和歌山キャンプ3日目となる2月8日(土)、このキャンプ初となる練習試合が行われました。
 今年の開幕に向け、どのような戦術でいくのか、そして、どの選手を起用してゆくのか。それはこの和歌山キャンプ中に行われる練習試合で、しっかりと見極めてゆきたいと、初日の練習後のインタビューで明言していたベルデニック監督。そういった意味で、今日の立命館大との試合は、今後のキャンプ内容にも大きく影響するといっても言い過ぎではないはず。じっくりと見てゆきたい。
 心配された雨も大丈夫なようで、試合開始前の練習では、薄日の差すピッチ上を各選手とも前日の疲れも見せず、元気に体を動かしていた。練習場の周りには、土曜日ともあってプロの試合を一目見ようと多くのサポーターが詰めかけていた。

1本目
先発メンバー
ウェズレイ  ヴァスティッチ
藤本
滝澤       岡山
吉村  酒井
海本(弟) 古賀 大森
楢崎
立命のキックオフで試合開始。
1分、右サイドに出た藤本のボールを拾った岡山がウェズレイとのワンツー出抜け出そうとしたが、ここは寄せてきた相手DFに阻まれる。
【得点】2分、右からのCKのチャンス。藤本の早いボールに岡山が頭で横に流すと、これにヴァスティッチが頭であわせまず1点先制。
3分、相手ペナルティすぐ外左の位置でのFK。ウェズレイが流してこれをヴァスティッチが右足でねらっていったが、ここはGK正面に。
5分、藤本から左前線へ走る滝澤に長いボールが通ると、これを中に折り返していくが、相手DFに頭で弾かれてしまう。
6分、相手FWの出だしに翻弄される形で大森が交わされ、GKと1対1になってしまうが、フリーで打ったシュートはポスト左にはずしてしまい、ピンチを救われる。
8分、中央で酒井が相手のボールを奪うと、左にあがってゆく滝澤に出していったが、これは読まれてしまいカットされてしまった。先制はしたものの生きがいい大学生のスピードに振り回され、思うようにパスが繋がらない場面が目立つ。
11分、立命の左からのCK。左利きの選手のニアを狙ったボールは大森がクリア。
12分、右サイドでボールを受けた岡山がドリブルで前線まであがってゆくと、最後シュートまで持ってゆこうとしたが相手DFに囲まれ奪われてしまう。
15分、左サイドでボールを持った滝澤がパスのでどこを探すうちに前を阻まれ、横に流れて何とか見方に繋ごうとするが、結局インターセプトされてしまう。
16分、右サイドでボールを受けたウェズレイが相手DFの裏に出してゆくが、ヴァスティッチは飛び出せず。
18分、自陣ほぼ正面の位置での立命のFK。ゴールまで15m程の位置だったが直接ゴールを狙ってくるがボールは楢崎の正面に。
19分、酒井の縦へのボールに藤本が走り込んで、左サイドから中に折り返すが、立命のDFの早い反応にカットされてしまう。
21分、右サイドで岡山からの縦のボールに走りながら藤本が中に折り返してゆくと、ヴァスティッチが飛び込んでいったが、タッチの差で相手DFに阻まれ、押し込むことはできなかった。
23分、フリーで相手神内へ切れ込んだ滝澤が倒され、遠い位置ではあったが、ゴール正面やや左よりの位置でのFKを得る。藤本が相手GKの前に曲がるボールを蹴っていったが、これは相手DFに大きくクリアされてしまう。
【得点】25分、右の岡山からのマイナスを中央で受けた藤本が左に流すと、これを受けたウェズレイが後ろを走ってゆく滝澤にヒールパス。最後はこれをドリブルで持ち込んだ滝澤が左足で落ち着いて決め、2点目をゲット。
27分、自陣から滝澤がドリブルで持ち上がると、右に上がってゆくウェズレイにスルーを出すと、これをドリブルしながらもシュートまで持っていったが、相手DFの体を張ったディフェンスに阻まれてしまう。
29分、大森がドリブルで右を上がっていって、縦に走るウェズレイに出してゆく。これを中央に上がってゆくヴァスティッチにあわせて蹴っていったが、相手DFが頭でこれをカットしてしまう。
30分、右から中にいた藤本に早いボールが出ると、これを左でフリーでいたヴァスティッチを見てスルーで流す。ヴァスティッチはこのボールをゴール正面に早いグラウンダーで入れていったが、ウェズレイは間に合わず相手ボールに。
32分、右からのCKのチャンス。低いボールを藤本が蹴っていったが相手守備に阻まれ、味方が触れる前にクリアされてしまう。
33分、右からのCK。ゴール前に出たボールを立命が処理をもたつくうちに再度得ると、ヴァスティッチがオーバーヘッドで果敢にシュートを試みるが、相手GKの正面に行ってしまう。
36分、相手ボールをカットした藤本が回転のかかったグラウンダーを前線に上がってゆくウェズレイに繋ぐ。これをウェズレイがドリブルからシュートに行くが、ボールはわずかに流れてしまい、ポストの左に外れてしまう。
39分、中央から出たボールを右に上がった岡山がシュートを蹴ってゆくも、相手DFにこれを止められCKに。藤本の入れていったボールは相手GKが直接キャッチしてしまう。
41分、ウェズレイから左に上がっていった滝澤にボールが繋がると、これを中央に早いボールを折り返してゆく。ここに藤本が飛び込んでいったが、残念ながら頭の上を抜けていってしまう。
43分、中央のウェズレイからのボールに走り込んだ岡山が右足のアウトでシュートを打ってゆくが、これは相手GK正面に。
ロスタイム、ヴァスティッチが右サイド深く上がってゆくが、ゴールラインぎりぎりで何とか折り返そうと試みたが、ラインを割ってしまう。そして最初の45分は終了。
内容的には藤本やウェズレイの個人技が目立つ場面が多く、中盤での酒井・吉村の連携のずれや、マークの受け渡しなどがうまく機能していないという印象か。ただ、前線での藤本のプレーにはやはり光るものがあり、パス出しも早く、攻撃の起点として、早くも存在感をアピールしていると言ったところだ。
2本目
メンバー
ウェズレイ  ヴァスティッチ
藤本
滝澤       原
吉村  酒井
海本(弟) 古賀 大森
本田
最初の1本目は、相手のスピードにも振り回された雰囲気だった。後半はエンド入れ替わって、左から右に攻め上がるグランパスのボールで再開。

