2003年Jリーグ・ヤマザキナビスコカップ 予選第2節
 試合開始を待ち望むサポータのざわめきだけが響き渡るここ大分・ビッグアイ。この静けさのひと時だけは、何度味わっても良いものだ。そして、サポータの声援がわき起こり出し、アナウンスと共に大音響の中を両チームの選手が入場を始めると、スタジアムは歓喜の渦へと巻き込まれてゆく。
前 半
2003年度の公式戦初戦の始まりを告げるキックオフの笛が鳴り、大分のボールで前半が開始。左にエンドを取った大分に対し、右から左に攻め上がる名古屋。
いきなり左サイドから前線にボールを放り込んでくるが、ここは古賀がしっかりとカバー、相手FWを押さえ込む。
1分、ウェズレイが相手DFの裏にとびだそうとして倒されるが、これはファウルにはならず。
2分、右からのCKのチャンス。滝澤がニアに蹴っていったが、これは相手DFにクリアされる。
3分、自陣ゴール前で大分・高松がトラップで落としたボールをロドリゴが左足でシュートに。しかし、ボールは大きく浮いてクロスバーを越えてゆく。
【得点】
5分、相手ペナルティ内で藤本が粘り、相手DFが寄せてきたところでこれを中に戻すと、このボールに左から詰めた吉村がダイレクトで、右ポストに当てるシュートを左足で放つと、これが跳ね返って見事ネットを揺らし、早速、先制点を決める。
8分、大分の左からのCK。大分・ロドリゴの左足からのボールは簡単にクリア。
9分、またも大分の左からのCK。ゴール正面の位置に上げてきたが、これはDFがキッチリとクリアする。
10分、右サイドを上がった岡山がゴール前に放り込むと、これにウェズレイが頭で合わせてゆくが、相手GKが寄せてきたこともあって、ボールは大きくゴールを越えてしまう。
11分、大分・アンドラジーニャがDFの裏にスルーパスを入れてくるが、ここは吉村が読んで、このボールをカットに行く。
1点先制したこともあり、名古屋の選手は皆落ち着きを見せており、ゴール前に攻め込まれてもあわてる様子はほとんど無くここまで試合を有利に進めている。
14分、相手陣内で藤本がヴァスティッチからもらって抜けようとしたが、ここはDFの網にかかってしまう。
15分、左から放り込んできたボールに大分・高松が頭で合わせようとしてくるがパナの高い打点に先にカットされ、ボールを捕らえることはできず。
17分、岡山が倒されボールを奪われると、左サイドを上がってきた大分・高松が中に入れてくるが、このボールは楢崎が直接キャッチ。
19分、自陣にボールを持ち込むと、ペナルティエリアの外にいた大分・アンドラジーニャが左足でミドルシュートを放ってくる。しかし、このボールは、わずかに浮いてしまい、枠の外へと外れる。
21分、大分・ロドリゴが左に抜け出すが、ここは岡山がしっかりとついて、中に放り込ませることはなかった。
22分、左からの大分のCK。ニアへのボールはDFが頭で大きく出してゆく。
23分、左サイドのボールを古賀が縦に出して、滝澤を走らせるが、ボールをうまくコントロールできず、流れたボールを中村が追うものの、結局ラインの外へ。
24分、自陣中程右寄りの位置で相手選手を倒してしまい、大分にFKを与えてしまう。ロドリゴが直接狙おうと早いボールを蹴ってきたが、ここは壁の選手に当ててしまい、チャンスを潰す。
26分、相手陣内深く右から岡山が中に入れてゆくと、中で待っていたヴァスティッチが頭で反対サイドへ流す。これを拾った滝澤がDFをかわして中に入れてゆくが、これはオフサイドを取られる。
28分、相手陣内中央で中村がグラウンダー気味のシュートを蹴ってゆくと、これが左に流れ、このボールにヴァスティッチが詰めていって足で当てようとしたが、これもオフサイドを取られてしまう。
