□第10日目
・午前練習
この日の指宿は、青空よりも雲の占める割合が多い、はっきりとしない天候。午前練習は、強い風がピッチの上を吹き抜ける中で行われた。
ピッチの中で、丸く敷き詰められたマットの上に座った選手達は2人一組になって腹筋と5kgのメディスンボールを使ったフィジカルメニューをこなしてゆく。
この日は、キャンプ最後の練習試合が午後3時からおこなわれることもあって、気持ちを高めているのか、選手の表情はやや堅い。
円陣に拡がって腿を振り上げたり、細かなステップを踏むなどして、アップをきっちりと終えた選手達は、3グループに分かれてこの日のトレーニングメニューへと移る。
練習試合で先発が予想されるグループは、ハーフコートでストイコビッチ監督からの指示の下、CKやFK等セットプレーを何パターンか繰り返した。
そして最後は、4-4-2のポジションに分けてボールをゆっくりと回しながらポジショニングの確認をすると、監督は満足げな表情を見せ、早々に選手達を引き上げさせた。その他の選手達は10人と7人に分けられ、7対3でのボール回しや、パス交換とシュート練習を繰り返すが、やはり午後の練習試合でのプレーを考慮して、先に上がった選手達同様、11時前には練習を終えてグランドを後にした。
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・午後練習
強い風がピッチを吹き抜ける肌寒い天候の中、JFLのニューウェーブ北九州との練習試合が午後3時から行われた。
前半は、風下を取った名古屋に対し、右エンドの北九州のボールから試合開始となる。この日の先発メンバーは、GK西村、DF青山・バヤリッツァ・三木・阿部、MF中村・小川・吉村・マギヌン、FWヨンセン・玉田の11人。4-4-2の布陣で臨んだ。
開始4分、右サイドを上がった青山が後ろに戻したボールを小川がクロスを上げる。これに飛び込んだ玉田のシュートは相手GKに阻まれてしまうが、こぼれ球に反応したヨンセンが落ち着いてこれを蹴り込んで、1-0とする。
しかし、10分、右サイドを北九州(10)に突破を許すと、マイナスに折り返したボールをゴール前にフリーで入り込んだ北九州(14)に蹴りこまれて同点にされてしまう。
序盤の先制点で勢いに乗ろうとした名古屋だったが、相手の積極的な攻め上がりに押し込まれてしまう。しかし、FWヨンセンへ供給するロングボールの精度が上がると共にチームも勢いに乗り始め、次第に名古屋が試合の主導権を握るようになる。
25分、左に上がったマギヌンのマイナスのパスを、中央で受けたヨンセンが右サイドからペナルティエリアに入ってきた中村につなぐ。そして中村は、DFを上手くかわしてGKと1対1になり、このチャンスをきっちりと決めて2-1と勝ち越しゴールをあげる。この後は、名古屋が試合のペースを握って北九州を押し込む。
40分、右の小川からのサイドチェンジを上がってきたマギヌンが頭で折り返したところを玉田が頭から飛び込んでゴール。トータル3-1として、2点差で前半を折り返した。
エンド入れ替わり、後半は向かい風の名古屋のボールから試合が再開する。名古屋のメンバーはGK広野、DFは竹内・米山・吉田・渡邊、MFは深井・山口・藤田・井上、FWは巻・杉本の2人。「出来るだけ色々な選手を試したい」と監督が語った通り、後半は全選手を入れ替えて試合に臨んだ。
2点リードのアドバンテージを活かして、自分達のペースで試合を運びたい名古屋だったが、5分、藤田が相手選手との交錯で福島選手に交代を余儀なくされると、名古屋のリズムが悪くなり、北九州に試合のペースを握られてしまう。13分、メンバー交代:渡邊→片山。
しかし、嫌な流れを押し返そうと、名古屋はFWの巻・杉本へとボールを集めて、速いテンポで両サイドを上手く使いながら北九州を攻めたてる。しかし、なかなかゴールには結びつかない。20分、メンバー交代:杉本→新川。
後半の立ち上がりからアグレッシブなプレーを見せる北九州のパワーに押されたのか、名古屋が全体的にラインを下げるようになる。そのため、北九州のペースで試合を進められてしまうが、名古屋の4バックが上手く機能し、ゴールを割らせることなく試合を運ぶ。
そして33分。交代でピッチに入ってから、北九州の裏のスペースを狙っていた新川がドリブルでペナルティエリアへと進入したところで倒されてPKを得る。これを井上が落ち着いて沈めて、4-1として北九州を突き放す。34分、メンバー交代:深井→津田。
終盤、北九州に押し込まれる場面が目立ったが、最終ラインに入った米山・吉田が、気合い充分の守備を見せて相手の攻撃をことごとく跳ね返して失点を許さない。そして試合は、4-1のまま名古屋が逃げ切り、キャンプ最後の練習試合をきっちり勝利で終えた。
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