2003 Jリーグ ディビジョン1 リーグ戦 1st Stage 第3節
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目下2勝・勝ち点6と好調の鹿島に対し、2戦連続の引き分けで勝ち点2とじれったい内容が続き、今一勢いに乗れない名古屋。今日のホーム・豊田スタジアムでの試合は、1stステージで優勝に絡んでゆくためには負けられないものだ。サポーターもその当たりを心得てか、選手が入場してくると、瑞穂での開幕戦の時以上の大声援がわき起こる。選手1人1人に対して送る声援も力強い。中でもFWの2人、ヴァスティッチ・原への声は一際大きい。彼らへの期待の大きさが伺える瞬間だ。このサポーターの声援に応えるべく、今日は大活躍を見せて欲しい。その一方で、鹿島サポーターの応援する声も半端ではない。キックオフを待たずして、早くも激しい応援合戦が繰り広げられている。しかし、そんな声援にも惑わされることなく、楢崎・大森・パナ・古賀といった守備の面々は黙々と練習メニューを消化している。彼らの表情は冷静そのものだが、心の中はきっとサポーターの声援以上に熱い気持ちで、すでに一杯のはずだ。まもなくキックオフ。今日こそ、サポータのためにホーム初勝利をプレゼントして欲しい。
前 半
赤いサポータで埋め尽くされたスタンドから聞こえる、“イヴォ”そして“主税“の声援が豊田スタジアムにこだまする。この2人の活躍が今日の一番の見どころだ。

前半は、左にエンドを取った名古屋に対し、右から攻め上がる鹿島のボールでキックオフ。
開始早々、左サイドの前線に鹿島・相馬を走らせてくる。ここは酒井が一気に走って、折り返しをきっちりとカット。
1分、鹿島・エウレルが右からドリブルで上がって、ペナルティの外からシュートを試みるが、これは正確さを欠き、左に大きく外れる。中盤で鹿島・小笠原がボールを持つと、藤本、吉村等中盤の選手が何度となく寄せて、ちょっかいをかけにゆきパスコースをカットしにゆく。彼のプレーが見違いなく驚異になってくるはず、今日はこれをどう押さえるかが重要だ。

3分、右サイドをドリブルで上がって中に切れ込もうとした藤本だったが、DFをかわして入ってゆこうとして倒されるが、ファウルはもらえず。
5分、左サイドを鹿島・相馬が抜け出してこようとするが、大森・酒井が寄せてこれをうまくカット。
6分、相手ゴール正面に右からボールが入ると、これを受けた藤本が遠目からシュート。しかし、これは慌てたのかクロスバーの上に浮かしてしまう。

7分、右のスペースに出たボールを拾った原が縦に突破をはかると、寄せてきた鹿島DFをかわして抜け出そうとしたが、ここはファウルを取られてしまう。
8分、右に開いたヴァスティッチが、中に切れ込んでゆく原に合わせようと、折り返しを試みるが、これはDFに弾かれてしまう。
9分、右サイドを抜けてきた鹿島・名良橋が滝澤をかわして入ってきて、中に折り返してくるが、これは反応した古賀がクリア。
10分、自陣からのカウンター攻撃で、中村が相手DFの裏に抜け出たボールに走り込んでゆくが、その前に鹿島DFが戻って足に当ててしまい、ボールは奪われてしまう。
12分、左サイド深くに出たボールを鹿島・小笠原が詰めてくるが、ここは大森が体を張って押さえ込み、倒されながらもこれを渡すことはなかった。ここまでは両チームともがっぷりと組んだ、固着した状態だ。
13分、藤本が原からのボールを浮かしてスペースに出すと、これに酒井が詰め、ダイレクトでシュートに。しかし、これは相手GKにキャッチされてしまう。
