楢崎正剛選手 中日新聞コラム「ゴールマウスから」

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「楢崎正剛のゴールマウスから」第7回「J2を戦い終えて」

 3日のJ1昇格プレーオフ決勝で僕たちは福岡に引き分け、1年でのJ1復帰を決めた。ほっとしているし、素直にうれしい。

 今季はいろいろな意味で難しいシーズンだった。監督に加えて多くの選手、スタッフが入れ替わり、開幕しても先発は流動的。チームのやり方を信じ、自分ができることに最大限集中した。

 チームの成長を感じるようになったのは8月に大量得点で勝つ試合が増えたころ。裕紀(小林)と泰士(田口)の2人が核となり、点を取るためにチームのすべてが動く。監督の求めるサッカーに選手が精神面や守備面を上積みする好循環が結果につながった。

 昨年のJ2降格直後に多くの仲間がチームを去り、クラブの将来像が見えなくなった時期もあった。それでも「グランパスを何とかしなければ」という気持ちを失ったことは一度もない。降格の責任を感じながら、戦いたくても戦えなかった選手のためにも、残った自分たちが絶対にJ1に戻す覚悟で臨んだ。

 新しく加わった選手にも助けられた。特に主将の寿人(佐藤)は常に前向きで一生懸命。広島から家族を呼び寄せ、名古屋に全てをささげようとする姿勢には学ばされた。

 僕自身はシーズン終盤、控えに回ることになったが、いつでも試合に出る準備はしてきた。自分を高め続け、良いプレーを見せることが何よりのチームへの貢献になるという考えに変わりはない。

 来季の勝負はこれから。名古屋はJ1とJ2を行ったり来たりする規模のクラブではない。常に上位を争えるような存在感のあるチームにならなければいけない。
(元日本代表、名古屋グランパスGK)

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◇4/27より中日新聞で掲載が始まりました楢崎正剛選手によるコラム「ゴールマウスから」、J1最多試合出場(631試合)を誇り、日本代表としても長くゴールを守ってきた楢崎選手が、豊富な視点からサッカーについて語ります。中日新聞にて随時掲載、ぜひお楽しみにください。