2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第13節
夕方からの天候が崩れる事を予想してか、大きく“瞳”を閉じた、大分スポーツ公園総合競技場。
午後1時25分、お馴染みのスタンドへのグッズ投げ入れのため、グランパスの選手がピッチに現れると、遠く名古屋から応援に駆けつけたサポーターの下へと駆け寄ってゆく。ホームの試合の時とはうって変わって、アウェイ側の席は、ギッシリと大分サポータで詰まったホーム側とは違い、がらんとして静かなスタンドだが、選手達は少しも気にとめては居ないようだ。前節の勝利で好調さを感じさせる、明るい表情ばかりが各選手から伺えた。名古屋のサポーターも、今日も決めてくれる事を信じているのか、笑顔でグッズを受け取っていた。
 大分の賑やかな先発メンバー紹介の中、ピッチでは、来週19日にここで大分で行われる、カメルーン相手に行われる代表戦に招集された。GKの楢崎と本田の2人と、藤本・滝澤・ヨンデ・氏原の控えの4選手と、予備としてチームに帯同した、富永(英)等がウォーミングアップを黙々と行っている。その他の先発メンバーは、例によって、屋内でのスタンバイとなった。
生き残りが掛かっていることもあってか、試合前から大分サポータはかなり期待が入っている。今日は楽勝とはいかないと思うが、大分相手に、きっちりと勝ち点3を奪って貰おう。
前 半
左にエンドをとった大分に対し、右から左に攻め上がる名古屋。前半は大分のボールで試合開始。名古屋の先発は、GK楢崎、DFは、右から大森・パナ・古賀の不動の3人。MFには、右に好調・海本、ボランチの位置には、吉村・中村、そして左サイドは中谷。ひとつ前に岡山が入る。FWは、右に、目下絶好調のウェズレイ、左にはマルケスという布陣だ。
1分、自陣やや右入ったところでの大分のFK、梅田がゴール前に放り込んできたが、DFが相手選手にしっかりと付き、シュートは打たせなかった。
2分、相手陣内でのこぼれ球を拾ったウェズレイが中央に走るマルケスにパスを通そうとしたが、これはカットされてしまう。
3分、左サイドの中谷がボールを奪われると、これを大分・梅田がサイドチェンジ。このボールが大森の頭を越えると、左から大分・吉田が詰めてゆくが、ボールが長くなり救われる。
5分、右で中村が海本に預けて縦に抜け出そうとしたが、これはパスが流れてしまう。
6分、自陣のこぼれ球を大きく吉村が縦へと出してゆくと、これをウェズレイが相手DFと競り合いながら受けようとしたが、ファウルを取られてしまう。
7分、自陣右深い位置での大分のFK。梅田がファーサイドの高松に会わせて蹴ってゆくと、これを後ろに流したところに吉田が詰めてきてピンチになるが、ここは楢崎がしっかりと押さえる。
8分、右からのCKのチャンス。中村が中央のパナに合わせて蹴っていったがこれはカットされてしまう。こぼれ球に詰めた岡山の左足のシュートは、クロスバーの上へ大きく外れる。
9分、右サイドで海本がドリブルから縦に出したパスに岡山が飛び出していったが、これはオフサイドに。
10分、自陣から吉村が縦に早いボールを出すが、これは誰も反応できず、相手のボールに。
11分、相手陣内深く左の位置でウェズレイが倒され、好位置でのFKのチャンスを得る。これをウェズレイ自ら蹴ってゆくと、ゴール正面ニアよりの位置へ早いボールに海本が飛び込むが、僅かに相手GKが先にこれに反応、パンチングで弾かれてしまう。
12分、右サイドで大分の選手の楔のボールをダイレクトで梅田がシュートに来るが、これは精度を欠き、ポスト右に外れる。
13分、左に流れる中村に合わせて中谷が縦パス。しかしこれは相手選手が詰め、カットされてしまう。
14分、左からのCKは中村がマルケスを使ってショートコーナー。これをマルケスが放り込んでいったが、相手DFに弾かれてしまった。ここまでは、ボールは奪えるものの、大分の選手の高い集中力もあってか、なかなか崩しきれていない展開が続いている。
16分、マルケスが右の海本にだすと、これを簡単に縦にはたく。これをウェズレイがもらいにゆくが、相手DFにパスのボールを頭でカットされてしまう。
19分、自陣左入ってすぐの位置での大分のFK。ここでも梅田がゴール前に張っている高松の頭に合わせて蹴ってきたが、パナ、古賀がしっかりと付いて、チャンスを作らせる事はさせなかった。
20分、自陣で相手ボールを奪ったマルケスが縦に大きく出してゆくが、これは前にいたウェズレイには通らず。相手ボールになってしまう。
