2003 Jリーグプレシーズンマッチ
午後6時15分過ぎ、名古屋のメンバーが練習のためピッチにと登場。さすがに地元のサポーターの応援のようにはいかないまでも、大分のサッカーファンから暖かい拍手が送られる。
この時間になって、スタジアム内の蒸し暑さもいささか落ち着き、過ごしやすい、とまではいえないが、なんとかよくなってきたと行ったところか。
選手たちは、ここ数日間の短いオフを、様々な思いを持って過ごしたに違いないが、大きな表情の変化や翳りを持った選手は見受けられない。1stの優勝を逃したことで、無念の気持ちを引っ張ったまま、今日を迎えた選手が居るのでは、と心配をしたが、どうやら問題なさそうだ。“みんなで楽しむサッカーフェスティバル in ビッグアイ”と銘打たれた、今日のプレシーズンマッチ。夏休みと言うこともあってか、イベントも盛り沢山で、小さいお子さん連れもとても多く、いつものサッカー観戦の雰囲気とは異なっている。そんな、日頃、直接試合を見に来ていない彼らのためにも、今日は気持ちを切り替え、ため息が出るほどの、プロとしてふさわしいプレーを思う存分見せ、このイベントの成功に花を添えてあげて欲しい。
前 半
大きく開け放ったドーム内に涼しい風は吹き抜けはじめ、夏の夕暮れの雰囲気を醸し出し始めた、ここ大分スポーツ公園ビッグアイ。
6時57分、両チーム選手が入場、ピッチに歩を進めてゆく。おなじみのポーズを取ってマスコミの写真に収まると、イレブンが散らばってゆく。キャプテンマークをつけた大森が、相手キャプテン・浮気と固い握手を交わし、いよいよキックオフだ。前半は右にエンドを取った名古屋に対し、左から攻め上がる大分のボールで試合開始。

早速、藤本の左サイド、前線への縦パスに氏原が詰めていくが、これはDFに寄せられ、思うように中へと入ってゆけず、ボールを奪われてしまう。
1分、大分・金本を倒してしまい、自陣中程やや左の位置での大分のFKに。
2分、大分・ウィルが直接狙ってくるが、これはクロスバーの上に外れる。
4分、左からの中谷のパスをダイレクトに縦に出すと、抜け出した氏原がこれに詰めるが、大分DFにクリアされてしまう。
5分、左から富永が上がってゆくと、縦の中谷に繋いでゆく。これを中をうかがう中谷だったが、藤本、氏原は相手のマークが厳しくボールをもらえない。
7分、左の岡山からのパスを受けた中谷が藤本に流すと、これを右足でシュートに。しかし、これは惜しくも枠は捕らえられず、左に外れてしまった。
8分、自陣入ってすぐの位置でのボールを受けた大分・若松がロングシュートに。しかし、これは本田が正面でガッチリとキャッチ。
9分、左の大分・ウィルがくさびになってボールをキープ、上がってくる片野坂を待ってパスを出すが、ここは大森がしっかりと読んでボールをカットに行く。
11分、右に上がる氏原が縦のボールを拾うと、上がってきた酒井に繋ぐ。これを中央で待っていた藤本へ入れてゆくと、寄せてきた相手DFをかわして右足でシュートに。しかし、これは相手GKの正面だった。ここまでは両チームとも思った様なプレーが出来ていないようで、決定的な場面は見られていない。芝の調子が今ひとつ良くなく、足下の不安定さがパスの不安定さに出ている、そんな状況が続いている。
15分、右の大分・梅田からのアーリークロスに中央から吉田が飛び込んでくるが、これは頭の上をボールが抜けてゆく。
18分、大分・吉田が左サイドを駆け上がってゆくと、ライン際から中へ折り返してくるが、大森がしっかりとついてゆくと、ボールは平岡がカットしてゆく。
【失点】
19分、自陣右深い位置での大分のFK。これを大分・梅田が直接狙ってくると、一旦は、ポストにボールが当たるものの、中へと跳ね返ってしまい、大分に先制を許してしまう。
20分、左の吉村からのボールを藤本が中へ流すと、これを氏原がゴールに背を向けて受けると、競り合いながらも前を向こうとするが、相手DFに体を押さえ込まれ、シュートに持ってはゆけなかった。
22分、藤本が相手DFの間を抜く早いスルーパスを出してゆくと、これを氏原がもらいに行くが、オフサイドの判定。大分が先制したことで気をよくしたのか、前掛かりになってきており、名古屋は引気味になって、カウンターを狙いにゆく状況が続く、この時間帯だ。
