2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第5節
 今ひとつすっきりと晴れない空の下、試合前の練習に選手が登場するとサポータからは大きな声援が沸き起こり始める。豊田スタジアムでの鹿島との試合同様に、今日もホームでの勝利を期待してか、早くも熱い。今日も宜しく頼むぞ。今日の布陣での先発ということでの責任感からか、原の動きが良い。また、中村も練習中での体の切れも良く、球回しでの体のこなしといい、球裁きといい、かなりコンディションが良いといえる。この2人は期待がもてそうだ。前節出られなかった吉村も怪我を忘れさせるほどの小気味よい動きで練習メニューをこなしている。
 そんな中、ウェズレイは相変わらず表情を変えず、一つ一つの動きを確かめるかのごとく、黙々とメニューをこなしている。開幕して得点王を期待されながら、なかなか勢いが出ない自分に納得が出来ないのだろう。かなり念入りに、調整しているのが印象的だ。彼には延び延びになっている50得点という、記念すべきゴールを今日こそはホームのサポータの前で決めて欲しい。まもなくキックオフ。瑞穂陸上の上空にたれ込めた雲を吹き払うような、気持ちの良い内容の試合で、勝利を収めてもらおう。
前 半
現在、勝点6/7位の名古屋にとっては今日の柏との1戦は上位を伺ってゆくためにも絶対勝っておきたい相手のひとつだ。サポーター達もそれを感じてか、選手が入場してくると、一際、声援が大きくなる。この期待に応えるために、絶対、熱い内容での勝利を見せてもらおう。右にエンドを取った柏に対し、左から右に攻め上がる名古屋。柏のキックオフで前半開始。
1分、ウェズレイがパナの縦のボールに抜け出そうとするが、相手DFに押さえ込まれ、倒れてしまう。
2分、柏・リカルジーニョがドリブルで上がってくるが、ここは吉村が激しくいって、これを阻止。
3分、右からドリブルで上がってきた柏・玉田が左足でシュートを放つ。枠内に飛んで着るも、これは楢崎がはじき出す。右からの柏のCKは短く出してくると、今度は平山が左からシュートを狙ってくる。しかし、これはクロスバーの上に。
4分、自陣中程やや右寄りの位置での柏のFK。ゴール右を狙って柏・リカルジーニョが蹴ってきたボールは右のポストの外へ。ここまでは柏の積極差が目立っている。
6分、柏の渡辺が右サイドに出たボールを折り返してくるが、中村がこれをクリア。左からの柏のCKはニアへのボールを吉村が頭で大きく弾き出す。
8分、自陣から大森が相手DFの間に出したボールをウェズレイが持って抜け出そうとしたが、相手選手を押さえたとしてファウルに。
【失点】
9分、相手陣内での攻め上がりのボールをカットされると、右サイドをドリブルで柏・玉田が上がってきて、最後、楢崎が1対1になるが落ち着いてこれを左足で決め、早くも失点を許してしまう。前がかりになって空いたスペースを狙われた結果に。
11分、相手陣内中程やや右寄りの位置でのFKのチャンス。滝澤が左足でDFの裏へ曲げてゆくと、ヴァスティッチがこれに詰めるが、相手のラインが押し上がり、この時点でオフサイドに。
13分、右で中村がフリーでもって前線に張っていたウェズレイにパスを出してゆくが、足下に来たところを狙われてしまい、ボールを奪われてしまう。ここまでは柏の動き出しが良く、効果的にボールを繋ぐことが出来ず、今日の布陣が活きていない。
14分、右に出たボールに走り込んだウェズレイがライン際から折り返すと、これを柏GKがクリア、コーナーキックに。
15分、右からのCKのチャンス。短く滝澤が出すと、これを原が戻して、再度ゴール前に滝澤が入れていったが、ここは誰もこれを押し込むことが出来ず。結局、相手のボールに。
16分、相手ゴール前でのボールを原が弾み際を左足でシュートを試みるが、これは相手GKにはじき出されてしまう。
17分、左からのCKのチャンス。藤本が入れていったボールをヴァスティッチが頭で合わせるが、相手に押さえ込まれてしまい、前に飛ばすのが精一杯だった。
18分、左サイドを相手選手をかわしてヴァスティッチが抜け出そうとしたが、ここは阻まれてしまい相手のボールに。
19分、自陣から藤本がボールをもらって抜け出そうとしたところで、ファウルを受けて倒されてしまう。柏の高い位置での激しいチェックで名古屋はなかなか前にボールを出してゆくことが出来ない。
21分、原のドリブルのボールを受けたウェズレイがダイレクトで出してゆくと、これを藤本が拾って上がってゆく。ゴール前に折り返していったボールは遠いサイドのウェズレイが頭で合わせようとしたところを先に弾かれてしまう。
22分、左からのCK。滝澤がニアに蹴ったボールは相手DFに足で弾かれてしまう。
23分、相手陣内深く左よりの位置でのFK。藤本が早いボールを蹴ってゆくが、低い軌道のため、ゴール前に詰めていた選手に届く前に相手選手にカットされてしまう。
24分、柏の左からのCK。遠いサイドを狙って蹴ってきたボールはDFが足で蹴り出す。
【得点】
25分、相手陣内深くでの右からのスローインのボールを、藤本が拾って左足でシュートにゆくがこれは相手DFに当たってしまいCKに。右からのCKのボールを、ニアのパナが頭で繋いで、遠いサイドで待っていた古賀が相手DF・GKと交錯しながらも頭でこれを見事押し込み、試合を振り出しに引き戻すヘディングシュートを決める。よっしゃ〜!