29分、大分・アンドラジーニャがドリブルで上がってくると、パナの足下を抜いたパスを出す。これにロドリゴが詰めてゆくが、大森がしっかりとこれをマーク、ボールを奪い返す。
30分、大分・寺川が、右サイドを突破。上がってきて中に折り返してくる。味方DFがクリアしようとしたボールを詰めてきた選手が体に当て押し込もうとしたが、このボールは楢崎がしっかりと正面で捕らえる。
32分、左サイドを藤本のヒールパスに抜け出した滝澤が上がっていって中に放り込むが、ヴァスティッチがもらう前に相手DFがカット。このボールを再度中村が拾うと、相手DFをかわそうとしたが、この時足が高く上がったとしてファウルになってしまう。
34分、左からのCKのチャンス。藤本がゴール前に入れてゆくが、これは残念ながらクリアされてしまう。
35分、藤本のDFの裏へのボールにはウェズレイがタイミングが合わず抜け出すことが出来ず、ボールは相手のものに。
36分、左に流れたウェズレイがボールを持つと、中に折り返してゆくが、ここは誰も詰めることが出来ず。
37分、ゴール前の大分の放り込んできたボールに混戦になるが、DF陣はここでも落ち着きを見せ、最後相手に押し込まれることなく、ボールをしっかりとクリアする。
38分、左サイドを深く上がっていった滝澤が相手DFをかわして中に入れてゆくが、待っていたウェズレイに届く前にカットされてしまう。しかし、こぼれ球に詰めた中村がコースが空いたのを見て、果敢にシュートに行くが、相手DFが足に当てて、このシュートを弾いてしまう。
40分、右サイドをボールを持った大分・アンドラジーニャが上がると、ペナルティの外からシュートに来るが、楢崎が落ち着いて正面で押さえる。早い時間帯に先制はしたものの、大分の堅い守りにあい、なかなか追加点を挙げることが出来ない名古屋。相手のカウンター狙いもあるだけに、この時間はあまり攻め急ぐ必要もないだろう。前半はこのままの折り返しで充分だ。
44分、右サイドで古賀が大分・アンドラジーニャと競り合い、倒してしまうとFKになる。この場面で左足でカーブの掛かる嫌なボールを蹴ってくるが、楢崎が飛び出してパンチングでこれを弾き出しこのピンチを凌ぐ。ロスタイム、カウンターからの攻撃で上がってゆくと右サイドに流れた中村が中央に上がってくる岡山に入れてゆくが、ボールが流れてしまい、相手にカットされ、ボールをさらわれてしまう。しかし、ここで前半が終了。まずはひと安心というところ。後半に備えて欲しい。
後 半
前半、先制した後は大分を攻めあぐねていた名古屋だったが、これで相手の出方も分かってきたはず。後半は前半以上に試合の主導権を握り、J1チームの力の差を見せつけて欲しい。エンド変わって左から右に攻め上がる名古屋のボールで再開。
開始早々、右サイドを上がるウェズレイがヴァスティッチからの縦のボールを受けると、これに岡山が詰めてパスをもらう。相手DFが寄せてきたところを裏にウェズレイを走らせようとしたが、これは意志が通じず。
2分、右サイドを大分・寺川が縦のボールに抜け出そうとするが、パナがこれを読んで、ボールを先に大きくクリア。
3分、相手陣内は行ってすぐ右寄りの位置でのFKを得る。藤本がDFとGKの間を狙おうと蹴ってゆくが、ボールは流れてしまい、そのままゴールラインを割ってしまう。
4分、大分・小森田が左から上がってDFの間に放り込んでくるが、これはパナがこれをしっかりと阻止。
5分、右サイドを大分・アンドラジーニャがドリブルで仕掛けてくると、これに古賀が挑んでゆく。競り合いからペナルティ内でアンドラジーニャが倒れるが、ここは審判がシミュレーションを見抜く。
8分、大分・ロドリゴがドリブルで長い距離を上がってくるが、ここでもパナがキッチリとマークにつき、このボールをクリアする。
