2002年J1リーグ1stステージ第13節:「ベガルタ仙台戦」

前半の試合の流れ

〜前半15分

キックオフ5分前、選手が入場する直前のざわめきだけが聞こえる満員の仙台スタジアムの中で、突然、僅かに陣取ったグランパスサポーターからの声援の声に思わずホッとしてしまう。しかし、まもなくスタンドからはベガルタサポーターの入場前の声援がグランパスサポーターの声を掻き消してしまった。そんな中、両チームイレブンが入場。拍手と声援と沸き送るフラッシュに、今日の試合へ高まりを一緒に感じてしまう。

右にエンドを取ったグランパスのキックオフで試合が始まる。早速滝澤が左サイドを抜け出そうとしたが、詰めたDFに前を阻まれてしまった。
1分、右に流れた仙台・山下から中にボールが出るが、これは大森がコースを読んでカットする。前線に上がってきた選手を古賀やパナが阻むだけで凄い声が沸き起こる。
3分、左の滝澤から縦にボールが出ると、これをウェズレイが受けて中に切れ込みながら、強引にシュートまで行くが、これは前を阻まれボールを弾かれてしまった。
5分、左サイドを上がったウェズレイがドリブルで一気に上がってペナルティエリアまで入っていくが、仙台のDFのスライディングにボールを奪われてしまう。開始から両チームとも前線にボールをドンドン入れてきて、FWを走らせているが、どちらもDFがしっかりこれをケアしている状態だ。

9分、自陣左サイドやや深い位置で仙台にファウルを与えてしまう。岩本というFKのスペシャリストがいるだけにやな場面だ。スタジアムにも興奮と期待が沸き送る。
しかし、ファイサイドに蹴ってきたボールは詰めていた仙台・リカルドの頭の上を越えてゆき、グランパスは何をのがれる。
12分、仙台の左からのCK。左の岩本がニアに早いボールを入れてくるが、これはパナがクリア。続いての右からの仙台のCK。ここでも早いボールを岩本が入れてきたが、DFがしっかりとこれを弾き出す。
14分、右から岡山のゴール前のボールは、中で待っていたヴァスティッチが頭で折り返すが、中村がこれに詰めてゆく前に、相手DFがクリアしてしまった。

〜前半30分
すさまじいばかりの仙台サポーターの声に圧倒されてか、グランパスはここまではプレーに精彩が伺えない。
17分、自陣中程ゴールやや右よりの位置での仙台のFK。ここでも仙台・岩本がゴールを狙って蹴ってくるが、これは壁に当たってCKに。左からの仙台のCKは、楢崎がパンチングで弾き出す。
19分、ゴールラインぎりぎりまで滝澤が持ち上がって折り返すが、右に大きく流れてしまったボールを岡山が右足で直接蹴るが、これは精度が悪く、左のポストの外へと行ってしまう。
20分、右サイドで滝澤が、仙台・財前にボールを奪われると、これをDFの裏に通されそうになるが、ここはパナがしっかり反応してこれをカット。
21分、右にポジションチェンジした仙台・岩本にボールが通りヒヤリとさせられるが、これは相手のミスでマイボールに。
23分、酒井が相手陣内やや遠い位置だったが、ボールを持つとそのままミドルシュートに。しかし、これは相手GKの正面だった。
24分、自陣ペナルティすぐ外の位置でのボールの奪い合いから、最後仙台・山下が倒れ込みながらも強引にシュートをうってくるがポストの右に外れる。
【得点】25分、右の岡山からの浮き球をヴァスティッチがダイレクトで相手DFの頭越しにボールを中に入れると、これを詰めていったウェズレイが冷静に右足で押し込み先制する。さい先の良い、仙台の出鼻をくじく、良い時間帯の得点といえる。
27分、左からのグランパスのCK。ファーの古賀が頭で押し込もうとしたがボールは右のポストの外に。落ち着きの見えだした時間帯でのグランパスの先制。これで試合の流れは一気に引き寄せられるだろう。
29分、仙台・森が滝澤へのラフプレーでレッドカードが出てしまい、一発退場に。仙台スタジアムは,騒然となり、不穏な雰囲気に包まれ出す。
〜前半終了

