2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第2節
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 午後6時を過ぎて、太陽は沈んだものの、名古屋特有の蒸し暑さは、スタジアム内で見ている人たちすべてに、まとわりつくような湿度をプレゼントしてくれている。今日はタオルと団扇は必須アイテムとなりそうだ。
 6時を20分ほど過ぎて、選手たちが試合前の練習にピッチに登場すると、スタンドからは大きな声援が送られる。ホームでの初勝利を一目見ようと集まってくれた彼らのためにも、今日のこの試合には絶対勝って欲しい。
 監督代われば練習も代わる。依然だったら軽いランニングやリフティングなどでアップを行ってからの練習開始だったが、今日はピッチに入るやいなや、いきなり早いボール回しや走り込みを行わせるなど、気合い充分だ。この試合にかける監督・スタッフの意気込みをすごく感じさせる。ひょっとすると、今日の一番の見どころは、ネルシーニョ監督の采配といえるかもしれない。パナディッチや平岡といったDF陣を怪我で欠く以外は、ほぼメンバーを揃えての試合となる、今日のFC戦。
 ホーム・瑞穂での初お目見えとなった監督は、グランパス戦士たちを使って、いったいどんな内容の試合を見せてくれるのか、大変楽しみだ。そして、今日選ばれた選手たちには、期待に違わぬ、好プレーを見せて貰い、ホームでの勝利に貢献して欲しい。まもなくキックオフだ!
7月の「月間ランクル賞」には、攻守の要ととして活躍した中村選手が選ばれました。
前 半
ネルシーニョ新監督の下、ホームでの初戦を戦うグランパス戦士たち。GKは、もはや不動の守護神・楢崎、DFには右から、酒井・大森・古賀・中谷、MFは右から、吉村・鄭・滝澤、トップ下に藤本、そしてFWは、ウェズレイ・マルケスの順だ。右にエンドを取った東京に対し、左から右に攻め上がる名古屋のボールで前半が始まる。
開始早々、左の東京・戸田からのボールがゴール前のアマラオに入るが、ここは古賀が密着マークでボールには行かせなかった。
1分、酒井からの自陣からの長いボールにウェズレイがDFをかわして抜け出そうとしたが、ボールは相手に渡ってしまう。
3分、古賀が自陣から左の縦のスペースに長いボールを蹴っていったが、滝澤はこれに追いつけず。
4分、右に開いた藤本へのボールをドリブルでかわして中へ折り返しを狙うがこれはDFに止められCKに。
5分、右からの滝澤からのファーサイドへのCKのボールは古賀が頭で戻してウェズレイが詰めると、左足でシュートに行くが空振りをしてしまい、決めることが出来なかった。
6分、相手陣内左中程の位置でのFKのチャンス。藤本がこの場面でゴール前に入れてゆくが、相手DFに頭で弾かれてしまう。
8分、左サイドで粘ったマルケスの折り返しを、ニアの選手が受けて戻すと、これに滝澤が詰めていってシュートに行くが、相手DFに止められてしまう。
9分、自陣ゴ?ル正面エリアの外からの東京・三浦のミドルシュートは大きく外れる。
11分、酒井が中央からドリブルで仕掛けてゆくと、これを相手がたまらずファウル。距離はあるものの、中央よりの好位置でのFKを得る。今度は滝澤がファーサイドに曲がるボールを蹴ってゆくと、これに上がってきていた古賀があわせに行くが、曲がりすぎてしまい、ゴールラインの外へボールは抜けてしまう。
13分、右サイドからのゴール前へボールに、東京・アマラオが頭であわせてシュートにくるが、これは力無く、楢崎が難なくキャッチ。
14分、左サイドを中谷が高速ドリブルで仕掛けてきて、中に入れてくると、ウェズレイ・マルケスらがあわせに行くが、その前に相手GKがキャッチしてしまう。
15分、ウェズレイのごーるやや右からのミドルシュートは相手GKの好セーブで弾かれてしまった。
16分、右に開いた酒井にボールが出ると、そのままドリブルで上がっていって、中への折り返しを狙うものの、詰めてきたDFに捕まり、ボールをラインの外へ出してしまう。ここまでは名古屋が主導権を握って試合を進める、良い展開が続いている。
18分、右サイドを東京・石川が早いスピードで仕掛けてくるが、鄭がしっかりとついていって、最後は吉村がボールを奪い、相手のチャンスにはさせなかった。
19分、藤本からの浮き球に、DFの裏に抜け出した酒井が、右のスペースにさらに上がってゆくが、競り合った相手DFへのファウルを取られ、ボールを奪われてしまう。ねっとりとまとわりついてくる湿度は相変わらずで、選手たちも次第に動きが重そうに見えてきた。ここはその嫌な雰囲気を払拭させる意味でも、得点を狙ってゆきたいところだ。
