8月5日(金):5日目・練習試合の模様
 鹿児島県さつま町「かぐや姫グランド」での強化キャンプもいよいよ終盤に入る。前日が二部練習だったこともあり、今日は午前中をゆっくりと疲れを癒す時間にあてられた。
 そして、午後4時から、柏レイソルを迎えての練習試合を戦うこととなった我らが名古屋グランパスエイト。鹿児島は名古屋を思えば湿度が少なく、蒸し暑さはそれほど感じられないものの、山間であり、今日は、台風の影響もあってか、猛烈な日差しはいつも以上に厳しい。
1本目(45分)
ベンチから向かって、右にエンドを取った柏のキックオフで1本目がスタート。GK川島、DFは右から杉本・古賀・増川・中谷、MFは右に藤田、左に本田、ボランチは吉村とクライトン、FWは中村と豊田というメンバーで1本目を臨む。今回の強化キャンプでの成果が何処まで見せられるかが課題といえるところだろう。
3分、右サイドの杉本が右でボールをもらうと、一気に上がって行こうとするが、相手選手にコースを阻まれてチャンスに繋げなかった。
5分、今度は左でボールを持った藤田が大きく右に変えたボールをもらった杉本が縦に突破を図るが、寄せてきた柏・平山にボールを奪われてしまう。
7分、杉本が上がって出来たスペースを使われると、左サイドからゴール前へクロスを上げてくるが、このボールは川島が落ち着いてキャッチ。
8分、自陣中程右での柏のFK。柏・明神が短く出したボールを、ここはしっかりと寄せて中へ入れさせることはなかった。
10分、自陣から古賀が大きく縦のスペースへと出したボールを拾おうと藤田が走ってゆくが、これは長すぎてしまい追いつけず。
13分、中谷が左サイドを持ち上がってゆくと、ゴール前に待っていた豊田へ入れてゆこうとするが、パスをカットされる。
15分、右からの柏のCK。柏・平山がゴール前へ入れてきたボールは、簡単に弾き返す。
18分、自陣左中程タッチ際での柏のFK。平山が大きく蹴ったボールにファーサイドにいた柏・大谷がヘディングシュートに来るが、これはクロスバーの上へ。
20分、中盤でパスを藤田がカットすると、左スペースにすかさず出して、豊田を走らせる。これを左に流れながら、体を入れ替えてシュートに行こうとするが、芝生に足を取られて倒れてしまい、チャンスを生かせなかった。序盤は、柏の矢野のスピードと新加入のレイナルドの個人技を生かした攻撃で受けて立つ形となったが、DF陣が集中しこれを跳ね返しながら、徐々にペースを掴み始める様になってきたこの時間帯。
22分、右でパスを受けた杉本がすぐにゴール前へと放り込んで行くと、豊田が飛び込んで行くが、僅かに届かず、ボールは反対に抜けてしまった。
25分、吉村がカットした相手ボールをクライトンが拾って、本田に渡してゆくが、パスのタイミングが合わず、タッチの外へ出てしまう。
27分、相手DFの間を抜けて行こうとするクライトンにあわせ中村がスルーパスを出すと、これに着いていった藤田に短いパスを出すが、ボールがゴールラインを割ったとの判定で、チャンスがつぶれてしまう。
29分、中央からクライトンが右にフリーでいた藤田にロングボールをけってゆくが、トラップして落とした時にタッチを体が割ってしまう。
30分、自陣屋や左中程での柏のFK。平山が左足で入れてくるが、ボールは増川が高い打点で弾き返して行く。
【失点】
33分、左のスペースに出たボールを柏・李に拾われると、古賀が競り合いにゆくが、かわされてマイナスにパスを入れられたところにフリーで待っていたレイナルドにシュートを叩き込まれ、失点を喫してしまう。
36分、右からのCKのチャンス。中村のゴール前へのボールは相手GKにパンチングで弾き出されてしまった。
38分、中央にポジションを変わっていた本田がクライトンからのパスを受けて反転、前へ仕掛けようとしたところで足下にスライディングにきた選手へのファウルを取られてしまう。
39分、相手DFラインの前でボールを受けた本田が左にフリーでいた豊田にダイレクトではたくと、これをやはりダイレクトでボレーシュートにいったが、ボールは右のポストの外へ外れてしまう。
41分、右にポジションを取っていた本田が、右に上がる杉本に出すと見せて中央にいたクライトンの前伸すペースへ抜け出させようとしてパスを出して行くが、これは気持ちが通じず。
43分、相手DFの近くでボールを持って前を向いた藤田が、豊田に当ててすぐにDFの裏へと抜け出してゆくが、出てきたパスのコースが違う方向へ行ってしまう。
