2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 2nd Stage 第1節
 しばらく落ち着いていた雨も、冷たい横風を伴ってまた降り始めだした、ここカシマスタジアム。
 午後5時50分過ぎ、グランパスイレブンが、ピッチに登場。遠く名古屋から応援に訪れてくれたサポータの詰めかけたスタンドにミニサッカーボールを投げ入れ、挨拶を交わすと、またスタンドの下へと戻ってゆく。ピッチには唯一許されたGKの2人、楢崎と本田のみが残る。
 今日の先発のメンバーは屋内の練習エリアで、エドワルド新コーチの下、熱心にウォーミングアップを行う。雨と風で、気温が低く、滑りやすくなっているピッチで、しっかりとプレーを行うためにも、十分なウォーミングアップが重要となる。ポルトガル語でかけられる号令に合わせ、選手たちは、皆大きな声を出し、気合いを入れて、アップのメニューをこなしてゆく。
 先日の試合の内容に納得がいっていなかった、DFの大森・富永、そして、初スタメンとなったヨンデらの守備陣は特に気合い充分な雰囲気が漂ってくる。また、怪我から無事に復帰し、先発に戻ってきた中谷も気合いの入っている選手の1人だ。しかし、今日の鹿島との試合がいかに重要かを、選手全員が間違いなく心得ているはずなので、そういう意味では、全員一丸となって好試合を期待できると思っている。今日こそきめてもらおう。
前 半
冷たい雨と風、そして両チームのサポーターの応援の声。ここカシマスタジアムは試合前から、荒れとなり始める。試合内容も激しいものとなりそうだ。午後6時32分、いつもより30分早い試合開始。左にエンドを取った鹿島に対し、右から左、風下から攻め上がる名古屋。前半は鹿島のキックオフで始まる。
1分、右にサイドチェンジしたウェズレイのボールを海本が持って上がろうとしたが、これはコースを阻まれ、縦に出すのが精一杯だったが、中村もボールにゆけず、相手GKに。
2分、鹿島・相馬が左を抜け出そうとしてきたが、ここは海本がボールをカット。
3分、中盤でボールを持った鹿島・小笠原。前が開いたと見ると、ミドルシュートを左側打ってくるが、ここはDFが頭でカット。
4分、相手陣内左中程の位置でのFK。ウェズレイが左に滝澤に短く出して再度もらうと、遠目からシュートを蹴っていったが、これはポスト左に外れる。
5分、自陣右中程の位置での鹿島のセットプレー。先回の試合でもセットプレーでやられていただけに、要注意だ。鹿島・フェルナンドがゴール前に飛び込む選手に合わせて長いボールを入れてきたが、これは楢崎が直接キャッチ。
7分、自陣左深い位置での鹿島のFK。小笠原が曲げて直接狙ってきたシュートは、楢崎がパンチングで弾き出す。
8分、中央から右のスペースに出たボールに鹿島・名良橋が上がってくるが、ここはボールがタッチを割る。
9分、中央からウェズレイがマルケスと繋いで上がると、右の海本に出してゆく。中へと折り返そうとしたボールは浮いてしまい、中村が拾いに行くが相手DFに縦に出されてしまう。
11分、中央のマルケスからのボールを受けて左に上がってゆく滝澤。中へと折り返してゆくが、誰もこれを合わせられず、カットされてしまう。
12分、自陣右中程の位置での鹿島のFK。フェルナンドのボールはゴールに届く前に、前の選手が頭でカット。
13分、左のウェズレイからのパスを中央で受けた中村がエリアの外からシュートに行くが、これは相手GKの正面に。