15分、ゴール前にこぼれたボールを拾った鹿島・エウレルが右足でシュート。これは枠をとらえたものの楢崎が右の枠の外へはじき出す。右からの鹿島のCKのボールはDFが落ち着いて大きくクリアする。予想通りというか、やはり、鹿島は左サイド・相馬を中心に最初から押し気味に仕掛けてきている。
17分、相手陣内でパスを回すが、コースが出来ないと見るや、最後、上がっていた大森がミドルシュートを放ってゆくが、これはうまくミートせず、相手GKの正面に飛んだボールは簡単に取られてしまう。
19分、自陣でパスを回していた鹿島・平瀬のボールを酒井がカットにゆきマイボールにする。前からのプレッシャーが良くできて、積極的なプレーを今日は見せてくれている。
20分、相手のパスミスを見逃さず、これを拾ったヴァスティッチが縦に出すと、これを受け藤本が上がってゆく。最後、DFの裏を狙って出したスルーパスは、僅かに原には届かず。
22分、自陣右、鹿島・青木のDFの裏への浮き球はパナが頭ではじき返す。
23分、藤本が右に抜け出してゴール前にクロスを上げてゆくと、これにゴール前のヴァスティッチが頭でシュート。しかし、僅かに角度が上になりクロスバーの上へ外れる。この時間帯にきても、試合のペースはスローダウンすることなく続き、両チームともまったく譲らず、力のこもった高い緊張感の中で試合が展開している。
25分、左に開いていた鹿島・小笠原がドリブルから中に仕掛けてくるが、パナと大森でしっかりとマークして、ボールを奪う。
26分、中村がハーフウェイライン辺りでボールを拾うと、DFの裏に大きく出してゆくが、これは誰も読みとれず。
27分、左からのCKのチャンス。藤本が早いボールを蹴ってゆくが、鹿島のGK・曽ヶ端がこれに飛び出し、名古屋のファウルを誘う。
28分、鹿島・小笠原の左からの早いクロスは中央にいたパナが頭できっちりとカット。
30分、自陣左中に入った位置での鹿島のFK。相馬が中を狙ったが、DFが簡単に弾き返す。ここへきて攻め疲れからか、中盤にスペースが出来るようになり、鹿島に拾われるケースが目立つようになり始める。ここは落ち着いて守って、失点をさけたいところだ。
31分、左サイドからの滝澤のゴール前への長いクロスは、相手GKにキャッチされてしまう。
32分、中央から右に流れながら鹿島・エウレルが打ったシュートをDFが弾くと、これに右サイドから詰めてきた選手に拾われ、フリーでシュートを打たれるが、ボールは左のポストの外へ外れる。辛うじて相手のミスに救われる形となった。
33分、相手陣内中程右寄りの位置で選手が倒され、FKを得る。滝澤が曲がるボールをゴール前に入れてゆくが、相手GKが直接キャッチしてしまう。
35分、左サイドで藤本が、鹿島・小笠原のボールをカットするが、これを再度拾われ中に折り返してくる。しかし、ここでもDFがしっかりとこれに反応し、ボールをはじき出す。
37分、右サイドに上がった大森から、中の藤本を経由して中村にパスが繋がると、左足でシュートにゆく。強烈なボールだったが、相手GK正面となり、惜しくもはじかれてしまう。
38分、ゴール前での混戦でのボールが右サイドにこぼれると、これをフリーで拾った鹿島・平瀬がゴール右隅を狙って蹴ってくるが、ここでもシュートをミス。またもや相手のミスに救われる。
39分、自陣左のスペースに出たボールを楢崎が縦に出すと、これが酒井に繋がり、さらにドリブルから上がっていって中に折り返してゆく。原が相手DFの寄せてくるのを意識しながらも体勢を崩してこれを合わせにいったが、僅かに伸ばした足には届かず、決めることが出来なかった。
41分、相手陣内右中程の位置でのFK。ゴール前に放り込んだボールは相手GKが直接キャッチ。
