2004 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第４節
協力：
　午後2時35分、薄く、霞が掛かったような春の空の下、柏の選手に5分程遅れて、名古屋の選手がピッチへと顔を出すと、スタンドから大きな声援が沸き起こる。思った程日差しは強くなく、気温も程よく、芝の状態も最高で、プレーする選手にとっても、応援するサポーターにとっても絶好の、コンディションといえる。
　かって所属したチームとの対戦と言うこともあって、大野がいささか緊張した面持ちでピッチ内でウォーミングアップを行っている。柏の関係者からも声が掛かると、挨拶はするものの、どちらかといえばおとなしい。彼のプレーが今日は重要なだけに、最後、試合が終わったときには、満面の笑顔を見せてもらえると期待したい。
　鹿島での終了間際の怪我が心配された角田も、全く問題なく、今週もしっかりと練習をこなしていた。古賀の代役として、彼の高い適応能力で、秋田・パナ等と共に、柏のカウンターを阻止してもらおう。
　今日は勝つことが最重要。内容はともかく、今後のためにもホーム・豊田スタジアムで勝利して、勢いを付けて欲しい。
前　半
サポーター席で大きく揺れる、ビッグフラッグの出迎えを受けて、審判団に続いて、両チーム選手が入場してくると、大きな声援がスタジアム内に響き渡る。いつもこの瞬間だけは、何度迎えても良いものだ。
右にエンドを取った柏に対し、左から右へと攻め上がる名古屋のボールで前半が始まる。
名古屋の布陣は、GK楢崎、DFは右から秋田・パナ・角田、MFは右から海本・大森・大野・滝澤、トップ下に中村、FWはウェズレイ・マルケス。
1分、相手陣内での激しい奪い合いで、大森がカットしたボールがフリーの大野の前にこぼれるが、ファウルを取られてしまう。
2分、自陣右は行ったところでの柏のFK。リカルジーニョが長いボールを入れてくるが、これはそのままタッチの外へ。
3分、左サイド深く柏・増田が入ってくるが、秋田がきっちりとついて行き、ボールを奪う。
　
6分、自陣で相手ボールをカットした大森が右のスペースに長いボールを出してゆくと、これを拾った海本が中へとドリブルでは行ってゆこうとしたが、ここは柏のDFに止められてしまう。
7分、パナが自陣から縦に蹴ろうとしたボールを、柏・リカルジーニョカットされると、GKと1対1になると、ドリブルからシュートに来るが、これを楢崎が好セーブで救い、チームのピンチを救うプレーを見せる。
10分、自陣からの秋田の相手DFの裏への長いボールは、長すぎてしまい。そのまま相手GKに渡ってしまう。
11分、右に上がる海本が、相手選手を2人かわしてゆくとチャンスに。右から速いクロスを海本がゴール前へ入れてゆくが、惜しくも詰めていったウェズレイ・マルケスの前に届く前に相手GKがキャッチしてしまう。
13分、右でボールを海本からもらった中村が中へ流れながら、左足で、ペナルティ内にいた大野に出してゆくが、これは相手DFの激しい当たりにボールを上手く受けることが出来ず、相手ボールになってしまう。
15分、相手陣内入ってすぐ右の位置でFKを得ると、ウェズレイが蹴りに行くが、彼には珍しいミスで、蹴ったボールをそのまま大きくタッチの外へ出してしまう。
16分、左サイドでマルケスが持ち込んでゆくと、飛び出した相手GKをかわして、中に入ってきたウェズレイに繋ごうとパスを出すが、寄せてきたDFの選手のスライディングもあって、上手く足元に付かず、シュートまで持ってゆくことが出来なかった。
【得点】
18分、相手ゴール前でのボールをもらったウェズレイがDFに囲まれると、寄せてきた大野に一旦戻す。これを相手のDFラインの裏へ放り込んだボールに抜け出した中村が、相手GKの脇を抜くゴールを左足で見事に決め、先制する。好調の中村の積極的な動きが生んだ得点といえる。
20分、ドリブルで右から凄い勢いで入ってきた海本のパスを中央に流すが、柏の選手に弾かれるが、こぼれたボールに詰めた滝澤がミドルシュートを放つ。しかし、ボールは惜しくも枠には行かず、クロスバーの上に外れてしまうが、攻撃に人数をかけた、良い展開を見せた場面だった。
23分、自陣深く左の位置でのファウルで、柏にFKを与えてしまう。このセットプレーは注意したい。柏・リカルジーニョの蹴ったボールは楢崎の正面。
25分、右サイド深い位置でボールをキープする柏・玉田がDFの裏へとボールを出してくるが、これは角田がしっかりとカットしてゆく。
26分、柏の左からのCK。リカルジーニョのボールに加藤が合わせてくるが、ゴールを越える。