28分、左サイドをドリブルで仕掛けていったヴァスティッチだったが、相手選手2人に阻まれ、抜け出すことは出来なかった。
29分、自陣に攻め込んできた柏のドリブルのボールを滝澤がインターセプトすると、これを前線に一気に長いスルーパス。DFの裏にウェズレイが走り込んでゆくが、間一髪で相手Gに先にキャッチされてしまう。同点にしてからは名古屋の選手の動きが良くなり、どんどん前にボールが出るようになる。ここで一気に追加点を奪いたいところだ。
31分、左サイドを抜け出してきた柏・増田がパナをかわしてシュートを打ってくるが、これは精度を欠き、クロスバーの上に。
32分、ドリブルで右に流れたヴァスティッチのゴール前への早いクロスボールは、飛び込んだウェズレイの頭に届く前に、相手GKがキャッチしてしまう。
33分、自陣左中程の位置での柏のFK。これを平山が、ゴール前に詰めたDFの裏に落とそうと蹴ってきたが、これは長すぎてしまい、ボールはそのままゴールラインを割ってしまう。
35分、自陣中程真ん中の位置でドリブルで上がってきた選手を倒してしまい、柏のFK。リカルジーニョの直接狙って蹴ってきたボールは壁に当たる。
36分、相手陣内左からヴァスティッチのゴール前への低いクロスは、待っていた藤本が頭で合わそうとしたが、相手DFにクリアされてしまう。ここへ来て試合の展開が速くなり、両陣営へボールが行ったり来たりし始め、落ち着かない時間が続いている。
39分、柏・マルシオがドリブルで長い距離で上がってきたところを倒してしまい柏のFK。自陣中程ほぼ真ん中の位置でのこのセットプレーの場面は、リカルジーニョがゴール右へのシュートはポストに当たって外に弾かれる。
41分、左サイドの滝澤からのウェズレイへの縦のボールはオフサイドを取られる。
42分、自陣深く左サイドにこぼれたボールを柏・平山がダイレクトで折り返してくるが、ゴール前には柏の選手は誰も詰めておらず、この場面は救われる。
43分、自陣右へ出たボールをリカルジーニョが拾いにくるが、ここはパナがしっかりと詰めてこのボールを奪う。
44分、相手ゴール前でのこぼれ球を拾った中村が、これを持ち直してシュートにゆくが、慌てたのかうまく当たらずポスト左にはずしてしまう。
ロスタイム1、柏の右からのCK。ニアへのボールはDFが大きくクリアする。
ロスタイム2、自陣からのボールをカウンターでウェズレイが持ち上がってゆくと、最後、ゴール前に上がっていた原に折り返していったが、これは戻った相手DFが頭で競り勝ち、原は触れることが出来なかった。そして、ここで前半が終了。早い時間に失点を許したものの、早々に追いつき試合を振り出しに戻すことが出来たが、その後が続かない展開だった。後半は早い時間帯に得点して、早く試合を有利に進めてゆきたいところだ。
後 半
前半、攻め上がったところを裏を取られて失点を許したものの、セットプレーからの古賀の同点弾で同点にした名古屋。攻撃的にゆく布陣のため、中盤でボールを奪われ、柏に攻め込まれていた場面が目立っていた。後半はこういった展開だけは気をつけて攻め上がりたいところだ。エンド変わって右から左に攻め上がる名古屋のボールで試合再開。両チームともメンバー交代はなし。
1分、相手陣内中程やや右寄りの位置でのFKのチャンス。藤本のボールを頭で戻したパナのボールをウェズレイがオーバーヘッドでシュートに。しかし、これが枠にはうまく向かわなかったが、コースが変わり、これを詰めていた古賀がさらに頭で押し込もうとしたが、クロスバーの上へいってしまう。
3分、滝澤がワンツーで抜け出し、藤本に繋ぐと、これを遠いサイドに。待っていた原が受けたところで倒され、ペナルティのすぐ外の好位置でFKを得る。ウェズレイがこれをゴール左隅を狙って蹴っていったが、僅かに外に外れてしまう。
5分、柏・マルシオがDFの裏への飛び出しを狙って長いボールを蹴ってくるが、これはそのままゴールラインを割る。
7分、自陣でパスを回しながらチャンスをうかがう柏。しかし、中盤の吉村の厳しいチェックに業を煮やした柏・平山がエリア外からミドルシュートを蹴ってくるが、これはクロスバーの上に。
8分、左サイドを上がっていった滝澤が相手DFをかわして入れていった折り返しは、簡単にクリアされてしまう。
