2003 Jリーグ ヤマザキナビスコカップ・予選
協力:
 6時15分過ぎ、メインスタンド前に、堤通訳につれられて、新外国人選手・マルケスがホーム初登場ということでお披露目で登場。スタンド中が大賑わいとなる。彼には、こんな話をするのは少し早いかもしれないが“優勝請負人”としてやってきた、と自信あふれる様子で言っている通り、サポーターの悲願達成に向けて、大活躍を期待したい。
 約5分ほどの紹介後、再び沸き起こるサポーターの声援に迎えられて、選手たちがピッチに登場。早速スタンドへと歩み寄ると、その声援はより一層高くなり、今日の試合への期待感の高まりを感じさせる。その中でも久しぶりの楢崎の登場には、黄色い声援が飛び交っていた。彼にはフランスでの代表戦で、好セーブを連発しながらも、予選敗退という、残念な結果になってしまっただけに、今日の試合で、たまったうっぷんをはらすようなプレーを、是非とも見せて欲しいと思う。
 この時間になると、さすがに日差しも収まり、涼しげな風がピッチ上を吹き抜けるようになり、絶好のコンディションの中でのウォーミングアップとなった。中でも、新しいパートナーを得たと言うこともあってか、ウェズレイ選手の表情がとても明るい。今年は、ここまで得点を思うように挙げることができなかったという、ジレンマがあっただけに、これを機会にマルケスとともに大爆発を見せて欲しいところだ。そして、もう一人忘れていけないのが大森だ。今や守備陣の要となるだけでなく、チーム内にあってもその存在感は日増しに大きくなっている。彼のがんばりがあって、今の状況があるといっても過言ではないと、サポーターも認めてくれるはず。今日も彼にはDF陣を統率するとともに、大分を完封して欲しい。さあ、まもなくキックオフだ!
前 半
大分開始直前の先発メンバー紹介でスタジアムのムードが一転。ざわめいていたスタジアムはキックオフを待ち望むサポーターの息づかいが聞こえるほどに静まりかえる。その中を審判を先頭に両チームの選手たちが入場し始めると、スタンド内は再び大きな声援で包まれる。左にエンドを取った大分に対し、右から左に攻めあがる名古屋のキックオフでいよいよ試合が始まる。
開始早々、原田のDF裏へのボールに勢いよく飛び出したウェズレイがあがってゆくが、ここはシュートまでは持ってゆけず。
2分、自陣からの縦パスに原が飛び出すが、これはボールが足にうまく付かず、相手DFに奪われてしまう。
3分、自陣右より入ったすぐの位置での大分のFK。大分・山崎が遠いサイドに入れてきたが、ここはパナが簡単に頭ではじき出す。
4分、右のスペースにでたボールに原が走ってゆくが、これはボールに追いつけず。
5分、相手陣内で大分にボールを奪われると、自陣に持ち込まれたところで酒井が倒してしまい、FKを与えるが、このピンチもDF陣が簡単に相手のボールをクリアする。
7分、左サイドの滝澤からのボールをウェズレイがスルーすると、原がサイドあがったウェズレイへ。これを左に流れて中へと折り返すと、原が詰めてゆくがシュートにはゆけず。
8分、右サイドからの大分・吉田のゴール前へのボールに高松が飛び込んでくるが、ここは判断よく飛び出した楢崎が押さえる。
10分、先ほどと同じような位置でまた大分・山崎が高松の頭を狙って放り込んでくるが、ここは大森がついて、合わさせなかった。
11分、滝澤が左サイド、タッチライン沿いを相手DFをかわしてあがってゆくが、最後抜け出そうとしたところは、大分・サンドロにボールをカットされてしまう。
12分、縦のボールに抜け出したウェズレイがすごい勢いであがりながら左足でシュート。しかし、このボールはクロスバーに嫌われてしまう。
14分、中央をドリブルであがってくると、右のスペースの大分・高松にパスがつながる。これを右足でシュートにくるが、これはポストの右に大きくはずれる。
16分、自陣で大分にボールを回されると、中央に絞って出来た右のスペースにボールがでる。これに大分・西山が詰めて中へ折り返そうとするが、ボールはその前にラインの外へ。
【得点】
17分、中盤で回そうとしたパスを大分にカットされて、思うような攻撃が出来ない名古屋だったが、藤本のスルーパスにウェズレイが抜け出し、最後相手GKをかわして、落ちついてシュート。良い時間帯で先制点を得ることが出来た。幸先の良い出だしといえるだろう。
20分、左サイドに流れたボールに上がっていった滝澤がゴール前へ折り返してゆくが、これは正確さを欠き、相手ボールに。
24分、左にでたボールを滝澤が持ち上がって中へと折り返そうとするが、これはカットされCKに。
