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2004 Jリーグディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第1節
午後3時15分過ぎ、セレッソの選手がピッチへ試合前のウォーミングアップのために現れるが、名古屋の選手は、楢崎・本田のGKの2人以外、誰も姿を見せない。アウェイ会場では、試合前に早くからピッチにと出向いて、気持ちをあまり高揚させないようにという監督の計らいのようだ。　屋内練習スペースでは、セレッソのサポーターの声をよそに、黙々とウォーミングアップを行う名古屋の選手達。どの選手達も表情は厳しく、今日の開幕戦に向け、気合い十分だ。そして、充分にウォーミングアップを行った後、午後3時35分過ぎ、ようやく名古屋の選手がピッチへと登場すると、遠く駆けつけた名古屋のサポーターから大きな拍手と声援に迎えられる。およそ10分程の、ボールを使ったパス交換等の簡単なメニューをこなすと、先発のメンバーの選手達は、控え選手をピッチに残し、足早にロッカーへと消えていった。

ピッチ上は、太陽が西に傾いて、メインスタンドが大きく芝の上に影を落としている。しかし、気温もそれほど低くもなく、風もなくてコンディションは悪くない。これから始まる熱い戦いを今か今かと待ち受ける、サポーターの熱気だけが、次第にスタンドを埋め尽くし始める。キックオフまで、いよいよ残り10分を切った。



前　半
午後4時、両チームの選手が審判団に続いて入場すると、長居スタジアムは両サポーターの声援で大賑わいとなる。おなじみの赤のユニフォームではなく、白いアウェイユニフォームでの入場となったが、各選手とも自信に満ちあふれた表情だ。きっとやってくれると信じて試合を見て行きたい。左にエンドを取った大阪に対し、右から左に攻め上がる名古屋。前半は名古屋のキックオフで試合が始まる。名古屋の布陣は、GK楢崎、DFは右から角田・秋田・古賀。MFは右から海本（幸）・大森・ヨンデ・滝澤、トップ下に岩本。FWはおなじみの2人、ウェズレイ・マルケスだ。 1分、左で岩本が浮かしたボールを縦に出すと、マルケスが拾って縦に抜ける滝澤にパスを通す。これを抜け出して行こうとしたが、相手DF2人にコースを阻まれ、ボールをタッチの外へ出してしまった。 2分、相手陣内右中程の位置でセットプレーのチャンスを得る。岩本がニアに早いボールを入れて行くが、これは詰めていた秋田が受ける前に相手DFが弾いてしまう。 4分、自陣右深い位置で大阪にFKを与えてしまう。大阪・佐藤が左足で曲がるボールを入れてくるが、ここはDFがしっかりとこれを頭で弾き出して、このピンチを救う。

7分、大阪・森島が右に開いて中に入れてくると、これを西澤があわせてくるが、ここは角田がしっかりと詰めて、外へ頭で弾いて行く。 8分、相手陣内左やや入った位置でのCKのチャンス。ゴール前に落ちるボールをウェズレイが蹴っていったが、反応した相手GKに弾かれてしまった。 9分、左からのCKのチャンス。岩本がファーサイドにいたウェズレイに蹴っていったが、カーブがかかりすぎて、頭の上を越してしまう。 10分、先ほどと同じような位置でマルケスが倒され、FKをチャンスを得る。ウェズレイが小さくだしたボールをマルケスが折りかえそうとしたが、DFに弾かれCKに。左からの岩本のゴール前へのボールは秋田が詰めていったが、飛び出した相手GKがキャッチしてしまう。ここまでは名古屋がしっかりと試合の主導権を握り、優位に進めていると言って良いだろう。 13分、大阪・布部がこぼれ球をシュートしてくるが、これは楢崎が落ち着いて正面でキャッチする。 14分、中盤でボールをカットした大森が右の縦にスルーパスを出して行くと、これにウェズレイが抜け出すが、惜しくも相手DFにボールが当たってしまい、貰うことが出来なかった。