43分、自陣からのボールを受けたヴァスティッチが走る原に向けて縦にボールを出してゆこうとしたが、鹿島DFの出した足にボールが当たり、チャンスにすることが出来なかった。
44分、左サイドを走りながら滝澤からのボールを受けようとして原が倒され、好位置でFKを得る。藤本が早いボールを入れてゆくと、ニアでパナ、遠いサイドでは古賀が、次々に合わせようとしたが、僅かにタイミングが合わず、ボールは抜けてしまう。
ロスタイム1、右の前のスペースに出たボールに藤本が走り込み、縦に抜けようとしたところを倒されるが、ここで審判の笛が鳴ってしまい、前半終了となる。めまぐるしくサイドが入れ替わり、ゴール前での攻防も何度となくある、力のこもった良い内容の試合だ。あとは、早く先取点を挙げて試合の主導権を握ってくれれば文句なしだ。後半は大いに期待出来そうだ。
後 半
前半の内容に満足してか、サポータの声援も統率がとれ、快く響いてくる。この声が力強い後押しとなって選手を発憤させてくれるはずだ。
後半はエンド変わって右から左に攻め上がる名古屋のボールで再開。
1分、相手陣内左中程の位置でのFKを得ると、藤本が縦に出してゆく。原がこれを拾って粘りながらも滝澤に渡すと、ダイレクトにゴール前にあげてゆくが、これは相手GKにキャッチされてしまう。
2分、中村とのワンツーで抜け出し、ペナルティ内へ進入しようとしてヴァスティッチが倒されるが、ファウルは認められず、相手ボールとなってしまう。後半早々、はやくもエンジン全開という雰囲気だ。
4分、中央で浮いたボールをカットした大森が右の酒井に繋ごうと出すが、これは意志が合わずラインの外へ。
5分、右に開いた鹿島・小笠原のマイナスの折り返しはゴール前のDFが頭で弾き出す。鹿島の右からのCKは遠いサイドを狙ってくるが、ボールは精度を欠きそのままゴールラインを割る。
7分、左から上がっていった滝澤が中に入れてゆくと、これを受けた原がファウルで倒され、絶好の位置でFKを得る。ペナルティすぐ外左の位置でのこのFKの場面は、藤本が軽く右に流して、これをヴァスティッチが右足でゴールを狙って蹴ってゆくが、相手の壁に当たって弾かれてしまう。
9分、自陣右から中へのボールを拾った中村がドリブルで上がってゆくと、これを左サイドへ出してゆく。滝澤が拾ったボールを中にあげてゆくと、遠いサイドで待っていた原が合わせようとしたが、大きく伸び上がった鹿島のGKにボールをキャッチされてしまう。
12分、鹿島の自陣深く左の位置からのFK。小笠原のマイナスのボールに鹿島・大岩が頭で合わせてくるが、これは右に流れ、得点には至らず。
14分、左サイドからのボールに鹿島・平瀬がDFの裏に飛び出し、あわやゴールを決められたかと思ったが、ここはオフサイド。
16分、右に上がってきた吉村からマイナスのパスを受けたヴァスティッチだったが、シュートへゆく前に前を阻まれてしまう。何とかパスを繋ごうと粘ったものの、結局、鹿島のDFにボールを掻き出されてしまった。
17分、鹿島の右からのCK。小笠原の入れてきたボールをエウレルが右足でシュート。しかし、これはクロスバーの上に。
18分、右から鹿島・平瀬がフリーで走り込みシュートにくるが、ここはパナが倒れ込みながらもこれを止め、このピンチを救う。ここに来て鹿島のボールを持つ時間が増えはじめ、押し込まれ気味になる名古屋。ここはこれを何とか耐え忍んで、チャンスを伺いたい。
21分、右から走り込んだ中村が中に入れてゆくと、これを藤本が繋いで最後走り込んだ吉村がシュートに持っていったが、大きくふかしてしまい、ボールはクロスバーの上へ。
22分、鹿島1人目交代:平瀬→深井
23分、相手陣内右、中程の位置で酒井が倒されFKを得る。滝澤が遠いサイドに蹴ったボールは上がっていたパナが合わせようとしたが、相手GKにキャッチされてしまう。
