2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第6節
台風の影響で、西日本全般は昼間から雨。夕方になってからは、気温も下がり始め、この時間帯になると、スタンドに詰めかけているサポータの体温を奪うかように、冷たくなって、相変わらず降り続き、止む気配はない。
午後6時30分過ぎ、練習のため名古屋イレブンが西京極のピッチに登場すると、スタンドで雨具に身を包んだサポータから声援が沸き起こる。雨の中での彼らの応援に応えるためにも、今日も熱い試合を期待したい。
ピッチでの練習に先駆けて行われた屋内でのウォーミングアップでも今日は入念にストレッチングを行わせた監督。冷たい雨と濡れて滑りやすい芝生、そして低い気温の中、やっとメンバーが落ち着き調子を上げ始めてきただけに、選手たちには、誰も怪我はして欲しくないはずだ。半分に分けたボール回しの最中でも、エドワルドコーチは、幾度と無く動きを止めて、じっくりとストレッチングを行わせている。
久しぶりの先発出場と言うこともあってか、やはり山口は気合い充分の様子だ。かって過ごした、馴染み深い京都での先発出場と言うことで、恥ずかしいところは見せられないと行ったところか。約20分ほどの練習を終え引き上げてゆく選手の表情は、皆一様に厳しく変わっている。臨戦態勢は整った、後はキックオフを待つのみだ。
前 半
キックオフ直前になっても雨足は弱まることはなく、西京極のスタジアムを濡らし続けている。ピッチコンディションは、水分を含んで滑りやすくなっているはず。こんな時こそ、名古屋の選手には、チャンスを見つけたら積極的にシュートを狙って貰いたい。右にエンドを取った京都に対し、左から右に攻め上がる名古屋。京都のボールで前半が始まる。名古屋は、GK楢崎、DFは、右から大森・パナ・古賀。中盤には、右に海本(弟)、ボランチの位置に山口・滝澤、左は中谷。岡山がひとつ前に入り、FWはウェズレイとマルケスの布陣だ。
1分、中盤右の京都・手島の左サイド前線へのボールは松井には届かず。
2分、京都の右からのCK。中払のニアへのボールはクリアするが、こぼれ球をゴール前に放り込まれると松井の前に。これを合わせるがボールは右のポストの外へ外れる。
4分、左の中谷を追い越すようにして上がるマルケスに中谷からボールが出ると、深くえぐってグラウンダーを折り返ししてゆくが、これは詰める前に京都のDFにカットされてしまう。
5分、右に開いた京都・中払のドリブルは中谷が詰めていってこのボールを奪う。
6分、左サイドライン際の縦パスに京都・鈴木が走ってくるが、ここはパナがしっかりとコースに入りボールをカット。
7分、右に上がる岡山からのマイナスの折り返しは、正面を詰めていったマルケスの後ろへ外れる。雨で滑りやすいこともあって、パスも流れてしまう場面もあり、選手たちは慎重な動き出しだ。
10分、大森からのボールを岡山がヒールで流してゆくが、上がってゆくウェズレイとタイミングが合わず、相手ボールに。
12分、山口の縦のボールに海本(弟)飛び出すと、ドリブルで上がっていって、ゴール前に早いクロスを入れてゆくが、これにはウェズレイもマルケスも間に合わず。惜しいチャンスだった。
14分、右の京都・中払が黒部に当ててDFの裏へ飛び出すが、これはパナがしっかりと反応、ボールを先にカットする。
15分、相手陣内右で岡山が倒されFK。浅い位置だったが大森がDFの裏へ出してゆくと、ウェズレイがもらいに行くが、競り合った相手DFを倒し、ファウルを取られてしまう。
16分、左サイドに飛びだしたボールに反応した京都・松井がマイナスに戻すと、これにビジュが詰め、ミドルシュートを。しかし、これはクロスバーを大きく越えてゆく。
18分、左サイドでボールを持ったウェズレイがエリアの外から強烈なシュートを放つが、これは惜しくも左サイドのネットの外に。
20分、自陣左中程の位置での京都のFK。鈴木が短く出して松井に繋ごうとしたが、間に大森が入ってこれを止める。
21分、古賀が自陣から長い縦パスを出していったが、これは長すぎて相手GKの下まで届いてしまった。
22分、右に出たボールを拾ったウェズレイがDFの頭越しに寄せてきた岡山にパス。これを受けた岡山はエリアの外から積極的にシュートに行くが、惜しくも相手GKの正面だった。
