2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第7節
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午後2時35分、薄雲に覆われた秋空の下、選手が試合前のウォーミングアップにピッチに登場する。昼間の開催となった今日の試合、朝早くから詰めかけた多くのサポータでびっしりと埋まったスタンドからの大きな声援でスタジアムは、一気に沸き返る。
気温も湿度も高くなく、チームの調子も上がってきたと言うことで、選手たちの表情には余裕が伺える。ウェズレイ・マルケスなどは、時折笑顔を交えての練習で、実にコンディションが良さそうだ。また、前節、久々の先発となった山口や、すっかりレギュラーとして右サイドに定着した海本(弟)は、逆に、充分に気合いが入ってる様子が、練習中の姿からひしひしと伝わってくる。
現在、5位の名古屋。上位に食い込んでゆくためにも、今日のC大阪戦は、絶対に勝っておかなければ行けない試合。次節、アウェイの味スタでの、好調ヴェルディとの1戦をいい形で迎えるためにも、取りこぼしはできない。今日は、ホーム・瑞穂で完勝が必至だ。
8月の「月間ランクル賞」には、幾多の得点に絡んだマルケス選手が選ばれました。
前 半
秋の紅葉を思わせるほど、サポーターで真っ赤に染まったスタンドからの応援の声の中、BGMにのせて、両チーム選手がちびっ子エスコート隊と共に入場。それまでは穏やかだったスタジアム内の雰囲気が、一気に賑やかに変わってゆく。右にエンドを取った大阪に対し、左から右に攻め上がる名古屋。大阪のボールで前半が始まる。名古屋は、GK:楢崎、DFは右から大森・パナ・古賀。中盤は、右から、海本(弟)・酒井・山口・中谷、ひとつ前に岡山。FWは、ウェズレイ&マルケスの布陣だ。
2分、相手陣内中央でのFKのチャンス。左のマルケスに出していったボールはファウルを取られ、大阪ボールに。
3分、ルーズボールを酒井がヘディングでDFの裏へ出してゆくと、ウェズレイが抜け出しミドルシュートに。しかし、これは枠を捕らえることは出来なかった。
5分、中盤で大阪のボールを奪うと、酒井が縦に出してゆくが、これは相手DFにカットされてしまう。
6分、自陣からパナが長いボールを縦に出していったが、これは長すぎてしまい相手GKの下へ。
7分、自陣右中程の位置での大阪のFK。大阪・佐藤が左でグラウンダーのボールを入れてきたが、これは簡単にクリアしてゆく。
【得点】
8分、中央のウェズレイから右に上がる岡山にパスが出るとこれを持ち上がり中へ切れ込んでゆく。右に流れたマルケスがパスを受けると、これをギリギリまで持ち込んでファーサイドに上げてゆくと、詰めていったウェズレイがヘディングで決めて、早速先制点を奪う。幸先の良い出だしだ。
11分、相手陣内中程やや右の位置でのFKのチャンス。ウェズレイが早い、左にカーブの掛かるボールを蹴ってゆくと、左から何人が詰めてゆくが、ボールが早く、そのまま抜けてしまう。スタジアムからは大きなため息が。
13分、マルケスがワントラップで相手をかわすと、縦に長く出してゆく。これを走って拾ったウェズレイが右から上げてゆこうとしたが、これは詰めてきたDFの足に当たり、GKにキャッチされてしまった。
14分、自陣入ってすぐ中よりの位置での大阪のFK。ゴール前に放り込んできたボールは一旦、大阪・西澤が頭で流してくるが、パナが落ち着いてこれを頭で出してゆく。ここまでは先制したこともあり、良いリズムで試合を進めている名古屋イレブン。
16分、左でボールを持った大阪・西澤のヒールを受けたアクセウがそのままシュートに来るが、これは右に大きく外れる。
18分、右の海本からのボールをマルケスがヘディング一本で縦に出すと、これに岡山が走って行くが、ボールを拾う前にタッチを割ってしまった。
20分、右のマルケスがドリブルからゴール前に入れて行くと、岡山・ウェズレイが詰めていったが、わずかに間に合わず、これを押し込むことは出来なかった。
21分、自陣中程やや右の位置での大阪のFK。大阪・佐藤がジョアンをおとりに蹴ってきたが、楢崎が正面でガッチリとキャッチ。
22分、大阪・大久保がドリブルで左から中に入り込んできて、早い振り抜きの右足シュートを打ってくる。楢崎は倒れ込みながらの苦しい体勢だったが、これを片手で止めしっかりとキャッチする。