25分、中央の中村の縦のボールを受けた藤本が、右に上がる酒井へと出してゆく。これを中へと折り返してゆくが、詰めていた岡山、氏原には届かず、相手DFがクリアしてしまう。
26分、左からドリブルで上がってきた大分・吉田が中に切れ込んでシュートにくるが、ボールは右のポストの外へ外れる。
27分、藤本の縦パスに中谷が相手選手と競り合いながらも上がってゆくが、体を入れられてしまい、ボールを手に入れることが出来なかった。
28分、相手陣内中程、ゴール正面の位置でのFKを得る。このチャンスに藤本が直接狙いにゆくが、左にカーブのかかったボールは相手GKが反応して、キャッチしてしまう。名古屋も中盤でのボールは繋がるものの、フィニッシュの形が作ることが出来ない。
【失点】
30分、自陣での大分のFK。ゴール前で待っていた吉田に頭であわされてしまい、2点目を決められてしまう。
31分、左サイドを大分・片野坂が上がってくると、ゴール前のウィルにあわせて放り込んでくる。これをダイレクトで合わせてきたが、ボールはゴールを大きく越えてゆく。
32分、中央の中村から左でフリーの中谷にボールが出ると、これを競り合いながらゴール前へ上げてゆくが、ここは誰も詰めておらず。
34分、自陣中程左の位置での大分のセットプレー。梅田の上げていったボールがゴール前にこぼれると、これを押し込まれそうになるが、ここは本田へのファウルになり、マイボールとなる。
36分、中央の吉村から右の中村へパスが繋がると、これを切れ込みながら中へ折り返してゆくが、待っていた氏原にはマークが厳しく、ボールをもらうことが出来なかった。芝の悪さもあるかもしれないが、名古屋の選手はボールへの寄せが遅く、こぼれ玉を、ことごとく大分に拾われてしまっている。
37分、左に上がってゆく中谷からのマイナスのボール似合わせた岡山のシュートは、不運にもクロスバーに当たってしまい、決めることが出来なかった。
38分、相手GKの前にこぼれたボールを藤本が詰めてゆくと、交錯しながらもシュートを打ってゆく。しかし、これは力無いボールとなってしまい、ゴール内へはいる直前に、飛び込んだ相手DFにクリアされてしまった。立て続けて決定的な場面が続いただけに、この勢いの時に1点でも取っておきたいところだ。
42分、左からのアーリークロスにニアで待っていた大分・若松があわせてこようとしたが、ここはDFが頭で競り勝ち、クリアしてゆく。
44分、相手陣内入ってすぐ右の位置でのFK。中村がファーサイドに上がっていた富永に狙って蹴っていったが、ここは相手DFに体をつけられ、思うようにあわせられず、抜けていったボールを藤本が拾うものの、大分DFの寄せが早く、ボールをカットされてしまい、このチャンスを活かすことは出来なかった。そして、ここで前半が終了。名古屋の選手はオフ明けということもあってか、体の切れが今ひとつのようで、ボールへの動きだしで大分に負けてしまい、守勢に回ってしまっているようだ。後半は気持ちを切り替えて、試合の主導権を早く手に入れてゆきたいところだ。後半の奮起に期待しよう。
後 半
エンド入れ替わって、左から右に攻め上がる名古屋のボールで後半開始。
名古屋1人目メンバー交代:中村→山口
開始早々、中央の藤本が相手DFの頭越しにパスを出し、岡山に狙わせるが、これはボールが長すぎてしまい、相手GKの下へ。
2分、中央の山口からのボールを酒井がダイレクトで縦に出そうとしたが、これは相手選手に当たってしまう。
3分、中央でのパスを奪われると、大分・吉田から左のスペースに出たバスに武藤が走ってゆくも、これはオフサイド。
4分、大分1人目メンバー交代:武藤→小森田
【失点】
6分、自陣深く右の位置での大分のFK。ウィルが蹴ったボールは壁に当たったものの、このボールがこぼれたところに詰めた片野坂のミドルシュートが、クロスバーに当たって、決まってしまい、ついに0−3とされてしまう。
【失点】
7分、大分・吉田にドリブルで中央から持ち込まれると、そのままシュートを決められてしまい、立て続けの失点を許してしまう。
8分、大分2人目メンバー交代:山崎→金守
9分、名古屋2人目メンバー交代:酒井→藤田
