2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第5節
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午後6時35分、スタンドに溢れるサポータの前にグランパスイレブンが練習に登場すると、割れんばかりの声援に迎えられる。厳しい残暑の日差しに照りつけられた芝生には、まだ熱気が残っており、蒸し暑い中での試合前の練習となった。
前節・仙台戦を快勝したこともあってか、選手たちの表情は硬くはなく、どちらかと言えば、リラックスした雰囲気が見て取れる。数日前に同スタジアムで行われた、公開練習での右足首の怪我の心配されたウェズレイも、盟友・マルケスと共に、軽い動きで、ボールをさばいており、心配はなさそうだ。そんな中、DF陣の大森、古賀、そして、怪我より復帰したパナの3人は、他の選手に比べると表情が心なしか厳しいといえるかもしれない。パナが帰ってきて安定感を取り戻した守備だが、1stの磐田スタジアムでのアウェイ戦では、1点を先行し、そのまま逃げ切れるかと思われたが、最後の最後に同点に追いつかれる、引き分けに終わってしまうという痛い結果だっただけに、今日の試合に賭ける意気込みはかなりなものだろう。GK楢崎を含め、彼ら守備陣のがんばりに、今日の試合の行方が掛かっていると言っていいかも。今日こそは、磐田相手に勝利を決めて欲しい。
前 半
今日の試合の意味を知っているサポータの大声援でキックオフ前からスタジアムはヒートアップ。応援する側は、もはや最高潮の状態のようだ。右にエンドを取った磐田に対し、左から右に攻め上がる名古屋。前半は名古屋のボールで試合が開始。名古屋の布陣は、前節同様、GKは楢崎、DFは右から大森・パナ・古賀。MFは、右から海本(弟)・吉村・滝澤・中谷、やや前に岡山。そして、FWは不動の2人、ウェズレイとマルケスだ。
 
1分、自陣左入ってすぐの位置での磐田のFK。ジヴコビッチが左足でゴール前に入れてきたが、これは古賀が頭でクリア。
2分、自陣からの長いボールにウェズレイがもらいに行くがタッチに出されてしまう。
3分、左からのスローインのボールを貰ったマルケスがゴール前に流すと、これに中央から海本、右から岡山がつめるが、惜しくも磐田DFにカットされてしまった。
5分、ゴール正面エリアの外での楔のボールを貰った磐田。ジヴコビッチの右足のシュートは楢崎が弾き出す。
6分磐田の右からのCK。名波のニアへ入れてきたボールはDFがクリアして,再度磐田の右からのCK。今度は名波が遠いサイドに上げてきたが、これは上を抜けてゆく。開始から磐田の攻撃が繰り返されるが、ここは全員落ち着いており問題はない。
8分、古賀が左サイドで相手ボールをカットすると、縦にドリブルで上がり中央のウェズレイにパスを出すが、これは流れてしまい、磐田の選手にカットされてしまった。
10分、中央からのパナのFKを受けた古賀が縦に流すと、これを受けた滝澤がシュートに、しかし、GKの指先を抜けたボールは右のポストに当たってしまう。
【得点】
11分、磐田のゴール前に上がったボールをファーサイドで古賀が頭で中へ折り返すと、これをニアから詰めたパナが頭でこのボールをたたき込み、見事、先制点を奪う。
14分、右の岡山が縦に上がってゆく海本(弟)に出すと、これをドリブルで持ち上がって中へと折り返してゆくが、ボールは大きくなってしまい、大きく反対サイドに抜けてしまった。
16分、相手DFの裏、左サイドのスペースにボールが出ると、マルケスが追いかけるが、これは相手ボールに。
17分、自陣右中程の位置での磐田のFK。磐田・西の蹴ったグラウンダーのボールは壁の選手の足元を抜けてゴール右隅に飛んでくるが、ここは日本代表GK・楢崎がしっかりと反応、これを止める。
19分、磐田・福西がドリブルで上がってくると、詰めたパナの裏へとパスを出して、上がってくる選手に繋ごうとしたが、これは楢崎がボールを先にキャッチする。
20分、岡山からの斜めのボールをウェズレイがスルーして、その後ろにいたマルケスがはたいたボールに上がってゆくが、ここは磐田のDFがこれをカットしてしまう。
【失点】
21分、磐田・福西に同点ゴールを決められてしまい、先制したのもつかの間、試合は振り出しに戻ってしまう。
