6/28(水):練習試合「vs KRC GENK」の模様

6月28日(水)、午後7時よりFENIX STADIONにて行われた、KRC GENKとの練習試合の模様についてお伝え致します。

この日は、バスで国境を越え、ベルギーの強豪クラブ:KRC GENKとのトレーニングマッチに臨む、我らが名古屋グランパスエイト。日本では実現不可能と言える、欧州の強豪チームとの貴重な試合は、今回のオランダキャンプにおいて実現した夢のような体験の1つだ。午後5時15分、バスに乗り込み約45分ほど走って、GENKのホームスタジアムである、FENIX STADIONに到着。周りを緑に囲まれた自然に抱かれた中に勇壮に立つスタジアム。そして、今回の試合は隣のサブグランドにて行われるが、片側だけだが立派な屋根付きのスタンドもあり、それなりの雰囲気を醸し出している。

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【結果】名古屋:1-1(前半:1-0、後半:0-1):KRC GENK
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この日の練習試合は地元では有料での実施となっており、満員の地元サポーターで埋め尽くされたスタンドからの注目の中、午後7時、左エンドを取った、地元・GENKのキックオフで試合の幕が切って落とされる。右エンドで受けて立つ名古屋のスターティングイレブンは、GK川島、DFは右から青山・スピラール・増川の3バック、中盤は大森・吉村・金・本田の4人と、ひとつ前に山口、FWは津田と豊田の11人。3-5-2の布陣で臨む。

序盤は、GENK・Soetaers(10)がゲームを組み立て、左右から早い持ち出しからゴール前へと集めてきたボールをGENK・Silva(30)やGENK・Kapaka(18)がくさびに入ったところに後ろの選手が次々と詰めてきてシュートを狙うという、展開に。しかし、この日は川島が絶好調なところを披露、再三に渡るピンチも好セーブで凌ぎ、GENKの攻撃をしっかりと跳ね返してゆくと、次第に名古屋にリズムが生まれてくる。

立ち上がり、スタジアムの雰囲気に気圧されたのか、動きが遠慮がちだった選手も、最後尾のスピラールが好パスを配球して、テンポを作り出すと、それに呼応するかのように両サイドの本田や大森が、山口や金に当てたボールを持ち上がり、FWの豊田や津田を使い始めるが、GENKも守備の集中力が高く、自陣への戻りも早く、名古屋にカウンターを許してはくれない。しかし、これでリズムを作った作った名古屋が前半はリズム良く試合を進め、体格差では分が悪い分をスピードとリズムの良いパスでGENKを相手陣内へと押し込んでゆく。

20分、中央をカウンターで抜け出そうとした金が相手選手にユニフォームを引っ張られて倒され、約20m近く距離はあるものの、ゴールほぼ正面の好位置でFKを得る。このボールを本田が直接狙って蹴ってゆくが、力が入ったのか、壁に簡単に弾かれてしまい、チャンスは活かすことが出来なかった。

29分、左から仕掛けてきた、GENK・Soetaers(10)に青山がかわされ、そのまま深い位置まで持ち込まれると、左足からのクロスに中央であわされ、枠を捕らえるシュートを打たれるが、ここでも川島が体を張ってこのボールを押さえ、ゴールを割らせない。38分、先ほどと同じような位置でFKのチャンスを得ると、今度も本田が狙って蹴っていったが、またしても壁に阻止されてしまった。それでも相手陣内でDFラインの裏を狙う津田や豊田に、オフサイドにはなるものの、再三に渡りパスが出て、名古屋は試合の主導権を握り続ける。

そして、43分。再三好クロスを配球していた大森からの右からのゴール前へのボールに豊田が上手く体を入れてボールを持つと、これを相手ゴールに落ち着いて沈め、名古屋に待望の先制点が入る。だが、この失点でGENKサポーターの気合いが上昇、勢いに乗るようにして、ロスタイム。左サイドからの強引な突破からゴール前へと流し込んだボールに中央で飛び込んできた選手にシュートを打たれるが、ここでも川島が好セーブを見せ、GENKサポーターのため息を生むとともに、大きな拍手を得る中、名古屋が豊田の1点をリードして、試合を折り返す。

後半はエンド入れ替わり、左から攻め上がる名古屋のキックオフで試合が再開。名古屋はメンバー交代無し。日本からやってきたチームにホームサポーターの前では負けられないとばかりに、後半開始から気合いが入るGENK。しかし、名古屋も先制点を奪い、前半は殆どの時間で、試合のリズムを掴んでいたこともあって、堂々とした様子で選手達は後半に入ってゆく。

立ち上がり、相手が押し込んできたこともあり、本田や大森が積極的にDFの裏へのボールを供給し、津田や豊田が面白いように抜け出してゆくが、相手の守備も固くGKの攻守もあり、追加点は奪えない。8分には、右に持ち上がっていった大森からのゴール前への早いクロスに飛び込んだ津田のダイレクトシュートは惜しくもGKの正面。

しかし、12分。右から押し上がった選手のボールをゴール前に詰めていた選手が落としたところに、拾いに来たGENK・Soetaers(10)に強烈なボレーを決められ、ついに同点とされてしまう。名古屋も14分、相手陣内左深くでのFKのチャンスを得ると、本田がファーサイドに待ち受ける豊田を狙って好球を入れてゆくと、ドンピシャリでへディングシュート。見事枠を捕らえたかと思われたが、ここでも相手GKの好守にあい、ボールを弾かれ追加点を決めることは出来なかった。17分、名古屋メンバー交代:金・青山→藤田・有村。

同点にされたことで、気落ちするかと思われたが、その後も集中してボールを追いかけ、相手が仕掛けてくるところでは、2・3人とプレッシャーを掛けにゆき、GENKにチャンスを作らせることなく、時間が経過してゆく。30分、名古屋メンバー交代:津田→杉本。
30分過ぎからは、GENKがメンバーを入れ替えてきたこともあるが、GENK・Soetaers(10)にボールを集め始め、早いパスからの攻撃を仕掛けてくる。慣れない地での実戦と言うこともあり、次第にスペースを与えてしまい、ファウルで相手を倒す機会が目立ち始める。31分、34分と立て続けに危険な位置でGENKにFKを与えてしまうと、GENK・Soetaers(10)が精度の高いボールをゴール前へと入れてくるが、DF陣が最後の踏ん張りを見せ、ゴールは割らせない。

終盤は、杉本が試合の流れに乗ったこともあって、相手陣内でプレイすることでアドバンテージが名古屋に出来、殆ど危なげない状況のまま、試合終了を迎えることに。海外でのキャンプにおいて、相手がシーズン前で本気ではなかったにしろ、日本ではなかなか戦えない相手との試合で、ここまでトレーニングしてきたものをある程度発揮して、自信に繋げられたことは、今回のキャンプの大きな収穫の1つと言っても良いだろう。