ドラガン・ストイコビッチ氏、記者会見の模様
 11月27日(火)、ドラガン・ストイコビッチ氏と来季の監督就任の仮契約を結びトヨタスポーツセンターにて記者会見が行われましたので、その模様をお伝えします。
ストイコビッチ氏 プロフィール
氏名 ドラガン・ストイコビッチ
国籍 セルビア共和国
生年月日 1965年3月3日 (42歳)
-記者会見の模様(全文)-
Q:本日、名古屋グランパスエイトと仮契約を結ばれたそうですが、今の率直な感想をお聞かせください。
まず最初に「こんにちは」と、みなさんに言いたいと思います。このように多くの記者の方々に囲まれる状況で再び名古屋に来ることができて、大変嬉しく思います。私は今日、名古屋グランパスエイトの監督として仮契約を結ぶことができました。いつかこの瞬間が来ると思っていたのですが、それがまさに今日だったのだと実感しています。私とグランパスエイトの間には特別な関係があります。そして、グランパスエイトはいつも私の心の中にある存在でした。ですから、このクラブの監督に就任する事ができて本当に嬉しく思います。

Q:現在のグランパスエイトについてのイメージをお聞かせください。
これまでにもDVDなどで、グランパスの試合を数多く見てきました。また、先週は実際に瑞穂で横浜FCとの試合も観戦しました。現在グランパスのリーグでの順位は良いものではありません。だからこそ私がここへ来て、監督になろうと思いました。これからグランパスを良くしていきたいと思います。

Q:今のグランパスに、何が足りないとお考えでしょうか?
私の役割はグランパスを強くする事なのですが、そのためにはいくつかの点が必要だと思われます。例えばファイティングスピリット、負けずに戦うという気持ちを持つ事が重要です。そして、必ず勝つというモチベーションを持って試合に臨むことも重要です。その気持ちを選手達に持たせる事が、私の義務だと思っています。それに加えて技術や戦術での問題も出てくると思いますが、その問題はサッカーでは常に起こる事です。
また、今のグランパスにある良い点をさらに強化し、よいチーム作りをしたいとも思っています。グランパスはそれができるチームだと信じています。強く、魅力的なサッカーをするチームにしたいと思います。そしてグランパスに新しい空気を吹き込みたいと思います。スタジアムに来るサポーターが試合前にも、そして試合後にも微笑んでいられるようなチームにしたいと思います。チームについては、攻撃的で魅力的な色々なスタイルを頭の中に描いています。試合が始まってからずっと攻撃を仕掛けられるようなチームにしたいと思います。

Q:そのサッカーを実現させるため、どのような強化方法をお考えなのでしょうか?
強化方法についても色々と考えていますが、これはチームスタッフと進める事になります。特に準備期間が重要だと思います。選手は、その期間で肉体的にも精神的にも準備をしなければなりません。その後、技術や戦術面での強化も必要となってきます。とにかくチームがやる気を持って、負けないという強い気持ちを持って戦えるような雰囲気を作りたいと思っています。

Q:具体的に選手の補強等はお考えなのでしょうか?
その点については心配ありません。すでに頭の中には候補がありますし、これからも考えたいと思っています。期待していただいても構いません。また、自分の中では「ネバーギブアップ」の気持ちを持って戦えるコーチもリストアップしています。そして選手の1人1人も、その気持ちを持って戦ってもらいたいと思います。自分が着ているジャージ、ユニフォームに懸けてチームのために戦う、選手がそのような気持ちを持って戦ってくれる事を願っています。

Q:これまでグランパスにリーグ戦での優勝経験はありませんが、来シーズンの目標をお聞かせください。
この場で大きな約束はできませんが、サポーターには期待してもらって構いません。ビッグファイト、見応えのある試合を見せ1試合1試合を大切に戦いたいと思います。そしてグランパスが結果的に勝つことができるかどうか、それは今後を見て欲しいと思います。チームは良いものを持っていますが、それが今後どうなるのか見守って欲しいと思います。

Q:今後のスケジュールを教えてください。
今後の詳細についてはクラブのスタッフと現在調整中ですし、細かな日程はまだ申し上げられませんが、心配なくお持ちくださいと伝えたいと思います。チームへの合流は1月の下旬になりますが、具体的に日程については、またお伝えしたいと思います。

