2003年Jリーグ・ヤマザキナビスコカップ 予選
 4月初旬とは思えないほどの、肌を突き刺すほどの冷たい風が吹き抜ける今日の名古屋市瑞穂陸上競技場。先ほどからピッチ上でウォーミングアップを始めた両チームの選手とも、さすがに寒そうだ。
 リーグ開幕の清水戦では、自らの得点がチーム初ゴールとなり、先の浦和戦では、守備の中心として活躍するのみならず、自らドリブルで何度か攻め上がるなどの良い動きを見せ、好調なプレーを見せてくれているパナディッチ。この日の練習でも、寒さで動きのぎこちない選手たちに混じり、1人元気に練習メニューをこなしている。今日も明るいプレーでサポーターを沸かして欲しい。そして、もう1人、浦和戦では、自ら飛び出してのヘディングシュートは惜しくもポストに当たってしまうという不運に見舞われた藤本も、溌剌として練習をこなしている1人だ。彼がらボールに触れるようになってから、チームの動きが良くなり、惜しい場面を何度か演出していたが、無得点で終わってしまっただけに、今日は、サポータが楽しみにしている彼の移籍初ゴールもそろそろ見せて欲しい。まもなくキックオフ。今日こそはホーム初勝利を期待しよう
前 半
水曜日の夜と言うこともあり、いささか寂しいスタンドからの声援を受け、両チームの選手が入場。グランパスイレブンはちびっ子を両手に携えての登場だ。しかし、ピッチ上を吹き抜ける風は相変わらず冷たいが、選手たちの表情は、先ほどの練習前とはうって変わって、気合い充分な様子が伺える。これからの90分は熱のこもった応援を受け、熱い戦いを見せてくれそうだ。
試合は左にエンドをとった京都に対し、いつもとは逆に右から左に攻め上がる名古屋のボールで前半開始だ。
2分、相手のボールをカットしたヴァスティッチが前線にボールを出すと、これに原が走り出すが、これは相手GKにクリアされてしまう。グランパスは迎え風と言うこともあり、じっくりとボールを回す場面が目立っている。
4分、右に藤本から出たボールを持ち上がった中村からの早いクロスにニアで原が飛び込むが、ここは惜しくも間に合わず、タッチの差で相手GKにキャッチされてしまう。
6分、ヴァスティッチからの戻したボールに上がっていた吉村がミドルシュートをねらうが、これはうまく当たらず、相手ボールに。
7分、相手陣内すぐ右よりの位置でのFK。短く酒井が出してこれを中村がDFの裏に出そうとしたが相手選手に頭で弾かれてしまう。
8分、自陣中程右よりの位置での京都のFK。京都・鈴木が左足でゴール前に危険なボールを蹴ってくるが、これはDFがクリア。左からの京都のCKも、DF陣が落ち着いてクリアする。
11分、京都・斉藤がドリブルで抜けてくると、ワンツーでパナをかわしてさらに抜けてくるが、ここはパスが長くゴールラインを割る。
12分、藤本から左の前にできたスペースにでたボールに滝澤が上がるが、このボールは相手DFに頭でカットされる。
13分、左サイドをドリブルで抜け出した藤本が中にグラウンダーを入れると、これを原が戻し上がってきたヴァスティッチがこれをもらうと、右の空いたスペースに出していったが、これには中村が間に合わず。
14分、相手ペナルティ内でドリブルで仕掛けた原が倒されるが、これは相手ファウルは認められず、京都のボールに。
16分、左サイドを上がってくる京都・中払を倒してしまい、自陣中程左の位置でのFKとなる。京都・冨田が蹴ってくるが、ここは簡単にクリアする。
17分、藤本のDFの裏をねらったボールに中村が飛び出したが、寄せてきたDFに阻まれシュートできず。これを拾った吉村が上がろうとしたところを倒され、相手ゴール正面の位置でFKを得る。藤本が直接狙っていったが、これは壁に当ててしまう。
19分、京都・鈴木からの折り返しを右で受けた森がゴール前に放り込んでくるが、このボールは高い打点のパナの頭がきっちりはじき返す。
20分、右サイドを京都・森がドリブルで抜け出そうと走り出すが、ここは滝澤がしっかりとマークに付き、ボールを中に入れさせることはなかった。
21分、原が相手ゴール前でフリーでパスを受けると、少々距離はあったがシュートを果敢に狙ってゆくが、ボールは左ポストの外へ。パスは何度かつながり、良い形ができそうになるものの、ゴール前での京都守備陣の早い寄せに合い、決定的な場面を作ることがここまではできていない状況だ。
24分、京都の右サイドを藤本がドリブルで上がってゆくと、倒されながら滝澤に繋ごうとするが、ボールは滝澤が追いつく前に、相手DFがカットしてしまう。
26分、右からの京都の折り返しがDFに当たり、パナを越えてゴール前に落ちると、これに京都・田原が詰めるが、ダイレクトで打とうと試みたシュートは空振りに。