22分、中央からウェズレイが中谷のパスをダイレクトに縦に出してゆくと、これにマルケスが反応、ドリブルから折り返してゆくが、右から上がっていった岡山はこれにあわせきれず、ボールは流れてしまった。
23分、大分・高松がエリアの外からシュートに来ると、一旦は古賀が体を張って止めるものの、こぼれたところをサイドシュートに。これがDFに当たり、CKに。
24分、右からのCKのボールはDFが頭で大きく縦に弾き出してゆく。
27分、大分・吉田が左からドリブルで仕掛けてくると、そのままシュートを打ってくるが、これは楢崎が正面でキャッチ。
28分、右サイドをドリブルで深く上がっていった海本からのマイナスの折り返しを、中央でウェズレイが貰おうとしたがこれは先に相手DFがカットしてしまう。
30分、自陣中程中よりの位置での大分のFK。梅田が蹴ってきたボールは壁に当たり、はじき返す。
31分、相手ペナルティエリア内でパスを貰ったウェズレイだったが、シュートコースを探すうちに相手DFに詰められて、慌ててシュートにゆくが、これは力無く相手GKの正面へ。
32分、右の海本からの中央へのクロスに岡山が頭で落とすが、ここには誰も詰める事が出来ず、相手にボールを奪われてしまう。
33分、左サイドで中谷が相手ボールを奪うと、これを中に繋ごうとしたが、相手にカットされてしまった。
35分、自陣から出たボールを海本、岡山と頭で縦に繋いでいったが、最後のところで追いかけたウェズレイが、これに間に合わなかった。
36分、左サイドを相手と競り合いながらボールを奪った中谷が縦に突破を図ると、これを中に流れるマルケスにスルーパス。しかし、僅かに長くなってしまい、相手GKにキャッチされてしまう。
38分、大分・高松がパナと競り合いながら、エリア内に入ってくると、これを梅田に出すと、ファーサイドへと放り込んでくる。DFがこれに反応するが、CKに。
40分、右からの大分のCK。梅田のニアへのボールは詰めていた中村が簡単に蹴り出してクリアする。ここへきて、攻撃の形が上手く作れない事で、両チームの選手が苛立ち始め、ファウルが目立ってくる。ここは落ち着いてゆきたい。
43分、右からドリブルで中に流れてきた海本がマルケスに当ててさらに中へと入ってくると、相手の寄せをかわして左サイドへとボールを出す。これを中谷が右足でシュートにゆくが、相手GKに弾かれてしまった。
44分、左からのCKのチャンス。中村が大きくファーサイドに入れてゆくと、岡山が競り合ったところを、ウェズレイがもらいに言ったがファウルを取られてしまう。
ロスタイム1、自陣からパナが短く縦に出すと、これを中村がダイレクトで相手DFの裏へと蹴ってゆく。これに飛び出したウェズレイがGKと1対1になりかけるが僅かに相手が早く、ボールを取られてしまう。
ロスタイム2、左からの大分のCK。梅田のボールがゴール正面に入れたボールが相手選手の前にポトリと落ち、シュートに。あわや先制されるかと思われたが、楢崎とDFがコースに入り、このボールを弾き、このピンチを逃れる。そして、ここで前半が終了。なかなか大分のゴールをこじ開ける事が出来ず、苦戦を強いられている名古屋。ボールを持っても、両サイドが押さえ込まれてしまい上がりきれないため、ボールの出しどころを探すうちに大分の守備陣が戻ってしまい、チャンスを作れない場面が目立っていただけに、後半はこの辺りを立て直して欲しい。
後 半
前半から、大分の戦術に乗せられてか、ボールを持たせて貰いながらもチャンスを作れなかった名古屋。ネルシーニョ監督はハーフタイムでどう修正してきたか、注目だ。エンド入れ替わって左に攻め上がる名古屋のボールで試合再開。
1分、左からのスローインのボールをウェズレイがヒールでダイレクトに出すと、これに中谷が抜け出そうとしたが、これは相手DFにカットされてしまう。
2分、縦パスに抜け出したマルケスが縦に長い距離を上がってゆくと、相手陣内深くで詰めてきたウェズレイへパス。これを相手エリア内に仕掛けようとしたが、DFの激しい当たりに倒されてしまい、ボールを奪われてしまう。
4分、自陣左中程の位置での大分のFK。梅田の入れてきたボールはDFがクリアしてゆく。
5分、右からの大分のCK。梅田の入れてきたボールを一旦は弾くものの、こぼれ球を繋がれ、最後ファーサイドの山崎が頭であわせてきたが、これは楢崎が落ち着いてキャッチする。
6分、右に出たボールを海本が低く早いボールを折り返してゆくと、ファーサイドに古賀、マルケスが飛び込んでゆくが、相手DFが頭でクリア。
7分、左からのCKのチャンス。中村の入れたボールは誰も押し込む事が出来なかった。
