月刊グラン12月号のご紹介[丸山祐市 選手インタビュー]

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挫折続きの中学、高校時代
大学での「完全燃焼」を誓う

 残留争いの直接対決となった柏戦。1点リードで迎えた71分にそのプレーが生まれた。ゴール前でボールを回されフリーで待っていたのは高いシュート力を誇るFWクリスティアーノ。シュート体勢に入った瞬間、丸山が全速力で飛び込んだ。すると懸命に伸ばした右足にそのシュートが当たりグランパスは絶体絶命のピンチを逃れる。丸山は大きなガッツポーズとともに雄叫びをあげた。まさにチームを救うプレーだった。

 ピッチ上で闘志あふれるプレーを見せる丸山。しかしピッチを離れれば一転してもの静かで落ち着いた印象を与える。この夏初めて生まれ育った関東を離れ名古屋に大きな決意とともに移籍してきた男は、幾多の困難を乗り越えこの地にやって来た。

 この前の休みは伊勢神宮に行きました。ずっと関東に住んでいたので西の方はなかなか訪れる機会がなくて、名古屋に移籍していろんなところに行くことができて、それもいいなと思っています。生まれて29年たちますけど関東を離れたのは初めてだったので、不安もありましたけど、今は楽しんでいるというか充実した生活を送っています。

 東京の特に不自由のない家庭で育ったという丸山だが、サッカーを始めたきっかけはよく覚えていないそうだ。気が付けばボールを蹴り、幼稚園の入園式でもボールを蹴って遊んでいたというほど夢中になった。FC東京のサッカースクールに通いだしたのは小学5年生の時。中学になるとそのままFC東京のU-15に上がることができた。そこで大竹洋平や椋原健太(二人とも現・岡山)や岡田翔平(現・草津)、廣永遼太郎(現・広島)、田中奏一(現・鹿児島)ら現在もプロとして活躍する同期たちとしのぎを削り、目標をプロに置いてプレーしていた。しかしU-18に昇格することができず最初の挫折を味わう。

 プロになるのが小学生の頃からの夢でしたが、中学生の時は背も低くて、他のうまい選手の中に埋もれていました。ジュニアユースからユースへは半分も上がれなくて、僕はボーダーかその下あたり。監督にユースに上がりたいという気持ちは伝えましたけど結局は上がれず、高校は国学院久我山にスポーツ推薦で入りました。悔しいという思いもありましたけど、うすうす気づいてはいたので、まあしょうがないなと。高校でしっかりやって見返そうと思っていました。

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 しかし高校2年の夏、そんな丸山に大きな試練が訪れる。「右ひざの前十字靭帯断裂」それまでに体験したことのない大ケガだった。

 練習中にひざを痛めたんです。ちょっと時間が経つと痛みが消えたので、それで大丈夫かなと思ってプレーしたらまた痛くなって。でもまた痛みが引いてプレーして。それを繰り返していたらひざが横ずれして『これは本当にやばいな』と思って病院に行ったら、前十字靭帯が切れているからすぐに手術が必要という診断で、そのときは頭が真っ白になりました。今だったら『手術をするんだな、またサッカーができるようにがんばろう』という気持ちになれますけど、そのときはプロを目指していたので受け入れがたい現実でした。誰かが『ひざをやったらプロにはなれない、なれても短命だよ』と言っていたことを思い出して絶望感さえありました。

 結果、丸山は1年間サッカーから遠ざかる。しかしこの男はただ単に指をくわえて治るのを待っていたわけではなかった。

 国学院久我山は進学校で文武両道を掲げていました。僕はスポーツ推薦で入って成績はまあ普通でしたけど、あまり器用な方ではなくてサッカーと勉強を両立するのは難しいタイプ。ケガでサッカーができないならしっかり勉強をしようと切り替えました。気持ち的にもつらい時期でしたけど、もしサッカーをしていたら勉強ができなかったと思いますね。結果的にはテストで良い点を取れて明治大学に進むことができたので、今は良かったと思っています。大学でもサッカー部に入りましたけど、その時はプロになろうというよりも、中学から高校に上がる時も中途半端だったし、高校もあまりプレーできない状況だったので、サッカーは大学4年間で完全燃焼しようという感じでいました。


この夏、グランパスが獲得した新戦力の中に、日本代表経験者「丸山祐市」の名前があった。前半戦、失点に苦しんでいたディフェンスラインを引き締め、冷静な戦術眼と激しい闘志で夏の連勝街道へと導いた背番号17番の姿は、、、。『Grun』2018年12月号をぜひご覧ください。

grun-18-12.pngGRUN INTERVIEW
「決意」困難を乗り越えて...
丸山祐市

「躍進の夏」5選手補強の真相 大森征之スポーツダイレクターに聞く(後篇)

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