27分、自陣深い位置、右寄りのところでの京都のFK。ゴール前への早いクロスはDFが簡単にはじき返し、ピンチにはならず。
29分、相手陣内で原がボールを受けてドリブルで抜け出そうとしたが、京都の早い寄せに、前に行かせてもらえず。
31分、ヴァスティッチからの縦パスに抜け出した滝澤が左サイドを上がってゆくと、相手DFをかわしゴール前にクロスを入れてゆくが、惜しくも詰めていった選手には届かず。
32分、右サイドを上がってきた原がパスを藤本に繋ぐと、これを見て中村が抜け出し、これにパスを繋ごうとするが、これは相手DFに読まれ、カットされてしまう。京都の守備的な布陣にパスを回しながら攻め上がろうと名古屋も試みているものの、なかなか京都の網の目をかいくぐることができない。なんとか、これを打開するような展開を作りたいところだが、難しい状況だ。
35分、ヴァスティッチ、原とダイレクトでパスがつながると、これをヴァスティッチが再度もらって右サイドのスペースに中村を走らせるが、惜しくも中村の走り込む前に、相手GKに奪われてしまう。
37分、左サイドを京都・中払が抜けだし、ゴール前のスペースに放り込んでくる。しかし、古賀がこのボールを、体を伸ばして頭で弾き出す。一人フリーで詰めていただけに抜けていれば危ない場面だった。
39分、パナがドリブルで上がってゆくと、相手DFの足下を抜けるスルーパスを出してゆくが、これは惜しくも相手DFの出した足に当たり、味方が受けることができなかった。
40分、京都・冨田が右から早いクロスをゴール前に入れてくるが、ここはパナが競り勝ち、大きくボールをはじき出す。
41分、パナの相手DFの裏へのボールにヴァスティッチが飛び出すが、これは届かず。
42分、ヴァスティッチからの縦パスを中村がもらって、スピードに乗って抜け出そうとしたが、相手DFに体を寄せられ、倒されてしまいチャンスにはできなかった。ここで得たFKを遠い位置だったがヴァスティッチが直接狙って蹴っていったが、左ポストの左へ外れてしまう。
44分、右サイドのスペースに京都・森が上がってゆくが、ここでも滝澤がしっかりとマークについていたため、ボールは折り返されることはなかった。
ロスタイム1、自陣中程右寄りの位置での京都のFK。鈴木が早いクロスをゴール前に入れてくると、何人かが詰めてくるが、DFが頭でクリアする。
ロスタイム2、左からの京都のCK。ニアサイドへのボールはDFがしっかりとカットする。そして、ここで前半が終了。何度か良い形は作ったものの、最後のところで決定力に見放され、決めることはできず零点で折り返すこととなってしまった。
後半は追い風ということもあるので、前半以上にチャンスも出来易いはず。これを早くものにして先制したいところだ。後半に期待だ!
後 半
前半の、得点が入らず、寒く重い雰囲気に包まれいるスタンドを明るく変えてくれるような溌剌としたプレーを後半は見せて欲しい。後半はエンド変わって左から右に攻め上がる名古屋。京都のボールで試合再開。
1分、相手陣内でドリブルで上がっていって、前を見たヴァスティッチが遠目から強烈なシュートを放つ。しかし、惜しくも左ポストのわずか外に外れてしまった。
2分、右サイドを中村がヴァスティッチのパスを受けて上がっていったが、寄せてきた京都DF気をとられ、ボールを奪われてしまう。
3分、京都・田原がゴール前でこぼれたボールを押し込んでくると、これを楢崎が上に弾くが、浮いたボールを倒れたままダイレクトでキャッチし、難を逃れる。この瞬間はスタジアム中、息を飲んでしまう。
5分、右サイドを詰めていった藤本が相手のパスをカットすると、これを中村が拾ってヴァスティッチに繋ぐと、すぐにこれをゴール前に入れていく。原がこれに頭から飛び込むものの、その前に相手DFが弾いてしまう。
7分、右サイドに出たボールに中村が走り込み、折り返そうとしたところを倒され、好位置でFKを得る。早いゴール前のボールは弾かれてしまうが、こぼれ球を拾った吉村が今度はミドルシュート。これは枠をとらえるものの相手GKの好セーブに合い、決めることは出来なかった。
後半開始から良いリズムで攻撃の形が出来ている名古屋。この辺で1点欲しいところだ。
9分、藤本がDFの裏に飛び出すと、これに良いボールが出てくるがオフサイドを取られてしまう。
12分、
京都1人目交代:田原→町田
16分、前線で中村が競り合いながら戻したパスを、吉村がダイレクトで折り返してゆくが、これは誰も反応できず相手ボールに。
17分、
名古屋1人目交代:酒井→氏原(!)
