未明から降っていた雨も、昼過ぎに一旦は小雨になったものの、練習試合開始30分前になっても相変わらず止みそうな気配はない。試合前のピッチを使っての練習でも、足下が滑りやすくなっていることもあり、あまり激しい動きを選手達は見せてはいない。ただ、雨のせいで気温が低いので、ケガをさけるために、アップだけは入念に行っていた。
1本目
メンバー
ウェズレイ ヴァスティッチ
藤本
渡辺 中村
吉村 酒井
大森 古賀 海本(弟)
楢崎
昨日の午後からの休養もあり、選手達の疲れも少しは癒されたであろうが、今日の天候のせいもあり、表情は決して明るくないのは、止む終えないところだろう。開始予定時間に4分ほど遅れて1本目。
左から右に攻める大塚に対し、名古屋は右エンドから左へと攻め上がる。大塚のキックオフでが始まる。
相手の右サイドに早い選手がいることもあって、大森が左に回っている。雨と言うこともあり両チームとも細かいパスを繋いで、じっくりと相手の出方をうかがう様子での展開が続いている。
3分、上がり気味の吉村が抜かれると、左サイドを攻め上がられるが、詰めていった海本がクリアする。
4分、左サイドに出たボールにヴァスティッチが上がっていったが、ここは相手DFにカットされてしまう。
5分、右サイドから攻め込まれると、中に再三ボールが入ってくるが、ここは大森がしっかりと中への相手ボールのコースを読み、クリアする。
7分、自陣からの右サイドへの長いボールに中村が走り出すが、これはオフサイドに。
8分、相手陣内でウェズレイがヴァスティッチとのパス交換でDFの裏に抜け出すが、これは相手DFに前を阻まれ、シュートまでは持って行けなかった。
9分、右サイドでボールを回して、これを受けた中村が中に入ってきて左足でそのままシュート。しかし、これはクロスバーの上に。
10分、今度は酒井が自陣から右サイドに長いボールを出して中村を走らせるが、これは長すぎてしまう。
11分、自陣左より中程の位置での大塚のFK。直接狙ってきたが、これはポスト右に外れる。
14分、やや中よりの位置の渡辺がボールを受けると、縦に走るウェズレイに。これをワンタッチで右に流すも、ここには誰も上がっておらず、相手にボールを渡す形に。
15分、右サイドで藤本が寄せてきた相手をかわして縦に出すと、これに吉村が上がってゆき中に折り返そうとしたが、これは相手DFに阻まれてしまう。
17分、酒井からのDFへのスルーパスに藤本が反応したが、これはオフサイド。ここまでは右サイドを使っての展開は数回見られるものの、左の渡辺が持って上がってゆく場面はほとんど見られず、サイドを生かした攻撃の形が出来ていない。
19分、中央の藤本から右サイドのウェズレイにボールが出ると、これを頭でダイレクトに前へ落とし、ここに中村が右から切れ込んで合わせようとするが、わずかにタイミングが合わずシュートすることは出来なかった。
21分、左からの渡辺の中へのボールを受けたヴァスティッチが遠目ながらミドルシュートを打ってゆく。しかし、相手DFが体を張ってこれを止めてしまう。やはり、気温も低く、雨と言うこともあり名古屋の選手達の動きには、思ったほどの切れは見られない。
25分、右サイドタッチライン際で相手選手を倒してしまい、ペナルティすぐ外の位置での大塚のFKになるが、相手のキックミスをあり、このピンチは逃れる。
27分、左サイドでの競り合いからかわされると、ゴール前に早いクロスを放り込まれる。ここに頭で飛び込んでヘディングシュートを打ってこられるが、これはワンバウンドでクロスバーの上に。
【得点】
29分、ウェズレイが藤本のパスに抜け出すと、左足でダイレクトにこれをゴール右に決め、見事先制!1−0に。大塚の両サイドからの攻撃に苦戦を強いられていたが、これで落ち着きを見せられれば良いが。
31分、左サイドをドリブルで抜けられると、中村がマークでついてゆく。一旦は戻したボールをダイレクトに折り返してきたが、これは楢崎が直接キャッチ。
33分、相手陣内すぐのところでウェズレイがボールを持つと、DFの裏に出してゆく。これに藤本が抜け出そうとしたが、疲れからか出だしが遅れ相手GKにボールを奪われてしまう。
34分、相手陣内深くで酒井が中村とワンツーで抜け出すが、これはオフサイド。
35分、ヴァスティッチが自陣中程で不用意なバックパス。これをさらわれ危険な場面になるが、大森・海本がなんとかこれをついていって、踏ん張りクリアする。
37分、自陣右中程の位置での大塚のFK。ゴール前に早いボールを蹴ってきたが、なんとかここは凌ぎ、こぼれ球を再度拾われるが、古賀が頭で大きくクリアする。
40分、高い位置で大塚にボールを奪われると、右サイドに出たボールを深い位置から折り返される。ゴール前には行って来たボールに選手が飛び込んできたが、わずかにタイミングが合わなかったため、反対サイドにボールは抜ける。やられてもおかしくない場面だった。