23分、相手陣内ほぼ中央の位置でのFKのチャンス。ウェズレイが相手DFの頭越しのボールを蹴っていったが、これはDFに弾かれてしまった。
25分、大阪陣内右、中程の位置でのFKのチャンス。ウェズレイのボールはミスキック気味となってしまい、相手DFにカットされてしまった。
27分、大阪の自陣右すぐの位置でのFK。ジョアンの蹴ってきたボールは誰も触れることなく楢崎の下へ。
【得点】
30分、大森からのたてパスを受け抜け出したウェズレイが、右から折り返すと、これをマルケスがスルーして、中央から詰めた酒井が右足で落ち着いて決め、2−0とする。
31分、自陣右寄り中程の位置での大阪のFK。ジョアンが入れてきたボールは落ち着いてクリアしてゆく。
32分、右のスペースに長いボールが出ると、これに岡山が走って行くが、間に入った大阪のDFに阻まれ、ボールを拾うことは出来なかった。
34分、右からのCKのチャンス。マルケスがファーサイドに入れて行くと、パナ、古賀と詰めていったが、大阪DFの頭でカットされてしまった。前線からの相手ボールへのプレーシャーがしっかりとここまでは出来ており、名古屋の攻勢が続き、良い展開が続いている。
36分、左の中谷からのゴール前への早いクロスは、詰めていった岡山には届かず、抜けていってしまう。
40分、大阪が競り合いながらボールを繋いでくると、左に抜け出した大阪・西澤が縦にパスを出してくるが、ここは大森がしっかりとコースを読み、ボールをカットして行く。
41分、右に開いた中谷からのボールを受けたマルケスが海本に渡して、縦に走り再度受けたところで、空いたスペースに中谷を走らせようとパスを出していったが、これは気持ちが通じなかったようで、相手に奪われてしまう。
43分、左サイドに出たボールを大阪・佐藤がゴール前に高い軌道のボールを上げてきたが、これは楢崎が落ち着いてキャッチ。
44分、左に賭け上がって行く岡山が、ギリギリから中へと折り返して行くが、これは合わせて飛んだウェズレイに届く前に相手DFにクリアされてしまう。
ロスタイム1、山口がマルケスに当てて縦に突破して行くが、ドリブルが流れたところを、詰めてきたDFに止められてしまった。
ロスタイム2,左のマルケスから中央のウェズレイにボールが繋がると、これを右からフリーで上がって行く岡山にパスが通る。このボールをトラップから岡山が右足でシュートに行くが、ボールはクロスバーの僅かに上にぬけてしまった。そして、ここで前半が終了。前線の選手から動きも良く、相手ボールへのプレッシャーも効いており、2−0という最高の形で前半を折り返すことが出来た。後半もさらに得点を狙って、豊富な運動量で大阪を脅かし、勝利に向けて戦って欲しい。
後 半
落ち着いたDF陣、豊富な運動量で相手ボールへプレッシャーを与えて行くMF陣、細かくパスを繋いで相手DFを脅かすFW陣と、ここまでは、すべての選手が自分の役割を果たしており、見ていて楽しい、最高の試合を見せてくれていると言って良いだろう。エンド代わって右から左に攻め上がる、名古屋のボールで後半開始。
大阪1人目メンバー交代:佐藤→濱田
開始早々、中盤でボールを奪われると、ドリブルで右に上がって行く大阪・西澤。右からファーサイドへ上げてきたが得点は奪えない。
1分、左にドリブルで駆け上がる中谷が中へと折り返そうとしたが、寄せてきたDFに当たってしまう。しかし、こぼれたところを粘って詰めてきたマルケスに繋ぐと、これを折り返そうとしたが、DFに弾かれてしまった。
3分、右からのCKのチャンス。岡山のニアへのボールは相手DFが頭でカット。
4分、相手への不用意なファウルで中谷が退場させられ、またしても1人少ない中での試合をすることに。
5分、自陣左中程の位置での大阪のFK。濱田が直接蹴ってきたが、これは精度を欠き、左に外れる。一人少なくなったこともあり、中盤のボールを大阪に拾われ、守勢に回ってしまう名古屋。ここはしっかりと集中して、守って行きたいところだ。
8分、中央から左に出たボールに反応した大阪・森島が左足でシュートに、しかし、これは楢崎が正面で落ち着いてキャッチ。
10分、縦のボールに飛び出した海本が相手DFと競り合いながらシュートにゆくが、体勢を崩してしまい、力無いボールは相手GKにキャッチされてしまう。
12分、相手陣内左中程の位置でのFKのチャンス。マルケスが短く縦に出し、ウェズレイを使おうとするが、これは相手DFに倒されてしまい、活かすことができなかった。