22分、右サイドをドリブルで一気に上がってゆく大森が、寄せてきた相手DFを見て、中へと折り返すと、これを受けたウェズレイが遠目からシュート。しかし、これは惜しくも相手GKの正面だった。
23分、自陣右深い位置での東京のFK。左足で東京・宮沢が直接狙って蹴ってきたボールは、クロスバーの上へ外れる。
25分、東京・ケリーのミドルシュートは、楢崎が反応よく動いて、パンチングで弾き出す。左からの東京のCKのボールは、中央の古賀が頭で弾き出す。
26分、左に開いた東京・石川のゴール前への折り返しは、大森が足でダイレクトに大きくけり出してゆく。
28分、左サイドをドリブルで上がっていったマルケスの高く上げた折り返しは、詰めていった藤本がエリア内でのファウルを取られてしまう。
30分、自陣の酒井が大きくけり出したボールをウェズレイが頭で相手DFの裏へと出してゆくと、これにマルケスが飛び出してチャンスになるが、これはオフサイドとなってしまう。
31分、自陣左やや深い位置での東京のFK。今度も宮沢が左足で直接狙って蹴ってきたが、ボールはクロスバーの上へ。
32分、左の滝澤からの縦へのボールにウェズレイがドンピシャリで飛び出すと、相手GKの飛び出しを見て、左サイドから詰めてきたマルケスに繋いでゆく。このボールを胸でトラップしてそのまま押し込み、見事決まったかと思われたがオフサイドの判定。
33分、自陣右深い位置での東京のFK。今度は石川が右足で、ゴール上を直接狙ってきたが、これは楢崎が指に当てるという、ファインプレーでゴールの外へはじき出し、このピンチを救う。
36分、左からのCKのチャンス。ファーサイドに上がっていた古賀に合わせて藤本が蹴って行ったが、ヘディングシュートは相手GKの正面へ。
37分、右にスペースに流れたボールを拾った酒井が苦しい体勢ながらもゴール前に折り返してゆくと、これにマルケスが詰めて行きシュートに。しかし、これも相手GKの正面に。
39分、右に上がってきた選手につられて流れた古賀と中谷の動きで出来たスペースへボールを出されると、これを東京・石川が拾って中に流れながら左足でシュートにくるが、これは精度を欠き、ボールはクロスバーの上へ外れる。
41分、左の中谷からの中へのボールを藤本がくさびになって戻すと、これに吉村が詰めてミドルシュート、しかし、これは右に外れてしまう。
42分、右からのCKのチャンス。藤本が入れてゆくものの、これは相手DFにクリアされてしまう。
43分、自陣中央寄りほぼ真ん中の位置での東京のFK。長い助走で走ってきた東京・ジャーンと宮沢の2人によるシュートは、威力はあったものの壁に当たって不発に終わる。
ロスタイム1、自陣中よりやや左の位置での東京のFK。宮沢がファーサイドに上がっていたジャーンにあわせて入れてきたボールは楢崎がパンチングで弾き出す。
ロスタイム2、東京・ケリーがDFの間に入ってくる早いボールにあわせてつっこんでくるが、ここは古賀がしっかりとついて、相手のシュートミスを誘った。そして、ここで前半が終了。前半開始からしばらくは名古屋の主導権で試合が進んでいたものの、途中から運動量に勝る東京に押し込まれ気味となり、守勢に回る場面が目立ち始めた。しかし、DF陣の堅守が復活し、無失点で折り返すことが出来た。後半は、蒸し暑さも伴い、前半以上に、厳しいコンディションの中での戦いとなることは間違いない。何とか踏ん張って失点を防ぎ、逆に攻撃のチャンスをなんとか作り、得点に繋げてゆきたいところだ。
後 半
前半の途中からは押し込まれ気味となったが、何とか凌ぎきった名古屋。後半は気分一新、早い時間帯に得点を奪って、試合の主導権を握ってゆきたい。エンド代わって右から左へ攻め上がる名古屋。後半は東京のボールで試合開始。開始早々、鄭からの縦のボールにウェズレイが相手DFと競り合うが、ファウルを取られてしまい、チャンスに出来なかった。
1分、相手ペナルティ内でマルケス・藤本が短く繋いで仕掛けてゆくが、相手DFにカットされてしまう。しかし、ぽっかりと空いたスペースにこぼれたボールに滝澤が慌てて詰めるが、シュートを狙ったボールは相手DFの正面に。
3分、左サイド深くでの東京・石川とのボール奪い合いで大森がファウルを取られる。
【失点】
4分、自陣左深い位置でのFKのボールをニアの選手が中へ流すと、ファーサイドに詰めていたジャーンにこれを押し込まれてしまい、東京に先に得点を与えてしまう。
6分、左へ出たボールに上がってきた東京・ケリーのゴール正面へのボールは、DFが頭でカットする。