42分、左に抜けたボールにウェズレイが上がると、これを中で待っていたヴァスティッチにパス。相手DFをかわして右から上がってきた中村に合わせて、GKの前のスペースに短いパスをだしたものの、ここは相手DFが体を寄せていたため押し込むことが出来ず。ロスタイム、藤本が中にいた酒井に預けて縦に走ると、これに長いボールが出て藤本が頭で合わせるが、惜しくもボールはクロスバーの上に。そしてここで1本目が終了。
2本目
メンバー
ウェズレイ ヴァスティッチ
藤本
渡辺 原
吉村 酒井
大森 古賀 海本(弟)
楢崎
2本目はサイド入れ替わって名古屋のボールで再開。早速、監督は原を右に入れて攻撃的布陣を試してきた。
1分、藤本がDFの裏に抜け出したボールを右足でシュートに持ってゆくも、これはポスト右に外れる。
2分、右サイドに酒井から出たボールを受けた原がドリブルで縦に上がってゆくが、寄せてきた相手DFに弾かれ、ボールを奪われてしまう。
3分、右サイドで藤本が狙って酒井に渡すと、これをゴール前に蹴ってゆく。これを原が胸で落として詰めてきたウェズレイにパス。右足で強烈なシュートを打っていったウェズレイだったが、シュートは残念ながらGKに阻まれてしまう。
4分、左からのCK。藤本のボールは遠いサイドに抜けてしまうが、これを拾った吉村がサイド中に放り込むが、これは相手GKが直接キャッチ。開始からここまでは、名古屋が押し気味に試合を進めている。
7分、右からの藤本のゴール前のボールはヴァスティッチが待っていたが相手DFがクリアしてしまう。
9分、酒井からのボールを左で受けた藤本が、オーバーラップして上がってきた渡辺へパスを出してゆくが、ここは相手DFにクリアされてしまう。
11分、中盤からのボールを左で受けた渡辺が上がっていって中へと折り返したが、これは相手GKがキャッチ。
【得点】
13分、藤本、ウェズレイとわたったボールを、最後左から詰めたヴァスティッチが落ち着いて決め、2−0に。
14分、大塚の右からの早い中へのクロスは、古賀がしっかり反応して頭でクリア。
16分。ヴァスティッチのDFの裏に出たボールに藤本が中央から左に流れながら左足でシュート。しかし、これは惜しくもポスト右に流れてしまう。
18分、中盤で相手ボールを奪うと、左サイドの渡辺がこれを持ち上がる。相手DFに寄せられながらもアウトサイドでゴール前に上げると、ヴァスティッチが飛び込んで右足で合わせるが、ボールはポスト右に流れてしまう。
20分、左に流れていたヴァスティッチのゴール前のボールは、相手DFに当たってしまいコースが変わり、飛び込んだウェズレイは当てるのが精一杯だった。
21分、楢崎→本田中盤での大塚のサイドへのボールをカットすることで、両サイドに出来たスペースを使ってどんどんと攻め上がることが出来るようになり、名古屋の優位で試合が運んでいるこの時間帯。
24分、渡辺→岡山25分、自陣からの海本の縦へのボールに原が走って行くが、相手DFにクリアされてしまう。
27分、相手陣内での浮き球を酒井が競り勝って抜け出そうとしたが、これはトラップがハンドということで相手ボールに。
29分、左サイド深くで岡山・藤本が粘ってCKを得る。藤本がニアに入れていったが、これはクリアされてしまう。
31分、中央のヴァスティッチからの左サイドのスペースに出たボールを藤本が中へとグラウンダーで折り返すと、これに原が詰めて行く。しかし、わずかにボールが流れてしまい、原は触れることが出来なかった。
33分、自陣左中程の位置での大塚のFK。これは相手のミスキックでボールを奪う。
34分、左からのCK。ファーに上がっていた古賀を狙って藤本が蹴っていったが、ボールが低く相手GKに直接キャッチされてしまう。
37分、右サイド深くで大森が古賀との連携でもたつくところをボールをさらわれそうになるが、なんとか古賀がこれを必死でクリアする。
38分、吉村がカットしたボールが相手の前にこぼれ、これを右サイドで持ち上がられるが、古賀がここに詰め、辛うじてピンチを逃れる。
30分、自陣中程ゴール正面の位置で倒してしまい、大塚にFKを与えてしまう。直接狙ってきたボールは壁に当たり、枠には飛ばなかった。
32分、左サイドを上がっていったウェズレイだったが、相手DFに寄せられて、前を阻まれる形となり、ペナルティエリア内に辿りつく前にラインを割ってしまう。
34分、中央でボールをヴァスティッチのスルーしたボールを受けた岡山がシュートに行くが、これはDFに止められてしまう。更にヴァスティッチがこれを拾うとシュートに行くが、これも阻まれてしまう。ロスタイム、右からのCKのチャンス。藤本のニアへのボールを酒井が頭で流すが、こぼれたボールは誰も詰められず、クリアされてしまう。そして、ここで2本目が終了。課題であった両サイドの攻撃については、攻撃の選手の疲れもあってか、なかなか思うような形を作ることが出来なかったが、心配された守備については及第点と言えよう。
〜練習試合・終了後インタビュー〜
ヴァスティッチ選手:
A.今回のキャンプについての印象は?