14分、自陣右深い位置での大阪のFK。大阪・久藤が遠いサイドに蹴ってくると、詰めていた大久保がトラップして中へと転がすと、フリーの選手が詰めてくるが、ここはDFが踏ん張り先にこれをけり出して行く。
15分、右の大阪・久藤の折り返しに中央から大久保が頭であわせてくるが、これはクロスバーの上へ。
16分、右の大阪・濱田からのゴール前のボールがこぼれたところを正面から詰めた久藤がシュートに。しかし、これは右に外す。
18分、左にポジションチェンジしていた海本がドリブルで抜け出し、ウェズレイに繋ぐ。このボールを縦に突破しようとしたウェズレイが倒され、好位置でFKを得る。
【得点】
19分、相手ゴールやや左寄り、ペナルティエリアのすぐ外という位置でのFKの場面。ウェズレイがこれを落ち着いてゴール右下に直接決め、追いすがろうとしてきた大阪を突き放す、得点をたたき込む。
20分、大阪2人目メンバー交代:喜多→鈴木
22分、中央での競り合いのボールを大阪・アクセウが拾って抜け出そうとしたが、ここはウェズレイが体を張ってこれを止めに入り、ファウルを誘う。
23分、左に上がってきた大阪・鈴木が中へ放り込もうとしたが、これはコントロールが悪く、そのままゴールラインを割ってしまった。
25分、左サイドで大阪・鈴木のパスを受けた森島が縦に突破して、エリア内に入り込んでくるが、ここはパナと大森が付いて行き、シュートさせることはなかった。
26分、大阪3人目メンバー交代:アクセウ→御給
27分、右にいた森島がボールをひろうと、ゴール前へ入れてくる。これに代わった御給が頭であわせてきたが、シュートのボールは枠を捕らえることはなかった。
29分、左サイドで粘った海本がゴール前に走る岡山に合わせて上げていったが、これは先に相手GKがキャッチしてしまった。
31分、自陣中程ほぼ正面の位置での大阪のFK。ジョアンの蹴ってきたボールは前の選手に当たり、事なきを得る。
32分、パナの縦パスを相手DFがクリアミスをして左からのCKを得る。この場面短く出して、中央の酒井に繋がれるが、これはシュートに行くことは出来なかった。
【失点】
33分、ゴール前にボールを持ち込まれると、最後、大阪・御給に右足で押し込まれてしまい、1点を奪われてしまう。
35分、自陣で相手ボールを奪ってカウンターへ。マルケスがウェズレイに繋いで、最後、ゴール前へのウェズレイからのパスに詰めていったが、わずかの差で相手GKに先にボールを奪われてしまう。
36分、ゴール前で古賀と西澤の競り合いのボールに御給が詰めてきてシュートに来たが、これはクロスバーの上へ。
37分、名古屋1人目メンバー交代:岡山→吉村
38分、中央から酒井が左に上がっていた海本に長いボールを出してゆくが、これはオフサイドの判定。
40分、大阪・森島が左サイドの鈴木に出して行くと、これをゴール前に放り込んでくるが、DFが落ち着いてこれをカット。
41分、大阪の左からのCK。ファーサイドに上がったボールは楢崎が直接キャッチ。
42分、大阪・濱田がミドルシュートを打ってくるが、これは精度を欠き、クロスバーンを大きく越えて行く。名古屋2人目メンバー交代:酒井→藤本
43分、藤本が左でボールを受けるとマルケスへ。これをファーサイドで待っていた古賀に上げていったが、相手GKがこれをキャッチしてしまう。
44分、右サイドから大阪・濱田がアーリークロスを蹴ってくるが、これは長すぎてしまいそのままラインを割る。
ロスタイム1、残り時間僅か、最後まで集中して大阪の攻撃を凌いで行きたい。左サイドで藤本が相手DFと競り合いでこぼれたボールを海本が拾って抜け出そうとしたが、相手DFに倒されてしまいチャンスに出来なかった。
ロスタイム2、マルケスの左からのパスに、中央でフリーで受けた藤本が左足でシュートに行くが、これはクロスバーの上へ外してしまった。
ロスタイム3、右サイドに出たボールを拾った大阪・大久保がDFの引きつけてヒールで出してくると、これを久藤が中へ入れてくるが、DFが落ち着いてこれをけり出していったところで、試合終了の笛が鳴り、名古屋は、2戦続けて、1人少ない10人で戦う、という苦しい苦しい劣勢の試合を制することが決まった。最後まで闘志の衰えなかった名古屋の、ウェズレイ・マルケスの活躍による3得点と、まさに力の差を見せつける内容の試合だったといえる。最後まで応援ありがとうございました。