32分、仙台1人目交代:光岡→片野坂
一人少ない仙台・清水監督は、ここでFWを一人下げて、DFの選手を入れてきた。

【得点】33分、そんな雰囲気の中でヴァスティッチが右サイドから相手GKの前のいやな位置に出したボールに、またしてもウェズレイが飛び込み、見事これを押し込む。仙台サポーターには申し訳ないが、何とかしようとしていた気持ちを萎えさせる最高の得点といえるだろう。

【得点】35分、そして、仙台の悲劇は続く。中から右に流れながらゴール前に折り返したボールに、もはや好きなようにやらせて貰っているウェズレイが頭でこれを押し込み、早くもハットトリックとなる3点目を前半で決めてしまう。凄い、凄い、ウェズレイ!まさに夏男だ!!
38分、仙台・岩本がドリブルで果敢に上がってくると、遠目からシュートを打つがこれは制度が無く、ゴール右に大きくはずれる。
40分、右サイドを仙台・財前がドリブルで上がろうとしたが、戻っていた滝澤がこれをしっかり押さえ込み、ボールを弾き出す。
41分、変わって入った仙台・片野坂が右から上がっていって折り返してくるが、これは大きく流れてしまい味方DFがこれを奪い返す。
42分、相手陣内中程ゴール正面の位置でのFK。ウェズレイが直接狙っていったが、これは惜しくもクロスバーを超えていってしまった。
43分、中でボールを持った滝澤が右サイドを駆け上がる岡山に大きくサイドチェンジ。これをワントラップから前に前に抜け出しゴールライン際から折り返そうとしたが、ボールは先にラインを割ってしまう。
44分、滝澤が仙台・財前にボールを奪われると、これをDFの裏に出してくると、山下がこれを左に流れながらもシュートを狙ってくるが、飛び出した楢崎がボールを指に当てこれを阻止する。
ロスタイム1、相手DFの裏に抜け出したウェズレイがGKと1対1になると、GKの足下を狙ってシュートを打ってゆくが、ボールは左のポストの僅かに左に行ってしまった。もったいないぞ、ウェズレイ!そして、試合は前半がここで終了。まさかの仙台の退場で、一方的な内容の試合となってしまったが、ここはアウェイの地。強烈
な仙台サポーターの後押しが何時効いてくるか分からないだけに、このあとも果敢に攻めて欲しい。

後半の試合の流れ

〜後半15分
3点ビハインドの上、一人少なくなって、厳しい状況の仙台に対し、“夏男”ウェズレイの大爆発で、最高の内容で前半を折り返すことができた我らが名古屋グランパスエイト。DF陣もしっかり機能して安定してきているだけに、後半も、全く問題なしといえる。しかし、ここは熱狂的サポーターの強い後押しがある仙台スタジア
ム。ベガルタは挫けることなく最後まで攻め続けてくるはず。けっして油断はして欲しくない。最後まで力の差を見せつけた試合を期待したい。

エンド変わって左から右に攻め上がるグランパス。じっくりと最後尾でボールを回しながら仙台の様子を見るDF陣に激しいブーイングが。
2分、相手陣内右の位置で岡山が倒されFKに。中村が一度前の岡山に出すが、これをまたDFに戻すと、またしてもスタジアム内はブーイングに包まれる。
3分、今度は相手陣内左中程でヴァスティッチが、じれたベガルタの選手にファウルで倒されてしまう。相手は一人少なく早く攻撃に移りたいだけに、ラフなプレーが目立ちだしている。ここは怪我に気をつけてプレーしたい。
6分、酒井がペナルティすぐ外の位置からミドルシュートに。これを相手GKが弾きCKに。
7分、右からのCK。上がってきたパナが頭でたたきつけるシュートを決めたかと思われたが、ボールは左のポストの僅かに外に外れてしまった。
9分、右からのCK。滝澤がゴール前に上げていったが、これは相手GKがパンチングで弾き出してしまった。