22分、左に攻め上がったマルケスが相手DFをかわしてペナルティ内へ入ってゆくと、パスを出してゆく。中央にいた岡山がこれを受けるが、トラップが流れてしまい、これに中谷が詰めようとしたが、相手選手にカットされてしまった。徐々に体が暖まってきた両チームの選手たち。この時間帯になると激しいぶつかり合いが目立ち始め、ボールの動きが早さを増してゆく。
25分、ウェズレイが相手陣内で倒され、中程やや左の位置でFKを得る。ウェズレイが自ら蹴っていったボールは、当たり所が良くなかったようで、壁に立った相手選手の足元へのボールは簡単に弾かれてしまった。
28分、右の海本(弟)が相手DFの間を抜いて、中で待つウェズレイへとパスを試みたが、これは相手DFにカットされてしまった。
30分、右に開いた岡山がワンタッチでゴール前に上げてゆくと、ファーサイドのウェズレイがこれに詰めようとしたが、わずかに流れてしまい、ボールに触れることが出来なかった。
31分、左サイドからのファーサイドへのボールにフリーで待っていた磐田・グラウがヘディングシュートを打ってくるが、これは楢崎の正面34分、右から中央へと流れてきた磐田・西の左足のシュートは、クロスバーの上へ外れる。
35分、海本(弟)のゴール前へのアーリークロスはウェズレイが詰める前で相手DFにクリアされてしまう。
36分、左からのCKのチャンス。マルケスのファーサイドへのボールにパナが詰めていったが、わずかに届かず。こぼれたところを相手選手にボールをカットされてしまった。
38分、相手陣内深く左、タッチライン際でのFKのチャンス。ウェズレイの蹴っていったボールはファーサイドに大きく流れてしまい、そのままゴールラインを割ってしまった。
39分、左サイドを上がる磐田・山西のアーリークロスは、パナが大きく足をのばしてこれをカットする。
40分、右サイドで細かくパスを繋いだ磐田がDFの間を抜いてパスを入れると、これに磐田・グラウが入り込んでくるが、パナが正面でこれをしっかりと止めボールを奪う。
41分、自陣深い位置、左での磐田のFK。ジヴコヴィッチのニアへの左足からのボールは、パナが頭ではじき返してゆく。
43分、自陣でのクリアボールのこぼれ球を磐田・西に拾われるとシュートを打たれるが、パナがこれを止める。
44分、左からの磐田のCK。ファーサイドへのボールに詰めていた選手に頭で押し込まれそうになるが、ゴール前にいた滝澤の足に当たって弾かれ、失点を逃れる。
ロスタイム1、相手陣内左深い位置でのFKのチャンス。ウェズレイが直接ゴール左に狙っていったが、これは相手GKの好セーブに阻まれ、決めることが出来なかった。
ロスタイム2、左からのCK。ファーサイドへのボールは、誰も押し込むことが出来ず、こぼれたところを、磐田の選手が大きく縦にけり出してしまう。そして、ここで前半が終了。前半早くに先制点を決めながら、途中からは磐田の猛攻に合い、結局、同点とされてしまい、1−1のまま前半を折り返すこととなった。どうしても中盤でのボールの支配率で勝る磐田に押し込まれ気味になっているが、後半も何とかこのままDF陣に踏ん張って貰い、磐田のミスに付け入って逆転を狙って欲しい。
後 半
エンド入れ替わって、右から左に攻め上がる名古屋。後半は磐田のボールで試合が再開。
名古屋1人目メンバー交代:岡山→藤本
ネルシーニョ監督は早速動いてきた。しばらく出番の無かった藤本に今日は魅せて貰いたい。
1分、自陣右中程の位置での磐田のFK。服部のゴール前へのボールは飛びだした楢崎がガッチリとキャッチ。
2分、先ほどと同じような位置での磐田のFK。今度は短く西に繋いで、名波が受けて入れてこようとしたがDFがカットする。
【失点】
3分、磐田・前田のDFの間を抜いた左からのシュートが楢崎の足元を抜けてそのまま決まってしまい、後半開始早々に、磐田に逆転を許してしまう。
4分、磐田のDFの裏への縦パスにウェズレイが抜け出すが、これは長すぎてしまい、相手GKに。
6分、自陣深い位置、やや左寄りの危険な位置で磐田にFKを与えてしまう。グラウがグラウンダーのボールを蹴ってくるが、これは壁に当たって左からのスローインに変わる。
【得点】
9分、磐田DFが処理をもたついていたボールを奪ってそのまま相手GKと1対1に。最後右足のシュートは相手GKに当たるものの、ゆっくりと転がってゴールマウスに収まり、見事、同点弾をが決まる。
