2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第11節
 午後2時25分、この時間になって空には雲が覆い始め、スタジアム内に冷たい風が吹き込むようになり、肌寒さを感じさせる。
 いつものサポータの詰めかけたスタンドめがけて、サイングッズの投げ入れのために、選手が登場。大きな声援に迎えられる。各選手ともリラックスした表情を見せているものの、いつもホームで見せるような明るさは、前節の神戸戦の敗戦の悔しさからなのか、どの選手にも見受けられない。ムードメーカーのパナが一人おどけてみせる他は、誰もが表情がぎこちない。特に、FWウェズレイに至っては、前節自身が出場できなくて、チームの結果が出なかっただけに、責任感の大きい彼にとって、今日の試合に賭ける意気込みは誰にも負けるものではないはずだろう。ウェズレイには、滝澤と共に、新生2トップの一角として、G大阪のDFを恐怖に陥れるようなプレーを見せて貰いたい。
また、ネルシーニョ監督の敷いた今日の新布陣の中で、トップ下を担う酒井も気合い充分なのが伺える。彼には攻撃に積極的に絡んでもらうことは勿論、相手の攻撃の起点である、MF遠藤を、どう押さえるかにも掛かってくるだけに、大きな期待が掛かるところだろう。
 ともかく、今日はG大阪に勝って、サポーターと共にホームに戻りたい。まもなくキックオフだ!
前 半
左にエンドを取った大阪に対し、右から左に攻め上がる名古屋。前半は大阪のボールで始まる。
名古屋は、GKは、怪我から復帰の楢崎、DFは、右から大森・パナ・古賀のおなじみの3人。MFには、右から海本・山口・中村・中谷、トップ下には酒井がはいる。そして、FWは、ウェズレイと滝澤(!)の2人が位置すると言う布陣だ。
1分、古賀が相手ボールを奪うと中谷に繋ぎ、これを大きく前線に出すと滝澤が追いかけるが、これは相手DFに。
2分、右に開いた酒井がゴール前に上げてゆくが、相手GKが飛び出して前に弾き、詰めた中村はこれを合わせることが出来なかった。
3分、大阪・二川がボールを持つと、DFの裏へ中山を走らせるが、楢崎が落ち着いて前に出て、これをキャッチ。
4分、自陣からパナが右のスペースに大きく出すと、海本がDFと競り合うが、こぼれたボールは、相手GKがキャッチしてしまう。
5分、今度は中央から前線にウェズレイを走らそうとパナが出してゆくが、これは相手DFへのファウルを取られる。
6分、右サイドを上がってきた大阪・森岡にパスが出ると、これを折り返してくるが、ボールは正確さを欠き、反対に抜けてゆく。
【失点】
7分、自陣右深めの位置での大阪のFK。遠藤のボールにファーサイドの選手が落としたところを山口に左足で押し込まれ、早くも失点を、それもセットプレーから許してしまう。
10分、右でパスを受けた海本が縦に、酒井へ渡してゆくが、これはボールをタッチの外へ出してしまう。
11分、相手陣内でのパスを中盤でカットされると、大阪に押し上げられる。最後、DFの裏へのボールに反応した吉原が折り返そうとしたが、古賀が体で止める。
12分、大阪の右からのCK。遠藤のボールにニアの中山が合わせようとしたが、これは弾いてしまう。
14分、左に上がる中谷にパスがウェズレイから出ると、これを持ち上がり、滝澤に繋いでゆく。しかし、中に入って行こうとしたところは相手DFに詰められ、強引に折り返したボールは弾かれてしまった。
16分、自陣からの古賀の長い縦パスに抜け出した中谷がゴール前に折り返して行くと、中央でウェズレイが待っていたが、僅かにボールが長く、頭の上を抜けてしまった。
18分、自陣での競り合いでこぼれたボールに滝澤が取りに行ったが、トラップしたボールをタッチの外に出してしまう。