9分、大分のスローインのボールを拾った小森田が直接打ってくるが、これはコントロールできず、大きく外れる。
11分、自陣からの藤本の長い縦パスにヴァスティッチがあがってゆくと、相手DFと競り合うが、ボールを前に更に運ぼうとしたところで倒してしまい、これをチャンスに出来ず。
13分、ウェズレイが藤本のDFの裏へのボールに抜け出すが、これを更に上がるヴァスティッチに出そうとしたが相手DFに止められてしまう。
14分、右からのCKのチャンス。滝澤が短く出して藤本に渡すが、これを戻そうとしたところを倒され、ボールを奪われてしまう。
16分、右サイドを大分・高松がドリブルで仕掛けてきてペナルティ内へ入り込んでくるが、DFがしっかりとついてこれを阻止。中へ放り込むことはさせず。
18分、大分の右からのCK。これを短く出してくると、寄せていった大分・寺川が中に入れてくるがパナが頭でクリアする。
19分、相手陣内深く左よりの位置で藤本が競り合いのボールを滝澤に渡すと、これをそのまま中に放り込んでいったが、ここには誰も詰めておらず、このボールを奪われてしまう。
20分、岡山が吉村と短いパス交換で抜け出し、最後、更に上がってゆく吉村にパスを出すが、これは長すぎてしまいタッチを割ってしまう。
22分、自陣左中程の位置での大分のFK。ロドリゴのニアへのボールに頭で合わせてくるが、ヘディングシュートのボールはわずかにポストの左に逸れる。しかし、一瞬、ヒヤリとさせられる場面だった。
24分、右サイドを大分・高松と古賀が競り合うと、こぼれ出たボールをアンドラジーニャに拾われ、これを遠いサイドに上がってきた寺川に当ててくる。左足のインサイドに当たったボールはそのままシュートの形になるが、幸いにも楢崎の正面に。
27分、
名古屋1人目交代:岡山→山口
28分、古賀の横へのパスが相手のインターセプトされると、これをドリブルで持ち込まれるが、トラップの流れたところを飛び出した楢崎がこれをキャッチして、ピンチを逃れる。
32分、ウェズレイが相手陣内は行ってすぐのとこれで倒されFKを得る。藤本、山口と繋いで中に入れてゆくが、ゴール前でまっていたヴァスティッチには繋がらず。流れたボールを拾った滝澤の折り返しは大きく外れてしまう。
35分、DFの裏に抜け出したボールをロドリゴがあわせてくると、飛び出した楢崎の頭を越え万事休すかと思われたが、このボールに山口が戻ってきて足で蹴り出し、このピンチを救う。
38分、
名古屋2人目交代:藤本→原
監督はヴァスティッチをやや下がり目にして、竜太を前で使うようだ。
39分、右サイドでボールをもらった原がドリブルで上がってゆこうとするが、ここは相手DFに阻まれ抜け出すことが出来ず。
41分、大分・ロドリゴが退場。大分は1人少なくなってしまう。
42分、相手DFの裏に中村が飛び出そうとしたが、相手DFに体を寄せられ、抜け出す前に倒されてしまい、チャンスには出来なかった。
43分、
大分1人目交代:小森田→瀬戸
44分、左サイドを上がったウェズレイだったが、中に折り返そうとする前に相手DF2人に寄せられ、ボールをサイドチェンジさせるのがやっと。
ロスタイム1、時間が無くなってきたせいなのか、それとも得点できない焦りなのか、はたまた1人選手が少ないせいなのか、大分のラフなプレイが目に付くようになり、何度も名古屋の選手が倒される場面が目立つようになる。
ロスタイム2、原が相手陣内でボールを持つと、ドリブルで仕掛けるが、シュートコースを阻まれてしまうと、詰めてきた中村がパスを受けて右足でシュートに行く。しかし惜しくもボールは左のポストの外に外れてしまう。そしてここで試合終了の笛が鳴り、本年度の最初の公式戦を見事勝利で飾ることが出来た。最後まで応援ありがとうございました。