23分、相手陣内中程中よりの位置でのFKのチャンス。滝澤が、鋭いカーブの掛かったボールをゴール前に入れていったが、これは誰も振れることが出来ないまま相手GKがキャッチしてしまった。
24分、右からのゴール前のゴールを受けた京都・松井がシュートに来るが、慌てたのか左足のシュートは右のポストの外へ大きく外す。
25分、ゴール前のこぼれ球を拾った京都・黒部がシュートを狙ってくるが、ここはパナがしっかりとコースに入り、ボールを大きく弾き出す。
27分、右サイド深くの海本(弟)のスローインをウェズレイが中に流すと、これをマルケスに繋いでゆく。最後、こぼれたところを岡山が押し込んでゴールかと思われたが、その前にマルケスがオフサイドだったとして、残念ながらノーゴールに。滑りやすいピッチのせいもあってか、パスが足元にうまく入らず、決定的な場面を作る事が出来ていない両チーム。
31分、京都・角田のアーリークロスは古賀がクリアしてゆく。
32分、相手陣内中程中よりの位置でのFKの場面は、短く繋いで相手ゴール前に上げていったが、ボールが流れ、そのままGKの下へ行ってしまった。
34分、京都のバックパスのボールをウェズレイが追いかけるが、これは追いつけず。
35分、右に上がる京都・角田のクロスに松井が飛び込んでくるが、これは楢崎がしっかりと反応してこれを弾き、得点を許さなかった。
37分、中盤でのこぼれ球に詰めていった大森がDFの裏へ出してゆくと、これにマルケスが京都の高いDFラインの裏を狙って飛び出すがオフサイドに。
39分、左に中谷からのクロスは右に流れてしまうが、これを拾った岡山が海本(弟)に戻すと、これをゴール前に左足で放り込んでゆく。相手DFと競り合いながらウェズレイが合わせようとしたが、これは倒されてしまい、決めることが出来なかった。
41分、左にこぼれたボールをフリーで拾った京都・松井がファーサイドの上げてくると、これに町田が飛び込んでくるが、頭であわせたボールは右に外れる。
43分、パナからの縦のボールを相手DFの前でウェズレイが頭で縦に出すと、これにマルケスが抜け出そうとするが倒されてしまいボールを見失ってしまう。
ロスタイム1、こぼれ球を拾った京都・鈴木が左からクロスボールを入れてくるが、これは楢崎がジャンプしてキャッチ。そしてここで前半が終了。京都が浅いDFラインを引いていることもあり、中盤でのこぼれ球を拾われてしまっていた名古屋。攻撃の糸口を見つけるためにも、セカンドボールの奪い合いに勝って、京都のDFが整う前に、早く攻撃に展開できるようにしてゆきたいところだ。後半の奮起を期待しよう。
後 半
8時を過ぎたあたりから雨もやっと小やみになる。気温は低いものの、プレーする選手たちにとっては、若干滑りやすいピッチを除けば、悪くないコンディションと言える。エンド変わって、右から左に攻め上がる名古屋のボールで後半がスタート。両チームともメンバー交代は無し。開始早々、いきなり大森がDFの裏へ縦パスを出すと、ウェズレイが飛び出すがオフサイド。
1分、こぼれ球を左に出されると、これを受けた京都・松井が左足でシュートに。しかし、これは楢崎が正面でパンチングで弾く。
2分、京都の右からのCK。松井がニアに入れてくるが、これはDFが弾いて、こぼれ球をクリア。
3分、右サイド深い位置でウェズレイがえぐるとゴール前へ入れてゆく、これにマルケスが頭であわせようとしたが、触れるのが精一杯だった。
5分、京都・ビジュがミドルシュートを打ってくるが、これは正確さを欠き、ポストの左に外れる。
6分、左からのCKのチャンス。マルケスが上がってたパナにあわせて蹴ってゆくと、これをヘディングシュート。しかし相手DFが体を寄せていたため打ちきれず、右に外れてしまった。
7分、左の中谷からの縦パスを受けたマルケスが上がりを見せ、中へ折り返そうとしたが、付いてきたDFに当たったボールを自ら当ててしまい、GKになってしまう。
8分、滝澤がこの日2枚目のイエローを貰って退場となってしまい、1人少ない状況で残り時間を戦うという、苦しい展開になってしまう。
10分、京都の左からのCK。松井の入れてきたボールはDFがなんとかクリアする。
【得点】