19分、相手ボールをカットした海本が中央からドリブルで上がると、右に開いたウェズレイにパスを出す。これをファーサイドに上がる滝澤にあげて行くと、ヘディングシュートにゆくが、ボールは相手GKの頭の上を越えず、キャッチされてしまった。
21分、中央の山口が大きく左のスペースに出して行くと、これに中村が拾いに行き、中へ折り返して行くが、体勢が悪く、大きく反対サイドをボールは抜けていってしまう。
23分、中央の中村から右にフリーで詰めていた酒井が受けるが、慌てて戻った大阪のDFにボールをカットされ、チャンスに出来なかった。
25分、大阪の左からのCK。遠藤からの低いボールをニアの中山がお玉で後ろに長そうとしたが、これはDFが読んでボールを弾き出す。
26分、中央へ左から切れ込んだ中谷が相手ペナルティのすぐ外の位置まで入って行くが、寄せてきた相手DFに倒され、ボールを奪われてしまう。
27分、自陣からの海本の早い縦パスに、ウェズレイ・滝澤と走って行くが、追いつく前に相手GKにキャッチされてしまう。
29分、自陣右中程の位置での大阪のFK。先制されたのがセットプレーでの失点だっただけにここは集中して凌ぎたい。遠藤のゴールへのカーブの掛かったボールはDFが頭ではじき返す。
31分、自陣右中程での大阪のFK。遠藤が今度はファーサイドに曲がるボールを上げてくると、吉原が詰めていたが、相手選手の頭に当たったボールは、その足元を抜けて行く。
32分、自陣右で大阪・森岡が中を狙ってドリブルで仕掛けてくるが、ここは中谷がしっかりと付いていってボールを奪い、古賀に繋いでクリアしていった。
33分、中谷からの縦のボールを左で受けた中村だったが、相手DF2人の厳しい寄せに合い、ボールを中へと入れて行くことは出来なかった。
35分、山口が海本からのボールを簡単に縦にはたいていったが、これには誰も反応できず、相手ボールになってしまう。
36分、自陣左で大阪・新井場のボールに大森が寄せてできた裏へパスを出されると、二川が上がって行くが、ボールには追いつけず、ゴールラインの外へ。
37分、右サイドをドリブルで上がって行くウェズレイがゴールライン際で、強引に折り返してゆくが、これはラインを割ってしまう。
39分、中村が中央でボールを受けると、ミドルシュートを狙うが、これは相手選手に当たり、CKに。右からのCKは相手DFにクリアされてしまう。
40分、左からのCKのチャンス。滝澤の入れていったボールにパナが中央で飛び込んで行くが、相手DF2人に阻まれ合わせることが出来なかったが、こぼれ球が浮いたところをウェズレイがオーバーヘッドシュート。しかし、ボールは僅かにポストの右に外れてしまった。
42分、相手パネルティすぐ外でウェズレイが個人技で相手DFを振り切ろうと試みるが、3人に囲まれ、抜け出すことは出来なかった。
43分、右からのCKのチャンス。滝澤のニアへのボールはカーブが掛かりすぎてしまい、相手DFに簡単にはじき返されてしまった。
44分、左からのCKのチャンス。滝澤が早いボールを蹴っていったが、ニアに詰めていた酒井に届く前にカットされてしまう。
ロスタイム1、相手陣内ゴール前でのボールがこぼれたところをパナがシュートにゆくが、相手に当たってしまい、右からのCKに。
ロスタイム2、滝澤が上げていったボールを相手GKが弾いてこぼすが、詰める前にGKが拾ってしまう。
ロスタイム3、左からの大阪のCK。遠藤のボールは楢崎が直接キャッチ。
ロスタイム4、相手陣内ペナルティすぐ外の位置でウェズレイがボールを持つと、直接ゴールを狙うが、相手GKに反応され、キャッチされてしまう。ここで前半が終了。開始直後は大阪に押し込まれ、なかなか攻めきれないうちに失点を許してしまったが、その後は名古屋が優位に試合を進めてきたが、同点に追いつくことが出来なかった。後半は、立ち上がりの早い時間帯に同点に追いついて、試合を振り出しにした上で、さらに追加点を狙って、攻撃的に攻め込みたい。後半に期待だ!