11分、右からウェズレイがドリブルで入り込むと左にマルケスに。つられて動いたDFを見て右に詰めてきた藤本にパスを出してゆくが、慌てたのかとラップが流れてしまい、DFをかわして折り返したものの相手GKにキャッチされる。
16分、自陣深い位置やや左寄りの場所での磐田のFK。グラウが打つと見せて、タイミングを外して名波が蹴ってきたが、これは壁が弾くと、こぼれ球を拾った磐田の選手がDFの裏へ軽く浮かして、これに福西が詰めてきてシュートに来るが、ボールは大きくゴールを越えてゆく。
18分、右にいたマルケスがドリブルで入り込んでゆくと、藤本に繋いで自分はさらに縦に抜け、中に再度マイナスに入れてゆく。しかし、正面に詰めていたウェズレイの位置にはボールは行かず、後ろに流れDFにカットされてしまった。
19分、左にフリーでドリブルで上がっていった中谷のゴール前への折り返しは、正面に詰めたウェズレイの頭の上へ抜けてしまう。
21分、磐田1人目メンバー交代:グラウ→西野
自陣左中程の位置での磐田のFK。磐田・ジヴコヴィッチの入れてきたボールは古賀が頭で弾き出す。
24分、磐田・西野がペナルティエリア内へ出たボールに詰めてきてDFと交錯して倒れPKを誘うが、これは審判がきっちり見ており流してゆく。
26分、相手陣内中央ほぼど真ん中の位置でウェズレイが倒され、FKのチャンスを得る。ここでもウェズレイが直接狙って蹴っていったが、押さえが効かず、ボールはクロスバーの上へ抜けてしまう。
28分、名古屋2人目メンバー交代:吉村→酒井
中谷が左サイドタッチ沿いに縦に走るマルケスにパスを出そうとしたが、これはラインを割ってしまう。
29分、左からのCKのチャンス。マルケスの入れていったボールは、誰も触れる事が出来ず、相手GKがキャッチしてしまう。
30分、相手陣内右競り合いで浮いたボールをウェズレイがオーバーヘッド。しかしボールはわずかに右にそれてしまい相手のボールになってしまった。
31分、藤本が右からドリブルで仕掛けると、相手DFを1人かわして、シュートに行ったが、これは相手GKの正面となってしまい、止められてしまった。
33分、左からの磐田のCK。ジヴコヴィッチが左足で楢崎から逃げてゆくボールを蹴ってくるが、ここはDFが落ち着いてこれをカットしてゆく。
34分、左からドリブルで上がった藤本がDFの寄せてきたところを見計らって右に流すと、これを受けたウェズレイがシュートに行こうとしたが、これは磐田・鈴木に止められてしまった。
36分、相手陣内深い位置右寄りの絶好の場所でのFK。ウェズレイがゴール前に入れたボールにタイミング良く頭であわせるが、惜しくも左に外れてしまう。
37分、左からのゴール前のボールを受けた藤本が右から来たウェズレイに流すと、これをDFをかわしてシュートに行くが、これも相手GKに止められてしまい、決めることが出来なかった。
磐田2人目メンバー交代:山西→河村
38分、名古屋3人目メンバー交代:滝澤→海本(兄)
39分、磐田の右からのCK。正面に入れてきた名波のボールは楢崎がパンチングで大きく弾く。
40分、磐田・福西が古賀とペナルティエリア内で激しく競り合うが、これは相手のファウルでマイボールに。
42分、磐田・名波がエリアの外から強烈なミドルシュートを蹴ってきたが、楢崎が正面できっちりと止める。
43分、藤本の縦のボールに上がっていった海本(弟)の折り返しのボールは相手DFが止めCKに。右からのゴール前へのCKのボールにまたもパナがタイミング良く頭であわせてシュートに行くが、今度はクロスバーをたたいてしまい、決めることが出来なかった。
ロスタイム1、自陣ペナルティすぐ外ほぼ正面の位置で磐田にFKを与えてしまう。この絶体絶命の場面、息をのむスタンドのサポータ。名波の左足の右に落ちてゆくボールは、GK楢崎が、横っ飛びで押さえる。そして、主審の試合終了を告げる笛が豊田スタジアムに大きく鳴り響くと、最後まで息詰まる展開を見せた試合に終わりが告げられる。終了間際、磐田に何度も押し込まれ、ピンチに陥りながらもこれを凌いだGK楢崎、そしてDF陣には熱い拍手を送りたい。しかし、何度か得点のチャンスがありながら、決めきれなかった名古屋としては、引き分けではなく勝ち点3を取りかっただけに、実に残念な試合結果だ。最後まで応援ありがとうございました。