2002年J1リーグ2ndステージ第9節:「浦和レッズ戦」

前半の試合の流れ

〜前半15分

 雨の降り出しそうな天気が災いしてか、肌寒ささえ感じ始めだした埼玉スタジアム。ピッチ上でも気温はほとんど上がっていないはず。しかし、そんな雰囲気と裏腹にスタジアムの端から端までを陣取っている浦和サポータが選手入場を待ちかねてか、大声援がひっきりなしに沸き起こっている。すると、そんな相手サポーターに触発されてか、名古屋サポータもいつも以上の力の入った応援を送りはじる。いい雰囲気だ。

左にエンドを取った浦和に対し、右から左に攻め上がる名古屋。キックオフは浦和のボールで始まる。

1分、早速、浦和・田中が左サイドから上がって中に待つトゥットに入れてくるが、ここはパナがしっかりとマークに着いていた。右からの浦和のCK。福田がゴール前遠いサイドにあげてくるが、これは簡単にクリア。
2分、またも浦和のCK。今度も福田が蹴ってくるが、これは大きく反対サイドに流れ、拾ったトゥットにパナがしっかりと詰め折り返させることはなかった。
4分、相手陣内左サイドでのボールをさらわれると、中央からエメルソンがドリブルで仕掛けてくる。ここはたまらずパナがファウルで止める。自陣中央でのFKは壁に当たり浦和のCKに。福田のボールは楢崎がパンチングで落としたところを大きくDFがクリア。浦和がやはり前線から積極的にボールに絡んでくる。

6分、トゥットがフリーでゴール正面に入り込もうとするが、ここは酒井がしっかりと着いてミスを誘う。
7分、右サイドをエメルソンがドリブルで仕掛けてくるが、大森がピッタリとマーク。最後後ろから寄せた、パナと二人でボールを奪う。
9分、相手ボールを自陣で奪うとパナがDFの裏にウェズレイを走らせようと長いボールを蹴ってゆくが、これは相手GKに直接行ってしまう。
10分、浦和・山田の右からのアーリークロスにトゥットが飛び込んであわせてくるが、これはパナがケアしており、転々と転がるボールは楢崎がキャッチ。

11分、右サイドでボールをもらった岡山が縦に中村を走らせるが、ここは浦和DFが堅くボールを持たせてもらえず、そのままラインの外へ。ここまでは浦和が圧倒的な支配率を見せ、スタジアムのサポータの熱い応援もあってか、高い緊張感の中での展開が続いている。
14分、相手陣内すぐで中村がこぼれ玉を拾うと、振り向きざま縦に長いボールを出すと、これにウェズレイが走るが、惜しくも間に合うことができなかった。

〜前半30分
浦和の早い攻撃にも何とか対応し、ここまでは予定通りの試合展開といえるだろう。

浅いDFラインを引いて、高い位置から積極的にボールを奪って攻撃に転じてくる浦和にここまでは押されっぱなしと言っていいだろう。
16分、中村がカウンターから右サイドからドリブルで持ち上がるも、浦和のDFの早い戻りに合い、シュートまで持ってゆくことはできなかった。
18分、左サイドをウェズレイが個人技から抜け出し、平岡にボールを渡すが、これを中にいる山口におりかえしたが相手DFにカットされてしまった。
20分、右からのCKのチャンス。平岡がファーサイドのパナに蹴ってゆくが相手DFに頭でクリアされてしまう。
21分、平岡から中の中村に、さらに山口につないで展開をしてゆこうとしたが、山口へのボールを走ってきたトゥットにカットされてしまう。

23分、中村の左サイドからのボールを左に開いて受けたヴァスティッチが中に寄せてくる岡山にパス。これをドリブルから左足でペナルティの外からシュートを試みるが、浦和の守備に前を阻まれ弾かれてしまう。

24分、自陣左サイドをボールを持ったエメルソンがすごいスピードのドリブルで上がってくると、パナが体を張って大森とでDFにあたり、これをCKに。左からの浦和のCKは精度が悪く誰もいない反対サイドに大きく流れる。
26分、右サイドでウェズレイがボールを持つが浦和の密着マークに合い思うようにドリブルできずボールを前に出すのが精一杯。しかしこのボールは相手に渡ってしまう。
27分、浦和・田中がドリブルで中に切れ込んでくると、2外人に振られたDF陣の間を狙ってシュートを蹴ってくる。しかし、これは楢崎の正面だった。
29分、左サイドを抜けた平岡が中に早いボールを入れるとウェズレイがボールに飛び込んでくるが、浦和のDFに前を阻まれシュートしたボールは大きくゴールをはずれてしまう。