選手交代:
楢崎→本田
岡山→原

2分、自陣でボールを拾った大森の前線への長いボールはウェズレイがオフサイド。
3分、右に抜けたボールを拾った原が寄せてきたヴァスティッチに戻すと、これを左で待っていたウェズレイにパス。ウェズレイのシュートは阻まれたが、こぼれ玉にフリーで詰めた藤本のチャンスと思われたが、シュートをミスしてしまう。
5分、酒井からのゴール前のボールに藤本が飛び込むと、相手DFのポジションを見て頭で後ろに流すが、詰める選手が無く相手DFにボールを奪われてしまう。
【得点】本田からの長いボールを受けた藤本がシュートを試みるが、相手DFに阻まれ、ボールを奪われそうになる。しかし、こぼれ玉にフリーで詰めたヴァスティッチがこれを右足で、この日2点目となる得点を決め、3−0に。
9分、左サイドを粘った滝澤のがんばりで、左からのCKを得る。滝澤が曲がるボールを入れてゆくと、こぼれたところをウェズレイが左足シュートに。しかし、これはクロスバーの上に。
10分、左からドリブルで仕掛けてきた滝澤が藤本に渡して再度受けると、右足でシュートを打ってゆこうとしたが、相手DFに前を阻まれ、押し込むことはできなかった。
12分、左サイドを上がった藤本が相手DFをかわしてさらに中に入ってゆこうと切り返しを試みるが、ボールをラインから出してしまう。
16分、ウェズレイが相手陣内左よりの位置で倒され、FKを得る。ヴァスティッチが浮き球をゴール前に放り込んでゆくが、相手DFにクリアされてしまう。
20分、吉村からの自陣からの早い縦パスに原が走ってゆくが、相手DFが先にこれをクリアしてしまう。
22分、立命の左サイド深くからのゴール前の折り返しにひやりとさせられるが、古賀が飛び込んだ選手に体を寄せ、合わせてきたヘディングシュートはミスを誘う。
【得点】24分、右の酒井から藤本にパスが出ると、これをためて走ってきたウェズレイに出してゆく。最後、これをウェズレイが決めて、4−0で終了。