監督はFWを一人増やし勝負に出た。頼むぞ、氏原!18分、左からのCKのチャンス。遠いサイドに蹴っていったボールには2人が詰めるも、わずかに届かず、そのまま反対サイドにボールは抜けてしまう。
19分、中村が好判断で相手ボールをカットして味方につなげよとするが、これは相手にカットされてしまう。
21分、
京都2人目交代:冨田→高
22分、滝澤からのパスを受けて相手の裏を狙った藤本のパスは、相手DFに拾われてしまう。
23分、自陣深く左よりペナルティすぐ外の位置での京都のFK。変わったばかりの京都・高が左足でゴール前に入れてこようとするが、ここは壁に当たり、このピンチを逃れる。
24分、楢崎のフィードが短くなり、相手選手に拾われると、右サイドに出したボールをゴール前に放り込んでくるが、今度は飛び出した楢崎がパンチングでこれをはじき出し、自ら作ったピンチを逃れる。
27分、吉村からの縦パスに相手DFと競り合いながらも体を入れ替えながらも抜け出した原だったが、シュートを放つ瞬間にファウルを受け、倒されてしまい、強いボールを決めることは出来なかった。う〜ん、残念。
29分、原が右サイドで突破をはかると、中村がこれにサポートし、もらったパスをダイレクトにゴール前にあげてゆくが、風に流され、詰めてきた選手の上に抜けてしまう。京都の守備陣から、なかなか得点を奪うことが出来ない名古屋にとっても、残り時間わずか、何とかして欲しいところ。
31分、自陣での相手シュートのこぼれ球を拾ったパナがドリブルで一気に前線へと上がると、右について上がった原にパス。これをDFをかわして右足でシュートを打つが、京都のGKに止められてしまう。
32分、右からのCK。滝澤が入れたボールはファーサイドに詰めたパナの頭の上を抜けてしまう。
34分、京都・斉藤が右サイドをドリブルで上がってくるが、ここは滝澤が詰めてボールを奪う。
35分、京都がゴール前でシュートを狙ってくると、一度はDFが弾くものの、こぼれたところを再度拾われ、京都・町田が右足でシュートを放つ。しかし、これは角度が悪く、ポストの左に抜けてゆき救われる。
37分、ヴァスティッチのDFの足下を抜くスルーパスに藤本が飛び出し、相手ペナルティ内へ進入していくと、寄せてきたDFに倒されたように見えたが、ここはシミュレーションということで逆に相手ボールに。
39分、右サイドでボールを拾った藤本が相手のDFの裏を狙った浮いたボールにヴァスティッチが飛び出し、右足で相手GKをかわしてシュートを決めるが、これは残念ながらオフサイドの判定。く、悔しい。
40分、
名古屋2人目交代:藤本→岡山
41分、右サイドで粘りを見せたヴァスティッチがファウルをもらう。滝澤が放り込んでいったボールは空いてDFがクリアし、CKに。
42分、右からのCKのボールはファーサイドでこぼれるが、押し込もうとする前にクリアされ再度CKに。左からのCKのボールはゴール前にこぼれ、岡山が左足でシュートするが、狭いエリアにあふれる選手に当たってしまい、決めることは出来なかった。
44分、右寄りの深い位置でのFKのチャンス。滝澤が遠いサイドに入れてゆくと、これに頭であわせるも、相手GKの手に当たり角度が変わってしまい、左ポストに当たって弾かれてしまう。ロスタイム1、相手陣内左より中程の位置でFKを得る。ヴァスティッチが直接狙ってゆくが、風に乗ったボールはクロスバーを越えてしまう。そして、ここで試合終了を告げる笛がなり、0−0の無得点のままこの戦いは終わりとなってしまう。後半のほとんどを支配し、追い風ということもあり、攻撃の選手の枚数を増やしてどんどん攻め込んでいっての内容だっただけに、得点できなかったことは実に残念だ。しかし、これでますますナビスコ杯の行方は分からなくなっただけに、今後が面白くなってきたことだけは確かと言える。最後まで、応援ありがとうございました。