2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第6節
 快晴に恵まれたここ横浜国際総合競技場では、照りつける日差しと、横浜サポーターの試合前からの応援で、早くも温度は上がりっぱなしだ。先程から行われているピッチ上での両チームの選手による試合前練習でも、選手たちは給水に忙しい。今日はかなり体力的にハードなコンディションとなりそうな予感だ。そんな中、さすが、ブラジル出身のウェズレイだけは給水も殆ど取らず、と言うよりも汗もほとんど流すことなく、軽く練習メニューニューをこなしているのが非常に印象的だ。何となく今日はやってくれそうだ。頼むぞ、ウェズレイ。君が頼りだ。
 横浜の中盤の選手との厳しい戦いを予想してか、それとも試合前の緊張感からなのか、さすがに中村・滝澤・吉村・酒井・藤本等は表情がいつもとは違って、堅い雰囲気だ。彼らには絶対頑張ってもらわなければ今日の試合は制することは出来ないと言っても過言ではない。FW陣の2人:ヴァスティッチ・ウェズレイ以上に今日は彼らのプレーに期待したい。
前 半
日差しが強くなると共に、スタジアム内は熱気に包まれ、まもなく始まる熱戦を待つ両チームサポーター固唾を飲んで待ち望んでいる雰囲気が立ちこめている。スタジアムMCのアナウンスと共に、選手が入場し始めると、一気に横浜のサポーターの声援が爆発するように沸き起こりだす。スタジアムの隅に陣取った名古屋のサポーターも負けじと、声を限りに応援開始だ。前半は、左にエンドを取った横浜に対し、右から左に攻め上がる名古屋のキックオフで始まる。
開始早々、味方DFがクリアしたボールを拾った横浜・奥がミドルシュート。しかし、これは楢崎が正面でキャッチ。
1分、相手のスルーパスをカットした大森が右に上がる中村に出してゆこうとするが、これはコースを読まれ、ボールは奪われてしまう。
3分、自陣入ってすぐの位置での横浜のFK。左サイドに上がる選手を使おうと出したボールは、タッチラインの外へ。
4分、自陣中程やや右の位置での横浜のFK。横浜・佐藤がDFの裏に入れようとするが、ここはDFが頭でカットする。
5分、中盤で相手ボールをカットした中村が中に入っていって、右サイドを走る酒井に出してゆこうとするが、このボールはインターセプトされてしまう。
6分、左からのCKのチャンス。藤本が入れたニアへのボールはクリアされ、再びCKに。今度はゴール前に上げてゆくが、これは相手GKが直接キャッチしてしまう。ここまでは、中盤でのパスミスが幾度かあったものの、決定的な場面は作られることなく試合は展開している。
8分、藤本が競り合いでこぼれたボールをターンして中村に渡すと、これを左サイドを上がる滝澤の前のスペースに繋ごうとするが、これは相手に簡単に取られてしまう。
11分、横浜・久保の左へ出たボールを受けたドゥトラが持って上がって、奥に出してくるが、これはボールが長くそのままゴールラインを割る。
12分、相手陣内右入ってすぐの位置でのFK。酒井がゴール前に放り込んでゆくと、ウェズレイが走り込むが、これは相手GKにキャッチされてしまう。
14分、横浜・遠藤が左に開いて、ゴール前へと放り込んでこようとするが、これは精度を欠き長くなってしまい、マイボールになる。両チームとも決定的な場面を見せることなく、ここまでは単調なプレーだけが目立つ時間だけが過ぎているという形で試合が展開している。気温が高いだけあって、体力勝負になりそうなことを見込んでか、スローペースのスタートが伺える。
16分、中村が右サイドを相手ボールをカットして上がって行こうとしたが、ファウルで止められてしまう。
18分、横浜・奥の左サイドからの折り返しは、古賀がクリアし、こぼれたところを吉村が大きく蹴り出す。
19分、右サイドを攻め上がった酒井が相手DFが寄せてきてかわしきれず倒されるが、これはファウルを認められず、相手にボールを奪われることに。
20分、右サイドからの横浜・佐藤のアーリークロスに久保が合わせようとしてくるが、パナが高い打点でこれに競り勝ち、ボールをカットする。
21分、横浜・久保のパスを受けたマルキーニョスがペナルティ内へ侵入を試みるが、ここは大森がキッチリとマークに張り付きファウルを誘う。
22分、自陣右寄り中程の位置での横浜のFK。佐藤のゴール前に入れてきたボールは、相手のがヘディングであわせてくるが、ポストの右へ外れる。
23分、相手陣内中央で、右の中村からのパスを受けたウェズレイが、そのままミドルシュートに。威力はあったもののコースが甘く、相手GKにキャッチされてしまう。
24分、左サイドを攻め上がってくる、横浜・ドゥトラがDFの裏にパスを出すと、これをマルキーニョスが受けるが、これはオフサイド。