メンバー
原 氏原 片桐
原田 渡辺 北村 平林 
藤田 富永(英) 深津
本田

 ここでメンバーが両チームとも大きく入れ替わって再開。
2本目(後半)
エンドそのままに左から右への攻め上がりのグランパス。
3分、右からの原の早いボールに渡辺が合わせて飛び込むが、これは相手GK正面に。
5分、右サイドをドリブルで上がっていった藤田が中へ折り返すと、相手DFがこれを一度は止めるものの、これを拾った片桐が再度流れながらも味方に繋ごうと粘るが、残念ながらボールはラインを割ってしまう。
8分、中央からドリブルで切れ込んできた立命の選手にDFが振り切られるが、最後ラップの流れたボールを本田が飛び出してキャッチ。難を逃れる。
9分、左サイドをドリブルで上がってきた渡辺からのボールをゴールやや右正面の位置で受けた原が、切り返して左でシュートに。しかし、惜しくも相手GKの反応に合い、右手で弾かれてしまう。
10分、自陣右でボールをもらった藤田が戦線にできたスペースに長い縦パスを出してゆくが、これは長すぎてしまう。
12分、右サイドを突破されると、ゴール前に折り返しを立命が放り込んでくるが、ここは藤田が頭でクリアする。
13分、中央から出たボールに原田が上がっていって、中の氏原に折り返すが、シュートまではもって行けず。
17分、左サイドを上がってきた選手にスピードで抜かれると、ゴール前に早い折り返しを折り返されるが、戻った北村が飛び込んできた相手選手に体を寄せ、合わせたボールをゴールの外へはずさせる。
20分、原田→森
21分、相手DFのミスキックを拾った原がドリブルで上がってゆくが、味方に繋ごうとしたボールを相手DFに当ててしまい、このチャンスを生かすことができず。
22分、平林が氏原が楔で出したボールを持って上がってゆくと、中に折り返そうとしたが、寄せてきた相手DFに阻まれてしまう。
そしてこのまま、両チーム得点することなく、2本目の後半が終了。途中からサブのメンバーに入れ替わっての試合となったが、どちらも思うようにボールを回すことができず、無得点のまま折り返すことに。

3本目
選手交代:
本田→富永(靖)