疲れもあるだろうが、最後まで優勝を争ったチームとしてのプライドを見せて欲しいところだ。
10分、藤本が右に上がってゆくと、相手DFにコースをふさがれてしまうと、詰めてきた藤田に戻してゆく。これをダイレクトで上げていったが、ゴールを越えていってしまった。
大分3人目メンバー交代:吉田→松橋
14分、右から大森が持ち上がると、前で右に流れてきた中谷へパスを出してゆくが、これを戻したボールが、タイミングが悪く、相手にインターセプトされてしまった。よもやの4失点という屈辱的な状況になってしまった名古屋。何とか早く気持ちを切り替えて、攻撃に回りたいところだ。
16分、右で岡山がボールをキープ、前に抜けようとするものの相手に阻まれボールをカットされてしまう。
17分、右に上がった藤田からの早いクロスに中央からタイミング良く藤本がヘディングシュート。しかし、これは相手選手に当たりコースが変わってしまい、ゴールネットを揺らすことは出来なかった。
19分、左サイドを吉村がドリブルで上がっていって、中央に切れ込んでゆくが、パスを出そうとしたところで、相手選手にボールを奪われてしまい、この場面を攻撃に繋げなかった。
20分、中央でボールを持った吉村が左に上がってゆく中谷に大きく出そうとしてゆくが、これは相手DFに当たってしまい、繋がらなかった。
22分、名古屋3人目メンバー交代:中谷→原田
23分、大分4人目メンバー交代:梅田→内村
名古屋4・5人目メンバー交代:藤本→秋葉、吉村→ヨンデ
ここへ来て名古屋は疲れの見える選手を続々と交代させ始める。何とか一矢報いて欲しいところだ。
25分、中央から左に出た浮き球を大分・松橋が左足でダイレクトにシュートにくるが、これは精度を欠き、大きくゴールを越えてゆく。
28分、左の原田がボールを持ったところに藤田が詰めてゆく。原田のパスを相手が弾いたところ拾いに行くが、これはゴールラインを割ってしまう。
29分、相手陣内ゴール前でのこぼれ玉をヨンデがミドルシュートにゆくものの、これは相手DFに当たってしまう。
31分、右から藤田が秋葉とのワンツーで抜け出そうとしたが、秋葉からのボールが寄せてきた相手選手のカットにあってしまう。
32分、大分5人目メンバー交代:ウィル→瀬戸
33分、左に流れた秋葉からのファーサイドへのボールに山口が詰めてゆくが、これは長すぎてしまい、相手ボールに。
33分、自陣ゴール前へのボールに大分・金本が詰めてくると、これを受けに来た本田と平岡が衝突、倒れてしまう。ボールはこぼれたものの試合が止まってしまったため、大分が名古屋に譲って、マイボールからの再開となった。しかし、この時点で平岡はまだピッチの外におり、ちょっと心配だ。大分からも勝っての盟友と言うこともあって、大きな声援が飛ぶ。
37分、右からボールを受けた、大分・内村が押し込もうとしたがこれは本田が飛び出してボールをキャッチ。
39分、ドリブルで仕掛けてきた大分・内村が富永をかわしてシュートにくるがこれは本田が体に当てて、追加点を許すことはなかった。そして、ここでやっと平岡がピッチに戻り、やっと11人全員の顔がそろう。
41分、中央の山口から左に上がる原田へパスが出るが、これをトラップミスしてしまい、ボールをタッチの外へ出してしまう。
43分、ヨンデが中央から左に上がってゆくと、中央から右に流れた氏原、そして、右に上がる藤田にと狙ってパスを出してゆくが、これは通らず。
44分、右で藤田からの縦パスを受け上がろうとした岡山だったが、相手に押し倒され前に行くことは出来なかった。
ロスタイム1、大分・内村が右サイドをドリブルで上がってくるが、ここは山口がマークにしっかりと付き、中へ入れさせることはなかった。
ロスタイム2、藤田が右サイド深く上がってゆくと、中へマイナスのグラウンダーを入れてゆく。これに中央でヨンデがあわせに行くものの、ボールに間に合わず、先にカットされてしまう。
ロスタイム3、自陣深く左の大分のFK。内村がゴール前に上げてきたボールは本田が直接キャッチ。そして、ここで試合終了の笛が鳴り、大分に敗戦を喫してしまう。今日の試合内容は決して良いものではなかったが、逆に、選手たちには、これで気持ちを吹っ切ってもらい、次週の試合にきっちりと臨んでもらいたい。最後まで応援ありがとうございました。