25分、自陣からのヴァスティッチの長い縦パスに原が懸命に走ってゆくが、これは、飛び出した相手GKが先にボールに追いついてしまい相手のものに。
27分、自陣左サイド、滝澤が縦に出したボールに原が飛び出しフリーで受けるがこれはオフサイドの判定。
28分、鹿島が自陣ゴール前に仕掛けてくると、味方DFがしっかりと戻って自陣を固める。最後、鹿島・小笠原が遠くからシュートを放つが、これは大きく外れる。
29分、右サイドを上がってきた鹿島・名良橋のゴール前のボールを、楢崎が弾くものの、これがゴール前にこぼれてしまう。これに鹿島の選手が詰めるが、間一髪、味方選手がこれを先に追いついて大きくクリアし、この大ピンチを救う。息詰まる展開は未だ続いており、休む間もなくサポータの応援も続いている。
31分、相手陣内入ってすぐの位置でパスを回すと、これを縦に藤本が出してゆく。中村が受けて中に折り返してゆく。一旦は相手DFがクリアしようとするがボールが流れ、これにヴァスティッチが飛び込んで左足で合わせようとするが、体勢を崩してしまい、結局、ボールは相手のものに。
【得点】
33分、右の酒井のボールを受けた藤本が、右からDFの裏に抜け出した中村に繋ぐと、これをゴール前に折り返す。これを詰めていたヴァスティッチが頭で決め、見事待望の先制点をゲット!さあ、ここからはこれを守りきろうなどとは思わず、追加点を狙ってさらに攻め上がっていって欲しい。
35分、鹿島・小笠原のスルーパスに深井が飛び込んでくるが、ここでもDFが踏ん張り、これを押さえ込みシュートを打たせなかった。
37分、縦の長いボールを前線で受けたヴァスティッチが右足でゴール左を狙ってシュートを放つが、これは僅かにポストの外へ外れてしまう。鹿島2人目交代:青木→長谷川
38分、名古屋1人目交代:滝澤→岡山
39分、相手のパスを果敢にカットしたヴァスティッチがDFの裏へ抜けだしを狙って藤本にパスを出すが、これは僅かに長すぎて、相手GKに取られてしまう。
40分、右サイドをドリブルで仕掛けてきた鹿島・エウレルと大森が1対1でやり合うが、見事、この競り合いに勝ちボールを奪う。
41分、鹿島3人目交代:フェルナンド→本田
42分、左サイドで岡山が相手DFが寄せてきたところを抜け出そうと、ドリブルで仕掛けるが、ここは前を阻まれ、パスを繋ぐことが出来なかった。
43分、左サイドからゴール前に攻め込まれるが、楢崎が飛び出して詰めてきた鹿島の選手が触る前にキャッチする。
44分。相手陣内中央より入ってすぐの位置で吉村が倒されFKを得る。藤本が左サイドの前に出来たスペースに出してゆくと、これを拾った岡山が上がってきたヴァスティッチにパス。これを強引にシュートに持っていったが、惜しくも枠の外に。
いよいよホーム初勝利が見えだしたこの時間。残り僅かだがここをしっかり凌いで欲しい。
ロスタイム1、鹿島の左からのCK。小笠原のあげてきたボールは、楢崎が難なくキャッチ。終了の笛を待つサポータの歯ぎしりが聞こえるほどゆっくりと時間が過ぎてゆく。
ロスタイム2、左に抜けたヴァスティッチにボールがわたると、これをゴール前に折り返してゆく。これを酒井が詰めていってダイレクトで合わせるが、惜しくもこれは上げてしまい、決めることは出来なかった。そして、そしてついに試合終了の笛がスタジアムに響き渡り、サポーターの大喜びの大声援とともに試合が終了。途中、何度か押し込まれることもあったが、全員が守備に集中し、そしてあきらめることなく、攻撃を仕掛けたことが、今日の結果を生んだと思う。最後まで応援ありがとうございました。ばんざ〜い、ばんざ〜い!