Q:コーチングスタッフについて1人、決めていると話されましたが、それは誰なのでしょうか?
スタッフの名前については今ここで話す事はできませんが、心配はありません。そしてそれは1人に絞ったわけではなく、複数人の候補が現在、私の頭の中にあります。今回名前は言えませんが、もうしばらくすると皆さんに具体的なスタッフ名を告げられると思いますので、それまでお待ちください。

Q:選手の補強についての話がありましたが、それはどのくらいの規模での補強となるのでしょうか?
何人の選手を入れたいかという事を話すくらいなら具体的な選手名も挙げたいと思います。しかし今は申し上げることができません。もうしばらく待っていただければ、みなさんに正確な情報が届くかと思います。

Q:攻撃的なサッカーをしたいと話されました。そしてその攻撃的なサッカーでもパスを繋ぐサッカーや個人で仕掛けるサッカーなどいろいろありますが、具体的にはどうお考えなのでしょうか?
サッカーのスタイルとしては、組織的なサッカーを考えています。もちろん1人や2人の素晴らしい選手がいる事も重要ですが、それはチームの一員に過ぎないと思っています。あくまでもチーム全体の組織で戦いたいと思います。

Q:ストイコビッチ氏自身、これまでイビチャ・オシム氏やアーセン・ベンゲル氏など非常に優れた指導者の下でプレーされてきましたが、その経験から学んだ事はあるのでしょうか?
もちろん、オシム監督やベンゲル監督の下でプレーした事は大変重要な経験だと思っています。しかし、選手を引退してからもサッカーについては常に勉強しています。そして、彼らからアドバイスや指示を受けられる事は私にとって非常に大きな財産です。彼らとの面識があり、サッカーについて話せる事も私にとって大きな財産です。しかし、彼らのような偉大な監督をそのまま真似しようとは思いません。私は私のスタイルで、ドラガン・ストイコビッチスタイルのサッカーをしたいと思います。しかしながら、結果的に彼らと似たものになるかもしれません。

Q:ストイコビッチ氏が来る事で名古屋にもたらす成功とは、どのような規模のものになるとお考えでしょうか?
まず最初に、グランパスサポーターと私は特別な関係で結ばれています。ファンの方は私を愛してくれていますし、私も同様にファンを愛しています。選手として7年間培ってきたものがありますが、今回、別のポジションでここへ戻ってくる事となりました。私の第2の故郷である名古屋へ監督として戻ってくる事ができました。その事で、またファンも増えるのではないかと思っています。そしてそのファンの皆さまと協力し、頑張ろうと思っています。

Q:これまでの2年、グランパスは組織的なサッカーで戦ってきました。しかしながら、順位を見て結果は出ていません。その結果が出なかった理由はどこにあるとお考えでしょうか?
例えば先日の横浜FC戦では、選手のモチベーションを感じました。しかしながら、そのモチベーションと集中力が結びつかなかったため、ゴール前での局面で結果に繋がりませんでした。集中力が問題だと思っています。もちろん優勝争いに絡まない中でのシーズン終盤で集中力を発揮する事は難しいかもしれませんが、それでもチームの集中力を上げる必要があると思いますし、それを解決したいと思います。皆さまにここで約束できる事は、とにかく頑張るという事です。自分のベストを尽くし、やる気を持ち、必ず勝つという強いファイティングスピリットも持ってチーム作りをします。これは私1人ではなく、チーム全体がそうなるようにします。皆さんも私の性格をご存知だと思いますが、ストイコビッチがやるぞと言う時は実際にやるという風に感じてくれているかと思います。

Q:オシム氏が日本代表監督に就任された際に、日本人の持つ機動性、連動性を活かして日本ならではのサッカーを作り上げると話しました。その事についてあなたは、日本人の特性とはどういうものとお考えでしょうか?
日本人選手の特性について、メンタリティに関する話がよく出されます。メンタリティが足りないだとか、そのメンタリティを向上させる事が難しいという話を聞きます。私はそれをサッカーを教える段階で、ただ話をするだけではなく実際に自分もピッチの上で示したいと思います。そうする事によって、良い結果を導き出せるのではないかと思っています。私の説明はサッカーを理解する頭の良い選手には伝わると思っています。そしてその選手達がしっかりと結果を出してくれると信じています。ですから、精神的にも肉体的にも、技術面でも戦術面でも私のスタイルを学んでくれる日本人選手がいることを心から望んでいます。
最後なりますが、実は先日の日曜日に東京にいるオシム監督の家族に会いに行きました。3時間、彼の家族と話をして来たのですが、心から彼の回復を願っているという事を伝えました。これは私1人の気持ちではなく、日本人全員が望んでいることだと思います。