28分、自陣からの長いボールに海本がヘディングしようとしたところを相手DFと競り合い倒されたように見えるが、これはGKになってしまう。
29分、自陣で相手ボールをカットした角田がそのままドリブルで上がってゆくと、相手陣内でウェズレイに繋いでゆく。これをドリブルからエリアの外からシュートに行くが、相手DFが阻んでしまうが、再度こぼれたところを今度はゴール左隅を狙ってシュートに。しかし、僅かに流れ、ポストの外へ行ってしまった。
31分、相手陣内中程、ゴール正面位置でFKを得る。ウェズレイが蹴っていったが壁に弾かれてしまう。
32分、左サイドを柏・リカルジーニョに抜かれると、ゴール前へクロスを入れてくる。シュートに来た選手をパナがスライディングで弾くが、こぼれ球に再度、柏・ドゥドゥが詰めてシュートに。しかし、これはゴール左に大きく外れる。
35分、自陣DFの裏へのボールに、飛び出した柏・増田がこれをシュートに行こうとすると、これに楢崎が果敢に飛び出して、ボールを増田と交錯しながらも蹴り出して行く。
38分、縦パスをもらったウェズレイがマルケスに繋ぐと、これをダイレクトで左サイドに上がってくる滝澤に出して行く。しかし、ボールに先に詰めた柏・明神にボールをカットされてしまう。
39分、大野のパスを受けたマルケスが右に上がる中村へ渡すと、ドリブルからシュートを打って行こうとしたが、これは相手DFに阻まれCKに。
40分。右からのCKのチャンス。中村のファーサイドへのボールに頭で折り返したボールをウェズレイがオーバーヘッドに行くが、寄せてきた相手選手への危険なプレーとしてファウルになってしまう。
41分、右サイド深くから柏・リカルジーニョが2人かわして入ってくると、中へと入れてくるが、詰めてくる選手がっふれる前に角田がこれをしっかりとカット。
44分、右に相手DFのボールを奪ったウェズレイがボールを持つと、中に流れて行く、海本に入れようとするが、これを弾かれる。こぼれたところを中村が持ったところでピッチに足を取られるが、ボールをキープウェズレイに繋ぐと、右からゴール前へ入れて行。これに大野が頭で合わせて、シュートに行くが、惜しくもゴール左に外れてしまう。
ロスタイム1、右サイド深くエリアのすぐ外で相手選手を角田が倒してしまい、ピンチ迎える。このFKの場面で柏・玉田が速いボールをゴール前に蹴ってきたが、楢崎がパンチングで弾き出し、またしてもチームのピンチを救う。そして、ここで前半が終了。途中、柏に押し込まれ気味になったが、DF陣は危なげなく、柏を零封のまま前半を折り返すことが出来た。後半もこの勢いで、そして、FWのウェズレイ・マルケスのゴールを期待したい。
後　半
前半は、監督の期待に応えた大野が積極的に攻撃に絡み、それが先制点を生むきっかけになった。後半ももっと良いパフォーマンスを期待しよう。
エンド入れ替わって、右から左に攻め上がる名古屋。試合は柏のボールで再開。
柏1人目メンバー交代：増田→谷澤
1分、相手陣内でマルケスからのパスをもらったウェズレイが、そのまま意表をつくロングシュートを蹴っていったが、惜しくも、左ポストの外へ外れてしまう。
2分、自陣で相手ボールをカットした大野のボールが大きく縦に出ると、ウェズレイが胸で落として、縦に抜け出すと、相手DFをカットしたボールを滝澤が拾って中へ入ったところでファウルを受け、好位置でのFKに。ウェズレイがDFの裏へ抜けるボールを短く出すと、これをマルケスがもらって左足で蹴ったシュートが見事決まり追加点か、と思われたがオフサイドでノーゴールにされてしまう。
5分、左サイドをドリブルで柏・谷澤が抜けてこようとしたが、ここは中村がきっちりとついて行ってこれを阻止する。
7分、右の海本からのパスを反対で受けた滝澤がそのままドリブルで相手陣内へ上がって行くと、果敢にシュートに行くが、相手DFにボールを弾かれてしまった。
8分、スローインのボールをもらったウェズレイが外から相手エリア内へ入っていった大野にパスを放り込むと、これを前を向いてシュートに行こうとしたが、トラップのボールを自らの手に当ててしまい、ハンドを取られてしまう。
10分、マルケスのDFの裏への浮き球をもらったウェズレイが反転して左足でシュートに行くが、これはマークに付いた相手DFに弾かれてしまった。ここまでは名古屋が押し気味に試合を展開、予想通り柏の堅い守りを切り崩そう、という状況だ。
13分、DFの足元を抜くスルーパスに抜け出したウェズレイが、左サイド深くからシュートを狙うが、これは寄せてきたDFに弾かれてしまう。こぼれたところに詰めた角田の左足のシュートは、右に外れてしまい、枠には飛ばなかった。