後 半
1点ビハインドで折り返した後半戦。名古屋は前半途中からの勢いさえあればすぐに追いつけるはずだ。
名古屋1人目メンバー交代:山口→氏原
G大阪1人目メンバー交代:実吉→木場
ネルシーニョ監督は、前線の滝澤の定位置のボランチに下げ、FWに、先日のサテライトで2得点を挙げ、調子の上がってきた氏原を入れてきた。
1分、相手陣内中央ほぼ真ん中の位置でウェズレイがファウルを受け、FKのチャンスを得る。ウェズレイが相手DFの頭越しにボールを入れていったが、これは長すぎてしまう。
【失点】
3分、大阪・森岡の右からの折り返しに反応した楢崎がボールを弾いてしまい、これに中央から詰めてきた吉原に拾われると、そのまま押し込まれてしまい、2点目を奪われてしまう。後半いきなりの失点で、いよいよ苦しい展開となってしまった。
5分、中央でのこぼれ球を拾った大阪・吉原がミドルシュートを打ってくるが、これは枠に届かなかった。
6分、右から海本が氏原とのワンツーで上げってゆこうとしたが、最後のところで相手DFに弾かれ、縦へ突破することは出来なかった。
7分、左サイドを中谷が長い距離を上がって行くと、中へと折り返そうとしたが、しつこいマークに合い、ボールを上げることができなかった。
10分、左の大阪・新井場の早い折り返しにゴール前へ中山が飛び込んでくるが、ここは古賀がマークについて、これの凌ぐ。
12分、右に上がる中谷がDFの裏へ短く出すと、これに酒井が反応して行くが、相手DFに阻まれ、チャンスを生かすことが出来なかった。
14分、中谷から滝澤がボールを貰うと、これを持ち上がってゴール前へと入れて行く。氏原が競り合いながらも頭であわせようとしたが、僅かに高く、辛うじて触れたものの、ボールは右流れてしまった。
名古屋2人目メンバー交代:滝澤→吉村
16分、左の縦のボールに中谷が上がって行くが、エリア内へ入ったところで相手DFにカットされてしまう。
17分、左からのCKのチャンス。ウェズレイの蹴っていったボールはニアの相手DFが簡単にクリアしてしまう。
18分、中央でボールを持った海本が寄せてきた相手選手をかわして縦に上がると、相手GKのポジションを見てループシュートを狙うが、これは低すぎてキャッチされてしまう。
20分、右サイドでボールを持った海本が左足でDFの裏へ軽く浮かして行くが、左から飛び込む選手が間に合う前に、相手DFに弾かれてしまった。
21分、相手陣内深いところ、ペナルティすぐ外で相手DFを背負ってボールを受けると、トラップから向きを入れ替えてシュートにゆくが、これはクロスバーの上へ。
22分、右からの大阪のCK。遠藤のニアへのボールは大森がカットするが、こぼれ球を拾った選手がミドルシュートに。しかし、これは楢崎がしっかりとキャッチ。
23分、相手DFの裏、右サイドに出たボールに飛び出したウェズレイが強烈なシュートを放つが、これは相手GKの好セーブに合い、惜しくも弾かれてしまう。
25分、相手DFの裏へのボールに中央から抜け出そうとした氏原が倒され、絶好の位置でFKのチャンスを得る。
26分、名古屋3人目メンバー交代:酒井→原
【得点】
27分、ゴールほぼ正面ペナルティエリアすぐ外2mほどの位置でのFKの場面。これをウェズレイが右足でゴール右に決め、まずは1点を追いつく。
30分、自陣中程ほぼ中央でのFKを大阪に与えてしまう。ここで遠藤が先ほどのウェズレイのプレイに触発されたのか直接狙ってきたが、ボールは左のポストの外へ外れる。
31分、右に上がる大阪・吉原が折り返してくるが、ボールは大きく流れ、ゴールラインを割る。
32分、相手パスをカットした中谷が左にウェズレイに出して行くと、これを中央へ折り返していったが、中村が詰める前にカットされてしまう。
33分、大阪2人目メンバー交代:森岡→アリソン
35分、海本からのスローインのボールを受けた氏原が原に当てて抜け出そうとしたが、これは相手DFにボールをカットされてしまう。
36分、右サイドを大きく上がっていった海本がゴール前に上げてゆくと、これに原・氏原と詰めていったがその前で相手DFが弾いてしまった。
37分、大阪3人目メンバー交代:中山→松波
38分、自陣からの大森のボールに上がっていた古賀が頭出たてに流すと、氏原が詰めて左足でシュートを放つが、寄せてきた選手に弾かれてしまった。
【失点】
39分、DFラインを崩されると、左の新井場にボールを拾われ、中央への折り返しを中央で吉原に押し込まれてしまい、痛恨の3点目を大阪に献上してしまう。選手達には、これで試合を諦めることなく、最後まで、プレーしてもらいたい。
43分、相手ゴール前へ大きく放り込んでゆくが、あげていた古賀が上げてこぼれたボールは相手DFに先に拾われてしまい、、チャンスにすることが出来なかった。
44分、左サイドにこぼれたボールに大阪・吉原が拾いに来るが、ここは海本が着いていってボールをタッチの外へと出させる。
ロスタイム1、左に出たボールを持ち上がった中谷がファーサイドへ早いボールを入れてゆくと、原が飛び込むが、これには僅かに届かなかった。約2分のロスタイムを経て、審判の試合終了を告げる笛がスタジアムに響き渡ると、名古屋のイレブンは思わず、悔しさにその場に膝をついてしまった。
1点追いつき、これからはもっと攻撃的にと言う展開の足下をすくわれる形で、3点目を奪われるという残念な結果となってしまった。最後まで応援ありがとうございました。