8月25日(金)ヒューマンアカデミー「秋田選手、管トレーナー・トークセミナー」の模様
 8月25日(金)、名古屋グランパスエイト・クラブスポンサー「ヒューマンホールディングス(株)」が運営するヒューマンアカデミー・名古屋校(ナディアパーク内)において「秋田選手、管トレーナー・トークセミナー」が行われました。
 事前公募による参加者を対象に行われた当セミナーでは、同校や名古屋市内の大学などでスポーツ医学、スポーツ・トレーニング学を学ばれる学生の方々を中心に30名程が参加し、トーク形式で、プロの世界を伝える事となりました。
【司会】
まず2人に聞きたいのですが、それぞれの世界でプロを目指したきっかけは?
【秋田選手(以下、秋田)】
僕はもともとは野球をやっていまして、野球のできない冬にサッカーをするという程度でした。もともとサッカーのセンスは無いと自分で感じていましたし(笑)、高校では名古屋市内にある西陵高校へ進んでラグビーをやろうと思っていました。
【司会】
ラグビーをしている秋田選手の姿も想像がつきますね(笑)。
【秋田】
それでも愛知高校からサッカーで誘いがあり、それから本格的にサッカーを始めました。そして高校時代に東海地区の選抜として選ばれ、いまチームメイトの俊哉(藤田選手)とかとプレーをしているうちに、まだその当時Jリーグは無かったのですが、将来的に日本のトップリーグでプレーし、サッカーで生活をしていこうと決意しました。
【管トレーナー(以下、管)】
私の場合も、小学生のころから野球をしていました。大分の田舎で育ったものですから、授業でもサッカーをならった事がほとんどなく小学校から高校までずっと野球を続けていました。そして、高校生の時にレベルの高い選手達を見てプロ選手という物は断念したのですが、ちょうどそのころ足首を怪我して練習が禁止された時期がありました。その時代、日本では今ほどスポーツ医学が進んでいませんでしたから、ただ「練習をするな」と言われていたのですが、リハビリをしたいと思い、自分でその手の本を読んだりして勉強を始めた事が、今の職業を目指したきっかけです。

【司会】
秋田選手の足の怪我の具合は?
【秋田】
この前の川崎戦で75分出場しましたが、痛みも出ませんでしたし、もう大丈夫です。
【司会】
秋田選手といえば脅威的な回復力というイメージですが、何か特別な事を行っているのでしょうか?
【秋田】
骨折の場合は高酸素カプセルに入ったりして回復を早める治療はしますが、少しでも早くピッチに戻りたいという気持ちを持つ事が大切です。そのためには何が必要かを、ここにいる管トレーナーやドクターと話し合いリハビリを進めます。ただ、僕の場合はその気持ちが強すぎてトレーナーからの指示を前倒しにして練習をしてしまうので、トレーナーからは良く叱られますね。
【管】
ほんと、トレーナー泣かせの選手ですよ(笑)。

【司会】
プロサッカー選手の裏話なんかは聞かせてもらえないでしょうか?
【秋田】
サッカー選手の日常は、1日正味2〜3時間のチーム練習を、やっても午前・午後の2部、それが毎日なんですよ。でも、それだけがトレーニングではなく、24時間がトレーニングだと思っています。サッカー選手としてプレーするための事だけを考えた生活になってきますし、睡眠、食事、そしてトレーニングの3つの要素が重要になってきます。
もちろん遊ぶ時間も必要です。特に若いうちは遊びたいですし、そういう時間も必要ですが、締める時は締め、遊ぶ時はしっかり遊ぶ、そういう切り替えが重要です。

【司会】
秋田選手からみて、優れたトレーナーとはどう言う人なのでしょうか?
【秋田】
怪我をして戦列から離れた選手を少しでも早くピッチに立たせたい、そういう気持ちの強いトレーナーが素晴らしいですね。もちろん、医学的な技術も必要ですが。管さんは頑固者ですから、この仕事に向いていますね(笑)。言ったことを曲げない強い思いがありますし、経験も豊富です。選手も人間ですから毎日同じリハビリをやっていると気持ちがだれて来るというか、やりたくない時もあるんですよ。でも管さんには、そう言う選手を動かす強さがあります。
【管】
選手達はプロですから、ピッチに立ってプレーをしないとお金が貰えないんです。また、監督も試合に勝つため、自分の使いたい選手が怪我をしている場合は多くの要望を出してきます。
その中で怪我の状態を見、バランスをとりながらより良い状態へ向かうよう指示を出す事が私たちの仕事です。
今のフェルフォーセン監督は、我々メディカル・スタッフの意見をものすごく尊重してくれます。
これは今までの監督の中でも一番ですね。