 先ほどから雨が降り始め、グランド内も急に気温が下がり始める。変則マッチもいよいよ最後となる。エンド変わって右から左に攻め上がるグランパス。立命のボールから。

2分、右サイドをドリブルで抜けそうとしてくるが、深津がここはしっかりと阻止。
3分、DFの裏に頭で繋いだボールで抜け出されるが、富永(靖)がシュートボールを弾いて止める。
4分、中央で森が粘って右の原に繋ぐが、折り返そうとしたボールは相手DFにカットされてしまう。
5分、左サイドを上がる渡辺に片桐から縦にスルーパスが出るが、これは球足が雨のせいもあって速くなり、追いつけずそのままラインの外へ。
7分、右サイドからドリブルで切れ込まれると、寄せていった片桐がかわされ中に繋がれるが、深津がこれをかろうじて反応、足でカットしピンチを救う。
9分、深津からの長いボールに片桐が上がってゆくが、トラップにとまどううちにボールをさらわれてしまう。
10分、右から中に切れ込んだ原が左足でシュートを試みるが、ボールはクロスバーの上に。
11分、左からのCK。片桐が蹴っていったが、相手DFに大きくクリアされてしまう。
12分、左にドリブルで上がって行った片桐の中への折り返しに、ゴールを背にしていた氏原がオーバーヘッドでシュートしようと試みるが、タイミングが合わず。
15分、右の平林からの早い縦のボールに氏原が走り込んでゆくが、雨でピッチが滑りやすくボールはスピードを緩めることなくエリアの外へ。
16分、片桐がドリブルから左足でDFの裏にスルーパスを出していったが、これはオフサイドをとられてしまう。
17分、左に開いた渡辺が折り返そうとするが、これは弾かれるがCKを得る。片桐の上げたボールに遠いサイドに上がっていた富永(英)が頭で合わせるが、ボールは惜しくもポスト右に外れる。
20分、左からゴール前に攻め込まれると、再三シュートを狙われるが、富永(英)が体を張ってこれを阻止、最後なんとかタッチラインの外へクリアし、難を逃れる。
23分、自陣中程での立命のFK。遠目ながら直接狙ってくるが、ボールはクロスバーの上に大きく外れる。
24分、相手DFの間を狙って森がミドルシュート。しかし、惜しくも枠を捕らえることはできなかった。膠着した試合内容が続くなか、雨もあってか、両チームの選手とも疲れが見え始め、フィニッシュまで持ってゆくことができなくなってきた。
32分、縦パスを受けた氏原が頭で流すと、これを拾った原がドリブルから切り返して左足でシュートに。しかし、疲れからかシュートは思ったほど力が無く、相手GKに簡単にキャッチされた。
【得点】33分、原が相手ゴール前の混戦で拾ったボールを落ち着いて決め、なんとか先制点を決める。
35分、藤田からのグラウンダーのボールが縦に出てくるが、これには誰も反応することができず、そのまま相手のボールに。
37分、右からのCK。片桐がカーブのかかったボールを蹴ってくると、上がっていた深津が頭で合わせようとしたが、わずかに上をボールは抜けてしまう。
38分、立命の右からのCK。ニアに入れてきたボールは渡辺が頭で簡単にクリア。
39分、左サイドから入ってきたボールを胸で受けて、DFをかわして前に抜け出そうとした氏原だったが、ボールが流れてしまい、相手に奪われる。
42分、自陣からの縦のボールに走り込んだ原が、相手GKが処理を誤り、ボールをそらすのを見て走り込んでいったが、戻ったGKがこれをなんとか押さえ、追加点は奪えなかった。
ロスタイム、相手陣内深くでの左からのスローイン。チャンスにできるかと思われたところで審判の終了の笛が鳴り、ここで終了。
結局、試合は主力メンバーによる前半(45分+23分)は4−0、サブのメンバーによる後半(23分+45分)は1−0でした。

〜練習試合・終了後インタビュー〜
監督:
準備期間中ということで疲れているということがあると思いますが、内容にはまずまず満足しています。2トップと藤本、滝澤の連携が良かったと思います。あと、中盤では吉村の動きが目立ちました。3本目以降ですと、渡辺が特に目立ちました。
Q.藤本選手が加入したことで何か変わりましたか?
A.彼が入ったことによって、ゴールへの可能性が上がったと思います。
Q.2本目からの攻撃的なフォーメーションについては?
A.うまく機能していたと思います。攻撃的にいくと裏をとられた時にリスクを負いますが、1つのオプションに考えられると思います。

藤本:
Q.得点に絡んでいましたが、ボールをさわる回数等については?
A.まだまだ自分の頭を越えていくことが多かったと思います。DFからFWへのロングパスは距離が長い分ミスになる可能性も高まりますし、自分を経由出来れば良かったと思う場面もありました。
Q.サイドとの連携については?
A.滝澤選手がドリブル好きで、孤立する場面もあったので、もう少しサポートしていきたいと感じます。

楢崎:
Q.主力でのぞんだ1本目については?
A.チームとしてのプレーの中で、ボールを何度か奪われました。マイボールをうまく処理できないため奪われ、真ん中からドリブルでやられたと思います。
Q.2本目の攻撃的なシステムについては?
A.システムが変わることで動揺しててもいけないと思います。より攻撃的なシステムにすることで、ボランチより後ろのメンバーでディフェンスに神経を使わないといけませんけどね。

 試合終了後、土曜日ということもあって球技場の外には色紙やボールをもった大勢のファンが待ち受けていました。日頃なかなかJリーグの選手に触れられない和歌山では、やはり日本代表の楢崎選手が大人気。小雨のふるなか、出来る限りのサインに対応していました。