44分、右でボールを持った中村が中に人数が多いのを見て中央にいた吉村にパスを通すと、これをエリアの外からミドルシュートを放っていったが、ボールはポストの左に流れてしまう。そして、ここで1本目が終了。暑さのせいと、固く慣れない芝生の影響もあって細かいパス回しが出来なかった名古屋。また相手がカウンター狙いで引き気味だったこともあって、攻めあぐねてしまい、攻撃が単調になってしまったことも今後の課題といえそうだ。
2本目(45分)
前半から、GKの川島以外を全員入れ替えて臨む2本目。右にエンドを入れ替えた名古屋のキックオフで試合が再開する。
GK川島、DF角田・秋田・井川・渡邊、MFは山口・安・大森・平林、FWは津田とエドアルドと言う布陣だ。安・大森という怪我から戻ってきた選手が何処まで出来るのかが楽しみだ。

2分、相手陣内左深い位置での名古屋のFK。渡邊がファーサイドへと後ろから飛び込んで行く井川に狙って蹴って行くが、ヘディングシュートは枠の外。
5分、右で縦のボールに抜け出した安。そのまま持ち上がってエリアの外からシュートにいったが、ボールはポストの右に。
7分、中央でボールを持った大森が大きく縦に蹴り出すと、これに平林が走ってゆくが、ボールが長すぎてしまう。
10分、前に上がっていた大森がワンタッチで狭いスペースに出したボールを津田がダイレクトでDFの裏へと繋ごうとしたが、そばにいたエドアルドは反応が出来なかった。
13分、中央で津田からのボールを受けた山口が左に上がってくる渡邊を待ってパスを出してゆくが、相手DFのスライディングにボールを押さえられてしまう。
15分、右のスペースに出たボールを拾った柏・鈴木が上がってくるが、これに井川が巧みなスライディングを仕掛け、ボールをきっちりと奪う。
【得点】
17分、右で大森が出したパスを持ち上がっていった角田がそのまま持ち込んで行くと、外からシュートにゆく。一旦はDFに当たって弾かれるが、そのままこぼれ球を拾って更に入っていってシュートを打ってゆくと、今度はきっちりと枠内に収まり、見事な同点弾となる。暑さと相手が引いたことで思うような攻撃が出来なかったことでのイライラも募っていたところだっただけに、この得点はその嫌なムードを変えるに値するシュートといえる。
20分、大森からのサイドを変えたボールを角田が受けると、縦に走る山口の前へと蹴り出そうとしたが、これは相手DFのスライディングに阻まれてしまう。
22分、名古屋メンバー交代:安→須藤。
27分、右でボールを持って勝負にゆこうとした津田が倒されFKを得る。短く出したボールを受けたエドアルドがエリア内へと持ち込んでゆくが、マークに付いた選手へのファウルを取られ、チャンスを生かすことが出来なかった。
30分、平林が左から入れたボールをエドアルドが落として津田が拾おうとしたところでトラップが大きくなり、寄せてきた選手にカットされてしまう。名古屋メンバー交代:安→練習生。交代で入った練習生がセンターバックに入り、井川がボランチの位置で須藤と共に組む。
34分、右からの角田のアーリークロスに中央で津田が飛び込んでゆくが、ここは前へ出たGKがボールをキャッチしてしまう。
36分、右でボールを持った山口がそのまま持ち上がって行くと、前にぬけだしてきた井川にパスを通そうとしたが、DFにカットされてしまう。
38分、中央から須藤が右の山口の前に長いパスを通してゆくが、これはオフサイドの判定。
41分、自陣左中程での柏のFK。短く繋いだボールを最後、柏・大野がゴール前へ入れてこようとしたが、練習生が落ち着いてクリアしてゆく。
43分、相手DFの裏へのスルーパスに津田がタイミング良く抜け出してゆくが、これは飛び出したGKが先にボールを押さえてしまう。そしてここで試合終了の笛が鳴る。
2本目も相手が固く引いてカウンター狙いの形で来たため、相手ゴール前にスペースが無く、なかなか崩すことが出来ないまま時間が経ってしまったが、角田の強引とも思えるプレイが実を結び、同点弾を生んだ。

【練習試合終了後:ネルシーニョ監督選手コメント】
Q:今日の練習試合の成果は?
A:キャンプの中で練習試合を入れる目的は、練習ばかりだと単調になってくるためです。そのため今日は、みんなが出られるように45分ずつで2つのチームを組んで試合をしました。その中で、今回のキャンプでやってきた戦術や動きを確認してきた成果が見られたと思います。
Q:疲れもあったかと思いますが、その中での選手の動きについては?
A:前半のチームは、ものすごく気温が熱く疲れも貯まっていたため、いつものグランパスではありませんでした。確かにスピーディーなプレイもありましたが、動きの質で言うといつものプレーが出来ませんでした。後半のチームは少し涼しくなったこともあったのかもしれませんが、動きも良く、これまでやってきた事が出し切れていました。
Q:後半、大森選手と安英学選手が久しぶりに出場しましたが?