〜前半終了
30分、相手陣内での競り合いのボールを拾った山口が縦にけり出すと、これに中村が飛び出そうとしたが、ウェズレイが残ってておりオフサイドになる。
32分、自陣中程左寄りの位置での浦和のFK。福田が横に軽く流したボールをエメルソンがグラウンダーのシュートを蹴ってくる。しかし、ここも落ち着いて楢崎がキャッチする。
34分、自陣右での浦和のボールをカットした酒井が縦にパス。これを受けた平岡がオーバーラップして上がってゆく酒井に出そうとしたが、浦和の早い守備に合い、ボールを止められてしまい、酒井に渡すことができなかった。
36分、自陣で相手ボールを拾った岡山が縦に出すと、これをウェズレイがトラップして上がってくる平岡に渡すと、さらに平岡が中に走ってくる中村に合わせて入れてゆく。しかし、中村の足に届く前に浦和のDFに足で弾かれてしまう。
37分、右からのCKのチャンス。ニアに平岡が蹴ってゆくが、詰めていた中村・山口・パナがシュートを試みようとするが、こぼれ玉のボールをトゥットにさらわれしまい、押し込むことはできなかった。両チームともDF陣が高い集中力を見せており、なかなか得点まで結びつけることができない状況が続いており、緊迫した良い内容のゲームが展開している。
41分、自陣中程ペナルティすぐ外やや右の位置で大森がファウルを取られ、浦和にFKを危険な位置与えてしまう。トゥットがこれを直接狙ってくるが、DFがこれはクリアに逃れる。
42分、浦和の左からのCK。ファーサイドに蹴ってきたボールに詰められるが、これは相手がシュートできずそのまま流れる。
43分、右サイドに開いた岡山が中からのボールをゴール前にワンタッチで放り込んでゆくと、これにヴァスティッチが頭で合わせようとしたが、浦和のDFの頭に先に弾かれてしまう。
44分、右サイドをドリブルで上がっていったウェズレイが右足でシュートに。しかし、グラウンダー気味のこのボールは、わずかにポストの左にはずれてしまう。
ロスタイム1、自陣深くでの浦和のスローイン。ニアに長いボールを放り込んできたが、パナが頭でこれを弾き出す。そして、ここで前半が終了。両チームとも守備もしっかりとして、終始息詰まる展開が続き、高い緊張感を生んでいる。名古屋も少ないながらも何度か得点機を見せ、がっぷりと四つに組んだ好ゲームといえる。後半は何とか先に得点が欲しいところだ。1点を争う今日の試合では、先制点を決めたチームが間違いなく勝利を手繰り寄せるはず。後半も目が離せそうにない。

後半の試合の流れ

〜後半15分

エンド変わって左から右に攻め上がる名古屋のボールで後半が開始。

開始早々、左サイドをするすると上がった平岡にボールがつながると、これを頭で中に入れてゆくが、ここは誰も詰めてきている選手が無く、相手に渡ってしまう。
1分、右から中村が中に折り返してゆくが、反応した浦和DFが足に当てこれを弾いてしまう。こぼれ玉をウェズレイが詰めていったが、相手GKがパンチングでクリアしてしまう。
4分、自陣深くでの浦和の左からのスローインのボールを拾ったトゥットが、中に詰めてきた田中につなぐと、これをシュートしてくるが、ボールは楢崎がしっかりとキャッチ。
5分、左サイドからエメルソンが中にボールを持って仕掛けてくるが、大森・古賀・パナがしっかりと連携してこれを阻む。
7分、右に開いた浦和・山田のゴール前の早いクロスにエメルソンが飛び込んでくるが、ここはタイミングが合わず救われる。
8分、ウェズレイが縦のパスに抜け出し、一度平岡に戻すと、これを中に放り込んでゆく。浦和のDFに阻まれながらも、これを拾ったヴァスティッチが再度折り返そうとしたが、クリアされてしまう。
9分、左からのCKは飛び出したGKに直接キャッチされてしまう。
11分、右サイドで粘った岡山がゴール前に折り返してゆくと、待っていたウェズレイが頭でこれをシュートするも、体勢が悪い形でのボールのため、簡単に相手GKにキャッチされてしまう。相変わらず浦和の主導権で試合は進んでいるが、DFがしっかりと攻撃を押さえており、ここまでは問題ないといえる。