9分、相手陣内中程左の位置でのFK。藤本がゴールに向かって巻いてゆくボールを蹴っていたが、これは相手DFに頭でクリアされてしまう。後半開始から積極的に両サイドを使って攻め込んでいた名古屋だったが、相変わらず柏の中盤のチェックが厳しく、思うようにゴール前にボールを入れてゆくことが出来ない。
14分、ヴァスティッチがフリーでもらうと、左に上がってゆきながらそのまま左足でシュートに。しかし、これは相手GK正面だった。
16分、自陣中程右寄りの位置での柏のFK。リカルジーニョの早いゴール前へのボールはパナが頭でクリア。
17分、左からの柏のCK。リカルジーニョのニアへのボールはDFがクリアする。
19分、柏の早い展開からこれを止めようとした中村が、自陣中程中央の位置で相手を倒してしまい、柏のFK。これをリカルジーニョが直接狙ってくるが、これは楢崎が正面でキャッチする。
21分、相手陣内ペナルティ内での浮き球をウェズレイが頭越しに折り返すと、これに原が詰めてゆくが、相手DFに体を寄せられシュートに持ってゆくことは出来なかった。膠着した展開が続き、パスも思うように繋がらず、なかなか試合が動かないこの時間帯だ。ここは選手を入れ替えてリズムを変えてゆきたいところ。
23分、滝澤がドリブルで中に切れ込んでゆき、中村とワンツーで抜け出そうとするが、相手選手の寄せにとまどい、ボールをさらわれてしまう。
24分、 名古屋1人目交代:原→山口。監督は疲れの見えた原に代えて、選手を入れ替え、勝負をかけてきた。
26分、自陣ゴール前でのこぼれ球を右から詰めた柏・増田がミドルシュート。あわやゴール左隅に決まるかと思われたが、クロスバーに当たり、中に弾き返ってくる。
27分、左サイドを飛び出してきた柏・平山のシュートはゴールを大きく越えてゆく。中盤の選手の集中力が落ちてきたのか、スペースが出来るようになり、柏の選手にボールを拾われてしまうことが増えるように。ここは再度集中し直しが必要だろう。
29分、右の山口からのゴール前のボールは詰めていったヴァスティッチの頭を越えてしまうが、これを拾った滝澤が相手DFをかわして中に持ち込んでグラウンダーを折り返してゆく。しかし、飛び込んでいった藤本の足には当たったものの、相手DFがスライディングでこれを阻んでしまう。
31分、柏・明神がドリブルから攻め上がってきてそのままシュートを放ってくるが、これは楢崎の正面へ。
32分、相手陣内中程の位置でウェズレイが抜け出そうとトラップしたボールを相手が手に当ててしまいFKを得る。藤本が入れていったボールはゴール前に張っている選手に届く前にクリアされてしまう。
34分、右サイドゴールライン際のボールを藤本が折り返すと、遠いサイドをウェズレイが走り込んでヒールで中に繋ぐが、これはボールが外に出ていたとされ、相手のゴールキックになってしまう。
柏1人目交代:増田→加藤
35分、相手陣内で上がったボールを滝澤がダイレクトで中に蹴ると、これをウェズレイが相手DFをかわしてドリブルで抜け出そうと試みるも、相手選手を倒してしまい、相手ボールに。
37分、柏・玉田が右サイド、ペナルティすぐ外でこぼれたボールをDFの裏に抜け出したマルシオに繋ぐが、これはオフサイド。残り時間が少なくなって、両チームの選手とも運動量が目に見えて落ちてきた。なんとかこの状態を抜け出すようなプレーが見せて欲しいところだ。
40分、 名古屋2人目交代:藤本→岡山。
柏の右からのCK。ゴール前に入れたボールが遠いサイドの開いたスペースにこぼれるが、これは楢崎が飛び出して拾う。
41分、左サイドを上がった滝澤のウェズレイへのパスはトラップが大きくなり相手ボールになってしまう。
43分、柏2人目交代:マルシオ→矢野
44分、楢崎からの長いフィードに、上がっていたパナが競り合うが、ここはファウルを取られてしまう。
ロスタイム1、自陣深く右の位置でボールを回す柏の選手を倒してしまい、FKになるが、ここはFKのボールを受けた相手選手のトラップミスで助かる。
ロスタイム2、右サイドからの吉村のゴール前のボールを頭でパナが中へと折り返すが、ヴァスティッチが合わせる前に相手GKが飛び出してキャッチしてしまう。そして、そして、ここで無情にも審判の試合終了の笛が鳴り、2試合続けての引き分けに終わってしまう。結局、今日も消化不良の試合内容となり、攻撃陣は爆発できないまま終わってしまった。最後まで応援ありがとうございました。