月刊グラン5月号のご紹介[長谷川アーリアジャスール選手インタビュー]

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体調不良のなかで王者との戦い
手ごたえと、届かなかった悔しさ

3月18日、昨季王者の川崎フロンターレ戦。前節の湘南戦を体調不良で欠場したアーリア選手を、風間監督はチームに欠かせぬ存在としてスタメン起用しました。ピッチに臨んだ実際のコンディションは?

 試合の2日前にようやく練習に合流できた時でも体重は3、4キロ減っていたし、正直なところ本来のパフォーマンスからは程遠かった。しかも相手が川崎フロンターレ。ただ、そういう難しいコンディションでも試合に使ってもらえるということなので、それなりに期待に応えたかったですし、この試合にかける思いを出さないといけないとピッチに立ちました。

90分間を通して見ごたえのある試合でした。前半30分近くボールがタッチラインを割らず、息をつく間もない展開。25~30メートルくらいのコンパクトな幅を保った中で激しくボールが行き交い、攻守が目まぐるしく入れ替わった。どのような思いでプレーを続けていたのですか。

 そういえばスローイン少なかったですね。アクチュアリータイム(実際に選手がプレーしている時間)の記録更新したんじゃないですか(笑い)。真っ向勝負。攻撃的なチームがお互いの特徴を生かして攻め合うというのは見ていて楽しいと思いますし、僕たち選手も、自分たちのやりたいことができていた部分も多かったので、みんなやっていて楽しかったと思います。ただ、僕自身についてはコンディションが悪すぎて...。楽しんではいたのですが、もっとやれたと思うし、もっとこう動けるのに、と思っていました。

 僕たちもフロンターレも、それぞれにとっていい時間帯があった。サッカーは流れが大きくかかわってくるものなので、いい時間で点を取っていたら、流れが変わったのかなと思います。こういう厳しい試合はセットプレーなど一つのプレーで決着がつくと言われているけれど、それも含めてサッカーだということを改めて感じました。

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勝敗を分けた部分は?

 難しいですね。決めるところを決めていれば違った展開になっていたと思うし、それはフロンターレも同じことを思っている。僕たちも最後まで集中していたと思うけれど、オフサイドかどうか微妙だといわれる失点のフリーキックを含め、ちょっとしたスキでやられてしまった。強いチームはああいう場面でも失点せず自分たちの流れに持っていける。お互いがいいところを出した好ゲームだったからこそ、そこが大事になるんです。第4節という早い段階で、フロンターレを相手にこういうゲームができた。自信もついたけれど、ちょっとしたところで勝負が分かれることを教えられた。この敗戦をどう生かすかというところに切り替え、1試合1試合を無駄にできないと感じました。僕自身いろいろなチームで悔しい思いをしてきたからこそ、目の前の試合への準備、チームが進歩していくために何が必要かを考え、実行していきたい。

スタジアムからの帰り道、子どもたちが「楽しかった!」と会話していたり、SNSなどを通じ「楽しい90分」という感想も数多く書き込まれた。0-1というスコアは、サポーターはもちろん、戦った選手が一番悔しいはず。ただ、スコアを超えた部分でサッカーの楽しさを伝えられたのでは。

 「いい試合」「楽しい試合」と言ってもらえるのは選手としてうれしいこと。ただ、それで満足してはいけないと思うし、その試合に勝つことで、もっと魅力的なサッカー、チームになっていけると思う。そこはもっと突き詰めて、高い意識でやらなくちゃいけないと感じました。ただ、面白いサッカーをしなければ、僕たちも面白くないし、選手たちが楽しんでいる思いを表現して、楽しんでくれた観客がまた試合を見に来る。それがいい流れだと思います。サポーターがそういう気持ちになっているからこそ、結果にこだわって勝てば、もっと観客も入るだろうし、もっと応援したくなるチームになると思う。プロとしてそこを意識していかなければという責任を感じています。

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(フロンターレ戦のメンバー表を見せて)フロンターレのスタメンは100試合目となった車屋選手を含め、外国人選手以外はすべてJ1で100試合以上を経験している。その一方、グランパスは206試合目のアーリア選手、175試合目の小林裕紀選手を除くと、J1経験が少ない多くの若手選手が昨季王者に挑んだことになります。

 メンバー表って久しぶりに見ました。すごいことだなと思います。青木や宮原、秋山も若いけど、(菅原)由勢は17歳で出ている。17歳ですよ! 僕もトップ昇格1年目で開幕スタメンしましたが、もう緊張しまくりでした(笑い)。(和泉)竜司も3年目でこの試合がJ1で18試合目だけど、強い気持ちがあれば、試合数も年齢も関係ないですよね。僕は年齢も上なので、チームを落ち着かせるというか、今はしっかりつなごうとか言う立場なんですが、一人一人が試合の流れを読んで、判断ができていれば、おのずとチームはまとまる。若い選手をうまく支えて、のびのびプレーさせてあげたいと思います。年齢に関係なく自信を持って試合に臨めばいいし、ピッチの中で何か起きたら、その時に僕や裕紀が言えばいいんです。


スピード感を増した攻撃の核として、前線へのパス、仕掛けを繰り出す。2年越しのオファーを受けて名古屋の地にやってきた長谷川アーリアジャスールは、水を得た魚のような生き生きとしたプレーで、チームの心臓部を躍動させている背番号9の姿は...。
続きは『Grun』2018年5月号をぜひご覧ください。

grun-18-05.pngGRUN INTERVIEW
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長谷川アーリアジャスール

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