逆転弾が何時生まれるか、楽しみだ。

後 半
押し気味に試合を進めながら先制を許してしまったが、ウェズレイの技ありのFKで同点に。後半は早い時間帯で逆転して、試合を優勢に進めて勝利に突き進みたいところだ。br両チームともメンバー交代なし。エンド代わって左にエンドを取った清水のボールで試合が再開。br1分、清水・森岡が右から放り込んできたが、これは左に流れて行き、誰も触れることはなかった。ネルシーニョ監督は右に大森を据え、秋田を中央に変えてきた。
2分、左サイドで入った位置でFKを得ると、これをウェズレイがファーサイドに上げていったが、このボールは清水のDFに弾かれてしまった。
4分、自陣深く右の位置での清水のFK。平松が曲がるボールをゴール前に入れてくると、混戦になるが、最後大森が体を張って、相手のシュートを止めピンチを逃れる。
5分、相手のパスカットしたボールが滝澤の足元へと転がると、これをトラップして抜けて行こうとしたが、ボールをタッチの外へとこぼしてしまう。
7分、右サイドからドリブルで持ち込まれると、DFをかわしてシュートを狙ってくるが、ここは楢崎が好判断で、このボールを手で止め失点を逃れる。
9分、左に開いた清水・北嶋がゴール前へ入れてくるが、ここは楢崎が簡単にキャッチ。
10分、名古屋2人目メンバー交代:大野→岡山
11分、右に上がった海本のクロスに相手DFが頭で落としたボールに詰めた岡山がミドルシュートに行くが、これは相手GKの正面だった。
13分、右に上がってきた清水・太田の中へのボールは古賀が拾って、大きく縦に出して行く。
14分、自陣右寄り中程での清水のFK。平松のゴール前へのボールに頭で合わせてきたが、ここはDF陣がしっかりと体を寄せ、ボールは大きくゴールを越えて行く。
15分、左から滝澤がトリッキーなドリブルで中へと侵入してくると、ペナルティエリア内まで入ろうとしたが、ここで相手DFに詰められ、ボールを弾かれてしまう。
【得点】
17分、右に走る海本にパスが通ると、これを自らドリブルで持って行って右足一閃シュートにゆく。見事このボールが相手ゴールネットを揺らし、ついに逆転となる。
19分、清水1人目メンバー交代:平松→アラウージョ
21分、左に走る、清水・平岡にパスが出るが、これは海本がしっかりとついて行きコースを限定させると、相手のクロスは楢崎が簡単にキャッチする。
22分、右サイド深くで清水・アラウージョにパスをカットされると、これをドリブルからシュートを左足で打ってきたが、楢崎が正面でガッチリとキャッチ。
24分、右サイド縦に長いボールが出ると、清水・太田が走ってくるが、その前に滝澤が追いつき、このボールの間に体を入れ、ボールを渡さなかった。
26分、自陣から相手の高いDFの裏へパスが出ると、ウェズレイが飛び出したが、これは惜しくもオフサイド。
28分、左サイドに抜け出したウェズレイがドリブルで体を入れ替えて中へと入って行くと、強引にシュートに行くが、これは相手GKが指先に当て、ポストに阻まれてしまう。
29分、左からのマルケスのCKは、ファーサイドのウェズレイのヘディングが相手DFに当たってゴールマウスに入っていったが、その前に詰めていた選手の相手GKへのファウルを取られ、ノーゴールに。両チームとも決め手がないまま、刻々と時間が過ぎて行くこの時間帯。
31分、右に抜け出した海本はオフサイドを取られてしまう。
【失点】
32分、右サイドをDFを破られ清水・アラウージョにドリブルからシュートを決められてしまい、またしても試合は振り出しになってしまう。
34分、名古屋3人目メンバー交代:中村→渡邊
35分、清水・杉山が中盤でのこぼれ球を拾うと、そのままドリブルからミドルシュートに、しかし、これはクロスバーの上へ。
36分、左からのCKのチャンス。滝澤のファーサイドのボールに詰めていた秋田がヘディングシュートに。しかし、これは体勢を崩してのシュートとなり、相手GKにキャッチされてしまう。
37分、相手陣内中央でのFK。ウェズレイの縦への緩いボールをマルケスが戻すと、これを流したところを渡邊がシュートに行くが、これは右に流れてしまい、枠には届かず。
39分、中央から左のスペースへと抜けるマルケスの中へのボール相手DFに当たってCKに。マルケスが左から蹴っていったが、これは誰も押し込むことが出来ず、相手DFにクリアされてしまう。
41分、中央から清水・久保山がドリブルから左足でシュートに来るが、これは大きくゴールを越えて行く。残り時間僅か、清水は中盤を省略して、ドンドン前線へとボールを入れてくる。
43分、清水・伊東が左に上がると、シュートを打ってくるが、これは精度が悪く枠に届かず。
44分、DFの消極的な横パスを清水・北嶋にカットされると、楢崎と1対1になるが、北嶋のシュートは楢崎が好セーブで弾き出す。
ロスタイム1、相手のバックパスをカットしたウェズレイがドリブルに行ったところで倒され、相手陣内中央右寄りの位置でFKを得る。ウェズレイのボールに中央であわせるが、相手GKが弾いてしまうが、これに右から飛び込んでいったヘディングシュートはネットを揺らすと、スタジアム中が大声援に包まれるが、惜しくもサイドネットの間違い。そして、このまま試合は2−2の同点で終了してしまう。ネルシーニョ監督にとっては、前半の角田の負傷退場でゲームプランが狂ってしまった、実に悔しい今日の清水との引き分けだろう。同点に追いつき、そして逆転と最高の流れ来ていたものの、またしても最後の最後で勝ち点2が手の中からこぼれ落ちてしまった、勝ち切れない、残念な内容の試合だった。最後まで応援ありがとうございました。