15分、中央からDFの裏に抜け出したボールに詰めた鹿島・平瀬が楢崎と1対1になるが、ここは果敢に飛び出した楢崎がシュートにくる前にボールをカットする。鹿島のボール支配率が高いものの、ここまでは崩されることもなく、鹿島の攻撃を凌いでいる。
16分、DFの裏に出たボールに鹿島・本山が飛び込んでくるが、ここでも楢崎が先に飛び出しボールをカットする。
18分、左からのスローインのボールをウェズレイ、中村が頭で繋いで、相手DFの裏に落としてゆくが、これにはウェズレイが追いつけず。
20分、左サイドで鹿島・名良橋のボールを中谷が奪いに行ったところを倒してしまいFKになってしまう。このセットプレーでも鹿島がゴール前に長いボールを入れてきたが、DF陣がしっかりとこの場面を守りきる。
22分、右から鹿島・平瀬がドリブルで入ってきたが、ヨンデがスライディングでこれを阻止する。
23分、鹿島の右からのCKは短く繋いだフェルナンドが中を狙ってきたが、DFがカットする。
24分、DFの裏へのボールにマルケスが抜け出してもらいに行くが、相手DFに先にカットされてしまう。
25分、相手陣内深く、エリアのすぐ外でのFKを得る。この場面でウェズレイが直接ゴール左を狙って蹴っていったが、わずかにそれポストに当たって弾かれてしまった。
27分、右にドリブルで抜けた鹿島・中田がゴール前に入れてきたボールに平瀬があわせに来るが、これはボールにかすらず、ファーサイドに抜けてゆく。
29分、右から鹿島・名良橋が入れてこようとしたが、DFが正面でこれをカット。こぼれ玉を拾って狙ってきた、小笠原のボールは精度を欠き、ゴールラインを割る。天候は相変わらず悪く、雨もいっこうに止む気配を見せない。
33分、自陣左中程の位置での鹿島のFK。ゴール前に入れてきたボールはDFが落ち着いてクリアする。
34分、先ほどよりもう少しゴールよりの位置での鹿島のFK。小笠原が今度は近いサイドにボールを入れてきたが、ここもDF陣が集中して、これを弾き出す。
35分、左からドリブルで鹿島・小笠原が仕掛けてくるが、ヨンデが落ち着いて、ボールをカットし、良い守備を見せてくれる。
36分、ドリブルからDFの中央に走る平瀬に向けパスを出そうとした本山のボールは大森がきっちりと読んでカットする。
37分、右に出たボールに中村が攻め上がるものの、相手DFに体を寄せられ思うようにボールを上げることができず、中にいたDFに弾かれてしまった。
39分、中央から中村がドリブルで上がると、左に走る中谷にパスを出してゆくが、これは長すぎてしまい、受けることが出来なかった。
40分、中央で滝澤が海本から受けたパスを、相手選手に引っ張られながらも左サイドの中谷に繋ごうとしたが、ボールコントロールが出来ず、届かなかった。
42分、DFの裏へのボールに鹿島・エウレルが抜け出そうとしたが、このボールもヨンデがしっかりと反応し、カットしてゆく、43分、鹿島の左からのCK。小笠原のゴール前へのボールはDFが簡単にクリア。
44分、ウェズレイが中央でマルケスとのパス交換から抜けてゆくが、ボールはその前に相手にカットされてしまい、受けることはできなかった。
ロスタイム1、相手陣内中寄り中央の位置で、滝澤が海本から受けたボールのパス相手先を探しているところで前半が終了。ボールの試合率では途中までは鹿島に劣っていたものの、徐々にDF陣が相手ボールを奪う場面が増え始め、途中からは相手陣内でボールを回す場面も目立ち始めてきた。後は、得点のチャンスがもう少し増えればというところだ。後半もこの調子で、高いテンションの戦いを見せてくれれば、必ずチャンスはあるはず。がんばれ〜!