13分、マルケスの落としたボールにウェズレイが抜け出すと、相手GKを脇を抜くシュートを落ち着いて決め、1人少ない中で先制点を奪う。
14分、京都1人目メンバー交代:町田→レジ
16分、右サイドの京都・中払のクロスボールに黒部が飛び込むが、これはタイミングが合わず。
【失点】
17分、ゴール前でのこぼれ球を京都・斉藤に左足でけり込まれ、同点とされてしまう。
18分、左サイドでマルケスが抜け出して中へ折り返そうとしたが、詰めてきたDFに体を寄せられゴールラインを割ってしまう。
19分、左サイドDFの裏へのボールに代わって入った京都・レジが飛び出すが、これはオフサイド。
20分、名古屋1人目メンバー交代:海本(弟)→鄭
21分、左に上がる京都・松井のパスを受けたレジがシュートにこようとしたが、ここはパナが先に詰め、大きくクリアしてゆく。
22分、ゴール前での競り合いのボールがこぼれたところを右から詰めてきた京都・松井の強烈なシュートは、楢崎のファインセーブで弾き出してゆく。
23分、右からの京都のCK。ゴール前に上げてきたボールは楢崎がキャッチ。人数に勝る京都がこの時間帯は殆どのボールを拾い、怒濤のように追加点を狙って名古屋陣内へ攻め込んでくる。ここは何とか耐えて失点を防ぎたいところだ。
25分、相手陣内右入ってすぐの位置でのFK。ウェズレイが志願して蹴っていったが、壁に当たってしまったボールは勢いを無くし、DFにクリアされてしまった。
26分、自陣深く右の位置で相手選手を倒してしまい、危険な位置でのFKを与えてしまう。京都・中払のゴール前へのボールは楢崎が直接キャッチ。
28分、自陣まで下がってきたウェズレイがボールを持ってドリブルでを向こうとしたが、抜け出す前に倒されてしまった。
30分、DFの裏への縦パスにウェズレイが抜け出そうとしたが、戻った京都DFの選手がコースを阻み、チャンスに出来なかった。
31分、右に出たボールをウェズレイがドリブルに行こうとしたところに、相手GKが飛び出してくると、ワンタッチでそのままシュートに行く。無人のゴールに入ったかと思われたボールは、わずかにポストの左に。
【得点】
32分、左に上がってゆく中谷がゴール前に出したボールに、ウェズレイがタイミング良く裏へと抜けだし、これを見事決め、京都を突き放す。
33分、左からのアーリークロスにファーサイドに詰めていた京都・黒部が頭で折り返すと、レジが詰めてくるが、ボールはその前を抜けて行き救われる。
35分、左サイドから中へ切れ込んできた京都・松井をゴール正面のところで倒してしまい、危険な位置で京都にセットプレーを与えてしまう。
37分、京都・鈴木が左足で、FKのボールに反応してとんだ足元を抜くグラウンダーを蹴ってきたが、これは楢崎が難なくキャッチする。
38分、自陣中程右寄りの位置での京都のFK。中払のGKとDFの間へのボールに飛び込んでくるが、頭であわせたボールはポストの左に外れる。
40分、右煮上がった京都・角田のゴール前へのクロスはパナが頭ではじき返す。
41分、右に上がっていった大森のゴール前へのクロスを受けたウェズレイはオフサイドに。残り時間も後わずか、ここは最後まで集中して、京都の攻撃を凌ぎきって欲しい。
42分、京都2人目メンバー交代:大野→冨田
43分、京都・斉藤の右サイドでのドリブルはマルケスが果敢にスライディングでこれを奪う。
44分、名古屋2人目メンバー交代:ウェズレイ→藤本
ロスタイム1、自陣深く右のエリアすぐ外での京都のFK。このピンチの場面で、中払の入れてきたボールはゴール前でこぼれるものの、DFが先にクリアし、このピンチを逃れる。
ロスタイム2、右にこぼれたボールを拾った京都・斉藤がゴール前に入れてくるが、これは慌てたのか精度を欠き、大きく流れる。そして、最後まで耐えに耐えた名古屋の選手とサポーターを待っていたものは、1人少ないながらも勝ち点3を得る試合をすることが良く出来ましたという、祝福の笛の音だった。最後まで京都の怒濤の攻めを、楢崎の好セーブとDF陣のがんばりで守りきり、ウェズレイの2得点という、決定力の違いを見せつけての勝利は、プレーする選手にとっても、応援するサポーターにとっても、今後に向けて大きな勇気と力を与えてくれるものとなったはずだ。最後まで応援ありがとうございました。