10分、右サイドを仙台・片野坂が攻め上がろうとしてきたが、古賀と滝澤が連携してこれを阻止する。
11分、自陣左中程の位置での仙台のFK。岩本がゴール前に放り込んでくるがこれはクリアする。
【失点】12分、自陣ペナルティ内へのボールに詰めた仙台・岩本と大森が接触。これを審判はPKと見なしてしまう。そしてこの場面を仙台・岩本が自ら蹴りに行き、ゴール右隅に落ち着いて決め、1点を返されてしまう。しばらく静かだった仙台スタジアムには、再び大声援がわき起こりだしてしまう。ここは何とか気持ちを落ちつかせ、さらなる反撃を凌ぎたい。
〜後半30分
1点を取り返し、息を吹き返したベガルタ。ここで何とか追加点を先に取り、仙台の息の根を止めたいところだ。
16分、仙台2人目交代:財前→村上。仙台の右からのCK。岩本がゴールを直接狙って蹴ってきたが、このボールは楢崎が落ち着いてキャッチする。
18分、最後尾のパナからの長い縦パスは中村が取りに行くが、オフサイドに。一人少ないとは思えない気迫の仙台の攻撃が続く。
19分、右から仙台・片野坂が早いクロスを折り返してくると、ゴール正面から山下が競り合いから飛び込もうとするが、ここはパナ・大森がしっかりこれを阻む。
22分、相手陣内中程で中村が倒され、好位置でのFKを得る。ゴールやや左よりの位置でウェズレイが直接ゴールを狙って蹴っていったが、相手の壁に弾かれてしまった。
23分、相手陣内でのこぼれ球を拾ったヴァスティッチがこれをゴール前のスペースにウェズレイを走らせようとスルー気味なボールを入れてゆくが、ここは相手DFにはカットされてしまった。
25分、左サイドを飛び出した仙台・岩本がボールを受けると、ドリブルで一気に上がってくる、これに岡山が果敢に競り合いに行き相手のボールを折り返させることなくゴールキックにさせる。
【得点】26分、ウェズレイがゴール前に出たボールに飛び出すと、相手DF2人に寄せられながらも、GKの動きをしっかりと見ながら右足で冷静にこのボールをけり込み、この日4点目となる得点をたたき出す。もはや、この男を誰も今日は止めることができないだろう。
28分、ヴァスティッチから右の中村にボールが出ると、上がっていってゴール前のウェズレイをおとりに後ろから来た酒井にマイナスにボールを出す。しかし、これをシュートに行った酒井のボールはクロスバーの遙か彼方上に行ってしまう。
〜試合終了
30分、仙台の自陣左深い位置でのFK。岩本がゴール前に曲がるボールを入れてくるが、果敢に飛び出した楢崎がこれをパンチングで弾き出す。
32分、名古屋1人目交代:ヴァスティッチ→原
34分、相手陣内深くでの位置でウェズレイが右の岡山にはたくと、これをもう一度戻そうとしたが、コースを読まれボールを奪われてしまった。
35分、名古屋2人目交代:滝澤→平岡
36分、右から岡山がウェズレイに当ててDFの裏に飛び出してゆくが、ウェズレイのヒールで流したボールは相手DFに当たってしまう。この時間帯になっても最後まで運動量の落ちない仙台は、一人少ないとは思えないようなプレーで果敢にボールを奪いに来ている。しかし、グランパスイレブンも3点差の余裕からか、落ち着いており、簡単にボールを奪われるような真似は犯さない。

39分:仙台3人目交代:森保→千葉
40分、山口からの縦に出たボールにウェズレイが相手DF3人に囲まれても、力強い動きで抜け出そうとするが、ボールを相手DFに弾き出され、前に抜け出すことができなかった。

41分、名古屋3人目交代:山口素→山口慶
42分、右から岡山がゴール前に詰めている原に放り込むと、これを頭で前のスペースに落とすが、ここには誰も詰めておらず、相手ボールになってしまった。
44分、仙台が自陣ゴール前で果敢に攻め上がり、再三DFの裏に抜け出そうとするが、大森・パナ・古賀が果敢にこれを阻止し、チャンスを作らせない。
ロスタイム1、相手DFの裏に抜けたボールに原が詰めようとしたが、これは飛び出した仙台のGKに奪われてしまった。
ロスタイム2、仙台・羽田が左サイドを上がって折り返そうとするがこれは大森がカット。
ロスタイム3、仙台の左からのCK。ゴール前に放り込んでくるも、もはや飛び込む力尽きたのか、仙台の選手は誰も詰めず、簡単にこれをクリアする。そして、試合終了の笛が鳴り、グランパスは見事、4連勝を飾ることができた。
今日はウェズレイの一人舞台といって良いだろう。しかし、そのウェズレイの活躍を演出したヴァスティッチの存在は大きい。そして、DF陣の安定が今日の試合の勝利を呼び込んだといえる。最後まで応援ありがとうございました。