【司会】
2人それぞれ、ご自身の職業においての醍醐味をお聞かせ下さい。
【秋田】
多くのサポーターの前でプレーできる、これ以上の醍醐味はありませんね。また、子供をはじめ、見ている多くの人たちに勇気を与える事ができればと思っていますし、実際そういう「勇気をもらった」とか書かれた手紙をファンの方から受け取ると、僕らの力にもなります。
勝敗がギリギリの試合を、スタジアムにいるサポーターの声援・後押しでものにしたという事も何度も経験してきました。
【管】
私の場合はトレーナーですから、怪我をした選手が地道なリハビリを続けピッチへ戻り活躍した時に醍醐味というか、やりがいを感じます。スポーツ医学の先進国と言われるアメリカやヨーロッパの国々がありますが、その国その国のやり方がありますし、日本には日本の良さがあると思っています。
スポーツ医学の現場では教科書通りの事のほうが少ないですが、それもこの仕事のおもしろさだと思っています。
Q:僕も現在スポーツ・トレーナーの勉強をしているのですが、プロとしてやっていくためのアドバイスがあれば教えて下さい。
【管】
そうですね、教科書で勉強してきた事と実際の現場には大きなギャップがあります。
そのギャップを見つけた時、まず自分で解決方を調べ考える、そして周りの人からの意見を素直に聞く。
そのプロセスの繰り返しがプロとしての自分を高めていく事になると思います。

Q:秋田選手と言えばモチベーションの高さが特徴だと思いますが、それを維持する方法はなにかあるのでしょうか?
【秋田】
夢を持つことが重要です。僕自身、若い頃はプロになる事が夢でしたし、プロになってからはJリーグで優勝する夢を持ち続けてきました。そして今は、このグランパスというチームで優勝することが僕の夢です。
そして、その夢を叶えるために自分はいま何をするべきかを考え行動することが大切だと思っています。

Q:日頃、室内でも簡単に行える健康維持の方法とかあれば教えて下さい。
【管】
たたみ一畳あれば運動はできます。スクワットや腕立て伏せは単純ですが効果的なトレーニングです。後は、そのトレーニングを飽きないように、いろいろとバリエーションを付けていく事が必要です。たとえどんなに優れたトレーニングでも2、3日で飽きて止めてしまえば意味がありません。
「継続は力」と言いますが、まさにその通りだと思います。

Q:秋田選手は将来についてどう考えているのでしょうか?
【秋田】
自分もこの年齢ですし、プロとしての生活はもうそれほど長くないとは思っています。もしいつか引退したら、その後はコーチや監督など、サッカーに携わっていきたいですね。
これまでにも国内外を問わず多くの監督とサッカーをやってきましたから、その経験を活かし、みんなの良い部分をつまんで、本当に日本人にあうスタイルのサッカーというものを目指してみたいです。

Q:僕もトレーナーを目指しているのですが、どういうタイプの人間が向いているのでしょうか?
【管】
技術的な部分で向き・不向きという事はあるかもしれませんが、基本的に向いていない人間はいないと思います。選手を早くピッチに立たせてあげたい、そういう強い思いにブレが無ければ大丈夫だと思いますよ。世の中に完璧な人間なんていませんが、強い気持ちを持ち続ける事が重要になってきます。
【秋田】
管さんのように頑固な人が適していますね(笑)。選手も好き勝手言ってしまうでしょうが、それに流されていてはつとまらない仕事だと思います。

Q:現在大学で医学を学んでいてスポーツ医学にも興味があり、卒業後は海外留学も考えています。その事について何かアドバイスがあれば?
【管】
日本でスポーツ医学をやりたいのなら、まずは日本でしっかり勉強することが重要だと思います。その上でプラスαが必要だと感じた時に初めて留学すれば良いと私は思います。
極端な例えになってしまいますが、高校を出てからずっと海外でスポーツ医学を学びそれを日本へ持ち帰ってきたのですが、日本の文化を理解できていなかったために失敗したという人もこれまでに見てきましたから。

Q:私は現在、名古屋のスポーツシーンを盛り上げるための仕事をしていますが、秋田選手が以前所属していた鹿島と比べ、名古屋ではスポーツ、サッカーの文化がまだ浸透しきっていないように感じます。秋田選手はこれについてどうお考えでしょうか?
【秋田】
僕がいたころと今で鹿島のイメージもまた違うんでしょうが、僕がいた頃の鹿島は、まさにオラが町のサッカークラブという雰囲気でした。その鹿島と比べ遙かに街の規模が大きい名古屋では状況も違ってくるでしょうし、野球やイベントなどサッカー以外にも多くの娯楽があります。でもその中でまず僕らサッカー選手がやるべき事は、スタジアムへ試合を見に来た人達に、また見に来たいと思わせるような試合をする事です。選手とサポーターの間にある距離はどこだって同じですが、「優勝」という同じ目標をもっともっと共有できれば状況も変わってくると思っています。
 セミナーに続いて、秋田選手、管トレーナーとのプレゼントじゃんけん大会が行われ、勝ち残った方々には秋田選手が実際に使用したサイン入りスパイクや直筆サイン入りのTシャツなどが贈られました。
 また、サイン用のミニボールには秋田選手も「はじめて見る」という管トレーナーのサインをその場で入れ、2名の方へプレゼントされました。
 最後は、この日のセミナーに参加された方々全員で記念撮影。
 「サッカーで飯を食う」なんて言葉もありますが、こういった夢を持つ若い方々へ自らの想いを伝える事で、秋田選手、管トレーナー自身も、あらためてサッカーというスポーツについて考える事ができたのではないでしょうか。

【ヒューマンホールディングス株式会社】
「為世為人」原点はいつも人にある。
地球上で最も価値のある資産は「人」だから
◇本 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-6-2 新宿国際ビル5F
03-3345-8817
◇設 2002年8月
◇主な事業 グループ全体の戦略的意思決定
子会社の管理および経営指導
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