25分、左からのCKは短くつないで藤本が遠いサイドのパナへとあげていったがボールが流れてしまい、これを生かすことが出来なかった。
26分、自陣からパナが左サイドへ長いボールを出してゆくと、これにウェズレイが取りに行ったが、タッチラインを割ってしまった。
28分、海本(兄)の縦のボールに飛び出した藤本が左足で上げてゆこうとしたが、これはバランスを崩してしまい、ゴールラインを割ってしまう。 31分、自陣で大分のボールをカットして、原がドリブルであがってゆくと、ウェズレイに当てて抜け出そうとしたが、このパスをカットされてしまう。
【失点】
32分、大分のロングスローのボールをDFが判断ミス、クリアし損ねてしまい、ゴール前に浮いたところを大分・吉田に頭で押し込まれてしまい、同点とされてしまう。
33分、大分・寺川が左サイドをドリブルであがってくると、中への折り返しを狙ってくるが、ここは大森がきっちりとマークにつき、このボールを入れさせることはなかった。
35分、左サイドを滝澤がスローインで渡したボールをもらったウェズレイが倒され、好位置でのFKを得る。ここで滝澤がGKから逃げるようなボールを蹴ると、これにパナがどんぴしゃりで飛び込んで追加点か、と思われたが、相手GKの正面となってしまい、大分を突き放すことは出来なかった。
38分、自陣からの縦パスを藤本が頭で相手DFの裏へと出すと、これに原田が反応、飛び出してゆくが、その前のプレーでファウルだったとして止められてしまう。
39分、左からのCK。滝澤が入れたボールにウェズレイが飛び込んでいったが、ボールは右のポストの外へはずれてしまう。
40分、藤本が大分・高松を肘打ちしたとして、退場に。なんと、この時間で1人少ない状態で名古屋は戦うという窮地に追い込まれてしまう羽目に。
42分、自陣右深い位置で相手ボールをカットして上がろうとした滝澤が相手2人に囲まれ、倒されたように見えたが、これも相手ボールになったことで、苛つく名古屋の選手。そして、にわかにざわめき始める名古屋サポーター。ここは試合のムードを壊してしまわないよう、選手もサポーターも落ち着きたいところだ。司令塔がいなくなり、チームとしては攻撃の形を作ることが難しくなってきた。監督としても、後半での立て直しに迫られるだろう。
ロスタイム1、自陣中程ほぼ中央の位置での大分のFK。大分・ロドリゴの蹴ったボールは大きくゴールを越えていってしまう。
ロスタイム2、左サイドで滝澤がボールを持つと、縦に勝負しにゆくが、ここは相手DFがぴったりとマークに付き思うようにプレーできず、戻すだけになってしまう。そして、ここで前半終了の笛が。藤本が途中退場という、思ってもない状況で終えた前半。同点とは言え、1人少ない状況で残り45分を戦わなければならないチームとしては、これ以上の失点したくない。が、攻撃の形を作るための策も難しいところ。監督の手腕が試されるゲームとなりそうだ。
後 半
よもやの同点、そして藤本の退場。この厳しい状況を打破するために、ベルデニック監督は早速打って出たようだ。後半からマルケス投入だ。
名古屋1人目交代:酒井→マルケス
後半は、エンド変わって左から右に攻め上がる名古屋。大分のボールで後半が再開。マルケスが左FWに入り、原が下がって中央よりに。山口が右サイドに原田が中央でボランチに入る布陣に監督は変更してきた。
1分、右サイドを上がろうとしてウェズレイが倒され、やや入った位置でのFKに。山口が大きく斜めに、ゴール遠いサイドへと蹴ってゆくと、上がっていたパナが頭で落とそう試みるが、これは相手にカットされる。
3分、右に流れたウェズレイが中へと折り返すと、これに山口が飛び込むが足下にゆかず。こぼれたボールを体勢を立て直したウェズレイが左足でシュートにゆくも、惜しくも左のポストの外へはずれてしまう。
4分、大森の自陣からの長いボールに飛び出した原が、これを受けると、中へと折り返すが、マルケスとは意志が合わず、彼が中へ入ってきたのに対し、ボールは遠いサイドへと流れてしまう。
6分、大分・有村が左サイドを上がってくるが、ここは山口が付いて中へは折り返させなかった。
7分、DFの裏へのボールにフリーでウェズレイが受けると、相手GKと1対1になる。右足でいったシュートは相手GKに弾かれてしまう。
8分、右からのCK。滝澤の入れたボールがこぼれたところを、右に居たマルケスが遠いサイドへ上げてゆくとパナがこのボールをヘディングシュート。しかし、これは左のポストに嫌われてしまう。
