月刊グラン7月号のご紹介[フェリペ・ガルシア選手インタビュー]

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10に秘める"王国"の情熱。

メッシにはなれないが
トライし続けることはできる

 名古屋グランパスの新たな背番号10は、どこか日本的な佇まいを持つ男だ。「母国よりも好きになっているよ」と異国での生活を愛する家族とともに楽しみ、普段の顔は実に穏やか。この序盤戦はベンチスタートが続いているが、「自分はまだプロとして経験が豊富ではないので」と現状を受け止め、居残り練習に励む謙虚さを持つ。そして出場機会を得ればハードワークを惜しまず、利己的なプレーなど見たことがない。フェリペ・ガルシアはその実力だけでなく、勤勉な性格をもって、重要な戦力の一人となっている。  だが彼の特徴、本領が発揮されているとはまだ言い難い。王国から来たアタッカーは今まさに日本の、そして風間サッカーへのチャレンジの真っ最中なのである。

 自分が思うには、名古屋にはクオリティの高い選手たちが揃っています。そうなれば競争も激しくなりますし、力のある選手がスタメンを勝ち取って試合に出ます。こういうことは我々のようなレベルの高いチームでは当然のことです。自分も途中出場が多いですが、もちろん常にプレーしたいという気持ちをもっています。そして途中からでも試合に入ればその与えられた時間を有効利用する。自分が考えることは、いかに自分の特徴をチームの特徴にフィットさせられるかです。そして最終的には監督がメンバーを選ぶので、選手は選ばれるための努力をしていくべきなのだと思います。
 途中交代で入っていくことが多い選手としては、自分は得点が取れている方だとは思います。でも個人的にはチームのリズムに早く慣れること、そしてパスなどのミスを減らすことを課題にしています。でも、たくさんトライする選手はその分だけ多くのミスが起こり得るわけで、自分は100回トライする中で1回でも多く成功できればという思いでもいるんです。自分はメッシではないのでドリブルで全員を抜くようなことはできません。しかし多くのトライをして、なるべく多くそれを成功させることはできると思います。試合では相手もいるのでそれは難しさを増していきますが、総合的な意味での準備をしっかりする。そのうえで自分の特徴を出していきたいと考えています。

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 ガルシアの特徴といえば本人も自負するように、スピードとヘディングの強さである。熊本戦の2つのゴールはまさに名刺代わりとなるもので、前線を駆け抜けるスピードは日に日にその力強さを増している。ブラジル時代にはダイレクトシュートの名手として知られ、ブラジル2部リーグではシャドーストライカーとして得点ランク2位となった経験もあるという。しかしポジションへのこだわりはなく、あるのは"チームオーダー"への忠誠心だけだ。逆に言えば、彼の攻撃的な才能を引き出すことができれば、チームはまさに"助っ人"の名にふさわしい強力なアタッカーを手にすることになる。

 私はブラジルにいる頃からFWなどもやっていましたが、プロである以上はどんなポジションであっても努力をすべきです。自分はそれを受け入れますし、別のポジションをやることについてはブラジルでも経験がありましたから、慣れてもいます。それは戦術的なものでもありますしね。また、攻撃面でも守備面でも、今のチームのやり方に慣れてきているとも感じます。
 ただ、自分が結果を出してきたポジションといえば、1トップの下のシャドーの右サイドです。ブラジル時代はここが一番やりやすくて力が発揮できたポジションでした。ブラジルのセリエBで得点ランク2位になったこともあります。1位が15得点、自分は13得点でした。自分では、このポジションが一番合っているとは思っています。その時の1トップも大きなポストプレーヤーではなく、動いてスペースを作ったり使ったりという選手でした。そこで自分も裏に飛び出したり、彼が動いた後のスペースを使ったりというプレーをしていました。ブラジルでのそういったプレーは日本でのプレーにも活かせています。昨年はその部分以外にも、セットプレーで自分のストロングポイントであるヘディングでゴールを決めてきました。日本でもセットプレーでの得点は、自分のストロングポイントを活かせるプレーの一つだと考えています。


"謙虚"であり"情熱家"、"日本人的"でもあり、"ブラジル人"らしくもある。相反する二面性が垣間見れるフェリペ選手の内に秘めるサッカーへの想いとは...。
続きは『Grun』2017年7月号をぜひご覧ください。

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10に秘める"王国"の情熱。
フェリペ・ガルシア

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