15分、右の海本からのパスを受けた中村がDFの裏へ放り込むと、拾いに行ったマルケスが相手DFに倒されて、あわやPKか、と思われたが、これは相手のボールになってしまい、認められず。
17分、柏・明神が右から滝澤をかわして中へ入れてくるが、このボールはパナがしっかりと押さえ、クリアして行く。
18分、相手陣内での競り合いのボールを中村がヘディングで流すと、これをマルケスがヒールで縦に長そうとしたが、相手DFに反応され、カットされてしまった。
20分、左サイドで中にこぼれたボールに反応が遅れたところを、柏・加藤にフリーで拾われると、シュートかと思われたが、何とか詰めて行き、これを阻止するが、さらにこのボールに柏・ドゥドゥが詰め、シュートを打ってきたが、これはクロスバーの上へ。
22分、左サイドで粘りを見せたマルケスのクロスに、右で詰めていたウェズレイが合わせることが出来ないが、これを拾うと、強引な戦車のようなドリブルでスライディングに来る相手選手を1人2人とかき分けるように抜けてきてシュートに行くが、惜しくもシュートはサイドネットを揺らす。
24分、相手陣内中程右の位置でのFKのチャンス。ファーサイドへの長いボールに秋田が頭で合わせにいったが、惜しくもボールは僅かにポストの左に外れてしまう。
26分、柏・リカスジーニョが凄いスピードでドリブルで上がってくるが、ここは大森がしっかりとついて行き、体を張ったプレーでこれを止める。
28分、左サイドのスペースに出たボールに反応したウェズレイが中へと入って行くと、最後ファーサイドに詰めてきた大野にパスを出す。これをダイレクトで合わせたが僅かに遅れ、ボールは右に外れてしまう。
柏2人目メンバー交代：下平→茂原
29分、相手陣内左中程でFKを得る。ウェズレイが右に上がっていた秋田を狙って蹴っていったが、柏のDFにカットされてしまう。
30分、名古屋1人目メンバー交代：大野→岡山
32分、右サイドで柏・明神のボールを技ありのトラップでかわしたウェズレイが縦に大きく出すと、これを繋いで行こうとしたが、このボールはカットされてしまい、チャンスを生かすことが出来なかった。
33分、自陣中程屋や左の位置での柏のFK。このセットプレーは要注意だ、集中して凌ぎたい。しかし、リカルジーニョの直接のボールは精度を欠き、大きくゴールを越えて行く。
35分、左サイドでボールを持ったマルケスが右にフリーでいた海本に出して行くと、これをもらってドリブルで入っていったが、柏のDFの厳しいタックルにボールを奪われ、シュートまで持って行くことが出来なかった。
37分、自陣で絶妙な読みで相手ボールをカットした大森が縦に出すと、これをマルケスがDFの裏へと繋ごうと出していったが、追いかけたウェズレイには届かず。
39分、中央をドリブルで上がってきた柏・リカルジーニョがそのままシュートにこようとするが、ここはパナ・角田がこれを阻止する。
40分、柏3人目メンバー交代：ドゥドゥ→ゼ・ホベルト
41分、自陣左入った位置での柏のFK。柏・加藤が直接狙って蹴ってきたが、これは楢崎の正面。
42分、右から上がった海本が中に入って行くと、右にいたウェズレイに。このボールをグラウンダーでゴール前へ放り込むと岡山がタイミング良く飛び込んで行くが、相手GKが先のにこれを押さえてしまう。
43分、右からの柏のCK。ニアサイドで弾いたボールをリカルジーニョが再度放り込んできたが、ファーサイドへ抜けたボールは、誰も合わせることはなかった。
ロスタイム1、残り時間後僅か、このまま柏の攻撃の凌ぎきりたい。
ロスタイム2、ゴール前のこぼれ球を柏の選手がシュートに来たが、これはクロスバーに当たって救われる。
ロスタイム3、自陣ペナルティエリア内でのこぼれ球を柏・ゼ・ホベルトに押し込まれそうになるが、中村が体を張ってこれを阻止、チームの大ピンチを救う働きをする。
ロスタイム4、
名古屋2人目メンバー交代：中村→吉村
ロスタイム5、自陣で相手ボールを奪ったウェズレイがカウンターで持ち上がって行くと、右から相手DFの裏へと放り込む。これにマルケスがタイミング良く飛び込んでシュート決めるが、これもオフサイドになってしまい、幻のゴールとなってしまうが、最後まで攻撃を諦めない、良い姿勢だ。そして、試合はこのまま柏の攻撃を凌ぎ、名古屋は、ホームでの勝利を迎えることが出来た。ウェズレイ・マルケスのゴールは見ることが出来なかったが、守備陣がしっかりと高い集中力で柏の攻撃を押さえるパフォーマンスを見せてくれた。また、監督の期待を受けた、中村・大野が活躍を見せるなど、今日は、点差以上に内容のある、文句なしの試合結果といえるだろう。これでチームに活気が出るはず。一気に勝ち続けて行きたい。最後まで応援ありがとうございました。