25分、左から奥のパスを受けて上がってきた横浜・ドゥトラがミドルシュートを蹴ってくるが、これはクロスバーの上へ。
27分、相手陣内での競り合いのボールをヘディングで中村が前に繋ぐと、藤本が受けて相手DFの裏へと抜け出そうとしたが、ここは前を2人に阻まれて、ボールを奪われてしまう。
29分、自陣右寄り中程の位置での横浜のFKは、ゴール前に入れてきたボールをDFが簡単にクリア。こぼれ球を拾ったドゥトラのミドルも精度を欠き、クロスバーの上へ。
試合の流れ的には横浜が押し込んでいるように見えるが、守備は安定しており、ペナルティ内への危険な侵入を殆ど許しておらず、ここまでは、問題なく試合を進めていると言えるだろう。
32分、古賀からの縦のボールを相手陣内深くでヴァスティッチが競り合うが、ファウルを取られてしまう。
34分、自陣左での相手のファウルで得たボールを滝澤が持って上がっり、中のウェズレイに繋いで行くが、相手DFに阻まれてこれを旨くもらうことが出来ず、倒されてしまい、ボールも相手の元へ。
36分、自陣で相手ボールをカットした中村のパスを受けた藤本が、DFの裏にスルーパスを出して行くが、これは横浜・松田にスライディングで阻まれてしまう。
37分、横浜・波戸からのパスを受けた佐藤が右サイドからゴール前にダイレクトで入れてくる。これにマルキーニョスが頭で合わせてくるが、ボールは左に逸れ枠の外へ。
39分、横浜の左からのCK。ドゥトラが左足でニアに入れてくるが、吉村がクリア。続くスローインから、ドゥトラが抜け出してシュートを打ってくるが、パナが顔面でこれを阻止、ピンチを救う。
41分、吉村が相手ボールをインターセプトしてそのまま左サイドを上がって行くと、中に上がって行くウェズレイにパス。これを更に右に上がるヴァスティッチに繋ごうとするが、このボールはタイミングが合わず、奪われてしまう。
42分、自陣深く右よりの位置での横浜のFK。佐藤の蹴ってきたボールに久保がフリーで飛び込んで合わせると、このボールがゴール左隅に飛ぶが、辛うじて枠の外へ外れ、救われる。
44分、右からのCKのチャンス。滝澤の入れていったボールはニアサイドにいた相手DFにクリアされてしまう。
ロスタイム1、左からの滝澤のロングスローにペナルティ内でウェズレイが競り合いながら受けようとするが、倒されてしまいこれをもらうことは出来ず。ここで前半終了の笛がなる。横浜の攻撃に押され気味だったものの、中盤及び最終ラインが相手のマークを離すことなく、終了間際の久保の危ないヘディングシュート以外は問題無く、凌ぎきったといえる。しかし、このままでは勝つことは出来ない。後半は、前節ではあまり機能しなかった攻撃布陣で攻めに転じたいところだ。後半に期待しよう。
後 半
エンド変わって左から右に攻め上がる名古屋に対し、右から攻め上がる横浜のボールで後半が再開。
開始早々、左からのドゥトラのゴール前へのボールを佐藤が頭で合わせてくるが、これはクロスバーの上へ。
2分、自陣中程中よりの位置での横浜のFK。左サイドのスペースを狙ったボールはクリアに。開始から横浜が早い展開で攻撃を仕掛けてきている。集中力を切らさないよう、ここは凌ぎきりたい。
4分、自陣右の位置での横浜のFK。早い球出しから左サイドを走る横浜・久保にボールを繋ごうとしてくるが、ここはDFがしっかりとマークして、これをカットする。
5分、右の藤本から縦に走る中村へと繋ぐと、これを中へと放り込もうとするが、ここは狙いが簡単すぎたため、読まれてしまい相手DFにカットされてしまう。
7分、左サイドを走る横浜・奥へのボールを寄せてきたマルキーニョスが受け、ゴールとDFの間に浮かせて入れてくるが、これは楢崎が直接キャッチする。
9分、左サイドを横浜・マルキーニョスが上がっていって中に折り返そうとするが、吉村がしつこくマークに付き、これを阻止する。
10分、楢崎からの相手陣内深くへのゴールキックのボールを中村が頭で落として、これをウェズレイが拾おうと試みるが、これは相手DFに掻き出されてしまう。
12分、右からのCKのチャンス。藤本がゴールから逃げるボールを蹴って行くと、これにパナがあわせに行くが、これは飛び出した相手GKがパンチングで弾き出してしまう。
14分、左サイドを横浜・ドゥトラが切れ込んでくると、折り返しを狙うが、これは大森が足に当てCKに。
15分、左からの横浜のCK。ニアの選手が当てたボールを楢崎が直接キャッチする。
16分、相手陣内でのこぼれ球を右から酒井がミドルシュートに。しかしこれは相手DFに当たってしまうが、更にこぼれたところを滝澤が拾ってミドルシュートに。しかし、これは抑えが効かず大きくクロスバーを越えていってしまう。ここへ来て、横浜の選手が疲れが見えてきたのか中盤でボールを奪う場面が多くなってくる。