16分、左からのCKのチャンス。岩本の早いボールは誰もあわせることができなかった。 17分、大阪の左からのCK。大阪・徳重が右足で入れて来たボールは、ヘディングでのボールが浮いて競り合いとなるが、何とかDFクロスバーの上へ弾きだし、失点は逃れる。 19分、左サイドで相手ボールをカットした滝澤がマルケスに繋ぐと、これをワンタッチではたいてウェズレイにパスを出そうとしたが、これは読まれてしまい、ボールを奪われてしまった。【失点】 20分、右サイドからのボールを中でDFが一旦はカットするが、こぼれ球に右から詰めてきた、大阪・徳重に左足で決められてしまい、大阪に失点を許してしまう。 22分、中央へ左からドリブルで流れてきたマルケスが右に海本にパスを出すと、、これを海本がウェズレイに当てて中へ入って行くが、ウェズレイが押さえ込まれボールを奪われてしまう。 23分、自陣でボールを持った滝澤が相手DFの裏へ抜けるマルケスにパスを出すが、ボールが背中に当たってしまい、これをチャンスに結びつけることが出来なかった。 25分、自陣入ってすぐやや右の位置での大阪のFK。大阪・佐藤がDFの裏へ狙って蹴ってくるが、これは楢崎が正面でキャッチ。 26分、中央でボールを貰ったウェズレイが左に上がるマルケスに向けて、DFの裏へ入れて行くが、これはオフサイドの判定。 28分、大森が左に開いたボールを受けた滝澤が縦に出すと、これを相手DFをかわして抜け出そうとしたが、後ろからファウルに倒されてしまう。

30分、相手パスをカットしたヨンデからのボールを貰ったウェズレイが左に上がると、中に詰めてきたマルケスにパス。これを右に流れる岩本にあわせてスルーしたが、惜しくもパスは届かず。得点には至らなかった。 31分、大阪の右からのCK。佐藤のゴール前への早いボールは楢崎がパンチングで弾く。 32分、左サイドをウェズレイのワンタッチのパスを受けたマルケスが上がっていって、中へ折り返そうとしたが、寄せてきたDFに体ごとはじき飛ばされ、ボールを奪われてしまう。 34分、自陣の秋田からの長いボールに右の深い位置で受けたウェズレイが後ろ足で中へ折り返すが、中央に詰めたマルケスには届かず、相手DFにカットされてしまう。ボールは持つものの、なかなか相手陣内深いところでの展開が少ない名古屋。ここは時間をかけてでもボールをしっかりとキープして、前半のうちに同点にして、試合を振り出しにしたいところだ。 38分、左に滝澤の縦パスを受けたマルケスが中へ入れて行くと、中央に詰めていたウェズレイが右に展開。前が空いたところでシュートに行くが、詰めてきた大阪・上村に足でシュートボールを止められてしまい、枠に向けて飛ばすことが出来なかった。

41分、右サイド滝澤があがってできたスペースにボールを出されると、これを中へと折り返される。大阪・森島が頭であわせようと飛び込むが、これは辛うじて届かず。 42分、右サイドを上がってきた海本が岩本に当てて中へと入って行こうとしたが、これは相手DFにクリアされてしまうが右からのCKに。岩本のゴール前へのボールは相手GKが直接キャッチしてしまう。 43分、自陣右DFの裏へ大阪・久藤がパスを出すと、これに森島が抜け出してくるが、ここはオフサイドに。ロスタイム1、左に出たボールを拾ったヨンデがドリブルから相手ゴール正面へボールを放り込むと、右から中へと流れてきた海本があわせに行くが、このボールは相手DFに阻まれ、あわせることは出来なかった。そして、ここで前半が終了。試合は押されている展開ではないが、押し上げて行くところを裏を狙われて、ピンチを作られていることが多いだけに、後半はこの辺りをしっかり修正してゆきたい。また、相手DFの厳しいマークをはずすためにも、両サイドのスペースをもっと活かして、早い時間に追いついて行きたいところだ。
後　半
名古屋1人目メンバー交代：ヨンデ→岡山ネルシーニョ監督は、中盤のヨンデを代え、早速岡山を投入。試合の流れを変えようと言うのが狙いだ後半はエンド入れ替わって、左から右に攻め上がる名古屋。大阪ボールで後半再開。 1分、自陣からのボールを貰った岡山が右のスペースへとパスを出すと、これをウェズレイが追いかけるが、僅かにボールが長くタッチラインを割ってしまう。 2分、左サイドドリブルで上がるマルケスが相手DFに阻まれるものの、こぼれたところを滝澤が抜け出すと、ギリギリから中へ折り返して行く。これをゴール正面で詰めていたウェズレイがヘディングシュートを打つが、左のポストに嫌われてしまい、決めることが出来なかった。

4分、左サイドを上がる滝澤からの折り返しをファーサイドで岡山が待ちかまえるがカットされCKに。【得点】 5分、右からの岩本のゴール前へのボールを角田が頭で押し込み、移籍初ゴールを見事に決め、同点とする。 6分、右に出たボールを持ち上がった岡山が中へと折り返して行くが、これは誰も詰めることが出来ず、相手DFにカットされてしまった。 7分、大阪1人目メンバー交代：ラデリッチ→千葉 9分、自陣左やや入った位置での大阪のFK。左に展開したボールを大阪・佐藤がゴール前へと入れてくるが、これは楢崎が落ち着いてキャッチする。 10分、右の海本からのニアへのボールをマルケスが受けると、相手DFと競り合いながらも中へと入ろうとするが、ここは体が反転できず、ボールを中へと持ち込めなかった。