A:彼らはまだ完全復帰ではありませんし、メディカルサイドからも半分くらいと時間も制限されていました。それでそれぞれ25分と30分ピッチに立たせましたが、リハビリ中の選手には、動きのある試合に出るという事はすごく大事なことだと思います。なぜなら、そういうプレーをすることで怪我明けの選手達にも自信が戻ってきますし、今日はただの練習ではなく試合形式の物でしたので、ものすごくプラスになったと思います。
Q:100%の状態ではないにしても、2人の存在感は監督にとっても頼もしいものなのでは?
A:そうですね、彼らは100%の状態ではなくても経験もあり、質の高いプレーができます。ボール捌きやポジションの取り方とかですごく優れているので、チームの力になると思っています。
Q:明日もう1試合こなして名古屋へ戻りますが、8/20の再開へ向けてのビジョンは?
A:20日の神戸戦、Jリーグの再開までの時期が非常に大事だと思っています。現在は7位ですが、3位までとの勝ち点差が2ですし、すごく混戦な状態です。再開までの期間にいくつかの練習試合も予定していますし、神戸戦には完全な状態でいけると思っています。

【練習試合終了後:安選手コメント】
Q:3ヶ月半ぶりの実戦でしたが、ご自身での印象は?
A:コンディション的には、思っていたより動けたなと思います。これまで外でのトレーニングはあまり出来ていなかったのですが、室内で自転車をこいだりプールで泳いでいたりしていたので、しっかり走る事が出来ました。実戦感覚も思ったよりは落ちてはいませんでした。いつもチームメイトの試合や他の試合とかも見ていたので、そう言うのが役立ったかなと思います。でもまだまだ、パスの精度やシュートが良くなかったのでこれから高めていきたいと思っています。
Q:今日のゲームに臨むうえで、決めていたテーマの様な物は?
A:テーマは思いっきりやろうと決めていました。おっかなびっくりやるのではなく、足の痛み含め、グランドに立ったからには怪我人とかは関係ありませんし、まず声を出していこうと思っていました。グランドの中央にいますし、まず声を出しておもいきり全力を出し切ることを心がけていました。
Q:前を向いてプレーをする、安選手らしさが普通に出ていたように見えましたが?
A:もっと思い切りのよいプレー、サッカーをチームに注ぎたかったですし、前へ前へ行くプレーをしたかったので心がけてやっていました。相手も体力的な問題か、今日の暑さのせいなのかプレッシャーもそれほどありませんでしたし、その中でけっこう前を向けましたが、普通のプレッシャーの中でも前を向けるよう頑張っていきたいです。
Q:8月20日に向けては?
A:今日の試合に臨むまで、正直なところ怖さもあったのですが、みんなと声を出し合ったりパス交換をしているうちに恐怖心もなくなりサッカーを出来ている喜びの方が上回りました。20日にもサポーターの前でこういうサッカーが出来たらいいなと思います。待ってるよと行ってくれている人たちもいるんで、ぜひ間に合わせたいです。

【練習試合終了後:大森選手コメント】
Q:お帰りなさい。
A:ありがとうございます。(笑)
Q:実際に試合をやってみての感想は?
A:20分くらいだけでしたが、こうやってみんなとボールを蹴ってサッカーを出来た事が本当に嬉しいです。
Q:実戦感覚はどうでした?
A:今日やった感じではそんなにずれてはいないなと思います。
Q:外から見ていて、声を出している大森選手がとても目立っていましたが?
A:やっぱりチームが若いと言う事はありますし、しっかり声を出していこうと思っていました。
Q:怪我の間、外からチームを見ていたかと思いますが、自分が戻った時にこうしようという事は何かあったのでしょうか?
A:今は怪我から復帰してもパーフェクトな状況じゃないんで、監督からはしっかり直るまではチームのためにいろんなプレッシャーをかけてくれとも言われていますし、その中で与えられた役割を果たせました。
Q:今日はボランチでの出場でしたが?
A:まだ怪我の状況も良くはないんで、2タッチ以内くらいで簡単にプレー使用と心がけていました。
Q:大森選手ご自身、考えていた事は今日のゲームで出来たのでしょうか?
A:そうですね、あの時間内で簡単にやる事ができましたし、すごく楽しかったです。
Q:コンタクトプレーの面での不安は?
A:まだ筋力も戻っていないため、しっかりと相手のボールを取りに行く事が出来ません。もう少し時間がかかるかなとは思います。
Q:今日の試合で得た自信は?
A:ついこの前まで足が伸びない状況だったので、今日こうやってプレーできた言う事で、すごく順調に進んでいるなと思っています。