9分、左に抜け出したマルケスが折り返そうとしたが、これは相手DFに弾かれ、CKに。中村のゴール正面へのボールに海本が飛び込んでゆくが、相手DFと競り合いながらのヘディングシュートはポストの右に外れる。
10分、大分1人目メンバー交代:山崎→有村
11分、大分・寺川左サイドをドリブルで侵入してくると、大森がマークで着いてゆくが、最後までシュートは打たせず、GKに。
14分、名古屋1人目メンバー交代:中村→藤本
16分、古賀の中谷へのパスを大分・梅田にカットされると、これをファーサイドに詰めていた高松に。しかし、頭で落としたボールはDFが先に拾ってクリアして、事なきを得る。
17分、左からのCKのチャンス。短く出したところをマルケスが中へと入れようとしたが、大分のDFにカットされてしまう。
18分、大分の左からのCK。ニアへの低いボールは詰めていた相手選手がゴールラインの外へ出してしまい、GKに。
19分、相手陣内でウェズレイがドリブルから強行突破を図ったところを相手DFがたまらず倒してしまい、好位置でのFKのチャンスを得る。ここは今週練習していたセットプレーを活かしたい。ウェズレイの右足からのボールは相手DFに当たり、右からのCKに変わる。藤本がこれを蹴りにゆくが、柔らかな芝に足を取られてしまい、ミスキックとなってしまう。
22分、大分2人目メンバー交代:片野坂→ウィル
23分、自陣左で古賀がドリブルで前を向いたところを足元に行った大分・高松がこの日2枚目のイエローで退場となり、1人少なくなる。ここは大分が残り時間を考えて、守りに入る前に早く先制をしておきたい。
25分、相手陣内深くやや右、ペナルティすぐ外の位置でのFK。今度はウェズレイが、藤本を囮にして、直接狙っていったが、クロスバーの上へ外してしまう。
28分、右サイド深くに出たボールに行った藤本が寄せてきた海本へ出すと、これを中央を上がった吉村へと繋いでゆこうとしたが、ボールが上手く足元に入らず、これをチャンスにすることが出来なかった。
29分、中谷からの縦パスを受けた藤本が左を上がると、中へと折り返していったが、大分のDFに弾かれてしまう。
30分、海本が右サイドで相手DFをかわして抜け出そうとするが、ボールを弾かれてしまう。
31分、左サイドを突破されると、DFの裏へボールを放り込まれ、あわやの場面となるが、ここは相手のオフサイドで救われる。
33分、相手の引いた堅い守りに、DFの裏へと飛び出した藤本が中へ折り返そうとしたが、大分のDFの選手に弾かれてしまう。
34分、ドリブルで大分・ウィルが侵入を図ると、DFを引き連れながらもシュートに来るが、ここは楢崎が飛び出して、このピンチを救う。
35分、相手陣内でボールを持った吉村が、ミドルシュートを放つと、これが相手選手に当たらず、ゴールに向かうが惜しくもポストの右に外れてしまった。
37分、右からのCK。藤本の入れていったボールは詰めていた選手が弾いてしまった。
38分、右に出たボールを大分・ウィルが古賀をかわして中へと放り込んでくるが、ここはパナがこれを落ち着いてクリアしていった。
40分、名古屋2人目メンバー交代:岡山→氏原
相手エリア内へ走り込む氏原に向けてのマルケスのボールが弾かれたところを詰めたウェズレイのシュートは枠を捕らえられず。
41分、氏原が粘って右で海本に戻すと、これを藤本がはたいて右にあがるうぇずれいがもらって縦に抜け出し、ゴール前にと放り込むと、マルケスが飛び込んでいって合わせるが、惜しくもシュートは枠の外。どうしても得点を奪う事が出来ない。
43分、相手陣内左でのFK。藤本のボールは直接入るかと思われたが、相手GKがキャッチしてしまった。
44分、左サイドでパナからのボールを受けた中谷が縦にゆこうとしたが、詰めてきた相手選手にボールを奪われてしまう。
ロスタイム1、相手陣内エリアの外でマルケスがコースを探すとシュートを狙うが相手に弾かれてしまう。こぼれたところに詰めた吉村も、そのままシュートにゆくが、ポストに右に外れてしまった。
ロスタイム2、相手陣内深く上がったところでのスローイング。上がっていた大森がロングスローをゴール前へと放り込んでゆくが、大分の堅い守りに弾かれてしまう。
ロスタイム3、大分・ウィルが危険なプレーで一発退場。相手陣内入ってすぐ右寄りの位置でのFKを、藤本が上がっていたパナに合わせて蹴っていったが、押し込む事は出来なかった。そして、約3分のロスタイムを経て、主審の試合終了を告げる笛が鳴り響くと、0−0というのスコアレスドローで試合は終了。名古屋は痛い勝ち点を逃してしまう。途中から10人に、そして、最終的には9人という大分相手に、最後まで得点でき無かったことは残念で仕方ない。最後まで応援ありがとうございました。