月刊グラン8月号のご紹介[宮原和也選手インタビュー]

前のページに戻る

待望のグランパス初ゴール
「点を取ればもっと強くなる」

6月15日。第15節・大分トリニータ戦。前半からチャンスを多く作りながら決め切ることができず、逆にグランパスは先制ゴールを許していた。そんな焦れったい展開が続く53分。相手に当たってこぼれたボールをジョーがワンタッチで左にいたシミッチにつないだ瞬間、右サイドに張り出していた宮原はゴールに向かって真っすぐに突き進んだ。シミッチからペナルティーエリア内の和泉竜司に縦パスが通る。DFをかわした和泉はGKの手が届かない場所に鋭いグラウンダークロスを供給。ファーサイドに一気に詰めた宮原が体ごとボールを押し込んだ。ようやく決まった同点ゴール。3年前、広島から期限付き移籍でやってきた宮原にとって、記念すべきグランパスでの初ゴールが生まれた。

 左サイドにボールが渡った時に、クロスが来そうだなという予感がして、しっかりゴール前に走っていこうと思いました。(和泉)竜司くんからのクロスはイメージ通りだったので、あとは合わせるだけでした。清水戦の前半の場面(23分吉田からのクロスをゴール中央に飛び込んだ)も、得点できそうだなというイメージでゴール前に入っていったんですけど、結構速いボールが来て、ちょっと高くて合わせることができませんでした。でも、ああやってゴール前に入っていけているということ自体は良いことだと思いますし、僕が得点を狙っていければ、チームも僕ももっと強くなれると思います。今季は得点を取りたいという思いがとても強いです。

過去の2年間に比べて、宮原のプレーが格段に面白い。守備を気にして自重することもあった前線への上がりに今季は何度もトライしている。「全員がストライカー」と風間監督が言うように、宮原は開幕からチャンスメークだけではなくゴール前にも顔を出し、フィニッシュを虎視眈々と狙い続けていた。いつゴールが生まれてもおかしくないと思っていた矢先の得点だったが、その形は練習通り。グランパスらしい崩しから決めた。

 今シーズンは、チーム自体のスピードが結構速くなっています。そこは自分自身も対応していかないといけないし、守備だけではなく攻撃にも力を発揮しないといけない。チーム自体が守備も攻撃もみんなでやるという感じなので、攻守において自分自身をもっと高めていくことが必要だと思っています。

2017年、風間体制になったと同時に広島からやってきた若武者が、より厳しい目を持つ指揮官から厚い信頼を受け続けていることはその数字が立証している。17年から18年までのリーグ戦全76試合で67試合の出場はチーム最多。ケガや病気、期限付き移籍の契約条件などで出られなかった時以外はずっと試合に出続け、今季もこれまで全試合で先発に名を連ねている。17年とくらべ先発の陣容はほぼ全員の顔ぶれが変わっているが、唯一宮原だけが、ずっと先発で使われ続けている。風間体制による厳しいサバイバルをただ一人生き抜いている男なのである。

 正直その部分は意識はしていないです。毎年チーム内の競争はあるわけで、それはやはり厳しいものがあります。そこに勝つためには自分自身が成長し続けることが大事です。もちろん選手は大きく変わりましたが、試合に出たいという気持ちはずっと変わらず強く持っています。試合に出ていないと成長できない部分がやっぱりあるので。

 昨年の10月に大きなけがをして、今年はキャンプが始まってもなかなか良いコンディションに持っていけませんでした。だから竜司くんが右サイドバックに入ってきても、気にせず焦らずにやろうと思っていました。ちょっとずつ体作りをしていってコンディションを上げていけばいいかなと。でも、そうした時間の中でも補強の効果もあってチームが変わっていく。そこにどう対応するかは、焦らずとも意識しないといけない部分でした。

grun-19-08.jpg

その宮原は、風間サッカーの変化についてどう感じているのだろうか。

 今年は去年に比べて、やっぱりスピードが速くなっているし、去年は守備でブロックを敷くことが多かったですけど、今年は前からプレスをかけてラインを高く保って、相手をハーフコートに押し込めることが増えている。それはずっと狙っているサッカーで、前線からボールをしっかりと追ってくれるし、みんなの技術があって戦術理解度が高いからこそできています。でもやっぱりまだまだだなと思う部分もあって、そこが完璧にできたらもっと相手を圧倒できると思います。

リーグのカテゴリーや順位もそうだが、年々高いレベルのサッカーに進化しているグランパス。それに自分を対応させるために宮原がやっていることは意外にもシンプルだった。

 一番大事なことは初年度から変わりませんよ。やっぱり『止める・蹴る』の部分で、そこは本当に大事。練習でもずっと欠かさずに意識してやっています。その中でも変化したことといえば、昔は『止めて・蹴る』ことを意識していましたけど、今は相手を見ながらしっかり『どこに止めるか』ということも考えながらやれている。この3年間で技術的に自分が一番伸びたと思うところは、やっぱり『止める・蹴る』の部分は間違いなく上手くなっていると思いますし、そう考えたら、今は少し余裕を持ってできているのかなとは思います。

風間サッカーを楽しむ上で欠かせないキーワードが『止める・蹴る』。サッカーの基本動作だが奥深い。風間監督はミリメートルにこだわって指導しているが、選手としてその本質はどこにあると感じているのだろうか。

 次に蹴りやすい場所にボールを置くことが絶対大事ですね。ロングボールもショートパスもどちらも蹴ることができる場所。相手の動きが見えていても蹴れるポジションにボールを止められなかったら、テンポが遅れてしまうことがあるので気を付けています。そしてボールがしっかりと回転せずに止まっていること。ボールを浮かしたらもちろんですけど、回転していても相手は突っ込んで来やすいんです。ピタッと止めることが、ボールと同時に相手の動きを止めることになると思っています。


2017年10月号、初めてのグランインタビューのタイトルは「不可欠の男」。あれから約2年。入れ替わりの激しいグランパスで、宮原和也はピッチの上に立ち続けてきた。2年間の期限付き移籍を経て、今季は完全移籍という大きな決断を下し、グランパスの顔として選手会長にも就任。ピッチの内外で新たな挑戦を続けている。常に「欠かせない存在」であり続ける23歳。グランパスファミリーが熱い視線を送り続ける未来予想図は、着実に広がりを見せている。

続きは『Grun』2019年8月号をぜひご覧ください。

grun-19-07.png欠かせない存在に
宮原 和也

革命ウオッチャー 2019スペシャル 風間監督に聞く

THE DAYS
新連載 秋山陽介 最終回

NHK「まるっと!」スポーツ担当
吉岡麗のまるっと!直撃
第4回 相馬勇紀

チバディーに聞け! 第4回

綴じ込みミニカレンダー:ジョー、ランゲラック

定期購読はこちら