月刊グラン9月号のご紹介[ジョー選手インタビュー]

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 今日はすごく長い練習時間だったけど、チーム状況も苦しいままだし、僕たちはもっともっと質を上げるために練習しないとね。次の試合もすぐ来るから、しっかり試合に勝てるようにみんなで協力していきたいね。

 そう言ってジョーはインタビューに答えはじめた。ジョーこと、ジョアン・アウヴェス・デ・アシス・シウヴァはブラジル・サンパウロ出身の31歳。2014年自国で開催されたFIFAワールドカップにブラジル代表として出場した。昨季はブラジル全国選手権で優勝したコリンチャンスに所属。得点王とクラッキ・ド・ブラジレイロンを獲得した。クラッキ・ド・ブラジレイロンとは日本でいうJリーグアウォーズの最優秀選手。ブラジル国内で最も権威のある個人賞だ。今年のワールドカップロシア大会もブラジル国内では代表復帰待望論が巻き起こったほど、ファンに愛されているストライカーだ。
16歳の時、名門コリンチャンスでクラブ史上最年少のプロ選手となったジョーは、18歳でロシアに渡ると、そこからイングランドやトルコ、UAE、中国でプレー。日本は国外では6か国目であり、名古屋グランパスは10チーム目と豊富な経験を持つ。この冬にはドイツやイタリアのチームからもオファーがあったというが、レベルも高く治安も良い日本を新天地として選んだ。

 日本に来て半年。普通に日本の生活に慣れることができたし、普通に暮らせる状況になったよ。家族のことや治安や安全面も考慮して日本でプレーするという選択をしたことは間違ってなかったね。家族もすごく喜んでいるよ。息子はもう来日したその日からすっかり日本に順応して、時差ボケもなかったし、朝着いて昼間は遊んで、夜はぐっすり眠っていたよ。これは本当に良かったことだね。試合でも入場セレモニーで一緒にピッチに入ることができて、子どももうれしそうだったし、サッカーがすごく好きだから、なるべくホームの試合に連れてきて一緒にピッチに入りたいと思っている。家族もすごく幸せな感じになるよね。

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 まだコンディションも整っていない開幕戦で、ジョーは異次元のポストプレーをみせ周囲を驚かせた。そして後半39分にはカウンターから相手DFの裏に抜け出し決勝ゴール。サポーターの期待は一気に高まった。しかしその後はチームが陥った負の流れに巻き込まれる。前線で孤立気味になり、手を上げて味方にパスを要求してもボールが出てこないシーンが何度もあった。足下でのつなぎを重視するチーム戦術は、高さのあるジョーの特長を生かしきれているとはいえない。逆にジョーに合わせよう合わせようと、長いボールを入れる試合もあった。それは最初こそ効果があっても次第に対策を講じられる。ジョーが高いスキルを持っていることがわかっているだけに、もどかしささえ感じられた。

 確かに前半戦は自分の求めていた結果とはならなかった。でも自分の頭の中には最初の3カ月間はそういうこともあるだろうなと思っていたんだ。逆にその最初の3カ月ですごく良いプレーができた試合も何度かあって、ゴールを決めることもできたし、それはびっくりしたよ。もっと勝ちたかったし、ゴールを取りたかったというのはあるけど、まあ起きたことはしょうがない。今は切り替えることがすごく大事だと思っているよ。結果が出ないというのは本当に悔しい。でもその敗戦の中でも学ぶべきことがあって、きっとそれを学ばないといけない時間なんだ。グランパスは本当に強いチームだと思っている。みんなレベルが高いしね。自分の中では、全チームと対戦したここからが勝負という気持ちが強いんだ。相手がどういう風に戦ってくるか分かったし、自分のチームメートもどういう動きをするのか、どういうボールを出してくれるのか分かった。新しい選手もきているし、ここからのラスト4カ月が本当に大事になってくると思っているんだ

 ブラジルでテクニックを磨き、イングランドでは持ち前の高さを生かすべく、強さを身に付けた。ポストプレーを難なくこなし、DFの裏に抜ける動きも速い。世界的にも稀有な万能型ストライカー。でも日本のスタイルに適応するのは簡単とはいえなかった。ましてや風間監督が目指すサッカーは独特だといわれる。

 そうだね。風間さんのサッカーは世界でも特徴的なサッカーだと思うよ。テクニック重視で足下から足下へ繋いでいく、キーパーでさえ足下の高い技術が必要だ。他のチームはリスクを起こさないことを考えるけど、グランパスはチャレンジすることが大事。でもそれは風間さんがすごく好きなサッカーなんだ。自分たちはそれに慣れてミスを起こさないようにしないといけない、すごく難しいサッカーをしているんだ。ブラジルではプレーにリズムがあって考える時間があったけど、日本のサッカーは常にスピーディーで判断の速さが要求される。それはこの半年で学んだよ。イングランドもそうした速いサッカーに近かったかな。パワーや高さを使うチームもあったけど、前半30分まではワンタッチやツータッチで繋ぐサッカーが結構多くて速かった。テクニックの必要なサッカーとフィジカルを生かしたサッカーと両方を体験してきたから両方に自信はあるよ。どっちが好きかって?どちらかというとテクニックのサッカーが好きだね。そういう意味では今のグランパスは自分の一番好きなサッカースタイルだといえる。動きとしては、自分はCBの裏に走ることが好きなんだけど、グランパスのサッカーは足下にもらうサッカーだよね。そこはもうちょっと動き出しを我慢して、足下でもらうか裏に抜けるか調整しないといけないなと思ってる。それにたまには高さやパワー、ヘディングの勝負をしないといけない試合も出てくるんじゃないかな。自分はどんなプレーも出来るのでこれからきっとすごく良い結果が出せると思うよ。

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昨季のブラジルリーグMVPにして得点王。
現役バリバリの超大物ストライカーが来日して、はや7カ月。
最近ではスペインからイニエスタやフェルナンド・トーレスが、相次いでJリーグ入りして、何かと話題になったが、その先鞭をつけたのは間違いなく「名古屋のジョー」だ。
最下位からの浮上のカギを握るジョー選手の本音、そして未来は...。
続きは『Grun』2018年9月号をぜひご覧ください。

201808-grun.pngGRUN INTERVIEW
名古屋には「ジョー」がいる
ジョー

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