8分、右サイドから仕掛けてきた東京・石川がDFの裏のスペースにスルーパスを入れてくるが、ここは大森がこれを読んでボールの間に入り、楢崎に拾わせる。相変わらず、東京の選手が中盤での出足良く、ボールを奪われる場面が目立っている。
10分、相手陣内入ってすぐやや右の位置でのFK。左に開いたマルケスへとパスが繋がると、これをゴール前に上げてゆくが、ウェズレイに届く前にDFに頭で弾き出されてしまった。
12分、右のスペースに出たボールを拾った東京・石川の早いクロスは、鄭がきっちり反応、クリアしてゆく。
【失点】
14分、ゴール前で1対1となった東京・ケリーに左から決められてしまい、0−2となってしまう。
15分、名古屋1人目メンバー交代:吉村→原
16分、右サイドで東京・ケリーがドリブルで上がってこようとしたが、ここは古賀がきっちりと付いて、相手のファウルを誘う。
18分、東京1人目メンバー交代:三浦→浅利
19分、ゴール前での浮き球がこぼれたところを拾った、東京・ケリーがシュートにくるが、これはクロスバーの上へ大きく外れる。
21分、名古屋2人目メンバー交代:藤本→岡山
22分、相手ペナルティエリアすぐ外中央の位置で、滝澤とのワンツーで岡山がDFの裏へ抜け出すが、このボールは相手DFにカットされてしまう。
24分、左からのCKのチャンス。滝澤の入れていったボールはファーサイドの古賀が中へと繋いでゆくが、中央で待っていたウェズレイの頭の上に抜けてしまう。ここへ来て名古屋の選手の運動量が落ち始め、中盤でのボールを奪われる場面が目に付く。
【得点】
25分、DFのバックパスを相手GKがキックミス。このボールを反応良く拾ったマルケスが、落ち着いてシュートを決め、まずは1点を返す。
27分、名古屋3人目メンバー交代:滝澤→中村
28分、中央の岡山からのボールを受けた右の酒井からのゴール前へのボールは、相手DFに弾かれる。
29分、左サイドで中村からのDFの裏へのボールに反応良く飛び出したマルケスだったが、これはオフサイドに。
31分、左からの中村のファーサイドへのボールに原が頭で押し込もうとするが、これはポストの右に外れてしまう。
32分、左からドリブルで入っていたマルケスに詰めた、東京・ジャーンのプレーがハンドとなり、PKのチャンスを得る。
【得点】
33分、この場面で蹴るのはウェズレイ。落ち着いたステップからゴール右隅に早いシュートを決め、とうとう同点に!さあこれで試合は振り出しだ。一気に逆転を狙ってゆこう!!
34分、東京2・3人目メンバー交代:石川→阿部、宮沢→藤山
36分、相手陣内深くやや左の位置でのFK。ウェズレイが直接狙って蹴っていったボールは相手GKの好セーブで左に弾かれる。しかし、こぼれ球に詰めたマルケスが再度拾って中へと折り返すと、ニアに流れてきた原が押し込もうとしたが、これはDFに阻まれてしまう。
38分、相手陣内中程やや左でのFKのチャンス。ウェズレイがファーサイドに上がってゆく古賀に蹴ってゆくと、これを中で詰めてきた原に古賀が繋ぐが、こ場面はオフサイドになってしまう。
39分、左サイドからのマルケスのファーサイドへのボールに古賀が頭であわせに行ったが、その前に相手DFにカットされてしまった。
41分、右に出たボールにマルケスが拾いに行くと、東京・茂庭と競り合いながらも何とか抜け出そうとしたが、ボールはゴールラインを割ってしまう。
42分、左からウェズレイがドリブルで長い距離を上がってゆくと、中に上がってきたマルケスに。右に流れた原にDFがついていったところを見て、直接シュートを狙うが、惜しくも相手DFに当ててしまう。
43分、右からのCKのチャンス。小さく出したボールを受けたマルケスのボールを受けた中村が放ったシュートは相手に当たって、再びCKに。
【得点】
44分、左からのCKのチャンス。相手エリア内での競り合いのボールが右にこぼれたところを、拾ってゴール前へと放り込んでゆくと、これに正面から飛び込んだ岡山がヘディングで見事にゴールを決め、ついに逆転となる!
ロスタイム1、左からドリブルで中へと流れたウェズレイが遠い位置からシュートに行こうとしたが、相手選手との接触で倒されてしまう。しかし、これは逆にファウルを取られてしまった。
ロスタイム2、自陣でのこぼれ球を拾った東京・戸田が、ゴール正面に流れながらシュートにくるが、力無いボールは楢崎が正面でガッチリとキャッチ。そして、ここで試合終了の笛が瑞穂の空に鳴り響くと、スタジアム内の名古屋サポーターから大声援が沸き起こり、歓喜の渦に包まれる。
2点のビハインドがあったにもかかわらず、最後まで試合を諦めずに戦った、名古屋の選手のがんばりが生んだ、最高の今日の勝利といえよう。そして、ネルシーニョ監督初勝利おめでとう。最後まで応援ありがとうございました。