11分、左サイドを上がろうとする滝澤だったが、相手DFに前を阻まれ抜け出せず、中へとパスを戻すことに。
12分、大分・吉田の左からのゴール前へのクロスに高松が飛び込んでくるが、これはタイミングが合わず。辛うじて救われる。
13分、大分1人目交代:高松→松橋
14分、ウェズレイがマルケスに渡すと、これをヒールで軽く流して滝澤に。さらにウェズレイが縦に上がってゆくところに滝澤がたてパスを出すが、これは長すぎてしまった。
15分、DFの背後にでたボールにタイミング良く飛び出したマルケスだったが、これはオフサイドの判定。
16分、大分の右からのCK。ロドリゴのファーサイドへのボールを押し込まれそうになるが、ここは楢崎が好セーブで止める。
17分、左サイドを上がる滝澤からのボールを前でもらったマルケスが相手DFをかわして、中へと上げてゆくとこれに原が飛び込むが、ヘディングシュートは右に流れてしまう。
19分、名古屋2人目交代:原→岡山
20分、自陣から左に開いていたマルケスにパナがけり出していったが、これは風にも乗ったこともあり、タッチを割ってしまう。ここへきて、一人少ないこともあってか、中盤のボールはほとんど大分に支配されてしまっている名古屋。この時間帯は踏ん張りどころだろう。
23分、大分2人目交代:西山→武藤
24分、大分・吉田の左からのゴール前を狙ったボールは、パナが顔面で前へ弾く。
25分、大分・ロドリゴが縦のボールに飛び出しくるが、これはオフサイドに。
26分、左サイドで大分・吉田がボールを持つと、縦に上がる寺川に狙って入れてくるが、ここはDFがボールを呼んでカットする。
28分、自陣でボールを持った岡山がドリブルで上がってゆくと、ウェズレイとのワンツーで抜け出そうとしたが、ここは相手DFに阻まれ、カットされてしまった。
29分、自陣ゴール前へのスペースにでたボールに大分・松橋が飛び込んでくるが、ここは楢崎が先にキャッチ。
30分、名古屋3人目交代:原田→秋葉
31分、相手陣内での浮き球を左サイドで拾ったマルケスだったが、自らいけるチャンスだったが、ゴール前へ上げてゆくと、このボールは流れてしまい相手ボールに。ここで監督は、パナを前に上げ、秋葉を1つ下に入れるという攻撃的布陣を敷いてくる。
32分、右サイドでボールをフリーで持った大分・松橋のシュートは、楢崎が好反応し、これを止める。さすが楢崎だ。
33分、ウェズレイが相手陣内でボールを持つと、前を振り向きざまシュートに.しかしこれは慌てたのか、大きくはずしてしまう。
35分、右サイドでドリブルで入ってきた大分・武藤のシュートは大きくはずれる。
36分、左サイドでボールをマルケスが持つと相手DFを個人技でかわしてゴール前へと上げてゆくが、詰めていた選手はこれを合わせることは出来なかった。
37分、相手陣内中央ほぼ真ん中の位置でのFKを得ると、ウェズレイが長い距離を走りながら豪快にシュートにゆく。しかし、これは力が入り過ぎ、大きくはずれる。
38分、右サイドの岡山からのニアサイドへのボールにマルケスが流れてきて合わせようとしたが、これはわずかにタイミングが合わず。
39分、自陣でボールを持った山口が右でフリーで待っていた岡山へと出してゆくが、これは長すぎてしまう。
40分、右サイド深くでボールを持ったウェズレイが岡山に当てて抜け出してゆくが、再度ボールを受けることが出来ず、チャンスを生かすことが出来なかった。
41分、右からのCKのチャンス。滝澤のゴール前へのボールは簡単にクリアされてしまう。
42分、左からの大分のCK。ロドリゴのボールにニアサイドで山崎が飛び込んでゆくが、ボールは頭の上を通過。こぼれ玉はDFが大きくクリアし、このピンチを凌ぐ。
43分、相手ペナルティすぐ外で秋葉が粘ってマルケスに繋ぐが、これは相手DFに詰められ奪われてしまう。
ロスタイム1、大分・寺川が左サイドでボールをフリーで持つとシュート体勢にくるが、戻った山口がこれを阻む。残り時間わずか、なんとしても失点だけはさけたい。
ロスタイム2、パナが右サイドにでたボールを持ち上がると、中へと折り返してゆく。これは相手DFがクリアし右からのCKに。滝澤の上げていった遠いサイドへのボールは押し込めず。そして、このまま試合の雌雄は決せず、同点のまま試合が終了。試合開始から、早い時間帯に先制しながら、前半途中で失点を許してしまい、さらには1人退場となって試合を不利な展開で進めることとなってしまった名古屋。この同点という結果は、負けなくて良かったとして、次の試合に臨んでもらおう。最後まで応援ありがとうございました。