後 半
エンド代わって、名古屋のボールで後半が開始する。ようやく雨も少し収まったものの、細かな霧がカシマスタジアムを吹き抜けてゆく。ここまでは、得点こそ無いものの、鹿島のセットプレーにも落ち着いて対処し、問題なく試合を進めてきている名古屋。後半もこの調子で行きたい。
1分、マルケスがドリブルで縦に上がると、ついてきた滝澤に渡すが、このボールは相手にプレッシャーを受け、前へと繋ぐことが出来なかった。
2分、鹿島・本山が正面からドリブルで攻め込んでシュートにくるが、これは楢崎が正面で難なくキャッチ。
5分、右でボールを持った鹿島・名良橋が縦に出そうとしたが、これは中谷がコースに入りボールをカットする。
6分、自陣左深い位置エリアのすぐ外で鹿島のFK。小笠原の入れてきたボールはDFが頭でクリアする。
7分、相手DFの裏へのボールにウェズレイが飛び出し、1対1となりシュートに行こうとしたが、これはオフサイド。
8分、相手ボールをカットしたウェズレイが中村にパスを出すと、これをダイレクトでマルケスに繋ぐが、その後のボールにウェズレイが行けず、相手ボールになってしまう。
10分、中央でドリブルで入ってきた本山の裏へのボールは富永が反応して足でカットする。
【失点】
11分、自陣深い位置中央のところでの鹿島のFK。小笠原の右足でのシュートはカーブがかかって曲がり、反応した楢崎の指先を抜け決まってしまう。
12分、相手陣内中程右の位置でのFKのチャンス。滝澤がファーサイドに上がっていた富永にあわせて蹴っていったが、決めることは出来なかった。
16分、右から海本のボールを中村がゴール前へ放り込んでいったが、これは相手DFに弾かれてしまう。
17分、名古屋1人目メンバー交代:海本→酒井
18分、右サイドで突破を図る酒井が倒され、中よりの位置でFKを得る。滝澤がゴール正面に蹴ってゆくと、これをウェズレイがヘディングシュートに行くが、勢いが無く相手GKにキャッチされてしまう。この時間帯になると、疲れも伴ってか、滑るピッチに足を取られる選手が目立ち始める。
21分、縦のボールを受けて反転して抜け出そうとしたマルケスだったが、パスを受けた時点でのオフサイドを取られてしまう。
22分、右から酒井がクロスを入れると、ウェズレイが反応頭で押し込もうとするが、これはDFに弾かれてしまい、CKに。右からのCKは短く出して中へと放り込んでゆくが、DFに弾かれてしまった。
23分、鹿島1人目メンバー交代:本山→青木
24分、中村がマルケスの縦パスに抜け出そうとしたが、鹿島・相馬にボールとの間に体を入れられ、パスを拾うことが出来なかった。
26分、左に流れたボールを受けた中谷が前に出せず、中に戻したボールを酒井がもらってロングシュート打っていったが、これは右のポストの外に大きく外れてしまう。
28分、鹿島2人目メンバー交代:平瀬→深井
29分、鹿島の右からのCK。フェルナンドがそうめんに蹴ってきたボールは楢崎がパンチングで弾き出す。
30分、名古屋2人目メンバー交代:中村→岡山
32分、岡山右に上がってゆく吉村を狙って、DFの裏へパスを出していったが、これはオフサイドに。
33分、マルケスが相手ボールを拾うと、縦に出してゆく。ウェズレイが走りながらワントラップして寄せてきた相手DFをかわそうとしたが、ボールを弾かれてしまった。
35分、中谷がマルケスに渡すと、これを短く繋いでさらに上がろうとしたが、パスのタイミングが合わず、相手ボールになってしまう。
37分、左サイドでボールを持ったマルケスが相手DFをかわして中へ放り込んでいったが、待っていたウェズレイのところへ届く前に相手DFに弾かれてしまう。
38分、自陣左深い位置での鹿島のFK。小笠原の中への横のボールは、DFが落ち着いてこれをカットしてゆく。
40分、右のマルケスが中へと入れようとしたボールは寄せてきたDFに弾かれるが、こぼれ玉に滝澤が詰めてゆくと、シュートに行こうとしたが、その前に相手DFの足元へのスライディングにボールを攫われてしまう。残り時間わずか、またしても鹿島での初勝利はお預けとなってしまうのか?
43分、左からの中谷のドリブルのボールを中央でマルケスが受けるとシュートに行こうとしたが、前を阻まれたため右のウェズレイに。フリーで受けたウェズレイは、コースのないところだったが右足でシュートを蹴ったが、わずかに右のポストの外へ外れてしまう。
44分、鹿島3人目メンバー交代:エウレル→池内
ロスタイム1、左で富永からのパスを受けた中谷だったが、前を阻まれ抜け出すことが出来なかった。
ロスタイム2、右に開いた吉村が中へと短く繋ぐとするが、酒井の反応が遅れ相手にボールを奪われる。
ロスタイム3、自陣左深い位置での鹿島のFK。小笠原の入れてきたボールは楢崎がパンチングで大きく弾き出す。そして、ここで、主審の試合終了の笛が鳴り、残念ながら、今回も鹿島には負けを喫してしまい、2ndの開幕戦を白星で飾ることは出来なかった。しかし、小笠原のFKによる失点以外、最後まで崩されることなく鹿島の攻撃を押さえきったことは、今後の好材料の一つと言える。後は決定力をもう少し高める必要があるだろう。最後まで応援ありがとうございました。