17分、藤本が右に開いて、ここにヴァスティッチから、ウェズレイ経由でパスが出ると、これを中に折り返して行く。しかし、ここには誰も飛び込めず。
18分、今度は中村が右に出たボールに競り合いながら抜け出そうとするが、ここは横浜・ドゥトラが詰め、ボールをカットする。
19分、相手DFの裏に出たボールにウェズレイが抜け出し、相手GKと1対1になるが、ペナルティ外だったが、飛び出した相手GKが体でこれを止め、クリアしてしまう。
20分、右の酒井が相手DFに当たったボールを拾って、今度はDFの裏へ出すが、これはウェズレイがオフサイドに。
21分、横浜1人目交代:マルキーニョス→坂田
22分、左サイドを横浜・遠藤が猛スピードで抜け出してくるが、中村がこれにぴったりとマークに付きファウルを誘う。
23分、相手陣内中程ほぼ中央の位置でウェズレイが倒され、FKを得る。直接狙ってウェズレイが蹴っていたが、このボールは大きくクロスバーを越えていってしまう。
24分、自陣左より中程の位置での横浜のFK。ドゥトラが蹴ったボールにゴール前で待っていた選手が頭で中へと流してくるが、ここは楢崎が反応良くこれをキャッチに行く。
25分、左からのCKのチャンス。滝澤が上がっていたパナに合わせようと蹴っていたボールは、流れてしまい相手に拾われてしまう。
27分、横浜・中澤が持ち上がっていって、右の佐藤に出してくるが、このボールは精度を欠き、ゴールラインの外へ。ここへ来て名古屋のボール支配率が上がり始め、横浜陣内での攻撃が増えてくる。ここでなんとか先制したいところだ。
30分、横浜・佐藤がゴール前のボールに飛び込んでくると、これを体を張って楢崎が阻止しようとして勇気を持って飛び出してぶつかるが、これはキーパーチャージとして、味方ボールに。名古屋は中盤でのボールへのプレッシャーでは横浜を勝るようになるが、攻撃では決め手を欠き、得点場面を演出することが出来ない。
33分、自陣からの長いボールにウェズレイが飛び出して行くが、ここは相手DFが、体を入れてボールを触れさせてくる無かった。
34分、名古屋1人目交代:酒井→岡山
吉村が右サイドで相手ボールをカットして上がって行くと、左に上がってくるヴァスティッチを待ってパスを出すが、僅かにボールが流れてしまい、タッチラインの外へ。
35分、右からの横浜のゴール前へのボールは楢崎がパンチングで弾き出す。
36分、岡山が藤本から受けたボールをキープすると、相手DFの裏に出して行くが、これには藤本が走り込もうとするが、間に合わず。
37分、右サイドを上がって行く大森に藤本が出そうとするが、これは相手DFが足下にスライディングし、パスをカットされてしまう。
38分、左サイド上がってきた横浜・ドゥトラのクロスに久保が頭で飛び込んで合わせてくるが、これは楢崎の正面に。
39分、ゴール前で左に流れたボールに反応した横浜・佐藤がシュートを試みるが、これも楢崎の正面に。
40分、相手ゴール前で岡山が右にはたくと、これをヴァスティッチが中に折り返す。これに藤本、岡山が詰めるが、相手GKと交錯してしまい押し込むことは出来なかった。
名古屋2人目交代:藤本→原
41分、自陣左に入ったすぐの位置からの横浜・ドゥトラのアーリークロスを久保が合わせようと右足を出してくるが、これは空振り。
43分、岡山が右サイドで上がっていて粘り、中の中村に繋ぐ。吉村がDF能等に飛び出すと、これにするーパスを出すがオフサイドになってしまう。残り時間後僅か、またもや引き分け色が濃厚に。
44分、自陣中程左の位置での横浜のFK。ドゥトラのゴール前へのボールはパナが頭でクリア。
ロスタイム1、横浜・松田が左を上がってくると、中に切れ込んで折り返してくる。、これに佐藤が飛び込んでくるが、ボールは楢崎の正面へ。
ロスタイム2、岡山が右サイドを攻め上がると折り返して行くが、ゴール前に待っているウェズレイの頭上をボールは通過してしまう。
ロスタイム3、横浜・久保が右サイドを上がってペナルティ内に侵入してこようとするが、戻ったヴァスティッチがこれに行ってボールを奪う。
ロスタイム4、左サイドを上がっていった滝澤からの折り返しを右から飛び込んだ原が頭で合わせるが、ボールは僅かに右に流れ、飛びついた横浜のGKの指先を抜け、右のポストの外へ外れてしまう。そして、ここで試合終了の笛が鳴り、試合は3試合連続の引き分けの結末を迎えてしまう。う〜ん、なんという事だ。しかし、今日は攻め切れなかったというよりも、横浜の攻撃を凌ぎきった、価値ある勝ち点1をアウェイでもぎ取った、そんな内容の試合と言える。後半も岡山が入って、動きが良くなりだし、攻撃する場面も目立つようになっただけに、得点を挙げることができなかった事が残念でならない。最後まで応援ありがとうございました。