11分、岩本が中央でボールを持つと、これをドリブルしながら左に展開。これを貰ったウェズレイが左足でシュートに行くが、惜しくも枠は捕らえることが出来なかった。しかし、岡山の投入で試合のリズムが良くなり攻撃に幅が出だした名古屋。ここは一気に攻め込みたい。 13分、左サイドで仕掛けてきたマルケスがゴール前の岩本に繋ぐと、これを自ら打たず、後ろにいたウェズレイに譲ろうとスルーするが、ボールは相手DFにカットされてしまった。ここは直接打ってほしかった。 14分、ゴール前でボールがこぼれたところを大阪・西澤に押し込まれそうになるが、ここは相手のシュートミスに救われる。


【得点】 17分、左サイドで岡山が粘ってボールをキープすると、サイドチェンジしてきた滝澤にパス。これを落ち着いてゴール前へと放り込むと、待っていたウェズレイがヘディングで、相手GKの指先をはじき飛ばしてこれを決め、ついて2－1として大阪を突き放しにかかる。 20分、右サイドでドリブルで上がってきた大阪・森島が中へと入れてこようとするが、このボールは精度を欠き、ゴールラインを割る。 21分、左サイドで大阪・徳重が粘って入ってこようとするが、角田がしっかりとこれをついて行き、海本との連携でこのボールをカットして行く。 22分、左に上がってきたマルケスの中へのボールは相手がカットしてしまう。 23分、大阪2人目メンバー交代：西澤→苔口 25分、左サイドでボールを拾った滝澤が中へと入れて行くが、これは反対サイドに流れてしまう。このボールを拾った海本が上がってきた大森に当てて中へと入れて行こうと試みるが、ボールが流れてしまい、相手GKへ渡してしまう。 28分、大阪の左からのCK。徳重がニアに入れてきたが、詰めていた大森がカットする。しかしこれが小さくなったところを拾われると、再びゴール前へ入れてくる。DFが弾いたところを。こぼれ球に詰めた大阪・久藤が豪快なミドルシュートに。しかし、これは左ポストの外に外れる。 31分、自陣左中程での大阪のFK。ゴール前へ落としてきたボールは楢崎がきっちりと押さえる。 32分、左サイドから粘って入ってきた大阪・佐藤の折り返しに大阪・苔口が頭で合わせようとフリーで飛び込んできたが、これは辛うじてタイミングがあわず、救われる。

34分、名古屋2人目メンバー交代：岩本→大野 35分、大阪の右からのCK。大阪・佐藤のファーサイドへのボールは誰も詰めておらず、マイボールに。 36分、マルケスが縦パスを受けると、これを寄せていたDFをあざ笑うかのように上がってきた滝澤に繋いで行く。これを寄せてきた大野がDFをかわして中へと入れようとしたが、このボールはコースを読まれ弾かれてしまう。 38分、大阪3人目メンバー交代：森島→御給左からの大阪のCK。徳重の入れてきたボールはファーサイドにこぼれると、大阪・久藤がミドルシュート。しかし、ここはDFがしっかりと体を入れてこれを阻止する41分、大阪・佐藤がロングスローでゴール前へ放り込んでくるが、楢崎が直接キャッチする。大阪がここへ来て一気に押し上げて同点にしようと、厳しい攻撃を展開してくる。 42分、左からのCK。ゴール前にこぼれたところを押し込もうとシュートに来るが、これは楢崎ががっちりと倒れ込みながらも押さえる。 43分、右サイドでボールを持ったウェズレイが時間をかけながらも、寄せてきたDFを間を狙ってボールをゴール前へと放り込むが、これは相手GKにキャッチされてしまう。 44分、自陣からの縦パスにウェズレイが抜け出して行くが、飛び出した相手GKにこのボールを先にカットされてしまう。残り時間僅か、何とかこのまま逃げ切って、勝利で開幕を飾りたい。ロスタイム1、左サイドでボールを持った滝澤だったが、慌てることなくボールをキープ。相手DFが寄せてきたところを縦へと出すが、これはオフサイド。ロスタイム2、自陣深くゴール前でのボールを大阪・苔口がシュートにくるが、これは楢崎がキャッチする。そして、4分近くのロスタイムを経て、審判の試合終了を告げる笛がスタジアムにこだますると、名古屋の開幕勝利が告げられる。見事、白星で開幕を勝利で飾ることが出来た名古屋。この勢いで今年は一気に勝ち抜けて行きたい。前半バランスの悪かった中盤を入れ替え、岡山を投入して攻撃的に修正し、それがすぐに結果を生んだ今日の試合結果だ。今日はネルシーニョ監督の采配が一番の功績といえよう。最後まで応援ありがとうございました。