Q.非常に満足している。ケガ人が出たり予定通りに行かない部分もあったが、個人としてはケガなく過ごせたことに満足している。ホテルも快適でトレーニングに集中することが出来た。現在もコンディションは良く、開幕には万全の状態でのぞめそうだ。
A.新しい戦術については?
Q.監督の指示に従ってベストをつくだけ。まだ戦術の浸透は100%ではないが、リーグ開幕には100%近くでのぞめるのではないか。
渡辺選手:
Q.今日の練習試合での自分の動きについては?
A.途中で交代させられたし、納得のいった試合ではなかった。
Q.一番納得のいかなかった部分は?
A.細かなミスが続いてしまった。
Q.前回の大学生に対し、今日はJFL相手だったが。
前回は自分のスピードを生かすことが出来たが、今回はレベルも上がって、自分の持ち味を出すことが出来なかったので悔しかった。
Q.今回一番とまどった部分は?
A.当たりの強さに差を感じた。逆に言えば、それがこれからの課題。
Q.試合に対して緊張はあったのか?
A.前回と比べれば、徐々に緊張感はなくなってきたが、まだ、(自分が)通じるのか、という不安感もある。
Q.キャンプを通して見えてきた自分の課題は?
A.スピードでは誰にも負けない、というのが自分の持ち味だと思うが、体の当たりが高校時代と違うので、その辺を鍛えて、プロでも通じるようになりたい。
中村選手:
A.サイドでの攻撃面で、監督からの指示は?
Q.中央の藤本選手や2トップと連携・サポートをし、前を向いてボールをもらうこと。まだまだタイミングなど、あわない場面もあった。
A.新しい背番号「7」については?
Q.新鮮でした(笑)
ウェズレイ選手:
Q.新しい戦術については?
A.指示されたこと、やろうとしていたことがすべては出来なかったが、これから名古屋に戻ってから修正出来ると思う。
Q.キャンプを振り返って?
A.練習を1度も休むことなく、すべてに参加できたことが個人的には良かったと思う。このまま、開幕には万全のコンディションで挑めると思う。
Q.今日の1点目については?
A.藤本選手との良いコンビネーションの中から得点できた。今後は、イヴォや原選手たちとのコンビネーションも高めていきたい。
ベルデニック監督:
Q.今回のキャンプを総括して?
A.ケガ人が出たが、それ以外の面では満足している。ケガをした選手たちの準備が遅れたことは残念だが、まだ時間もあるし、ケガ自体は気にしていない。
Q.練習試合については?
A.この段階での勝ち負けは重要ではないが、失点を0で過ごせたことが良かった。
Q.システムについては?
A.まだ完全には決めていない。これからトレーニングを続けていく中で、去年のものより優れていると判断すれば、変更する。
Q.印象に残った選手は?
A.渡辺は、18才と若い面もあったと思うが非常にクオリティの高さを感じた。海本(弟)についても、クオリティの高さを感じた。中村は序盤のケガでの遅れが残念だったが、とても良い選手であると確認できた。酒井も今日の試合では非常に良かったし、チームの中心となる選手である。吉村もチームにとって欠かせない選手。ウェズレイ、ヴァスティッチにはもちろん期待している。原は非常にアグレッシヴで充実している。古賀は、コンディションがよく、大きなミスも無かった。
Q.今回のキャンプで試したかったことは?
A.疲労やケガで多少スケジュールの変更があったが、ディフェンスに時間を割くことができた。トレーニングの内容がハードだったのは、高いクオリティを求めたため。
Q.チームの理解度は?
A.選手は戦術を理解してくれているし、こちらもより多くの事を要求していく。
Q.開幕まで1ヶ月ほどあるが、十分か?
A.十分な時間があると思うが、まだまだやるべき事がある。まずはケガ人を回復させることが大事で、原田・滝澤・海本(兄)や多くの選手にまだまだチャンスを与えたい。
Q.ディフェンス面に時間を割いた理由は?
A.昨年のリーグで、ディフェンス面が良くなかった。攻撃的なサッカーとはいかにして良い形でボールを奪うかと言うことが大事である。そのなかで、失点が無かったことが非常に良かった。攻撃では、もっと前を向いた状態でプレーすることが必要で、ボールをキープすることにまだ改善が必要である。
Q.このキャンプでの環境面については?
A.食事など、非常に満足している。また、ホテルが海の近くで、選手たちは非常にリラックスして過ごすことが出来た。グランドの芝も非常に良かった。
和歌山からお伝えしてきましたキャンプレポートも、今回で最後となります。
このあとチームは名古屋へ戻り、開幕に向けてトレーニングを続けていきます。
また、 2月23日(日)には豊田市運動公園陸上競技場にて
プレシーズンマッチ
(vs横浜F・マリノス)が開催されます。開幕が待ちきれないサポーターの皆様、是非お越しいただき、より攻撃的に生まれ変わったグランパスへの、熱い声援を宜しくお願いします!