□午前の部
朝から気持ちよく晴れ渡り、南国・鹿児島らしい強い日差しもあって、暖かいはずが、強く冷たい風が吹く抜け、寒い寒いスタートとなったこの日の午前の練習。しかし、キャンプも今日で5日目を迎え、選手たちにも疲れが見え始めるが、今朝は午後からの第1回目のトレーニングマッチに臨むこともあってか、選手たちは気合い十分な様子を見せている。
予定通り9時30分から始められた練習は、監督からの短い説明に続いて、2人1組の対面でのボールを使ったウォーミングアップへと進んでゆく。昨夜、Jリーグの新人研修を終えて合流した新人選手の4名も、一緒にボールを蹴っている。ピッチ横一杯に広がりながら、ショートパスやロングパス、ダッシュや頭を使ったパス交換など、バリエーションを加えながら、約15分、しっかりとコンディションを上げると、午後からの試合に出るメンバーは第2グランドへと移動、残されたメンバーも2組に分かれて、ピッチの両エンドを使って、ボールポゼッションを競い合う内容の戦術トレーニングを開始する。
○メイングランド
須藤・吉村・竹内・阿部・高橋・山口・豊田・和田・古賀・杉本・角田・片山・井上・有村・スピラール
○第2グランド
高嵜・大森・秋田・深津・渡邊・中村・藤田・中島・本田・平林・津田
第2グランドのメンバーも、狭いグリッド内でのボール回しでポジションや動きの確認をすると、ハーフコートに大きく分かれて、最終的な戦術確認に時間を費やす。グランドの横には黄色い菜の花が咲き、春の予感を感じさせるが、相変わらず風は止むことはなく、ピッチの上を吹き抜けている。
最終ラインからサイドへとボールを展開し、最後は中央のFWにフィニッシュを決めさせるまでを、フェルフォーセン監督は繰り返し繰り返し続けさせて、選手たちの動き出しのタイミングやポジショニングなどの修正を行ってゆく。そして、約30分。GK高嵜を相手に続けると、午前10時35分。午後からの先発予定メンバーはこの日の午前練習を終える。
メイングランドでエリアを入れ替えながら、ドワイトコーチから、ボールに対する動きや相手選手とのポジショニングなどについて細かく指導を受けた選手たちも、10分ほど遅れて、練習を終了させる。
この日は、ランニング中心だった玉田も若い練習生のGKを相手に左右両足からのシュート練習を行い、自らに気合いを注入していた。いよいよ復活の日が近いことを期待させてくれる場面だ。
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【練習試合「ロッソ熊本戦」(15時30分キックオフ)の模様】
今回の指宿キャンプでは、トレーニングマッチが4試合予定されている。今日はその第1弾、ロッソ熊本との一戦。午前に比べると、海側から吹き付けていた風も少し弱まり、その分日差しの恩恵もあって暖かくなった。ピッチ内で3時半からの練習試合に向け、最後の調整をしている選手たちの表情も明るい。
□前半の模様
45分×2本で行われるこの試合。前半はベンチから向かって右エンド、上下白の熊本に対し、左から右に攻め上がる名古屋のキックオフで始まる。週末の、午後からの試合、それも天気が良いと言うこともあってか、観戦のギャラリーも多い。
先発メンバーは、GK高嵜、DFは右から大森・秋田・深津・渡邊の4バック。中盤は、右から中村・藤田・中島・本田、FWは平林・津田の11人による4-4-2を採用して、フェルフォーセン監督はこの試合に臨んできた。
先週から練習してきた、サイドを広くして中のスペースを活用してゆこうという狙いで試合が始まるが、まだお互いの距離感やポジショニング等にぎこちないところがあり、ボールが上手く繋がらず、些細なミスが目立つ前半。対する熊本はしっかりと守って、ミスに乗じて一気に裏を狙ってくるという策を取り、これにはまってしまう形で、終始押され気味の展開に。
両サイドの、特に右サイドの裏にできたスペースを再三突破され、ゴール前へと攻め込まれる場面も多く苦しい試合となる。しかし、名古屋も中村・本田が何度か練習してきた大きなサイドチェンジからできたスペースを使った縦の突破を見せ、平林・津田にボールを集めようとするが、簡単にはシュートまで持ってゆくことができない。
31分、渡邊がハリを覚えていた左太ももに痛みを感じ、井上と早々に交代してしまうと、一層リズムが悪くなってしまう。そして、37分。熊本(6)からの左からのゴール前へのボールがこぼれたところを、何度も素早い飛び出しを見せていた熊本(19)に中央で押し込まれてしまい、先制点を先に奪われてしまう。その後も動きに迷いのない熊本に先手を奪われてしまったまま、ゴールを奪えず、0-1のまま前半は終了に。
□後半の模様
エンド入れ替わり、後半は風上の熊本のボールで試合が再開する。名古屋メンバー交代:中島→高橋。前半は、中盤から前の動きが少なかったこともあってか、FWにパスが入ってもDFに詰め寄られてボールを奪われてしまう場面が多かったこともあったためか、後半は開始から平林や津田が互いの距離感をしっかりと意識しながら、スペースを作ろうと盛んに動き始めるようになると、フリーになることが増えた本田や中村から良いボールが出始め、徐々に名古屋のペースに。また、久しぶりに試合に出た高橋が、久しぶりと言うこともあってか、気合いの入ったプレイで中盤を動き回り、相手のチャンスの芽を高い位置で潰す働きを見せて、流れを引き寄せる役目を果たす。
中の選手が頑張ってくれることで、ボールを持つ時間ができはじめると、中村・本田のプレイが次第に切れを見せ始め、フィジカルの強さも相まって、徐々に熊本を押し込み始める。中村は縦に抜け出して、精度の高いボールをゴール前に配給し、相手守備陣を自陣深くにとどまらせると、本田は津田とのワンツーで盛んに縦に突破を見せたり、中へと切れ込んで相手DFを混乱させるキラーパスを連発、完全に試合を支配する。
そして、33分。相手ボールを高い位置で奪った高橋が中央をドリブルで仕掛けてゆくと、最後タイミング良く飛び出した津田が待望のゴールを沈め、つい同点に追いつくことに。34分には疲れの見えた藤田に代えて須藤を投入し、試合のリズムを失わせないようにする。
その後は、相手陣内で本田や平林が津田・中村等を操りながら、攻撃を続けてゆくが、フィニッシュの精度の完成率がまだ低く、なかなか追加点を奪うことができない。逆に熊本も追加点を狙って裏へ再三放り込んでくるが、大森・深津、GKの高嵜が粘り強い守備でゴールを死守、追加点を与えること無く、時間が経過してゆく。
結局、最後は両チームとも決め手に欠き、試合は1-1の同点で終了を迎えることに。決して納得のゆく結果ではなかったかもしれないが、フェルフォーセン監督は満足げな表情でベンチに戻ってくる選手たちを迎えていた。
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