〜後半30分
15分、浦和の右からのCK。福田が放り込んできたボールは簡単にクリアする。
16分、自陣で相手ボールを奪うと、右サイドの前線のスペースに長いボールを出す。これに中村が走っていったが、飛び出したGKに奪われてしまう。
17分、浦和・福田右サイドからドリブルで上がってくると、ペナルティの外から右足でシュート。楢崎の指先を抜けるも、シュートのボールは左ポストのわずか外を抜けてゆく。
18分、左サイドから浦和・トゥットが中に早いボールを入れると、これにエメルソンがもらいに入ってくるが、パナがこれを読み、ボールをカットする。
【得点】20分、相手ペナルティすぐ外左よりの位置でボールを受けたウェズレイが、中にドリブルで流れながらも相手DFを次々とかわし、最後、右足で強烈なシュートを放つと、これが見事決まり待望の先制点を奪う。やったぞ、ピチブ〜!
23分、大森が自陣でエメルソンへのボールを呼んでカット。これを縦につなぐと、岡山がさらに縦に走るウェズレイへと出してゆく。ドリブルから相手DFをかわして中に行こうとしが、前を塞がれてしまい、ペナルティ内までは攻め込むことができなかった。
25分、名古屋1人目交代:平岡→滝澤
26分、右サイドに流れたボールを拾ったエメルソンがラインぎりぎりからゴール前に折り返してくるが、これは楢崎がキャッチ。
27分、浦和・平川が左サイドをドリブルで果敢に攻め上がってくるが、岡山がスライディングでこれを阻止。
28分、左サイドからトゥットが持ち込むと、中に短いクロスを入れてくるが、合わせようとした福田の前をボールは通過する。この時間帯でも浦和の圧倒的な押し込みが続いているが、先制したことで気持ちの緩みは無いようで各選手とも緊張感は維持できているようだ。
〜後半終了
31分、自陣深く左、ペナルティすぐ外という位置で、トゥットを倒し浦和にFKを与えてしまう。
32分、エメルソンが左に曲がるボールをゴール右隅を狙って蹴ってきたが、これは抑えが効かず大きくクロスバーを越えてゆく。
33分、中村がウェズレイからのスルーパスに抜け出すと、相手GKの飛び出すタイミングを待って、左足でシュートを放つが、戻ってきたDFの足に当たってしまい、威力が弱まったボールはGKにキャッチされてしまう。
【失点】 35分、自陣ゴール前での浦和のシュートをこぼれ玉に詰めた浦和・福田に右足で同点のゴールを決められてしまう。これで試合はまた振り出しに。
37分、自陣からのカウンターのボールをもらったウェズレイが、ドリブルで一気に相手ペナルティに進入したところでDFに倒されてしまうが、審判はこれを認めず。チャンスを作ることはできなかった。
38分、自陣中央ペナルティの外でドリブルしてきたトゥットが右足でそのままシュートに。しかし、これは右のポストの外にはずれる。
39分、右サイドを粘って上がった中村からの折り返しを受けたウェズレイが、DFをかわして右足でシュートを打つが、惜しくも相手GKの手に弾かれてしまい決めることはできなかった。
41分、名古屋2人目交代:山口→原。自陣左よりの位置での浦和のFK。横に流したボールを浦和・鈴木が左足でロングシュート。しかし、これは大きくゴールを越えていってしまう。ジリジリと時間だけが経ってゆくが、両チームともDF陣は相変わらず高い集中しており、得点は入りそうにない状況が続いている。
44分、原が相手陣内でボールを受けると、粘ってこれをCKに。滝澤が上がっていたファーサイドの古賀の頭に合わせて蹴っていったが、相手DFにクリアされてしまう。
ロスタイム1、ウェズレイが縦のボールを受けると、頭で原に流す。これを胸で受けて縦に抜け出してゆくと、遠目からシュートを放つが、惜しくもクロスバーの上に行ってしまう。そして、ここで2分のロスタイムを経て後半も終了。どちらも一歩も譲らず、といった状況だ。延長もますます目が離せそうにない。

延長の試合の流れ

〜試合終了
先制したものの、浦和の激しい攻撃に合い、同点とされてしまった名古屋だったが、最後まで集中力を途絶えさせることなく、攻撃を凌ぎきることができた。延長もこれを維持できれば何とかできるはずだ。

エンド変わって右から左への攻め上がりとなる名古屋。延長の前半は浦和のボールで始まる。

開始早々、浦和・田中が右から上がって中に折り返してくるが、ここはDFが集中してこれを止める。しかし、こぼれ玉を浦和・トゥットに拾われるが、ボールはそのままゴールラインを割る。
【失点】1分、ゴール前のスペースに縦に出たボールを大森が足に当て弾いたが、浦和・エメルソンに詰められ、これを左足で決められてしまう。そして、あっけなく幕が閉じてしまった。延長始まってすぐの時間帯という、気持ちの整わない、集中力がとぎれた瞬間にまたしてもやられてしまう。DF陣も高い集中力で浦和の攻撃を押さえ込んでいただけに、実に残念な結果になってしまった。最後まで応援有り難うございました。